Ah OSAKA KINTETSU Buffaloes

コブ山田です。

ようこそいらっしゃいました。

今回は、プロ野球、オリックス・バファローズについて、記します。

2001年10月25日(木)。当時中学生だった私は、悲しい気持ちになっていました。
プロ野球日本シリーズはヤクルトが大阪近鉄に勝利し日本一達成。明治神宮野球場(以下神宮球場)にて、若松監督が再び胴上げされていたのでした。

セ・リーグの中日ドラゴンズについて言及することが多いなら、なんでヤクルトが日本一になって悲しいの?と思う方。
それは、大阪近鉄バファローズが日本一になれなかったからです。このシリーズでは完全に大阪近鉄を応援していました。

私にとって最も距離が近かったパ・リーグの球団だったからです。
まずは、門倉健や古池拓一、益田大介や市原圭という中日在籍経験者が在籍していたこと。
また、結果的にですがそのあと大塚晶文、中村紀洋の両選手も2001年大阪近鉄優勝に貢献したのち中日でもプレーしています。
2022年シーズンではそのふたりが揃って中日のコーチを務めました。

あとは、何と言っても私が当時三重県の実家にいたからです。自家用車ではない方法で遠くへ出かけるならば近鉄の文字は絶対に見ます。
伊勢神宮にしても、ナゴヤドームで中日主催試合にしても。

大阪近鉄は自社路線が愛知県まで伸びている関係上、鉄道事業収益を見込み愛知県でも主催試合を開催していたことがあります。
実際に、ナゴヤドームで主催試合をしたことがある球団は地域特性上中日だけかと思いがちですが、実はパ・リーグ主催試合もあったのです。
2004年までありました。

ナゴヤドームでのパ・リーグ主催試合

今回、ナゴヤドームで主催したパ・リーグ球団を調べました。
日本プロ野球記録さんのスコア記録を根拠とします。

また、日本プロ野球記録さんとともに参考になったのがドラゴンズ観戦応援ミュージアムさん。記憶にはなかったもののレアなチケットがたくさん。大助かりでした。

具体的なスコアは以下の通りです。

1997年


04月
オリックス(千葉ロッテ戦)

05月
近鉄(福岡ダイエー戦)

西武(オリックス戦)

1998年


05月
オリックス(千葉ロッテ戦)

近鉄(日本ハム戦)

※日本ハムは6番ファーストで落合博満を起用しています。実は落合博満、選手としてナゴヤドームでプレーした経験はあったのでした。

1999年

04月
オリックス(西武戦)

06月
大阪近鉄(千葉ロッテ戦)

1997年~03年間、近鉄は平日にしかナゴヤドームでの主催試合を組めていません。観客動員が伸びませんでした。
1999年から本拠地地域名を冠して“大阪近鉄”バファローズという名称にしたことも一因と考えられ、愛知県での大阪近鉄主催試合は1999年限りで終了。
06月10日(木)千葉ロッテ戦が最後の試合となったのでした。

その後一方で、オリックス・ブルーウェーブは2000年以降も2004年までナゴヤドームでの主催試合を続けます。
これはなんといっても愛知県西春日井郡豊山町出身で愛工大名電高校を卒業しオリックスに入団したイチローの存在が大きいです。

オリックスのナゴヤドーム主催試合は、セ・リーグの試合しかない東海地方でパ・リーグの試合を見ることができる貴重な機会だと感じていました。
しかし、東海地方の中でも三重県だと、なじみがあるのは神戸のオリックスより大阪の近鉄だというのが正直な気持ちではありました。
2005年からオリックスの名前は“バファローズ”となり、同年開始のプロ野球セ・パ交流戦も影響したか、2005年以降はナゴヤドームでパ・リーグのチームが主催試合をしたことはなく、東北楽天ゴールデンイーグルスは愛知県では中日主催試合しか経験していないということになります。
交流戦で初めてオリックスはナゴヤドームの3塁側ベンチを使ったかと思いきや、これは前述の1997年05月の西武主催試合で3塁側を使っていて初ではないもの、オリックス・ブルーウェーブのナゴヤドームでの主催試合にて大阪近鉄戦は組まれなかったため、"バファローズ"としては2005年06月が初です。

なお、前本拠地のナゴヤ球場での近鉄主催試合映像を見つけました。
日付は1995年05月20日と、土曜日です。ナゴヤ球場では週末に主催試合を組めていたのに、ナゴヤドームでは平日ばかり。
中日も週末にビジターゲーム組まれることもあるはずなのに。寂しい事実です。

7分40秒ごろから背番号66のバッターが登場しますが、その男の名は中村紀洋。

「空振りを見ているだけでも楽しい」

という解説の声もありますが、それから27年経った2022年。中村は中日の打撃コーチに就任し、同じナゴヤ球場という場所で後進の指導に当たることとなりました。
ぜひ、中日で、空振りを見ているだけでも楽しいと思える選手を育ててほしいです。

