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善良な祖父


小さな頃に家にあった
花咲か爺さんの絵本に出てくる
お爺さんは私のおじいちゃんにそっくりだ
と思っていた。

息子が産まれて初めて買った
日本の昔話も花咲か爺さんだ。
この絵本なんて爺さんの絵も
おじいちゃんに似ていた。

まだ祖父が元気で、
子どもたちが小さかった頃
遠縁の親戚が遊びに来て、
おじいちゃんはさ、戦争が終わって
皆んな自分のことで必死だったときに、
焼け野原だった駅周辺を
綺麗に片付けて花を植えていたんだよ。
と話してくれた。

我が家の庭の椿と梅の木は東京大空襲の
焼け野原から生えてきたものを
祖父母が育てたものだ。

穏やかで優しい祖父は
お金を貸してくれと頼まれることが多く
返ってこないことがほとんどだった。
でも恨みごとを聞いたことはない。
母の父である祖父
私の父親には一体いくら出したのだろう。
私の夫は祖父に似ている。


写真は隣の駅の大きな桜の木

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