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【映画の噺#7】POVホラーの名作、完結篇を知ってる?

 POV(Point Of View)映画とは、「登場人物の視点」で描かれた、という意味です。
 登場人物がカメラをもっており、その人が撮影したビデオ、という設定で本編が流されます。これはドキュメンタリー風に作成された、疑似ドキュメンタリーという意味で「モキュメンタリー」と呼ばれる作品群に使用される手法です。
 臨場感あふれる映像がホラーに向いており、数々の名作が作られました。
 それらの名作ホラーが、どのような完結を迎えたのか、知ってますか?
(ネタバレなし!)

(見出し画像のImage Souse=10+ Years Later: [REC] and the Found Footage Renaissance (screenanarchy.com))

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ブレアウィッチ・プロジェクト

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(The Blair Witch Project)1999年 米国』は、低予算(六万ドル)で制作された、POV映画の先駆け。
 それが最終的に全米の興行収入1億4000万ドル、全世界興行収入2億4050万ドルを達成した。

 米国東岸のメリーランド州には、ブレア・ウイッチという魔女伝説が残っている。
 その伝説には、なにか元ネタとなる事実があったのでは? という興味から、三人の大学生が伝説の森に調査にはいる。
 しかし彼らはその後消息を絶ち、残されたビデオがこの作品。という設定。

 この続編は設定が異なる二作がある。

『ブレアウィッチ2(Book of Shadows: Blair Witch 2)2000年 米国』は、前作をフィクションとして、その元ネタとなった事件を取材する、という設定の話。

『ブレア・ウィッチ(原題: Blair Witch)2016年 米国』が、ストーリー的な続編になる。
 3人の学生が消息を絶ってから20年後。
 失踪した3人のうちの1人、リーダーの女性ヘザーの弟が動画サイトで姉らしき人物の映像を見つけたことから、伝説の森を再調査することに。

 ドローンやGPSなど、最新の技術を使って魔女伝説に挑むのだが。。。

ぱくたそより

パラノーマル・アクティビティ

『パラノーマル・アクティビティ(Paranormal Activity)2007年 米国』は、「超常現象」という意味。

 同棲中のカップル、ミカとケイティーは不思議な音や現象に悩まされていた。その真相を探るべくミカは固定カメラを設置し、自身もハンディカメラで日常を撮影する。
 果たして、そこに映っていたものとは?

 シリーズ全8作品あり、なかには日本を舞台にしたものもある。
 ストーリー的に完結篇と言えるのは、『パラノーマル・アクティビティ5 (Paranormal Activity: The Ghost Dimension)2015年 米国』
「5」と言いつつ7作目で、時系列では最後になる作品。

 ただ怪現象の真相は、1作目の前日譚にあたる『パラノーマル・アクティビティ2 (原題: Paranormal Activity 2)2010年 米国』で明かされている。
 ケイティがなぜ、怪現象に取り憑かれることになったのか、という疑問が明らかになる。
 かつ1作目では触れられなかった、彼女の過去なども描かれる。

 1作目に漂っていたよくわからない不安感や怖さ、というものがなくなって、ただの怪奇物語になった。という印象がぬぐえない。

イラストACより

REC

『REC/レック([Rec])2007年 スペイン』は、バルセロナで消防士に密着取材していた、テレビ・クルーのカメラ視点で話が進む。
 通報を受けて現場に向かう消防士に同行した、レポーターのアンヘラが、現場のアパートで遭遇する現象を描いている。
 そこでは、錯乱状態だった老婆が警官に噛み付く。

 POV作品にお約束の流れで、冒頭おちゃらける撮影者たち。
 その後、現象の恐怖と共にまともだった人が変容する、といったメリハリが効いている。

『REC/レック4 ワールドエンド(Rec 4: Apocalypse / [REC]⁴:Apocalypse)2014年 スペイン』が、シリーズの第4作にして最終章になる。
 2作目の直後という設定で、1作目のアンヘラちゃんが再登場する。また3作目の生存者である老婦人も登場。

 ストーリー的にはよくまとまっていて、エンタメ作品として充分おもしろい。けれどやはり第一作のような、じわじわと迫ってくる得体の知れない恐怖、といった趣はないようだ。POV手法ではない。

いらすとやより

クローバーフィールド

『クローバーフィールド/HAKAISHA (Cloverfield)2008年 米国』は、ホラーではないが、POVの手法が生かされたパニックもの。

 ある夜、栄転が決まった主人公を祝うパーティ会場で、突如として不気味な爆音が鳴り響く。
 外の様子を見にパーティ会場の屋上へ向かった彼らは、炎に包まれた市街の状況に驚愕する。

 実際になにかの災害に遭遇したとき、当事者たちの視点としてはこんな感じなんだろうな、ということがわかる。
 ヒ-ローは存在せず、ただ情報からも遮断されて、どう動けばいいかわからない、さらに味方であるべき、友人や巻き込まれた者同士も意見の対立からいさかいと起こす。

『10 クローバーフィールド・レーン(10 Cloverfield Lane)2016年 米国』はその続編だが、ストーリーの繋がりはない。
 同じ設定で、別の状況でこの惨事に遭遇したらどういう展開があるのか、という話になっている。POV手法は使われていない。

 前日譚になる『クローバーフィールド・パラドックス(The Cloverfield Paradox)2018年 米国』はNetflix配信で、1作目の状況がなぜ生まれたか、を描いてはいるものの。。。
 このシリーズは、同一設定でエピソードを重ねる、という展開のようだ。

 それぞれ、異なった形の収束を遂げるPOVホラーのシリーズ。
 個人的には、「REC」がストーリー的にもっともうまく収束している、と思います。
 そのぶん、ホラー要素が少なくなってアクション・ムービーになっている感は否めませんが。

 ホラーの恐怖は、自分自身の想像力のなかにあり、怪異の正体がさらけだされると半減するようです。
 対象が明らかになればそれはもう、長い黒髪に白い服を着た美人のお姉さん、になってしまうと言うことかもしれません。

 一時期流行ったPOVムービーですが、やはりゲームのソフト・ハードが進化すると、同じ土俵では臨場感で負けることも衰退の原因かもしれません。

#POV #モキュメンタリー #ホラー #ブレアウイッチプロジェクト #パラノーマルアクティビティ #REC #クローバーフィールド




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