さて、そんな大阪近鉄バファローズは、経営難から2004年にチームネーミングライツ売却検討という驚きの発表を行います。
さすがにこれはみっともなさすぎる、プロ野球チームの名前を何だと思っているんだと撤回になりましたが、自律的な球団経営が行き詰っていたのは明らかでした。
それでもなんとかなるだろうと楽観的に考えていた私でしたが、06月、大阪近鉄はオリックスと合併するというニュースが流れてきました。

2004年限りで大阪近鉄バファローズは1949年近鉄パールスからの歴史に幕を下ろしました。
そのため、2021年にオリックスがパ・リーグ優勝した際も、2001年の(大阪近鉄)バファローズ以来である20年ぶりではなく1996年のオリックス(・ブルーウェーブ)以来の25年ぶりであるという表現が非常に多かったですし、オリックス・バファローズの本流は阪急→オリックスだというのが公式の表現です。

身売りではなく合併で幕を下ろしたことにより、もう大阪近鉄バファローズは存在しないと思う人も一定数いるようです。
そのままバファローズの名前がつくオリックスを応援し始めた人、無関係ですが生まれ変わりという見方もできる東北楽天を応援し始めた人、大阪の街で大きな存在感を示し続ける阪神を応援し始めた人、前述の球団以外の応援を始めた人、果てはもう嫌になってプロ野球から離れた人。

では私にとってのオリックス・バファローズは何なのかというと、個人的には大阪近鉄の血は流れているチームと思っています。
合併された側とは言え、チーム名は他でもない“バファローズ”であり京セラドーム大阪でほとんどの主催試合を行っています。

それにこの曲。チャンステーマ2、大阪近鉄バファローズ時代からそのまま使っていて、無関係の球団でないでしょう。
もちろんユニホームは違いますので、バファローズはバファローズでも似て非なるものだという意見も理解はできます。

さて、大阪近鉄時代に流れている映像はこちらです。

2001年日本シリーズ第2戦でタフィ・ローズが打ったホームランもむなしく大阪近鉄バファローズは日本一になれないまま幕を閉じてしまいました。
他の全球団は日本一の経験はあるのに、大阪近鉄はないままでした。

時は流れて2022年10月30日(日)、神宮球場。
福岡ソフトバンクのマジック1点灯状態から逆転でパ・リーグ連覇を果たしたオリックスは、クライマックスシリーズも勝ち抜いて日本シリーズ出場を決めていました。
セ・リーグも東京ヤクルトが連覇を果たし02年連続同じ顔合わせでの日本シリーズとなりました。
2021年の日本シリーズでは東京ドームで東京ヤクルトのホームゲームを開催していたので、バファローズが神宮球場で日本シリーズを戦うという意味では2001年を彷彿とさせるものでした。

2001年に日本一になれず悔しい思いをし、21年後もオリックスを応援していた人にとっては、2022年に日本一に輝いたチームは"26年ぶりのオリックス"より"初のバファローズ"という表現がしっくりくるのではないかと私は感じました。
公式には阪急ブレーブスに始まる歴史をカウントしており、1996年に巨人に勝って以来の日本一で間違いはありません。
ただ、私としては、"バファローズが初めて日本一に輝いた"という表現に重きを置きたいと思っています。

最後に、重なった偶然について記述します。
2004年のドラフト会議に参加できなかった大阪近鉄バファローズ最後のドラフトは2003年でしたが、その前年の2002年に神戸国際大学付属高校の坂口智隆を1位指名しました。その坂口は息の長い選手になり、2022年シーズン終了をもって引退となり、10月03日(月)に引退試合をなったのですが、場所は神宮球場です。

大阪近鉄バファローズでプロ野球選手になり、合併後のオリックスで1番センターを長年務めるも故障などもあり2015年限りで自由契約になりました。
すぐに東京ヤクルトがオファーを出し、2016年以降東京ヤクルトの背番号42を着用し、引退試合の用意もあるキャリアとなりました。

同年の日本シリーズでの出場はなかったものの(前年はあり京セラドーム大阪で出場し両チームのファンが拍手)、キャリア初期のチームが日本一になったのでした。

バファローズがドラフト指名した選手は全員NPBから消滅してしまった一方、バファローズはついに日本一になった。
不思議な巡り合わせを感じた2022年10月でした。

2023年に向けて時は流れていきます。
ひとつ大きな区切りができたものの、それらの上に創られていく新しい歴史も含めて、オリックス・バファローズのこの先を見ていきたいと思いました。

ありがとうございました。

サポートいただければ、本当に幸いです。創作活動に有効活用させていただきたいと存じます。