一問一答

ザ・レジリエンス・トーク 一日一答(62658文字)

note ザ・レジリエンス・トーク 一日一答

5月19日のトークライブに向けて、一日一答!!

ということで、はじめまして。

「こころから研究所」代表の Dr.KANです。

 以前から、RODEOさんと、(なんと…去年の11月ごろから)ライブで何を話そうかとミーティングを重ねてきました。その中で、トークでどんなことが聞きたいか、オーディエンスの皆さまからあらかじめご質問をお寄せいただき、それに沿って答えるスタイルを検討してきました。

 そして先日…、皆さまからお寄せいただいた内容をRODEOさんとシェアさせていただきまして、この「note」という媒体を使い「プレトーク」としてお答えしていきたいと考え、今日から始めてみようということになりました。

ご質問は21問寄せられました。

なんと…ちょうど今日から
ライブまであと21日!!

 神様も良くしたもので、与えられた試練とおもって、これって、かなり忍耐かもしれませんが、「皆さまのニーズにお応えしたい」その気持ちが増してきました!
(本音:ちょっとがんばらな、あかんなぁ~、できるかな?!)
 このモチベーションは、いったいどこからやって来るのか!?トークの最後に検証します!!

記事をお読みになる皆様へ

※ なお、トーク内容については、こちらに記載する「プレトーク」と、本番の「ライブトーク」は多少内容が変わる場合があります。音楽でもライブだと違った良さがあると思いますので、そのあたりはご了承下さい。

 では、一日一答、よろしくお願い致します。

 タイトルの通り、21日間で21問お答えして参ります。

 気力、体力の続く限り、続けて参りますので、ご支援のほどよろしくお願い致します。

(なんか、最初から悲壮感が漂っておりますが、大丈夫…かな?)

1.仕事上のスキル
「仕事術」を高めるには

はじめに

 平成31年4月28日。「Note 一日一答」の初日にふさわしく、仕事上のスキルとして「仕事術」を高めるには、ということで、お話を始めたいと思います。

仕事上のスキル「仕事術」を高めるには

「仕事のできる人」というのは、どの世界にもいるものですね。

 今回、そんな「仕事術」をお題にいただいて、最初に仕事のスキルを考える上で、一番大切なポイントだと考えたのは職種です。どんな職種か、ということでした。

 職種には、個人店主や匠の技など技能を持つ方もいらっしゃると思うので、このような個々人(スタンドプレー)としての「仕事術」は、集団(チームプレー)とはまた違った趣があると思います。

 でも、仕事として、ボクたちが担っているのは、大概集団に関わるものなので、いずれにしてもチームワークの視点が必要ではないかと思うのです。

「THE TEAM 5つの法則」

 これを非常に面白い方法で分類している方がいました。モチベーションエンジニアの麻野耕司(あさのこうじ)さんです。最近「THE TEAM 5つの法則」という本が出版されています。

 内容を完結に言えば、「チームの構造を理解し、自分がチームでの役割を知ることによってシナジー効果を生み、チームの魅力が発揮できるようになる」と、私的に解釈するとこのような内容ですが、では、その具体的なことをほんの少しだけご紹介しましょう。

 この本は、経営管理をされる方はもちろん、チームの一員である一般社員の方にもチームの考え方に新たな視点を与えるものだと思います。

 その視点は、「環境変化の度合い」と、「人材連携の度合い」、という二つを軸とした関係性が図示されています。

 自分のチームと相手チームとの比較で、同じ色合いのチームとの関係性にも意識を向け、図に示すように、縦軸に「環境の変化度合い」と、横軸に「人材の連携度合い」の二軸でそれぞれスポーツチームとの関係性であらわしているところも面白いと思います。

チームの「環境の変化度合い」とは

 スポーツチームにとっての「環境変化の度合い」とは主に「相手チームの作戦や行動が自チームにどれくらい影響するか?」だといいます。

 例えば、相手チームの選手と体が接触するスポーツは「環境変化の度合い」が大きく、一刻一刻と変化する相手の動きに合わせて自分達の動きを変えるようなイメージです。

 柔道団体戦型やサッカーは、他チームの選手と体の接触が多いことから、この環境変化の軸が大きいと言えます。

チームの「人材の連携度合い」とは

 また、スポーツチームにとっての「人材の連携度合い」とは主に「同じチームの選手同士の連携がどのくらい必要か?」という視点で、同じチームの選手と同じ時間に一緒に競技するスポーツは「人材の連携度合い」が大きく、同じ時間に一緒に競技をしないスポーツは連携度合いが小さいといいます。

 例えば、サッカーと野球は、同じチームの選手が同じ時間に一緒に競技を行うため「人材の連携度合い」が大きく、柔道団体戦と駅伝は同じチームの選手は、それぞれが違う時間に競技をするので、「人材の連携度合い」が小さいのです。

この四つのチームのタイプを、ビジネスに当てはめると、

駅伝型 ⇒ メーカーの工場の生産チーム

柔道の団体戦型 ⇒ 生命保険の営業チーム

サッカー型 ⇒ スマホアプリの開発チーム

野球型 ⇒ 飲食業の店舗スタッフチーム

のように区別ができるといいます。

この大前提のもと、本書ではABCDEの頭文字から

Aim(目標設定)の法則

Boarding(人員選定)の法則

Communication(意思疎通)の法則

Decision(意思決定)の法則

Engagement(共感創造)の法則


 の五つについて「チーム」に必要な観点を述べています。

 今回は、導入として、仕事のスタイル、仕事のタイプをどのように見分けるのかを、一例を以てご紹介しました。

 営業畑や、事務職、人事管理、などの会社の部署としても、仕事のスタイルやフォームでどのチームに近いか変わることもあると思います。

 今まで仕事のタイプとしては、ホワイトカラーやブルーカラー、管理職と一般職、経営側と従業員、などの対比で考えていたものを、大枠で二軸、四分類としたことで、比較の視点や、そこから考えられる職種の色(カラー)を新たに生み出したことが画期的だと思います。

 詳細は本をお読みいただければよいのですが、まずはこれらを参考に、ご自分がどのような職種に当てはまるのかをタイプ別に見てみると良いでしょう。

 もちろん社会人として、最低限のマナーやルールを守るというのは、当たり前のことですが、それ以上に、自らの人生に磨きをかけるために、このようなチョットした情報からヒントを得て、ご自分の立ち位置を見直すことからスキルアップとしての「仕事術」を身に付けて参りましょう。

 この「note一日一答シリーズ」は、目次の順序で仕事に関するスキルや「仕事術」に関連する課題がたくさん出てきます。

 そして、最終的に「こころから研究所」が目指す、次世代の新しいOS(オペレーション・システム)である「こころの立体モデル」に、これらの仕組みを埋め込んでいきます。

 今後も、トークライブを楽しみに書いていこうと思います。あと20日!

 最後までお読みいただき、
誠にありがとうございました。

2.ストレス対策


はじめに

 平成31年4月29日。本日は第2問目で、お題として「ストレス対策」についてお話したいと思います。

 なにごとも対策を練るには、それらの仕組みを理解していないと、対処のしようがありませんね。

 そこで今回は、基本的なストレスの生じる仕組み、特に職場においてどのような影響が関わってくるのかを見ていくことに致しましょう。

 このシリーズ前半は、おそらく総論的なお話が多くなると思います。読者の方々の知識や理解度なども異なると思いますので、最初は、なるべくやさしく簡単なところからご説明していきたいと思います。

では、早速はじめましょう。

「ストレス」とは

 そもそも、「ストレス」という言葉は、ラテン語の「stretto」 つまり「狭い」という言葉から由来し、現代でも音楽用語で「緊迫した演奏で次第に早く」という意味で使われています。

 人間、狭いところに居たり、緊迫したりするとやはり「ストレス」を感じやすくなるのは当然のことですね。空間的な狭さだけではなく、心理的な緊迫感もストレスになり得るということです。

 そして、ストレスに対する反応は、精神的なことだけにとどまりません。身体的な反応や、心因反応として心理的な問題にも波及していきます。

 その中でも特に、高ストレスの方の原因となるのは、やはり人間関係だと感じます。僕が産業医の立場で、職場環境改善に最も必要と感じるのは、人間関係の円滑なコミュニケーション能力、これに尽きるというのが正直なところです。

 「プレトーク」として、第15問でも「コミュニケーション能力」に関連したお話をしますので、今日は基本的なところを確認しておきましょう。

 では、どうしたら、円滑なコミュニケーション能力が付くのでしょうか。

「内部アプローチ」と「外部アプローチ」

 僕は、職場環境調整におけるコミュニケーション能力について語るとき、よく「内部アプローチ」と「外部アプローチ」という表現を使います。これは、もともとコミュニケーションには、二つのアプローチがあるということに由来しています。

 まず、自分自身のことをよく知ること、つまり自分の性格傾向や気質などを知るということです。「内なる会話」とでも言うのでしょうか。これを「内部アプローチ」といいます。

 次に自分自身が、集団あるいはチーム組織のなかで、立場や立ち位置など、役割を担う部分を自覚しているか、このような感覚を保つことを「外部アプローチ」と呼んでいます。

 それでは、これらの二つのアプローチが、職場におけるストレスの流れのどこに影響するのか、下のストレス要因の相関図で見ていくことにしましょう。

ストレス要因を見てみよう

 まず、図の左手から、個人が仕事のストレスを感じるところが、「仕事のストレス要因」、それから、体に変調を感じるところが「ストレス反応」、最終的に精神心理的な病気を発症する「疾病」までの流れを示しています。

 この流れで、「仕事のストレス要因」から「ストレス反応」までに、主に三つの要因が関与しているのが分かります。それが、「個体要因」と「仕事外の要因」、そして「緩衝要因」です。

「個体要因」は、個人の気質や性格傾向、考え方や感じ方の癖

「仕事外の要因」は、プライベートな問題(介護、家庭の事情など)

「緩衝要因」は、同僚や上司のサポートなど(時に家族も含む)

 これらが、総合的に精神心理的な変調に関与するとされています。

 この中で「個体要因」は、自分自身の心の内面を観察することにより、心の反応や感情の表出する癖を見抜き、ストレスを受けたとしても溜めないようにするアプローチをとることが可能です。

 「個体要因」の上の吹き出しにあるように、「ストレス耐性を高める」という対処方法が可能なのです。

 この部分、つまり赤の楕円の部分が、内部及び外部アプローチに関与する部分です。それでは次に、これらアプローチについてみて参りましょう。

「内部アプローチ」とは

 「内部アプローチ」とは、今回の「ザ・レジリエンス・トーク」でお話する中心的話題、「個人のこころの回復や復元」というストレス耐性を発揮するための方法論ということになります。

 レジリエンスとは、もともと物理領域で回復力や復元力を言い表す言葉で、全米心理学協会の会長だったマーティン・セリグマンが、ポジティブ心理学という学問領域の中で、新たに、心のしなやかさや、強(したた)かさなどの表現に流用したものです。

 諸外国では、レジリエンスを「筋肉」のように強化できるものとして考えています。最近では、Googleなどの会社で取り入れているマインドフルネス瞑想などにより、感情的な部分へ介入する方法もその一つです。

「外部アプローチ」とは

 外部アプローチは、先ほどの三つの要因のうち、直接的あるいは間接的に「個体要因」以外の部分を支援する方法になります。

 たとえば、職場内の人間関係で、意見の相違が発生している場合、人事の調整や関係者との話合いが必要なことがあります。

 特に感情的になっている場合、お互いがテーブルに着くことが困難なケースもあるでしょう。そのようなときには、仲裁できる能力のある方に公平公正な立場で介入してもらう必要がでてきます。

 ここでは、お互いの立場を自覚し、相手を思う気持ち(対他的なアプローチ)が必要になってきます。つまり組織やチームとして、自分自身が存在する意義や立ち位置を認識し合えているかが重要なポイントとなります。
 
 レジリエンスは、基本的に「個人の耐性」を高めることに特化したようにみえますが、実は、会社全体のレジリエンス力を高めることにも役立つのです。

 もし、感情的に対立した関係者を会社側が和解させるような努力や配慮をせず、また、人任せにして常に回避するような行動をとったとすれば、それが会社側の方針、つまり「考え方の癖」になります。

 社風として定着してしまう、ということですね。

 誰かがするというより、まず当事者同士が「言いたいことが言える」、話合える風紀を会社が育てなければなりません。本当に「言うは易く、行うは難し」ですが、この辺にも、じつは一人ひとりのレジリエンス力が関与することになるのです。

 このようなことからも「外部アプローチ」は必須ですが、まずは、自分自身の内なるコミュニケーション能力を培うこと、つまり「内部アプローチ」が先決だと考えています。

最後に、本日のまとめとして、

内部アプローチとは、
 社員一人ひとりが考え方の癖や感じ方を観察し、よりしなやかな思考で自分を見つめ直すこと。

外部アプローチとは、
 一人ひとりが他者を意識し、相互主体的に、自分に何ができるか常に考えていく姿勢。

 これらの具体的なストレス対策については、今後、この「プレトーク」の中でお伝えできるのではないかと考えています。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


3.モチベーション回復(維持)のテクニック(個人)

