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変わっていく価値観

大きな魚が好き

『テナガエビはゆっくり向こう合わせで釣るんだよ』

釣りに夢中になり始めた中学の時に、友人の保井くんから言われた言葉だ。
中学の友人の保井くん。
高校の友人の保田くん。
なんだかややこしいけど、よく似た名前の奴と友達になってしまったのだから仕方ない。
今回出てきたのはいつもの保田くんではなく、中学の友人の保井くんだ。

『へええ……』
『いつも行っているところにもいるはずなんだけどなあ』
いつも行っているところ……
それはボクらが淡水の小物を狙って釣りをしている川である。
相模川の支流の小さな川で、ボクらが住んでいる横浜からはしばらく電車に乗らないといけないぐらい少し遠いところに位置する釣り場である。

『ニジマスが釣りたいんだよねえ』
ボクは保井くんに言った。
当時から志だけは大きかったボクは、でかい魚を釣りたがった。
小物釣りよりも大物が釣りたかったのだ。
それで保井くんと行っているその川で、ボクは目の前で保井くんが大きなニジマスを釣り上げているのを見ている。
『ニジマス? まあ、釣れないことはないけどね』
『どうやって釣ればいいの?』
『魚がいないことには釣れないよ』
『そっか……』

ボクらが行っている川は、川幅も狭く、そこに居ついているニジマスはいないように思えた。
たぶん、あの日……保井くんがニジマスを釣ることができたのはたまたまだろう。
詳しくはヘッポコ釣行記の新玉川という話を読んでもらいたい。


だけど当時のボクはテナガエビには興味がなかった。

今更……
そんな小物釣りなどしたくもなかったのだ。

いや……当時はね。
今は?
と問われると今は少し違う答えだ。

美味しい魚が好き

キャッチ&リリース
という言葉が釣りの世界で流行りだしたのは、バス釣りが流行りだしてからなのかな……と個人的には思う。

釣り番組や釣り動画を見ても釣った魚を持って帰らずに逃がしている様子が見受けられる。

食べられない魚なら仕方ない。
水質の汚染されたようなところで釣った魚は食べるとこちらの体調が心配になるし、もともと食用に適していない魚なら食べても美味しくないから放流するのも分かる話だ。
でも……
食べたら美味しい魚を持って帰らないのはなんだかもったいない気がする。

そんな感じで釣りを本格的に好きになった中学の頃に比べて、今のボクは大きな魚よりも食べて美味しい魚を釣るのが好きになってきているのである。

中学の時にあんなに釣りたかったニジマスは、今ではそこまでの魅力を感じない。どちらかといえばテナガエビの方が魅力を感じるのである。

なんか魅力的な淡水の小物たち

たまに淡水の小物釣りがしたくて仕方ない時がある。

こんな動画もでており、近くにいい川があれば休みの度に出掛けられるのになあ……と思ったりもする。

ただ以前の記事でも書いたと思うけど……。
そんな気持ちもいざ休みになって釣りに行けるぞ、となるとどこかに消えてしまうのである。

たぶんこれには、家の近所に生息している魚を安心して食することができるような水質を保った川がないからではないかと思う。
仕事中に見かける川はそれなりに水質は保たれていそうだけど、自宅からは1時間程度かかる位置にある。
そうなると1時間かけて釣りに行くなら他の魚を釣るよ……という話になるのだ。

なんだか……自分の中では難しい話になりつつある。

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