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『哲学』の散歩道 Vol.12「システム」論Ⅵ

1)『こころの立体モデル』の基本構造

前回からの続き・・・

前回は「基本四象限」を分割する面の話をした。
これは、三つの側面と呼ぶ「こころの立体モデル」の基本的な構造だ。

概略を下図に示す。

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緑の「縦の軸」が、
「内面」と「外面」を分かつ
赤の「横の軸」が、
「個々人」と「集団」を分かつ
「基本四象限」自体の青の面が
「私人性」と「公人性」を分かつ

これらの三つの側面が相俟って構成されている。

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非常に模式的に描くと上図のようになる。

2)「内部」「外部」の境界

では、前回触れた基本四象限に示す内部、外部を分かつ領域について解説しよう。「基本四象限」の時にもお話したが、重要なのは「内部外部がそれぞれ何を意味するか」より、内部外部を分かつ「円」自体が何を意味するのかを見ていくことが大切だ。

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上図のように、円に囲まれた内側が「内部」であり、円の外側が「外部」である。では、内部外部を分かつ「円」が、いったい何を意味するのか詳細に見ていくことにしよう。


3)「円」の存在 それは・・・

それぞれの境界を厳密に分けていく。そうするとある事が見えてくる。

① 精神
精神の内部外部の境界は、意識境界。

精神の内部、外部の境界は覚醒状態と睡眠状態に分けられる。基本的に内部は睡眠状態、外部は覚醒状態と概念化する。つまり外部は覚醒であるが、本来はこの境界のライン上に自分の「意識」が開けてくることになる。

② 身体
身体の内部外部の境界は、皮膚境界。

身体の内部は、内臓臓器などでありそれらを私たちは内部に持ち合わせている。外部との境界は「皮膚」であり、やはり外部内部境界のライン上に自分の皮膚感覚が開けてくることになる。

③ 社会
社会の内部外部の境界は、構造境界。

構造境界とは、例えばパソコンでいえばハードの表面が外部で内部が内部構造そのものということになる。私たちが認識している構造物は体積を有しており、その内部は何かしらの構造がある。この見立てはそれほど複雑なことではない。繰り返しになるが、この円のライン上に「自分」に関与する「社会」が出現してくる。

④ 心理
心理の内部外部の境界は、単純に心理境界。

 しいて言えば、この心理境界が最も分かりにくいかもしれない。心理は基本的に組織集団に依存して集団心理が醸成される。簡単にはそのグループの雰囲気だ。国家の民意や国民の意識の高さを民度ともいう。集団意識といっても良いだろう。これをもう少し心理的な意識と絡めて表現すると、内面の外部にある「集団意識」や内部に潜む「集合的無意識」などということもある。これら二つの関係性を、単純に心理境界といっている。そしてここでも「円」の境界ライン上に「自分」が所属する意識が開けてくる。

まとめると、「円」の存在は、「自分」である。「自分」が社会環境の中で生活している直接的あるいは間接的なすべてを包括する現実的な構造を映し出している。

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これが基礎的な平面的理解だ。ここからさらに立体的に自分を映し出していくための工夫が必要になる。

暫定的ではあるが、結局これらに囲まれた「自分」がどうしたら「居心地の良い場」佇むことができるのか。それをもう少し見晴らしの良い場所から覗いてみよう。

次回、『哲学の散歩道』 Vol.13「システム」論Ⅶをお楽しみに。


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