はじめに

 平成31年4月30日。本日は第3問目で、お題として「モチベーション(motivation)回復(維持)のテクニック(個人)」についてお話したいと思います。

 後半、第17問で、集団のモチベーション向上の方法をお話することになるので、今回は、個人に限定してお話をさせて頂きましょう。

 まさしくこれが、「レジリエンス」の真骨頂のお題目ではなか!と思うのですが、いかがでしょうか。

 今回は「モチベーションの回復(維持)のテクニック」なので、内容としては、モチベーションが既にあり、それをどう回復したり、維持するかという話になると思います。

 しかし、前回もお話しましたが、読者の皆さんの認識や理解度もあるので、前半は基本的なお話を中心に進めて参りたいと思います。

 ですから、「モチベーション」の基本的な意味や理屈について既にご存知の方、あるいは、何らかの「モチベーション」が既におありになる方は、最初を読み飛ばしていただいて構いません。

 また、維持や回復についての詳細は、第8問の「レジリエンスを高める運動」で触れたいと思います。

 今回は、はじめに「モチベーション」の意味や理屈を確認し、そのあと、導入として回復、維持のお話をできればよいなと思っています。

 では、早速はじめましょう。

「モチベーション」の裏話

 日本語では、おなじみ「動機」という語彙を使っています。なんでも事を興すには、その「動機」が問われるわけです。

 チョット物騒な話で恐縮ですが、ここでは「殺人」を例に、その「動機」の裏話をしていくことにしましょう。

 殺人事件が起きた時、ニュースでは、『警察は殺人の「動機」について調べを進めています』などと報じます。この「動機」の理屈を深く洞察すると、どのような心境が行動に影響するかが見えてきます。

「欲求」「欲望」will

 まず、だいたい恨み、あるいは嫉妬などで心情的に殺したくなる…「~したい」、英語で「will」というような欲求、あるいは欲望「desire」も含めて、平たく言えば「動機」は人間の「欲」である、ということです。また、その人に恨みはなくとも、金銭目的の殺人も然りです。

「達成可能性」can

 また、計画的殺人などでは、用意周到、準備に余念なく、すざましい集中力で考えるはずです。この辺りは衝動的な殺人とは違って、さらに悪質な犯罪として「刑」も重くなります。このように「はたしてできるか?」という、英語の「can」も「動機」には深く関与しています。

 おそらく善良な皆さまは、殺人をされた方はいらっしゃらないと…信じたいのですが(失礼)、もう一つ「動機」が達成されるための心の動きがあるのです。それは、危機感という意識です。

「危機感」must

 殺人の場合は、先の「殺したい…」「殺せるか…」のみならず、「殺さねば…」という、しなければならない、英語の「must」マストの感覚もあるのです。切羽詰まった危機感、それに突き動かされるように…証拠隠滅、かなりスリリングです。

 このような形で、「動機」をかなりネガティブな例でご説明しました。

 人間の最低最悪の性根から、最高最善を探ることも大切だと思い、あえて出させていただきました。お気持ちを害された方には、深くお詫びいたします。

 ある社会学者が言っています。

 人間は本来どうしようもなく愚かな存在であるが、その反面、気高い意志を以て高貴な目標に向かって邁進することもできる。


個人的「動機」と
集団的「ニーズ」の違い

 では、気を取り直して、愚かな存在から高貴な目標を掲げたいという、僕たちの気高い「欲求」を満たしていくことに致しましょう。

 ここで、同じ「欲求」でも、先ほどの「殺人」の例のような個人的な「動機」に関する「欲求」「欲望」と、集団に関与する「欲求」、「ニーズ」には違いがあることを確認しておきましょう。

 ピーター・ドラッカーという経済学者、本人は観察する社会学者と自称していたのですが、彼が提唱していた「ニーズ」というものがあります。

 集団を対象とした「ニーズ」には、当たり前のことですが、そこには必ず何か人の「役に立つ」という暗黙の了解があります。

 殺人とは対照的ですね。(※しかし、歴史的には殺人が「社会のニーズ」になっていたような時代もありました。それが戦争です。そしていまだに聖戦の名の基にテロなどが行われています。この辺りは、集団組織と文化の観点からお話する機会があると思います。)

 ドラッカーは、世の中の全ての「ギャップ」が「ニーズ」になると表現しています。これらを生み出す「ギャップ感」については、note 『娯』「君の名は。」のシリーズでも触れていますので、ご興味のある方は読んでみてください。

「モチベーション」の表の話
6つの「ニーズ」

 先にお話した「動機」が、裏のモチベーションとすれば、この「ニーズ」は、表のモチベーションということになります。

 裏は、個人的で極めて私的な「動機」であり、表は、集団的で公的な「ニーズ」であると言えます。

 ここには、ある定義があります。それが、私的な「動機」が、公的な「ニーズ」と符合するということです。

 つまり

私的「動機」=公的「ニーズ」

 という公式があります。

 裏のモチベーションと表のモチベーションが合致するということです。

 自分の「欲求」や「欲望」を、より幅広く社会の公的な「ニーズ」に汎化させるために、モチベーションの核となる自分自身の「コア・モチベーション」を意識する必要があるのです。

 これら公的な社会的「ニーズ」をドラッカーは6つ掲げています。

1.成長
2.貢献
3.確実性
4.不確定性
5.自己重要感
6.愛と繋がり感覚

 これらの「ニーズ」に自分の「欲求」をどうマッチさせるかが、自らの「動機」を上手に社会へ活用させるための方法論なのです。

Engagement(共感創造)の法則
4つのP

 そして、これらの「ニーズ」を担い、ある行動を選ぶという「モチベーション」の選択に関する理論として、第1問でご紹介した本、「THE TEAM」5つの法則の中に、Engagement(共感創造)というのがあります。

 それは4つのPとして定義されています。

Profession(活動・成長)
Philosophy(理念・方針)
People(人材・風土)
Privilege(待遇・特権)

 この本の中で、もし大学に入学したとして、自分がどのサークルを、どのような基準で選ぶかを例に挙げて説明しています。

 まず、バレーボールという活動の魅力自体に惹かれれば、バレーボールサークルを目指すことになります。そして活動は同じでも、日本一を目指すサークルAと、和気あいあいのサークルBどちらがいいか、などの理念にも左右されます。また、気が合いそうな先輩や仲間がいるサークルCにするか、「就職に有利そうだ」として有名企業に送り出した人数が多いサークルDを選ぶ、というような基準です。

 このような行動欲求の裏には理屈があるのですが、この法則は、次の「モチベーションの回復や維持」と関係しているといいます。

「モチベーションの回復や維持」

 ここでは、簡単に導入だけお話をしていくことにしましょう。

 今までお話したことの「まとめ」にもなるのですが、最初にお話した、「動機」の原則、「欲求・欲望」Will、「達成可能性」Can、「危機感」Mustの三つが先のEngagementの法則と関係していて、次のような公式になるといわれています。

E、Engagement(共感創造)の法則=
「欲求」報酬・目標の魅力(やりたい)WILL×
「達成可能性」(やれる)CAN×
「危機感」(やるべき)MUST

 というものです。

 先ほどの4P、それぞれに対して、自分が今持っている目標や可能性、そして危機感などを評価していくと、モチベーションの回復や維持につながると思います。

 モチベーション回復や維持のメカニズムについての詳細は、第8問の「レジリエンスを高める運動」で触れたいと思います。また、これは集団の共感性やモチベーションとも関係するので第17問でも触れる予定です。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


4.睡眠について・・・良質の睡眠


「新元号『令和』に寄せて」

平成の世も昨日で終わり、本日から、「令和」元年になります。
 この「令和」の世が、命の輝と和気に満ちた年代になるよう祈念したいと思います。 

こちらの一日一答も、粛々と進めて参ります。
今後ともよろしくお願い致します。

はじめに

本日は、令和の初日。令和元年5月1日。第4問、お題は「睡眠について・・・良質の睡眠」です。

 睡眠は、人生の約1/3を寝ていると考えると、大切な時間と考えられますね。そもそも、三大欲求として睡眠は精神活動にも密接に関係しているので、良質の睡眠を摂ることは非常に大切なことは言うまでもありません。

 しかし、世の中には、不眠で悩んでいる方が結構多いのも事実です。

 まずは、日本人の睡眠の現状と、良質の睡眠を摂るためのヒントについてお話いたします。

 それでは、早速はじめましょう。

わが国の現状

まず、わが国の現状はどうなのでしょうか。

 厚生労働省 平成25年「国民健康・栄養調査」の結果ですが、「睡眠の質」として、男女ともに「日中、眠気を感じた」と回答した者の割合が最も高く、男性 37.7%、女性43.0%であったとされています。

 1日の平均睡眠時間別にみると、6時間未満の者が、男女とも全ての項目において有意に高く、6時間未満の者では、男女とも「日中、眠気を感じた」がそれぞれ最も高い44.5%、48.7%でした。

 その他の項目では、「睡眠時間が足りなかった」と回答した者の割合が男性では 30 歳代、女性では 20 歳代および 40 歳代で約4割に上っています。

 一般的な1日の均睡眠時間については、男女とも「6時間以上7時間未満」と回答した者の割合が最も高く、男性33.9%、女性34.2%でした。(厚生労働省の平成27年 国民健康・栄養調査)

 大まかに、わが国の成人約20%が慢性的な不眠を訴え、約15%が日中に過剰な眠気を感じているというデータもあります。後者においては、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの症状も考えられ、いずれも、良質な睡眠が摂れていない症状として挙げられるものです。

 そしてやはり、生産年齢人口(20歳代~40歳代)の不眠や寝不足が多いのが目立ちます。 

不眠と睡眠障害

  まず、不眠症とされる症状には、大まかに三つの睡眠障害のタイプが知られています。

1.入眠障害
2.中途覚醒
3.早朝覚醒

 です。

入眠障害
寝つきが悪く入眠に1時間以上かかるというのが目安です。30分以内で眠れる場合は入眠障害とは言えません。

中途覚醒
これは、睡眠中に何らかの原因で目が覚めてしまい、そのあと眠りにつくことが困難になるケースです。

早朝覚醒
これは、早朝、早い場合では3時か4時頃に目が覚めてしまい、そのあと眠れないという場合です。

 それぞれに原因となる生活習慣や対処方法がありますが、今回はこれらの睡眠障害を改善する一般的な方法をお教えすることに致しましょう。

睡眠関連ホルモンとバイオリズム

睡眠のリズムについては、よく言われることですが、例えば、日曜日や祝日、お休みの日などは遅くまで寝ている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 実は、バイオリズムとして脳から放出されるホルモンは、時間の影響を受けるものもあり生理的なメカニズムに大きく影響します。

 その中で特に睡眠に関するホルモンとしてメラトニン(グラフ中の赤線)があります。脳内の小器官、松果体から分泌されるホルモンで、催眠作用と日内リズムを調整する働きがあります。

 日中は分泌が抑制され、夜間に増加し、通常の入眠時刻の1~2時間前から増え、最低体温(グラフ中の黄線)あたりで最高値となり、その後減少していきます。

 さらに、やる気ホルモンと呼ばれるセロトニンなどの神経伝達物質も、光刺激に関係しているとされ情動に影響します。起床時に朝日を浴びるとセロトニンが増え、抑うつ的な症状になりにくいとされています。

 また、副腎皮質ホルモン(グラフ中の青線)のコルチゾールは日内変動があり、睡眠の初期に最低値を示し、後半に向かって分泌量が増加し、朝の起床前後で最大となる日内リズムをもっています。

 その他、睡眠に影響されるホルモンとして、成長ホルモンがあるのですが、このホルモンは寝入りばなに出るといわれています。成長作用とタンパク質合成を促進する作用があり、身体の成長や修復、疲労回復に重要な役割を果たしていると考えられています。

 これらのホルモンの働きを促すには一般的に、早寝、早起きが良いとされますが、それは、このような様々なホルモンや神経伝達物質が恒常性の維持(ホメオスタシス)を司るために、太古の昔からセッティングされたメカニズムがあるからなのです。

 ですから、なるべく、一定の時間に就寝、起床するという習慣が最も良質な睡眠を摂るための第一原則であるというのは間違いないでしょう。

 では、最適な時間帯というのはあるのでしょうか。

睡眠時間帯(ゴールデンタイム)と東洋医学の智慧

 「一日一答、ザ・レジリエンス・プレトーク」では、東洋医学的な智慧の一端もご紹介していこうと思います。

 睡眠には、ゴールデンタイムというものがあります。それは午前0時±2時間とされています。この場合のゴールデンタイムとは、成長ホルモンのようなある特定のホルモンが分泌されるので美容にも健康にもよい、というような解釈ではありません。

 東洋医学では、病気の勢いや病態などを陰陽の関係で表現することがあります。実は睡眠は、脳と太陽の動きと深い関係があり、そこに陰陽のメカニズムが働いているのです。

 陰陽は、大まかに

形と、動き

 で区別します。

 一般的に、形は、大きいものが陰、小さいものが陽、動きは遅いもの(あまり動かないもの)が陰、速いもの(よく動くもの)が陽、です。

 この原則から、東洋医学的に「脳」は極めて陽性の高い器官です。なんといっても神経細胞の塊です。それは神経細胞がたくさんあり、電気的な連絡の動きを見れば、どの器官より陽性が高いことがわかります。

 これは「どんぐり」と「樫の木」の例でいえば、「脳」は一つの「どんぐり」であると言えます。「どんぐり」は、「樫の木」よりも小さく、そして転がり動くことから陽性が高いのです。

 自然界では、必ず法則があるのですが、それは、発芽の原理も同様です。

 どんぐりを発芽させるには、どうしたらよいか、ということは、私たちは経験上知っています。

 つまり、土に入れて水を与えれば、自然と発芽するということです。

 土も水も東洋医学では、陰の要素になります。

 これと同様の理屈で、「脳」を発芽させるには、陰の氣に触れさせる必要があるということです。

 自然界で最も強い陽氣である「太陽」が地球から最も離れている時間、一番遠くに離れる深夜0時が相対的に最も陰の氣が強まるわけです。したがって、陰の氣が強まる時間帯は、午前0時±2時間、それが睡眠のゴールデンタイムと一致します。

 つまり、極陰の時間帯に
陽性のものを触れさせる

という理屈です。

 そうすることで、自然に発芽する、この条件は首尾一貫した自然の摂理だということです。私たちが眠くなり、睡眠中動かなくなるのは、睡眠中の意識レベルが低下するという事実もそうなのですが、そもそもじっとしなければ、陰の氣を受け取れないということがあるのだと思います。

陰と陽が触れ合うことで
自然に発芽する生命の
「不思議」


 この作業を、僕たちは日々繰り返し、「脳」を「ひらめかせて」いるのです。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


5.食・・・「こころに良い」食

本日は令和元年5月2日。

第5問
お題は『食・・・「こころに良い」食』
…ですね。

今日はちょっと
指向を変えて散文風に書いてみます。

ここまで毎回
3000文字近く書いていますが
書くのもいいけど
そういえば
読む人のことを考えなければ…と

少し散文・エッセイ風な時もあって
良いかなぁ…と思った次第で…
いかがでしょうか?

