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私の中にひそむ一人の悪魔

自分でいうのもアレだけど、
私は基本的には穏やかで、明るく、フレンドリーな人間だ。
喧嘩をしている人がいれば仲裁に入って場を収めることだってするし、なるべく皆がストレスなく過ごせるように配慮したりもする。
平和が一番だし、ほんわかした雰囲気が一番だと思っている。

でも、たまに、自分でもびっくりするくらい酷いことを考えてしまう時がある。

そう。私の中には一人の悪魔がいる。

そんな悪魔が出てくるのは、決まって「大好きな人」との喧嘩の時だ。


大好きな人と喧嘩になる。

すると、どこからともなく悪魔が出てくる。

そして私をふわりと飲み込んでしまう。


飲み込まれた私は、とんでもなく酷い考えしか浮かばなくなる。

『こんなに傷つけられた』
『私の痛みを、あの人も味わえば良い』
『どんな嫌なことをすればあの人は苦しむか』
『あの人がつらい気持ちになることは何か』
『お前なんてもっともっと苦しめば良い』

大好きな人なのに、大切な人なのに、愛する人なのに、
そんな考えで頭の中を埋め尽くされてしまうのだ。

そんな状態で喧嘩が続行されてしまうので、私の口からは極端な意見しか出なくなる。「出ていけば良いんでしょう?」「もう別れる?」「私から離れれば良いじゃん!」


思ってもないこと、ではない。
本気じゃない、わけでもない。

悪魔に飲み込まれた私は、少なくともその場では「もう別れたい」と思っているし、「私の前からいなくなれば良い」と本気で思っている。

でもきっと、もし本当にそうなった時には、
悪魔が去ったところでふと冷静になって、心から後悔することになるのだろう。


私の中の悪魔は、あんまり可愛くない。
ドス黒くて、湿っぽくて、すべてを飲み込んでしまうくらいに強く、そして持続性もある。

もう少し茶目っ気のある悪魔ならまだ良いのに。
「ばーか、ばーか!」と一生懸命吠えて、
すみっこでいじけて、
しばらくしたらエネルギーを失っていく。

そんな憎めない悪魔だったら、良いのになぁ。


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