でも、実のところ
なんといってもこの『食』については、
かなり気合を入れて書こうと
考えていたのです。

その気合をお感じになりたい方は
この noteの『食』をお読みいただけると
お分かりになると思います。

なので
こちらは少し
気軽に書いてみようかと…。

さて本題です

『食』は医食同源と申しますように、
『医』とは当然切り離して
考えられません。

実は今回の
トークライブでは、
なんと…あの
沖縄の無農薬野菜のパイオニア

『モリンガファーム』さん

の協力で
ちょっと趣向を凝らした
体験をしていただこうと
考えています。

モリンガが
色々、体に良いという
噂はお聞きになった方も多いと
思いますが、

その不思議な魅力?!を体験して
いただこうというもの…

モリンガさんと僕は
かれこれ5年くらいのお付き合いで
内地に引っ越した今も
お野菜を送ってもらっています。

その自然のパワーはとても力強いものです。

腐敗実験というのがあります。
ただ、食材を放っておいて
どう変わっていくか
見ていくだけ…。

たとえば
『セロリ』
モリンガさんのセロリは
香がいい…

そして長持ち
冷蔵庫の中で、
5週間以上も『しゃっき』としている。

その驚異的な生命力

しかも腐らない…?!
枯れていくだけ。

最近では
冷蔵庫の中で
ドロドロに溶ける野菜がある…

ホウレンソウなど
とける。

はぁ?!

信じられないけど
これは、
有機栽培でも
土壌に窒素が多い証拠で…

肥料を与えすぎると
こうなることが多いのです。

自分流の自然栽培の野菜の見分け方を
note『食』食の安全性<第四話>から
抜粋してご紹介しておきます。

1)とにかく腐りにくい。
→酸化しにくく抗酸化作用が強いから。

2)玉葱は切った時に目が痛くなりにくい。
→細胞が密なため細胞破壊が起きにくい。

3)特に人参などの根菜は節があるように少しごつごつしている。
→成長がゆっくりしているものは特に。

4)夏野菜など特にきゅうり、冬野菜、人参や大根などは切ると切り口が包丁にピタッとつくような感覚になる。
→繊維が密なため。

5)香りが良い。セロリなど香味野菜は特にこの差は大きい。そして自然栽培の果物も非常に香りがよい。
→これは大きな違い。自然栽培の特徴といってもよい。

6)特に夏野菜のナスは切り口が黒くなりにくい。小さな種の周囲を除いてほとんど変色しない。
→酸化しにくい。

7)巣がたたない。
→特に冬野菜の根菜で空洞ができたりしない。繊維質が密なため。

8)亀裂など割れたりすることも少ない。
炭素を豊富に含む線維質であるため温度差にも強いと考えられる。また、亀裂はとくに施肥量が多いと裂けやすい傾向がある。

9)茹でると灰汁(あく)が立ちにくい。
→窒素源が少なく酸化しにくいからと考えられる。

10)味は、妙に甘みが強かったりその場で美味いという表面的な旨みではなく、しばらく噛んでいるとジヮ~と奥に味覚が広がる食材が多い。
→特に人参などはアミノ酸肥料などでいくらでも甘くできる。自然栽培は初めから甘みはない。

11)煮崩れを起こしにくい。ジャガイモや人参など煮物にしても煮崩れしにくく柔らかいという不思議な現象と食感。
→有機栽培は皮が硬く煮崩れしやすい。自然栽培は皮が軟らかいのに煮崩れしない。

12)水分をしっかり保つ。保湿力が強い。
→サニーレタスなど葉っぱを一枚一枚洗ってざるにおいてしばらく(なんと4~5週間)冷蔵庫に放置しておいても何の遜色もなく食べられる。これは驚異的!!。

 以上、参考になれば幸いです。

健康管理で大切なのは
やっぱり『食』だと思います。

こころの健康も然り
腐りやすい食材を食べると
こころも腐りやすくなる。

レジリエンスを高めるための『食』について
思うところを、
こんどは『トークライブ』で
お話しましょう。

それでは、今日はこの辺で。

最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


6.集中力を保つ(高める)方法

はじめに

 本日は令和元年5月3日。第6問、お題は、「集中力を保つ(高める)方法」のお話です。

 そもそも集中力は、好きなことをすることで持続するという場合もありますよね。

 本来、したいことがあれば、それに集中する。いわば当たりまえのことですが、まず、それが大切なことではあります。

 色鉛筆があるから絵を描くのではなく、あるものを「描きたい」と欲するのは、「描きたい」という一心から描く。色がなければ、色を作るくらいの意欲で取り組む。集中力を考えるまでもない状況にあるわけです。

 これらのことから「欲求」と「集中力」はリンクしているといえるでしょう。

 しかし、むしろ嫌いなことでも、集中力を保てるようにすることが主題であれば、やや趣がちがった対処方法があるので、それについてもお話することにしましょう。

 では、はじめに、スタンダードなことを確認して、次に応用的なお話をして参ります。

「環境」と「チカラ」

 まず広く、「集中」のお話では、二つのことが大切だと思います。

① 集中力を発揮できる、
または発揮しやすい環境

② 集中力の「チカラ」
自体を保つ(高める)方法

 本来は、この二つが相俟(ま)って、実際の「集中」ができるのです。

 読書のような場合、静かで邪魔されない環境が良いことは違いありません。あるいは、電車の中だと、自宅や学校よりも集中できるような方もいらっしゃるでしょう。また、音楽を聞きながらだと集中できる人もいます。

 さらに、修行や禊(みそぎ)などの時には、わざわざ辛い環境に赴いたりします。こちらは、どちらかというと②に関係するかもしれません。

 では、もう少し、それぞれについて見ていくことにしましょう。

①の環境について
「外部環境」「内部環境」

 一般的なお話なので、ありきたりという感じが否めないのですが、先ほどお話したように、静かで、落ち着く環境を「外部環境」とすると、それに対し「内部環境」があります。

 「内部環境」とは、自分自身のコンディション調整のことです。

 例えば寝不足や、普段から何か不安がある場合は集中しにくくなります。あるいは、一種の緊迫感や危機感のような感情は、場合によっては集中力を高める一つの動機にな得えます。

 第3問、『モチベーションの回復(維持)の方法(個人)』のところでお話した、

Engagement(共感創造)の法則=
「欲求」報酬・目標の魅力(やりたい)×
「達成可能性」(やれる)×
「危機感」(やるべき)

 この「欲求」「達成可能性」「危機感」というのが、どうやら集中力を高めることにも関係しそうです。

 また、「外部環境」「内部環境」については、第2問、『ストレス対策』のところでお話した「外部アプローチ」「内部アプローチ」に関与することでもあります。

 このように考えると、「集中」のお話は、「モチベーション」や「ストレス対策」のお話にも関連があることがわかります。

 これは、広く①の環境に関与することで、そもそも「集中するぞ」あるいは「集中しなくては」という「モチベーション」を生み出す環境といえるでしょう。

②の「チカラ」について

 先にお話したように、外部や内部の環境に左右されずに、集中力を途絶えさせないようにする、どんな場所でも集中しなければいけない時に集中できるように訓練するのは、外部環境に流されないようにする「チカラ」に関連するといえます。

(※一応、今回のご質問の趣旨が、この「チカラ」のことであると仮定して『集中力を保つ(高める)』お話をして参りましょう。多分こちらの趣旨だと思いますが、違っていたら「トークライブ」の時に別の観点からお話します。)

 実際、この要点は、①の環境の「内部環境」にも関与するところです。

 基本的に生理的あるいは心理精神的に安定した「内部環境」を生み出すことに特化した「集中力」、この場合、それを「チカラ」とお考えいただいてよいでしょう。

 ここには、イヤな物事にも集中するという趣向、あえて言えば「強いる」という表現になるでしょうか。

 そのような好き嫌い、特に嫌いなことにもチャレンジするような「意気込み」みたいなものにも関係します。

 ですから、「勉強」は、基本的にイヤなことでもする表現だと思います。勉(つと)めて、強(し)いる、のが「勉強」ということですね。

 嫌なことというネガティブな感情を、あまり想起させないように、「強いる」という感覚ではなく、それをチャレンジする「意気込み」に変えるにはどのようにしたらよいか、ここで、パラドキシカルな発想の転換をする方法があるのです。

人間は結構、印象に左右されたり、過去の考え方の癖、これを「マインド・セット」というのですが、一つのことに嫌な印象やネガティブな感情がある場合、やはり、気力を持続させるのは大変になります。

 そこで、このような「ネガティブ・ループ」を解消するために、考え方を少し変えてみる、という方法があります。

NLP(神経言語プログラミング)とは

心理学的手法で、

リフレーミング

という方法です。絵画も飾る額縁によってその印象が変わるように、自分の「マインド・セット」の「フレーム」を変化させるという方法です。

 NLP(神経言語プログラミング)という手法で詳細が説明されています。

 僕は、批判を恐れずやや荒っぽく一言でいうと、「ポジティブシンキング」にするということです。

 この「ポジティブシンキング」も、もっと日本人に馴染むように表現すると

「活かす」

 の一言。

 その状況を、あるいは過去に後悔したことや、イヤなこと、失敗したことを「活かす」こと。

 それらのネガティブな経験を「活用」できると思えるように、「フレーム」を変えていくという手法です。

マインドフルネス瞑想とは

 あるいは、瞑想法のひとつで、最近注目されているものがあります。

それは

マインドフルネス瞑想

といいます。

 瞑想については、今後の一日一答の内容と重複するので、次回の「第7問.お勧めのモーニングルーティン、ナイトルーティン」で、お話しましょう。

 詳しくは、情報を検索していただくと良いと思います。

 僕も、様々な情報を得ようとするとき、インターネットで検索するのですが、昨今の情報化社会、たとえば「集中力を高めるために」と検索ワードを入れると、約4千万件ヒットしました。

 これだけの情報から、自分に合った方法を選択する、情報リテラシーと選択力が必要になります。

 このような時代には、外部の情報を探すというより「内部の印象を変えることにより、外部が変化していく」という方法を摂ることで、その効率や気力などエネルギー管理もしやすくなるのではないかと考えています。

 これは、今後、レジリエンスを高める方法と一緒に、新世代の新たなる提案ということでお話を進めて参ります。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


7.お勧めのモーニングルーティン、
ナイトルーティン


本日は、令和元年5月4日。第7問、お題は「お勧めのモーニングルーティン、ナイトルーティン」です。

これは、僕が長年していることで、個人的な嗜好にもなるので、お勧めかどうか分からなのですが、端的に言えば

「瞑想」

です。

長年というのは、どのくらいかというと…

朝晩のほんの5分~10分くらい断続的にですが、かれこれ40年近くはやってると思います。

正式な座禅というスタイルを取り入れだしたのは、32歳の頃に奈良「興福寺」で座禅の講座と『唯識』の講義を受けてからでしょうか。

今日は、「瞑想」について、Q&A方式でその奥義に迫ってみたいと思います。といっても、あまり大袈裟なことでもなくとても単純で簡単なことなので、ご一緒に見て参りましょう。

「座禅」と「瞑想」の違い

大枠として、瞑想の中に「座禅」があると思いますが、座禅と瞑想の違いは、基本的にはそのスタイルだと考えています。

瞑想に望む姿勢とでも言うのでしょうか、僕の場合は、般若心経を唱えたり、数息観のように数を数えて呼吸をしたり、阿字観など、とにかく、より仏教的に取り組む場合を座禅といってます。

その他にも、手印の結び方とか手の置き方とか、いろいろ拘りがでて、そうすると何となく神秘っぽくて、やってる感が高まるとでもいうのでしょうか・・・。

でも、逆に型に拘りすぎると、いろいろと気になって雑念が湧いて集中できなくなることもあるので、なんでも、ほどほどがいいと思います。

とにかく僕の場合は、あまりスタイルにこだわらず、リラックスを目的に行うような場合を広く瞑想といってます。

また、時間の長さもあります。座禅はあまり長い時間はしません。集中して10分くらいでしょうか。瞑想の場合は、だいたい20分~30分程度は座ると思います。

日本的仏教のスタイルが、「座禅」であることは間違いありませんし、その他の瞑想法も型はあるので、この分類はあまり参考になりませんが、僕自身、厳密に分けてやっているわけではないので、この分け方でお話します。

瞑想として取り組んだ一番古いのは「TM瞑想」でした。高校生の頃に、マントラをもらってそれを唱えて座ったのが最初です。

そして、37歳の時には「ヴィパッサナー瞑想」を京都丹波の山奥にこもり10日間したことがあります。

瞑想Q&A

では、瞑想や座禅について、代表的な質問にお答えしましょう。

僕は瞑想の指導者ではないので、質問に答えるような立場でもないのですが、瞑想や、特に「座禅」の時によく聞く質問を、今までの経験を踏まえて僕なりにお答えしてみたいと思います。

よくある質問

Q1.「雑念がすぐに浮かんで集中できない」

 これは、ホントによくある質問です。多分、雑念を打ち消そうとしたり、雑念が湧いたら集中していないから「いけないこと」のように思われているのかもしれません。僕の場合、はっきり申し上げますが、正直、「雑念だらけ」です。

数息観と言って、一から十まで数を数えていく瞑想法も、まともに十まで数えられたことはありません。何らかの考えや思い、あるいは過去の記憶や印象など雑念が常に浮かんできます。

しかし、重要なことは、このような状態に「気付くこと」です。本当に雑念がすぐに湧いてくることに「気付いている」ということが大切でしょう。

僕なりに言えば、「雑念を抑圧しない」、「流す」、「あ・・・雑念」という感じで「すぅ~」と流す。「見ないようにしよう」とか「雑念が湧いてだめだ」と否定したりとか「それをさらに避けようと」したりしないで、そう感じたことも全て「雑念」なので「すぅ~」と流す。とにかく「受けて流す」の繰り返し。

これが、「フロー」という「集中してくまなく観察をしているが、ただボーとしてるでもなく、かといって緊張もせずリラックスしてる」という状態を作り出していきます。

実は、これは、ある種の野生動物が獲物をじっと狙っているような状況、つまり落ち着いてはいるがいつでも行動を起こせるアイドリング状態の時に、脳の頭頂を中心に優位に出現する脳波であるとされています。

その状態を最近は「ゾーンに入った」などと表現することもあります。

また専門的には、中覚醒領域の脳波の中でも、最もリラックスと集中のバランスがとれた「SMR波(Sensory Motor Rhythm:感覚運動リズム)」と呼ばれるベータ波の一種とされています。

「SMR」については「ニューロフィードバック」に詳しく書かれています。

これは、仏教でいう「三昧状態」と同じだとおもいます。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)名誉教授のバリー・スターマン博士によって1960年代に発見され、その後の追跡研究により、近年ではゾーンのカギを握る脳波として注目を浴びているのです。

この辺は、興味深いお話をトーク・ライブで少し掘り下げてお伝えできると思います。

Q2.「座禅、瞑想をしていると眠ってしまう」

座禅では、身体的な準備も含めて心構えができていないと、大概眠気に襲われて、身体がグラグラと大きく舟を漕ぐようになることもあります。こんなときは、無理してやることは全くありません。

もっと楽にできるスタイルに変えていいと思います。次第に瞑想が習慣化していくと、ある時、「ザ・禅するか!」とやってみて、上手くいけば、身体の準備が整ったということでしょう。

ですから、はじめはアファメーションのような祈りの儀式だけでも良いかもしれません。あとは、体に感謝して眠るような、ほんの些細な儀式でもいいので、眠る前に身体をいたわることでしょうか。

あるいは、呼吸法のみを繰り返しやってみるのもいいと思います。

最近、Search Inside Yourself (チャディー・メン・タン著)を読んでから、久しぶりに、また瞑想も復活しました。そうしたら、分かったことがあったんですが、やはり、時間の長さは大切かもしれないということですね。

20分するとだいぶ意識が変化する感じがしますし、あたまがすっきりするとでもいうのでしょうか。どのように変わるのか、これは、体験してみる方が、人の話を聞くよりもずっと早いと思います。

一番はじめに、嗜好的なこととは言ったのですが、やはり座禅や瞑想は、かなりお勧めです。最近は、マインドフルネスなどの瞑想方法もかなり知れ渡ってきました。

もちろん、マッサージやストレッチなど、より具体的な身体を使ったリラクゼーションもお勧めです。

本日は、紙面の関係で、このぐらいにしておきましょう。

「瞑想」や「座禅」は、これからのメンタル、こころのレジリエンス力を高めるための、必須アイテムになることは、間違いないと思います。

なんといっても、いつでも、どこでも、その場で、体一つでできる!

しかも、タダ!!

こんな素晴らしい方法が他にあるでしょうか?そして、

「瞑想」や「座禅」のような内部の調整が
外部にも及ぶ・・・

この仕組みにも興味がありますが、このお話はまた後日、どこかで触れることが出来ると思います。

是非、お勧めです!

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


8.レジリエンスを高める運動

本日は令和元年5月5日、「こどもの日」ですね。今日のお題は第8問、「レジリエンスを高める運動」についてです。

はじめに

「レジリエンス」という言葉も最近は結構広まってきている感じがしますね。検索するとめちゃくちゃ出てきます。

「プレトーク」としては初めて「レジリエンス」という言葉が出てきたので、今日は「レジリエンス」について少し詳しくお話をしたいと思います。

そして、今日は「こどもの日」。

実は、「レジリエンス」の研究と「こども」は結構関連があるのです。それも踏まえて、これからお話を進めて参りましょう。

では、早速始めましょう。

レジリエンスへの着眼

 人の心理的レジリエンスに関する研究は1970年代から欧米において始まり、わが国でも2000年代から少しずつ行われるようになりました。
 専門領域でレジリエンス研究の創始者はGarmezyであるとされ、1970年代に統合失調症の事例に関するレヴューの中で、一般的な進行タイプ(process type)と予後(病の回復度)の良い反応タイプ(reactive type)に分け、社会的コンピテンス(環境や周囲への適応能力)の違いによって特徴付けられることを明らかにしました。この論文の中で、レジリエンスの理論的、実証的トピックについて触れたことが最初だとされています。

 またこれらと並行して、こどもの発達における研究で、生活の貧困や両親の離婚、虐待などのリスクを持ちながらも良好な適応という経過を取ったのはなぜか?を明らかにしようとしたのが、レジリエンス研究の発端だと言われています。

 ですから、「こども」の存在が、アカデミックな研究に「レジリエンス」の着眼点を与えてくれたのですね。

 研究では、リスクから「こども」を守る要因として

①安定した世話を受けられること
②問題解決能力
③仲間や大人への魅力
④明白な能力や知覚された効力感
⑤役割の識別
⑥計画性と願望

が、ハイリスクなこどもたちにとっての保護要因として挙げられています。

レジリエンスの定義

 初期の研究では、逆境や困難の中でも適応的な結果を示す研究は、invulnerable(傷つきにくさ)やprotective factor(保護要因)と呼ばれていましたが、次第にレジリエンスという用語が浸透してきたようです。また論点として、レジリエンスは過程や状態として捉えるのか、それとも特性や能力なのか、という議論があります。

 先のGarmezyは、「高い困難な環境にもかかわらず、適応的な調整を行うこと(1990)」としています。
多くの研究で採用される代表的な定義は、「ネガティブな結果を導きやすくするようなリスク要因が存在しない場合と同じか、それ以上に良い結果を生み出すように作用するプロセス」(Cowan,&Schulz,1996)や「大変な悪条件のもとでも、肯定的な適応を可能にしていく動的な過程」(Luthar,Cicchetti & Becher,2000)などとしています。
 また、アメリカ心理学会のHP内のレジリエンスの道には「レジリエンスは、例えば家族や人間関係の問題、深刻な健康問題、職場や経済的なストレスのような著しいストレスの資源や脅威、惨劇、トラウマ、逆境に直面してもよく適応する過程」と定義しています。

 わが国でもレジリエンスの研究を初期から続けている研究者(小塩ら)はこれらの概念を「精神的回復力」と簡訳しています。また、ある研究者は、レジリエンスは状態を表すのか能力を表すのかという混乱を避けるために、resilienceはそのプロセスや状態を表す言葉として用い、個人要因や特性、能力について表すときはresiliency(レジリエンシィ)を用いるという主張もあるが、あまり定着していません。

いずれにしても共通する項目は

①ある程度の脅威や逆境にさらされること
②適応や発達に相当の負荷があるものの肯定的な適応を達成できること

の定義があるようです。

レジリエンスは天性のもの?

 この点に関しては、研究者Grotberg(1999)は「逆境に直面し、それを克服し、その経験によって強化される、また変容される普遍的な人の許容力」と定義しています。
 また、先ほどのアメリカ心理学会のHPには、レジリエンスは過程であると定義したうえで「レジリエンスは、人々が持っているかいないかという特性ではなく、誰しもが学習し発展させることができる思考や行動を通した振る舞いである」とされています。
 天性の気質や性格傾向が全くないわけではないにしても、レジリエンスは学び習得することができるスキルであることは間違いないでしょう。

わが国の研究

  わが国に「レジリエンス」を紹介した研究者、小塩ら(2002)は、レジリエンスの状態に導くものを「精神的回復力」として、精神的回復尺度を作成しました。

 現在では、他にもいろいろなタイプの評価尺度がありますが、以下に示すものは、わが国において、個人内の特性あるいは能力としてのレジリエンスを測定する尺度として最も使用されている尺度です。

 因子として

「未来志向」
「感情調整」
「興味関心の多様性」
「忍耐力」

の4因子を想定しています。

「未来志向」
1.自分には将来の目標がある
2.自分の目標を大事にしている
3.自分の将来に希望をもっている
4.自分の目標のために努力している

「興味・関心の追求」
1.ものごとに対する興味や関心が強いほうだ
2.いろいろなことにチャレンジするのが好きだ
3.新しいことやめずらしいことが好きだ
4.ねばり強い人間だと思う

「感情調整」
1.パニックになっても自分を落ち着かせることができる
2.いつも冷静でいられるようにこころがけている
3.自分の感情をコントロールできるほうだ

「忍耐力」
1.つらい出来事があるとたえられない*
2.イライラするとおさえられなくなる*
3.その日の気分によって行動が左右されやすい*

「はい」・・・・・・・・・・5点
「どちらかというとはい」・・4点
「どちらでもない」・・・・・3点
「どちらかというといいえ」・2点
「いいえ」・・・・・・・・・1点
の五段階回答

※アスタリスク(*)がついたのは点数逆転項目
おおよそ53点~57点が平均値、それ以上がレジリエンス力があるとしてよいでしょう。

その他の尺度  項目14、16~21は(*)逆転項目

上記をご参考に採点してみても良いでしょう。

レジリエンスを高める運動

 さて、本日のお題の「レジリエンスを高める運動」ですが、ほかにも下に示すような方法があります。これについては、さまざまな情報があるので、ご自身にあったものを選択することをお勧めします。

 個人的には、呼吸系や筆記系が好きです。前回お話した瞑想は「ゾーン」に入る状態を保つことができます。

 そして、運動でもそれは可能です。

 僕はよく、健康相談などで「運動」と「労働」の違いをご説明するのですが、これらの違いについて、少しお考えいただくと、いかに「運動」が大切かわかります。

 お話の中で、普段「からだ」を動かす仕事をしているので「運動」は必要ないと考えている方も多いように感じます。体を使っているので「運動」なんてしなくても大丈夫、ということなのでしょう。

 これは、意識の持ち方の問題です。

 そもそも「運動」しようと思うことは、自分の「からだ」に意識が向いていることですね。

 これがとても大切な感覚なのです。

 レジリエンスの「自己統制」にも関与することなので、まず自分へ意識が向いていることが大切です。

 これは、以前お話した「内部アプローチ」に関連しますね。

自分をメンテナンスする

「からだ」を使う人であればあるほど、実は「メンテナンス」が必要なはずです。

 包丁も使えば切れが悪くなったり刃が欠けたりします。それを日々メンテナンスして使えるようにするのは、むしろ当たりまえのことでしょう。

 僕の考えでは、無理なく続けられるように、あまりハードルを上げないことが大切だと考えています。継続できないことは自己肯定感を下げてしまいますし、お勧めできません。

 それから、あまりにも簡単な運動ですとすぐに飽きてしまうので、この辺りの調整を「ゾーン」に入るようにご自身で取り決めていただくのが良いでしょう。

今日の「プレトーク」は、この辺にしておきましょう。
「トークライブ」では、この辺りのお話は深めたいところですね。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


9.計画、スケジュールを上手に使うための方法

はじめに

このお題を頂いたときに、正直、僕の苦手な課題だ・・・、と感じました。僕も実は、あまり計画スケジュール通りに事が進むことがありません。

おそらくご質問された方も同じような課題をお持ちなのだと思います。

僕にとってもあまり得意でない課題で、途端に話が進まなくなるような感覚で少し立ち往生してました。

そこで、少し趣旨が異なるかもしれませんが「もし計画倒れにならないための計画があるとしたら?」・・・それは、計画の立て方やその方法以前の問題かもしれない、ということに思い至りました。

今回は、この「計画の裏」にどのような課題があるか、僕なりにお話したいと思います。

時間管理から次世代へ

 僕は、どちらかというと性格的に行き当たり系の人間なので、綿密に計画を立てることはあまりしない方で、この「プレトーク」も気が付いた時には後先のことを考えず始めてた、というような無計画ぶり・・・です。

言い出したからやらねばと、今までのお話の中ではモチベーションの「危機感」に迫られ、ただスリリングに、そしてできたら楽しみながら仕事をしたい「気分」でいます。

こんな感じですから、今までも計画通りに行かなかったり、最後までできないことも多かったかと思います。少し反省です・・・が。

自己擁護をするつもりはないのですが、そんな僕が最近考えていることがあります。

それは、そもそも量的な時間管理ではなく、質的に、しかもエネルギー管理を重点に考える、ということです。

大抵、計画には、期間・場所・時間など、つまり、いつ、どこで、だれと、なにを、どのように、というような疑問詞に応えるように計画を立てますが、ここで敢えて、「なぜ?」というのを全面に押し出して、計画そもそもの効果や意義について、もう一度問うことも大切だと思ったのです。

啓発本の大御所、スティーブン・R・コヴィーさんの『7つの習慣』の中に、計画についての興味深い記述があります。それは、初歩的な時間管理のマトリックスにヒントがありました。

時間管理のマトリックス

 これは、自分のすべての活動を緊急度と重要度という2つの軸によって四つの領域に分ける方法です。

第一領域を緊急で重要、第二領域を緊急でないが重要度が高い、そして、第三領域は、重要ではないが緊急度が高い、第四領域が緊急でも重要でもない領域とします。

普段、私たちは活動に対して、緊急性が高く、重要なことから計画を立てます。締め切りのある仕事、まさに、これが僕の場合この「トークイベント」などですが・・・。

その他、切羽詰まった問題、あるいはクレーム対応、病気や事故、危機や災害などについてが第一領域です。

そして重要ではないが緊急性の高いものとして、ここでは、突然の来訪、多くの電話、多くの会議や報告書など、あるいは無意味な接待や付き合いなどを挙げています。

また、緊急でもないし重要でもないところに、暇つぶし、だらだら電話、待ち時間、多くのテレビ、単なる遊び、その他の意味のない活動などが入ります。

この領域の中では赤丸で囲んだ第二領域が特に重要で、ここには、人間関係づくり、準備や計画、真のリクリエーション、勉強や自己啓発、エンパワーメントなどが入っています。

そして本来、この第二領域に関与する、つまり普段の生活で緊急性はないけれども自分の生きがいや創造性の源泉を追求していくような生き方自体を探求する時間を、人生の計画の中に組み入れていくことが大切だということです。

普段からこのようなことをミッションステートメントとして、自分の使命を深く見つめ、その原則に立って計画を立てていくことが本当の計画を立てることだと思います。

無計画な人間が何をいってるの?・・・とお叱りを受けるのを承知で敢えて言わせていただいているのですが・・・。

必要なこと以外やらない選択も・・・

 はじめに指摘したように、ある計画をいったい「なぜ」立てるのかということが、そもそもの計画であり、それがもっとも大切な計画である必要があるのだと思います。

人生に重要な、とても大切なことを計画として掲げる。このことを念頭に置く。

これを綿密に計画していくことで、大切な人生設計を「計画倒れ」にしない唯一の計画ではないか、と思うようになりました。

僕は去年、研究所を立ち上げ理念を掲げました。これは、自分自身が本当にやりたいことをする、そして自分自身が世にテーゼを問うために活動するには、どうしたらよいかを実践していくための行動でした。

医者が病院で働かずなにしてる?・・・など周囲の反応は様々ですが、お陰さまで、自分の本来したいこと、しなければならないことを、このような形で実行して、はじめて、そこに人生の時間を与えられているのだと感じられるようになりました。

その活動の一環として、何よりもこの「ザ・レジリエンス・トーク」が一つの山になっています。ですからこのイベント自体、僕にとっては第二領域にもなっています。

この感覚が、時間管理ではなく、本来の生き方の計画、すなわち「エネルギー管理」へとシフトする感覚的分岐点ではなかったかと思っています。

時間管理からエネルギー管理へ

 省エネの時代になって久しいのですが、普段から第二領域に対するアプローチをとることで、その他の領域、特に第三領域や第四領域の無駄な時間が減っていくということです。

人生の時間は限られているので、時間管理をするのは当然のことですが、さらに時代はエネルギー管理へと向かっているのです。

このエネルギーとは、簡単に「気分」と考えていいと思います。

あるいは気力や活気のことです。

この仕事に対して、自分はどのくらい精力と気力を傾けられるのか、それを気にしていくことが大切だと思います。

この「計画」は、一体自分の人生にどのくらい重要なのか?

緊急性ではなく、重要性を重視していくことを中心とした計画を立てるようになること。これが計画を立てる前の「裏の計画」、「なぜ」この計画を立てるのか?の問いになると思います。

ですから最近は管理体制自体が、計画の本質、つまり「意義」や「在り方」を主体とした管理に変化してきているということですね。物理的な時間、空間の管理から転換しているということです。

この計画の転換点は、先ほどの疑問詞のお話に戻りますが、活動に対し「なぜ?」という問いかけをしていくことが大切になります。

僕は、つくづく不思議だと感じるのは、この気力や活力の源泉は、いったいどこにあるのだろうか、と思うのです。

人それぞれ、興味の対象は違えども、集中して「フロー」状態になっているときは、時間が早く感じ、それこそ「アッ」という間に過ぎていたという経験をお持ちの方もいらっしゃることと思います。

時間の長短、気持ちの軽重、心の明暗など、没頭できること、好きなこと、善きこと、それぞれに、時間や重さや明るさも変わってしまうのです。

人間はもとより感情の動物なので、仕事においても心情を中心に計画を管理したほうが良いと感じます。

実際に、最近ではエネルギー管理についての本も出ているので、お読みいただいても良いでしょう。

ジム レーヤー, トニー シュワルツ共著の「成功と幸せのための4つのエネルギー管理術―メンタル・タフネス」 なども参考になります。

ここまで、ちょっと感想・・・

 そして今回の「プレトーク」21問のコンテンツは、はじめにRODEOさんが皆さんから集めた問いを言われた通りに並べただけなのですが・・・。ここまで進んでみて、そして、この先も、これらのコンテンツが不思議なくらい順序だっている!と感じています。

これは、ちょっと驚異的なことですが、僕自身もびっくりしてます。オーディエンスの皆さんの課題がオートマチックに順列されているということに!

そんなわけで、この計画スケジュールの実行という目標達成に向けた具体的な法則、あるいは方策を次回の問いに続けていきたいと思います。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


10.目標に向けた環境の作り方「設定」「調整」


はじめに

 前回の内容と重複するところがありますが、確認と思ってお付き合いください。今回は、実際にスケジュールというものを作成してみました。

前にもお話したように、僕は極めてスケジュールを立てるのが苦手です。実は以前にも5か年計画として、方眼紙に事細かくスケジュールを立てたことがあったのですが、そのうち目標達成できたのはほんの少しだったこともあり、そんな過去から計画トラウマのような状況になっているのかもしれません。

前置きはさておき、今回の前半は、啓発本の教科書といわれている「7つの習慣」からスケジュールを具体的に作る方法をお伝えして、後半はその結果、自分の見解をお話したいと考えています。

「目標」と「目的」

まず、「目標」と「目的」は異なることを確認しておきましょう。
先ず、主体となる「目的」があり、それを達成させるために掲げるのが「目標」です。

つまり、目的達成のための目標です。

目標を定めるためには、目的がなければならないわけですが、今回のお題では、目的が定まっており、その上でそれを達成するためにどう環境を「設定」「調整」するか、という趣旨でよいかと思います。

しかし、せっかくですから、前回の第二領域、つまり人生に重要な第二領域に集中した計画のプロセスを実際の生活に埋め込んでいく、実践的作業をしてみるとよいでしょう。

そのために、本日は、「7つの習慣」の受け売りになるのですが、そのなかから、「4つの基本ステップ」についてお話をしたいと思います。

4つの基本ステップ

ここでは、時間管理のファーストステップとして、前回お話した「時間管理のマトリックス」の「第二領域」に集中した計画のプロセスを実体験するためのプログラムが書かれています。それが「4つの基本ステップ」になります。

1.役割の定義

 まずは、自分の生活における役割を書き留めてみましょう。確かに普段自分の役割について真剣に考えることはないかもしれません。思いついたものから書き出していくと良いでしょう。個人としての役割であれば「自分の成長」、家族の中での役割であれば、例えば「父親」、「夫」、「子供」、「兄弟」など、仕事であれば役職としての立場で「研究の詳細」や「部下の育成」など、その他の「社会活動」、「地域への奉仕」、運動などの「自己管理の活動」などを挙げても良いでしょう。

2.目標設定

 次に、自分のそれぞれの役割において、達成したい大切な目標を2~3設定してみましょう。ここでは、第二領域の活動を目標として掲げることを前提とします。そして、これらの目標は、なるべく自分のミッションステートメントや長期的な目標に貢献するものにします。「自分の成長」であれば、ミッションステートメントを書く、それに関する書籍を読む、瞑想や運動など、父親として、子供の勉強や遊びの時間、仕事であれば、研究調査の資料収集、関連書物の検索などと書いていきます。

3.スケジュール化

 2のステップで設定した目標を念頭において、目標を成し遂げるための具体的な活動をスケジュールに入れてみます。このやり方では、実際に1週間のスケジュール表を作成してみることを勧めています。そして実際に意外と余白の時間があることに気付かされます。このような余白を意識することで、不意な出来事に必要に応じ予定を変えて、他の人のニーズを大切にしながらこころにゆとりを持って自発的に生活を楽しむ自由も与えられるとしています。つまり、実際に余白を「見える化」することで、「こころの余裕」も意識できるのでしょう。

4.日々の対応

 週単位で計画を立てた後は、日々の様々な出来事に対応しながら必要に応じてスケジュールを変更していくことになります。そして、人間関係づくりやその他の重要事項を優先しながら生活を送るようにしていきます。毎朝、数分間自分のスケジュールを見て、一週間の目標を振り返り自分の今直面している状況を再確認する。今日という1日を全般的に考え、優先すべき役割と目標を確認し、自分のミッションを念頭におきながら、あらたに出てくる課題や機会に対応していくとよいでしょう。

後半  実際の感想(あくまでも僕なりのです・・)
原則に忠実に

「7つの習慣」の中で、「計画というプログラムを実行することは、主に自由意志、自制、誠実、決意の問題である。これは、短期的な目標やスケジュールに対する決意ではなく、私たちの目標スケジュール、ひいては私たちの人生そのものに意味を与える正しい原則と深い価値観に対する決意なのである。」とあります。

今回は、僕も「4つのステップ」に沿って実際にスケジュールを立ててみました。

実際にやってみて思った事は、役割に対して開かれたスケジュールを作る必要性をあらためて感じた、ということでしょうか。

父親の役割や日々の生活など、こうして書いてみるとその役割を再認識できます。

一方で、どうしても、僕は日々のルーチン的な動きに、正直魅力を感じにくいのかもしれません。こうやって、スケジュールを眺めていても「ふーん・・・」(可もなく不可もなく)という意識になりがちなのです。

やはり時間軸のスケジューリングは「裏」の部分が見えにくいといいますか、確かに余白のある部分に注目すると、時間的余裕が「見える化」できます。

しかし、実際は余白ではない時間でも人生について重要なことを考えたりアイデアなどが閃くと、時間を忘れて没頭してしまうこともあります。

今の自分にとっては、このような「フリー」な感覚があっているような気がしました。

どうも固定されてると「縛り」のように思えてしまうのでしょうか(笑)

計画を立てるには、やはり柔軟性が必要になることも事実です。

もちろん本にも「スケジュールには柔軟」に対処することが書かれています。「私たちはもちろん全能というわけではない。必ずしも前もって、何が重要であるかがわかるとは限らない。どんなに深く考えて、1週間の計画を立てたとしても、スケジュールに入れた事柄よりも大切なことが発生することは必ずある。しかし、原則中心に生きているからこそ、そういう重要事項を優先するために、平安な気持ちでスケジュールを変更することができるのだ。」

いや、さすがはコヴィーさん、大したものです!

そういうわけで、今日は、スケジューリングが不得手な自分が、実際にスケジュールを書いてみて感じることをお話しました。

紙面の関係で「環境」のことがあまり書けませんでした。これについては、「トークライブ」でも少し触れたいと思います。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


11.トラウマとの良い付き合い方・・・失敗から学ぶ姿勢


はじめに

皆さんは過去に何か辛い思いをしたことがありますか?

そう・・・だれでもそれなりに「辛い思い」はあると思います。過去における心の傷を「トラウマ」と呼ぶことはご存知だと思いますが、これらの経験は、他人には些細と思われても本人には辛く感じることがあるのです。

実際に心に残る傷が癒えず、思い出すと身体的な動悸やめまいなどの発作が生じることがあります。これは、本人にとっては非常に辛いことで、症状の軽重にかかわらず、過去の過酷で困難な体験によってこれらの症状がもたらされていることは間違いありません。

今日は、トラウマのメカニズム、そしてその解消方法などについてお話しましょう。

疼痛との関連

 少し専門的な医学的お話から入りましょう。僕は心療内科とリハビリテーションも専門なので、心理学領域における理解と身体の障害を克服していく過程についてある程度の知識を持っています。

そこで、外傷という観点から、痛みについて最前線のお話をしていこうと思います。心の痛みと身体的な痛み、そしてトラウマが、実は、もう一つとても重要な痛みとリンクしていることについてお話をしていこうと思います。

痛みの多面性

 人は身体の外傷的な傷だけではなく、心の傷によっても痛みを伴うのですが、「トラウマ」については、もう一つ<あたま>に残された記憶の傷も関与していると考えてよいでしょう。

ここで、簡単な図をお示ししましょう。

このように、痛みには多面的な要素があるのです。

それが、

感覚-識別の[からだ]の痛み

情動-意欲の(こころ)の痛み

認知-評価の<あたま>の痛み

の3つです。それぞれ次のような役割があります。

[からだ]の痛み
[からだ]の痛みには、身体が痛みを感じる痛みの場所、強さ、持続性など、痛みの種類を識別する痛み感覚です。これは、感覚器官としてのセンサーの役割ですね。

(こころ)の痛み
そして(こころ)の痛みには、怒り、恐怖、悲しみなど、痛みによって急速に引き起こされた感情の変化、不快感に関与します。これが、心理的な情動の変化を司るセンスです。

<あたま>の痛み
最後に、<あたま>の痛みといっても、これは単なる頭痛とは違います。過去に経験した痛みの記憶、注意,予測などに関連して身体にとっての痛みの意義を分析、認識します。これをセンスィティビティーとしましょう。

トラウマとは

 トラウマは、一般には心的外傷といいます。しかし、このように外傷による痛みの多面性を意識すると、トラウマは(こころ)だけではなく、<あたま>も関与していることが分かります。

特に<あたま>の関与は重要です。<あたま>は、記憶に関係して過去の出来事を印象的に把握する能力を持っています。

そして、(こころ)はその時の記憶に残る感情や情動を保存しています。これらを共に保つラインが<あたま>と(こころ)の境界ラインです。つまり図中では、赤い部分と緑の部分の間、ということになります。

動作の3段階

認知から行動に至るために心理学や脳科学で考えられている「動作」の流れがあるのですが、こちらは、知覚→概念化→実行で、動作の3段階というものです。

実は、この構造は痛みの多面性と同じように見立てることができます。
つまり、それぞれ

実行する[からだ]が青

知覚する(こころ)が赤

概念化する<あたま>が緑

のフィールドを表します。

 トラウマの原因が、例えば身体的虐待行為にあるとすれば、[からだ]からの痛みが知覚され情動に及びます。虐待でも「言葉の暴力」といいますが、この場合は認知-評価の概念化から知覚の情動に及びます。

いずれにしても最終的に(こころ)に情動が保存されることから、心的外傷という名称があるのです。

いかがでしょうか。

ちょっと重たいお話でしたので、後半は少し気分を切り替えて、トラウマとの付き合い方についてお話しましょう。

工作の3段階

 心理とか医学とか堅苦しいことは抜きで、少し気軽にお話したいので楽しいことを考えたいですね。

僕は工作が大好きで、何かを作っているときはとても幸せです。といっても最近はあまり時間をとっていないので作品は少ないのですが、子供も小さいので、時々一緒にペーパークラフトなどを作ってます。男の子なのでやっぱり車が多いかな・・・。

これは、最近、上の子と一緒に作った自作のペーパークラフト。

これは下の子が3歳になったときにプレゼントした小さな自動車。

工作をするとき、最初にすることは、こんなものを作りたいなぁ・・・という考え・・・。

と言いたいところですが、最初に「ある」のは工作が「好き、」という情動や感覚ですよね。これを「ある」べき感情として、存在の(be)でもいいでしょう。そもそもこれがなければ始まりませんね。

それに「作りたい」という意欲や意志(will)が伴います。

あるいは3歳の子供の誕生日に作ったものは、手作りのものを何か「作らねば・・・」というマスト(must)感覚に近かったかもしれません。

次に、はじめて考えるという<あたま>の概念化段階に入ります。どんな物を作るか「アイデア」を練る「良い案」を考え、ほんとに「作るれるか?」(can)という具体的な思案立案の段階になります。

ここから実際に作ってみる。実際に行動に移す意志「作ろう!!」(will)感がより強まるわけです。

ここで、「動作の3段階」に加えてもう一つご説明しましょう。

「コトバ」と「ナイフ」と「のり」

 これも全く同じことなのですが、何かを作るとき必ず計画を立てます。

どうやら、僕にとって前回お話した「スケジュール」と比較すると、こちらの「計画」の方が自分にとってはとても楽しいことがわかります。時間軸の直線的な考えが今の自分にはあまり馴染まないのでしょう。

何かをつくり上げることだけに特化して「計画」を立てることは実に「好き」なことなのです。

この後、第13問「やりたいことがみつけられないとき・・・その時に」でこの辺の「好き」という感覚についてお話していきますね。これって結構大切なのです!

チョットお話が脱線しましたが、この「工作」の流れは、3つのキーワードがあります。

それが、「コトバ」と「ナイフ」と「のり」です。

物を作るとき、必ず頭の中で「概念化」をします。このとき頭の中では「コトバ」を使って考えます。コトバ自体も概念化の産物ですから物事を分けることに他なりません。

先ほどの「言葉の暴力」は、実は「ナイフ」と同じものです。「ナイフ」としての役割は切れた方がいいのですが、その使い方で「メス」にもなるし「ドス」にもなります。

言葉も同じです。言葉には善悪はありません。それを使う人の心根に依るものです。

切ること自体は、善悪はないのですが、どう切るのか、あるいはどう切られたか、という相互の関係から感情が生まれてきます。

名工は「二度測って、一度で切る」というように、乱暴なことはしません。とにかく丁寧に慎重に測り、切る時は迷いなく切る。

要は、コトバは丁寧に慎重に、その意識の上で大胆な行動が成り立つということです。

下の図は、今朝の「禅定」のあと「瞑想」して思いついたことを、僕の思い付きノート(ホワイトノートと呼んでます)に描いたものです。

双葉の絵と台地に根差す根が書いてあります。

その隣に六角形が描いてありますが、左が「コトバ」、そして右が「ナイフ」です。その下の菱形、これが「のり」。貼り付ける「のり」です。

これに、先ほどの動作の3段階を重ねて思い出していただくと良いでしょう。

「コトバ」も「ナイフ」も切り刻むことをします。刻んだ大切な材料をくっつけていくのが「のり」です。

「のり」は(こころ)

「コトバ」は<あたま>

「ナイフ」は[からだ]

修復作用の役割は「のり」しかありません。そして「のり」はベースにあり、台地と同じです。

大地が揺れれば、動揺する「不安」になるのが当たりまえです。しかし、そこは(こころ)の大切な心根を根差していく場所でもあるのです。

どうしたらこの「のり」を強化できるのか。やはりそれが「トラウマ」と付き合う方法にヒントをくれるのではないかと思います。

今回のお題が「トラウマとの良い付き合い方」となっていたのですが、この姿勢はとてもいいと思います。「良い」という考えが<あたま>と(こころ)のギャップをなだめてくれるキーワードになるからです。

このノートの中に、有意味性、理解(把握)可能感、対処可能感という三つの語彙があります。

これは社会学者「アーロン・アントノフスキー」という方が提唱した「健康創生論」の中に出てくる調査の結果でSOC感覚(Sense of Coherence:首尾一貫感覚)といいます。

困難なことがあっても自分の人生に生きがいがあると思える人達が持っていた感覚です。

それが「レジリエンス」に関係していることは言うまでもありません。

この関連はこれからの「プレトーク」でもたびたび出てくると思います。そして、これが、僕の「研究」、「こころの立体モデル」の仕事の一部です。

明日は、「整理、整頓を上手くする」、実はこれも「トラウマ」の解消と関係するのです。お楽しみに。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


12.整理、整頓を上手くする


はじめに

この「プレトーク」も既に中盤を迎えて、これから後半に入っていくことになります。

今までお読みいただき、今回の「トークライブ」の知識共有ができたら嬉しいです。

さて、このタイミングで「整理」「整頓」の話です・・・。以前も触れましたが、この順序は本当に神業で、ここで整理整頓しろ(笑)ということなのでしょう。

そこで、中盤までのお話を極めて簡単に整理すると、

方向性として「自己の内面に対するアプローチ」を中心に述べてきました。その中で、はじめに全体的な仕事の枠組みから、モチベーションや集中力の向上についてお話し、それに関連する睡眠や食、計画スケジュールと目標設定、過去のトラウマとの付き合い方などに触れてきました。また「レジリエンス力を高めるスキル」を、特に座禅・瞑想を中心にご紹介してきました。(あまりにも簡単ですが・・・)

そして、後半の方向性として「自己の外面に対するアプローチ」を中心に、チームや組織、集団に対する接し方を通した自分回帰のお話になるのではないかと思います。

僕自身、話の展開が楽しみです。

さて、今日のお題も実は前回のトラウマの解消に関係があるので、それでは、早速はじめましょう。

片付けが重要なわけ

はじめに、結論を申し上げておきましょう。それは、

片付けは、自分の過去のすべてにまつわるから

です。

当たり前ですが、私たちは最も近い環境から影響を受けます。そもそも人生は常に選択の連続です。この選択の優劣には価値観が大きく関与していきます。

片付けは、人生を通した価値観による「過去の選択(洗濯)」を行うための儀式なのです。

片付けの習慣は、第10問「計画スケジュールを上手に使う環境」にも影響します。環境という外面的な部分への関与はもちろんですが、計画を立てる時は「未来に向けた選択」であるはずです。

こうした人生を通した価値観の選択に意識を向けるのが本来の片付けの意義です。

つまり「整理、整頓」とは、単なる片付けの方法ではなく、その役割の一つに「選択の練習」があるのです。

「過去の選択」を感じる

手始めに身の回りのものを実際手に取ってみてください。

今、その手にある物は、過去における選択の証(あかし)です。どのような経緯で、今、あなたの手元にあるのでしょうか。

「なんとなく」なのか、
「しかたなく」なのか、
「単にもらったもの」なのか、

あるいは何らかの価値と比較して手に入れたものかもしれません。そしてその選択の目安が何であったのか「どのような感情」であったのか、を思い出してみてください。

「お金がなかったから」、なのか、
「人から断れずにもらったもの」なのか、
「もっとほしいものがあったけど」なのか、

すべての物が本当に欲しいものではないでしょう。人生には妥協も必要です。しかし確かにその物に価値を持つなんらかの根拠、最終的にはそれが「好き」か、あるいは「気に入っている」という感情が大切でしょう。

「とってもほしいものだったから」なのか、
「ときめいたから」なのか、

これらの選択基準は「興味」や「関心」といってもよいでしょう。

そんな理由で買ったものは、大切にしようと思うはずです。そして、身の回りに「ときめく」ものを置いて生活するとどうなるか。想像してみてください。

そうするときっと何かが変化すると思います。このように、片付けに対する意識の持ち方で、どう身の回りの持ち物が変わるのかを体験していくことが大切です。

未来の「計画」はどうなるかわかりませんが、「過去」は見直すことができます。むしろ「過去は見直すためにある」というのが過去の意図です。

特に身辺の「整理」「整頓」は価値観を見直す「儀式」であると言っても良いのです。人は本来、自分に興味があります。自分にしか興味がないといってもいいでしょう。

そしてその興味を最大限に引き出すのが片付けの機会です。掃除と片付けを行い、身を清めると何が変わるかはお感じいただけるでしょう。

では次に、「整理、整頓」と「環境」についてお話しして参りましょう。

「環境美化」と「感情美化」

 僕の勤務していた病院も、整理、整頓、清掃、清潔、習慣化(躾け)と称して「5S」で対応していました。これはよく、医療現場で環境美化向上に掲げられる目標です。

環境美化は、感情美化にも深く影響します。

ジュリアーニ市長の在任時、ニューヨークのダウンタウンの落書きを一斉に消し、犯罪率が優位に低下したという報告もあります。これは目に映る、粗雑なものは、知らず知らずに精神にも影響している、という証拠でもあります。

環境美化が感情美化に関わるというと、あまりピンとこないかもしれませんが、仏教には「禅定」のほかに「作務」「公案」という修行があるのです。

このうち「作務」は掃除、炊事などが含まれていて環境美化に関連しています。

掃除や片付けなどは、義務化されて内容を考えず「言われているから、しかたなくやる・・・」ということになりがちですが大切です。しかし本来、修業中のお坊さんのみならず、精神修養として大変価値のある行動なのです。

整理とは

 整理とは「過去の選択」を行う儀式であり、感情の「興味」と「関心」が大切だとお話しました。

整理は、基本的には物を仕分ける作業です。必要な物と不要な物に分けます。

捨てる際に、その物が家に来た時のこと(過去)、そしてこれからもそれが必要か(未来)を考えるはずです。

この過去と未来の軸は、理性との関与が深く、物を捨てるかどうかを判断することは、その瞬間瞬間に理性的に物事を判断するトレーニングをしているのです。

単なる「片付け」と「選択の練習」の違いは、不要になったと感じたものにたいして「一体どんな理由で私のそばに居てくれたのか」かを回想することです。

「片付けの魔法」の中で、近藤真理恵「コンマリ」さんは、物を必要と判断するときの基準を「ときめき」で決めると言っていました。

捨てる物へは、感謝を添えて「礼」を込めることで大切な「礼儀」の「姿勢」も学ぶことができるのです。

理性に関与するこのような「価値観における選択の練習」は、前回のお話したSOC感覚を養うことになります。これは当然「レジリエンス」にも直結します。

整頓とは

整頓とは、整理した物の置く場所を確保し、そこに収納する作業です。つまり整理したものに見合う収納スペースが必要で、限りあるスペースを確保するには物を捨てなければならないときもあるでしょう。

 このスペース確保を決めていく過程で、居住している家に合わせた、あるいは身の丈に合った生活、そのような見当をつけることが整頓という作業に内在しているのです。つまり、これも理性に関与している行為であると言えます。

自分自身の現身(うつしみ)

 身近な持ち物に、それが感情とのつながりの中で自分自身の現身として「生き活き」と感じられるのは、もともと、その人がそれを選んだからです。(※現身とは仏教用語で現在「生」を受けている本当の姿)

選択したから、そこに結果としてその物があるのです。あるいは選択しなくとも、何らかの原因で一緒にいたこと、これが過去の揺るぎない事実です。片付けるに際し「どう感じていた」か、そして捨てる場合は感謝の気持ちを添えること、これが大切なことでしょう。

過去のひどいこと、辛かったこと、そのような事柄に際し、この片付けの方法は、過去の清算ということを心情的に一つひとつ「整理・整頓」していくことにも関係しています。

かの、ピーター・ドラッカーは次のように言っています。

陳腐化したものの廃棄抜きに新しいことに取り組む計画は、いかなる成果も生むことはない。計画のままにとどまり、現実となることがない。

僕もこれを契機に、また「片付け」をしていきたいと思いました。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


13.自己評価が低いとき、どう考え、どう行動するか

はじめに

 さて、「自己評価」というときに、その判断の「基準」となるベース、そして「結果」と、そのあとに伴う「感情」の流れなどの部分にわけて、どう考え、どう行動するか・・・。

という感じで少し細かく分けて考えるほうが理解しやすいので、今回は、そんな流れでお答えします。

改善の4段階

 はじめに、評価に関連する基本的な構造のお話をしておきましょう。PDCAはご存知でしょうか? 計画→実行→評価→改善(Plan→Do→Check→Act)という流れです。

「計画」の前の「改善」で実際に行うことは「立案」です。

「計画」と「立案」の違いは、実際にスタートできる計画「計画の最終型」が「計画」Pで、計画に向けた思案中というのが「改善」Aの段階です。

ですから当然「計画」以前の「立案」が「改善」に結びつく重要なセクションであることに注目しましょう。「思案」=「立案」=「改善」と同じことです。Aでは、いかに「良い案」が出るかがポイントです。

動作の3段階

もう一つ、PDCAサイクルと同じような流れですが、以前、第11問「トラウマ」のところでお話した「動作の3段階」がありましたね。もう一度お出ししましょう。

というものです。

これにPDCAサイクルを組み入れると

こんな感じになります。

ですから、「思案」=「立案」=「改善」のAが「概念化」、そして「計画」Pは「概念化」と「実行」の間、「行動」Dは「実行」とほぼ同じになります。「評価」Cは「知覚」に関連することが分かります。

それぞれの流れは、ご覧のように段階があり、ここで特に注目したいのは「評価」C のところです。

「評価」とは「相対」

「評価」は、何らかの「基準」と比べて判断します。つまり常に相対評価なのです。例えば、「理想」と「現実」のように、かなり開きがある場合もありますね。

 では、この「相対感覚」を体感しましょう。


知覚的な相対感覚

下のデザインをご覧ください。

左の円が右の円よりも明るく見えますが、物理的には同じ明るさのものです。

これは錯覚なのですが、先の「理想」と「現実」を例に、この「評価」を検証してみましょう。

本来同じ明るさの円が、暗いところではより明るく見え、明るいところではより暗く見えました。

「ある結果」を「基準」(周囲の明るさ)としたときに、それに比べて「評価」(円の明るさ)はどう変わるかというと、自分自身の「理想」が高い(周囲が明るい)時、結果は同じ(円の明るさ)でも暗く見えるのです。

これが心理的な相対的自己評価の最も分かりやすい例でしょう。



では、下のデザイン2をご覧ください。

「なんか動いてるように見えるんだけど?・・・」って、ほかの人に確かめてみたくなりませんか?もし、ほかの人も同じ反応なら、「同じに見えるんだ・・・」と安心しますね。

このデザインを心理的な「自己評価モデル」とすると、自分が不安になったときに同意を求める「不安バイアス」を見ていることになります。

周囲にあまり「動じず」観察を続ける人は、「不安バイアス」が低く、自己評価への影響は少ないはずです。

小さい正方形は濃い青のものと薄い青のものがあるように見えますが、同じ色・明るさです。そして中の列がゆっくり右に、あるいは上下の列が動いて見えるはずです。

これは、あくまでもデザインを通した知覚的な比喩なので、実際の研究ではありませんが、社会的スキルの自己評価が低い人は、対人不安が高いことは確認されています。<論文参照>



そして、こんなのもあります。

白丸に青い光が点滅するように見えているはずです。

視点を固定して見ると青い点は消えてしまい、視線をずらしても絶対に固定された青い点をみることができない代物です。

これも、単なる錯覚だ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、こんなときの視点の動きに注目してみてください。視点が絶えず動いていると思います。

意識しなければ、視点を一点に定められないでしょう。

実はこのとき、脳は「これは一体なんだ・・・!」と思いながら状況を把握しようと躍起になって、脳の「プチ・パニック」状態を起こしているのです。

いかがでしょうか。

錯覚という現象を通して「知覚」が結構曖昧であり、しかも自分がしっかり見ようと思っても、「世の中には見えないものや、気付かないこともあるんだなぁ~」と、確認していただけたら幸いです。

自己評価は常に相対的なのもの

自己評価は常に相対的なものです。

デザイン1から
「理想」が高ければ高いほど、自己評価が低くなる傾向があります。

デザイン2から
「不安」であればあるほど、自己評価が低くなる傾向もあります。

デザイン3から
世の中が「全て見えている」すると自己評価が低くなりやすいです。

自己評価が低いということは、このように「相対的」な関係があります。

では、どう考え、どう行動したらよいのでしょうか。

次は、そのことをお話しましょう。

どう考えるのか?

まずは単純にデザイン1~3の結果から、ある程度、思考のガイドラインがわかります。

「どう考える」というのは、先の「PDCAの改善モデル」と「動作の3段階モデル」では、「A」と「概念化」のところでしたね。

「評価」はあくまで相対的で「自己基準」を変えさえすれば、「自己評価」も変わってくるはずです。

その考え方は、まず、単純に、

1.の結果から「理想」や「目標」を再度見直し方向修正する。

2.から、何が「不安材料」かをもう一度確認しリストを作る。

3.一種の「諦(あきら)めの境地」に入り自分をさらけ出す。

ですから、「自己評価」の低い人は、自分に厳しい傾向はあるのだろうと思います。

1.のように、「ベース」となっている「基準」が、はたして自分の身の丈に合っているか、あるいは背伸びしたり、大きく見せすぎていないかも当然関与します。

2.では、「不安」になりやすい人ほど、出来なかったとか間違ったというネガティブ感情が強くなる傾向があるので、克服には自己効力感を高める作業が必要でしょう。

3.については、単なる諦めではなく、仏教的な「諦め」というやつで、その極意は「明らかにして極める」というものです。無能で無知をさらけ出すと申しましょうか。

自分の未熟さを認め、自分の望む未来に歩みは遅いが一歩ずつ確実に近づいている、そんな自分を評価できているか。

また、小さなことも「たいしたことない」と思わずに、自分の姿を肯定感をもって見直してみるなど、このように言葉を連ねていくと気付く部分もあると思います。

行動には「自己肯定感」とコラボ

さて、最後に実際にどう行動したらよいかということですが、ここで、満を持して「自己肯定感」との絡みを見ておきましょう。

自己評価は結果ですし、あくまでも相対評価なので自己基準が変われば変化することはお分かりいただけたでしょう。

では、実際に1~3のような考え方をすることで自分の総体(すべて合算した評価点数)を下げてしまい、

「私は未熟だ、だが、それでいい。それがいい。ただ、自分のなりたい自分に、自分の望む未来に近づいていく…。そんなマイペースが、私は好きだ!」

というような単なるポエマー的対応になると、ただの開き直りに見えてしまいます。

しかも、これを自己肯定と称し、「自己肯定感=自己満足」のような公式にもなりかねません。単純な価値の値下げに感じることもあるでしょう。

そうではなく、自分の価値観や評価基準を下げても肯定的に評価するとはどういう心情をもてば良いのでしょうか。

行動における感情の保ち方を最後にお話しましょう。

肯定の「肯」

肯定の「肯」の字は、なんとも不思議な文字ですね、

なんでポジティブなことなのに、「止める」という字があるのか・・・。

実は、これは骨という字に関連しているのだそうです。肎(コウ)に作り、上部は骨で、下部は骨に接続している肉(腱の部分)を示す文字です。

昔、[荘子、養生主]に庖丁(丁<てい>という名の料理人)の包丁さばきが見事で、その刃先が肯綮(こうけい:骨と肉の結合部分)にじゃまされずに牛を解き剖(さ)いてゆくことが述べられていて、困難な状況を押し切ってすることを肯(あえ)てといい、あえてすることを肯(うべな)うとしたのだそうです。それで肯は肯定(認めること、許すこと)の意味となっているのです。(常用字解:白川静著より)※ちなみに「包丁」の語源はこの「庖丁」だそうです。

やはりこの場合の「肯定」は、ただの「オッケー」ではない、ということですね。

困難な状況に負けず、あえてそうするような・・・あれっ・・・これって「レジリエンス」じゃーありませんか?!

そうなんです。

ですから、「自己肯定感」は「自己満足」とは全くちがーうのです!

しいて言えば、この「止める」も「止む無く」という意味にもとれるということでしょう。これは、あくまでも私的な解釈なのですが・・・。

またしても、ここで「自己肯定感」の「肯」の字から「レジリエンス」のエッセンスが見えてきました。

さて、この「自己肯定感」、これを以て何を為すか・・・。

これが、次のお題、「やりたいことがみつけられないとき・・・その時に」に非常に関係してくるのです。

では、僕も、次回を楽しみにしてます・・・皆さんは、いかがでしょうか?

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


14.やりたいことがみつけられない・・・その時に

はじめに

そうです!!このお題、グッときました・・・。

最近、自分のやりたいこと、それを見つけたいと思う人が増えてますね。

昔から「自己実現」「自分探し」はありましたが、今の社会はホントに先行き不安ですから、結局「自分自身」しか頼れないと感じる人たちが多いのでしょう。

そして盛んに「自己責任」を問われる中で、自分に「自信」が持てずにいることは、それなりに「痛い」ことかもしれません。

ですから、自分の生活と社会への参加という公私を貫く、首尾一貫した「自分軸」を保つことが大切になります。

そして、こんな時代だからこそ、やりたいことが「自信」につながり、「自信」がやりたいことにつながっていく自分への「信頼」という課題もあるのでしょう。

この「自分軸」については、第18問の「自信をつけるには」でお話しする予定です。

姿勢としては、自分を知り「自信」をつけるために、「やりたいこと」あるいは「できること」を探していく、そして探しているうちに「自分軸」が出来上がる・・・やっぱり探さないといけないのでしょうか・・・。

ここで、一つの問いかけをしますが、本当に「やりたいこと」は「探す」姿勢なのでしょうか。

少し前置きが長くなりましたが、とにかく「やりたいこと」を見出す法則はあるのか。ご一緒に検証して参りましょう。

「やりたいことは思い出す」

 僕は、これからは「やりたいことを思い出す」という表現を使うといいと思います。

「やりたいことは思い出す」というのは、まず根本的な自分自身のモノゴトに対する姿勢です。そもそも「探す」という表現は、手元にないものを「探していく」とか「外に見出す」印象が強くなります。

だから、本当の「自分探し」にするには「思い出す」という言葉を当てたいのです。

「自分探し」「やりたいこと」を「探す」となると、自分は「わからない」、「知らない」が前提になりやすく、「自分の感情を無視する」とまではいいませんが、他にあるとして自分へ焦点が向きにくい印象があります。

「やりたいこと」は、自分の「好きなこと」が圧倒的に多いと思いますし、「得意なこと」も同様で、物心ついた時から「知らず」と持っている性格そのものです。

でも「自分」はそれを「知っている」から「そうしたい」「そうするのが好き」「できちゃう」わけです。

だから、すでに「自分は知っている」そして「思い出す」と感じることが大切です。それが自分を「信じる」という第一歩です。

やりたいことはまず「探さない」。自分は「思い出す」と感じてください。

すべては「どう感じるか」

自分がそう感じない限りは、そうならない。これは、鉄則です。

世の中の本質というと大げさですが、すべては「どう感じるか」に関わっています。そして何に「関心」があるか。それは、ホントに好きなことの中に、答えがあると思います。

 今回ここで、僕自身の現在の仕事と好きなことの関連をご紹介することにしました。そうすることで、皆さんの「やりたいこと」に向かう手掛かりになるのでは、と考えたからです。

ホントに好きなこと

 私は、幼少期、小学校1年から高校生まで模型作り大好きだったのです。

そのなかでも鉄道模型が大好きで、細部のディテール表現や自分で作りだすというクラフトマンシップがありました。完全なオタクです(笑)。

中学1年にして、一枚の真鍮板から設計図をもとに自作しました。製図も技術の先生が舌を巻く描き方だったのを覚えてます・・・(単なる自慢のようですが、これは僕の「得意なこと」ですね)

とにかくこういうのを一般的には「器用」というのでしょうか。

鉄道模型に焦点をあてると、何よりレールの上を台車が「滑らかに走る」感覚がたまらなく好きだったのです。

これが本質的な「好み」だと感じたのは後のことですが・・・。

もう一つ、大学時代はバンドにハマってました。実は「ドラマー」なのですが、はじめからリズムが得意じゃなかったのです。バンド仲間のベースの奴の方がずっと上手い。

しかし、猛練習しました。何のために? 本当は「やりたいこと」って「好きなこと」や「得意なこと」なのに、どうして僕はそこに「こだわった」のでしょう。

これも、本質的には「好きなこと」に関係していたのですが、それは、「のり」でした。どうしたら、「のり」「グルーブ感」を出すことが出来るのか?

こればかりをひたすら追求して、細かな技、たとえは「パラディドル」とか、演奏に関係ない「スティック回し」とかには見向きもせずに、ひたすら「のり」を追求していたのです。

「滑らかなのり」「グルーブ感」

夢中なときには、その感覚には気付かなかったのが、ある時これが本質的な「好み」なんだと分かりました。

この本質的な「好み」を、さらに社会や大勢の人に役立つように展開させることが、新しい仕事や「やりたいこと」繋がっていきます。

つまり「滑るような感覚」は、「バリアフリー感覚」「疎通性の良さ」、「物事の理解を障壁なく伝えられるような工夫」、さらに「壁を無くしていくような感覚」や「流れを良くし障害を根本的に減らすような志向性」に展開できるのです。

僕の本質的な「好み」すなわち「関心」「興味」は、このように展開出来ると気付きました。

実際の仕事としての立ち位置

 医者としての僕の立ち位置は、心療内科であったり、リハビリテーション医であったり、産業医であったりしますが、いずれも、様々な障害を取り除き、心身両面において巡りを良くし、体には促通を、心には共感共鳴という共通理解をもたらすことが、僕の「好み」であり「関心」「興味」だったわけです。

このことに気付いたときは、僕も目から鱗でした。このように自らの「関心」「興味」をそのままに、「好きなこと」を仕事にできるようにするためには、その「好き」の本質的な部分に自らが気付いていくことが大切なのです。

実際に、今でも鉄道模型を作りたいと思うこともあります。それは良いとは思うのですが、このことに気付き、鉄道模型を「諦めなければ・・・」と考えなくて済むようになりました。

今では本質的な「好み」の「関心」「興味」を追求したことで、根本的な「好き」を変えることなく、より多くの人々に役立つ「仕事」に生かしていく術を学んだわけです。

ですから「関心」や「興味」の本質を追求すれば「好きなこと」「やりたいこと」を「仕事」にする「新しい仕事観」が生まれるのです。

習慣化すること、そして更なる展望へ

ですから、心の内面にある自分自身が持つ「関心」を観察する習慣が必要です。

人生を賭けた究極の表現が、「やりたいこと」を仕事にする「新しい仕事観」の本質です。それが「生きがい」に他なりません。

一方向的な考えから視野を広げ、新たなるビジネスを展開しようという意識。ただ広がるだけではなく、そこに秩序観が大切なのです。

そして、更なる展望を予想します。これから起きるワクワクするような、カラフルで美しく、軽安(きょうあん)で、軽やかな巡りを意識することができる未来への展望です。

それでは、次に具体的な方法論についてご紹介しましょう。

具体的な方法論

様々なアイデアを活かすような趣向で自分の情熱を傾けられる分野とは一体なにか。

さあ、ここで、分野とか職種とか、仕事を探すような価値観になりやすいのですが、ここで、皆さんには敢然と踏みとどまってほしいのです。

その理由はすぐにお教えしますが、先に次の公式を見ていただきましょう。

好きなこと[情熱]× 得意なこと[才能]=やりたいこと

好きなこと(情熱)…その行為自体に価値を感じる・没頭する・熱中する・夢中になる・自分の絶対的な感覚・・・職種

得意なこと(才能)…苦なくできる・人より上手くできる・スイスイできる・自然とできる・他人との比較で気付く・・・仕事

やりたいこと…好きなことを得意なやり方で実現すること

簡単ですね。これで「やりたいことを」本当に見つけられたら、それはホントにラッキーでしょう。結果から見れば確かにこうなると思います。

この中で確認したいことは「好きなこと[情熱]」がWhat(何を)ではなく、「情熱」は、how feel(どう感じるか?)を問うことが大切なのではないかと思います。

そして根源的な疑問詞why(なぜ?)when(いつから?)というのも以外と大切です。なぜなら、「好きなこと」の嗜好性は、時間が経つと変わることもあるからです。

「いつから」としても、物心ついてから・・・とか、曖昧かもしれません。しかし、その「スキ」(※カタカナの「スキ」は自分が感じていない状態の「好き感」)がいったいwhen(いつから)→why(なぜ)という流れを思い出すことは大切です。

そして最終的に「スキ」意識化がなされ「好き」を→how feel(どう感じたか)になるのです。

「好み」を「形容」する

 今回検証する、やりたいことの公式の課題は、職業的な「何か」に注目するのではなく、選択の幅を広くするために、まず「感情」に取り入りたいのです。

「スキ」なことは、何かに「関心」や「興味」があるのです。

さらに、「スキ」な感覚はそもそも感情で成り立つので、その感情そのものを表現するのに必要な「コトバ」として「形容詞」が挙げられます。

形容詞は、「美しい」とか「綺麗」もありますが、もう少し感触を示す「さらさらした」「流れるような」など「形の容を為す」表現、つまり中身に価値を与えるような表現を見出していくと自分の好みが分かってきます。

このことを念頭に置くと、単なる職業などの「型」にはまることがなく、実際に自分が、どのような「形・容」で「ありたい」のか、つまり「形」のみならず、その「容姿」、中味の「姿勢」が見えてきます。

よく大人が子供に「大きくなったら何になりたいの?」と聞くことがあります。その中で、必ずと言っていいほど、「職種」が出てしまいます。

運転手さん、デザイナー、料理人、サッカー選手、医者、弁護士、とか・・・でも最近では、やたら横文字のコンサル系職種も多いので、職種でも構いませんが、とにかく固定観念のような枠組みを一度外しましょう

この「在り方」が、限定した思考にハマる最初の呪文です。

そもそも、情熱=職種 ではない

ですよね。

未だに「何になる?」「何をする?」「どうやる?」という方向性で「やりたいこと」を見いだそうとします。

そうではなく、「好きなこと」なのですから、ただただその感覚を味わうようにすれば良いのです。

好みを支える情熱には、3つくらいの形容ができるはずです。これは、結構抽象的な課題なので、とっつきにくいのですが、皆さんには是非、踏み止まっていただいて、肯定的(困難がありながらも須(すべか)らく執り行うこと)に解釈していくとよいでしょう。

はじめに職種を考えないでください。

職種は生み出す

 原初は「感情」を、「情熱」を、そして「好み」を、形容すること。これを自分の嗜好性とも言います。

そして、それがどんな仕事を生み出せるのかを考えていくことです。そうすると自分の嗜好性に合う「仕事」を「選ぶ」から「仕事」を「創る」へシフトできます。

自分自身のロイヤリティーを遺憾なく発揮するために、自分の「好み」をしっかりと味わうことに努めてください。

この順序であれば、職種を選ぶ必要がありません。そうすることで職種を見出せるのです。そして、さらに新たな職を生み出すこともできるのです。

最後に「得意なこと」

 「やりたいこと」は、得意なことを見つけるように勧めている人もいます。仕事としての職種で選ぶ場合も、その方が優位性があることは一理あるでしょう。

しかし先ほどの僕の例のように「リズム音痴」なのに「ドラム」にこだわることで、さらに「スキ」な感覚を抉(えぐ)り出すこともできます。

そこには、自分自身の「理想」と「現実」のギャップがあるから「スキ」な感覚がさらに良く見えてくるのでしょう。

得意なことについては、過去に人に褒められたことや、自分があまり努力しない状態でもスイスイとできてしまうようなことなど、これも自覚するのは結構難しいとおもいますが、これらは、できてしまうことなので、先ほどの「好きなこと」の感覚と合わせていくことで「やりたいこと」につながります。

とにかく、「やりたいことがみつけられない・・・その時に」の順序は、

基本姿勢=「やりたいことは思い出す」

形容化=「好き」な感覚の容姿や姿勢を言語化する

焦点化=「好き」な感覚や感情をあぶりだす嗜好性を追求する

汎化=「嗜好性」を幅広く「一般化」してみる

実用化=最終的な職種の選定や組み合わせを考えていく、
    しっくりこなければ創造する。

このような流れです。はじめの「スキ」な感覚にこだわるのは、それが感情の流れの原初であり、「スキ」なことのなかに「関心」や「興味」を持つ首尾一貫した「感覚」があるからです。それは、本人自身しかわかりません

それが、与えられたギフトです。

それを是非、皆さんにも「思い出して」いただきたいと思います。

ギャップ仕事になるとピータードラッカーは言っています。

そのギャップを埋める役割は、人それぞれに与えられていて、本人にしか分からないことです。だからこそ、そこに価値があるのです。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


15.コミュニケーション能力を上げたい

はじめに

 前回も触れた通り、現代においては社会不安や自己責任がクローズアップされ「自分」と「組織」の関係性をどう認識していくかという課題がより鮮明になってきています。

「プレトーク」前半は「レジリエンス」を意識しつつ、主に「個人の能力」を追求してきました。今日から三日間は、組織や集団の「チーム力」について触れてみたいと思います。そして18、19問で「自信」と「落ち込み」のケア方法を通して再度「自分自身」の課題を見直します。

本日は、「チーム力」の要、人間関係の改善に必要なスキル「コミュニケーション能力」のお話です。

では、早速始めましょう。

内部アプローチ・外部アプローチ

 内部アプローチと外部アプローチについては、第2問「ストレス対策」のところで既にお話をしましたが、「自分」の環境設定の基本事項でもあるので、もう一度確認しておきましょう。

内部アプローチとは、
 一人ひとりが考え方の癖や感じ方を観察し、よりしなやかな思考で自分を見つめ直すこと。

外部アプローチとは、 
 一人ひとりが他者を意識し、相互主体的に、自分に何ができるか常に考えていく姿勢。

でした。

言い換えれば、「内部アプローチ」とは内面の自分自身と対話し、自分の性格傾向や気質を明らかにすることです。これを「イントラコミニケーション」といいます。

そして、「外部アプローチ」とは他人とどのように関わるのか、それを自分の立ち位置から判断するものと考えていいでしょう。これを「インターコミュニケーション」といいます。

コミニケーションは基本的に会話のキャッチボールと言われています。その大元になるのは、特に「内部アプローチ」に関連しています。

その向き合い方は、「瞑想」や「座禅」、あるいは前回お話した、「スキ」という感覚を大切に、「自己肯定感」を見出すとこからはじめてもいいでしょう。

もちろん、この「内部アプローチ」の作業と「外部アプローチ」の取り組みは同時進行で行うことが可能です。

簡単な図をお示ししましょう。

非常に単純な図ですが、ここにはある法則があります。それは、「自分」と接している表面(※図中では青と赤の線)しか認識できないことです。

外部は「感覚器」(青線)で接しています。内部は「情動」(赤線)で接しています。

そして、 [からだ]と(こころ)と<あたま>の痛みの多面性もありました。

感覚-識別の[からだ]の痛み

情動-意欲の(こころ)の痛み

認知-評価の<あたま>の痛み

というものでした。

感覚器は[からだ]のセンサー、感情は(こころ)のセンス、そして自分はその調整を行う、<あたま>のセンスィティビティーとお話しました。

この調整を行う<あたま>の働きを専門的に言えば「認知」といいます。

これは概略ですからそれぞれ[からだ](こころ)<あたま>の代表的な働きを簡略化して示しているものです。

そして、様々な変化を来す原因は必ず触れているところで生じるということです。接するところと言ってもいいでしょう。

そこで、この二つの図を重ねてみましょう。

ここで大切な視点は、「自分」領域は、「内部」、「外部」を分かち、「内部」へは「感情」から、「外部」へは「感覚器」で、その両方にアプローチできる「存在」だということです。

それぞれの領域の説明をお話しておきましょう。

[からだ]の外部:実際の行動活動動作。
[からだ]の自分:皮膚感覚や五感感覚。
[からだ]の内部:内臓組織皮膚の内部

<あたま>の外部:経験に基づく判断領域。
<あたま>の自分:今の意識。覚醒の領域。
<あたま>の内部:睡眠状態無意識の領域。

(こころ)の外部:文化・慣習の集団心理領域。
(こころ)の自分:組織の帰属心など従属心理。
(こころ)の内部:自分自身の嗜好心理の領域。

ここで、特にコミュニケーション能力に関与するのは、(こころ)の心理的な部分です。

この図は、とてもシステマティックにできていて、これが「こころの立体モデル」の一部です。この六角構造が「マインド」あるいは「自我」といっても良いでしょう。

今回のコミュニケーション能力に関して、ここでは、外部アプローチのお話をするので、内部の自分自身の嗜好性(指向性)性格傾向などには触れません。

つまり一般的な「内向的」とか「消極的」といわれているような性格傾向は、今までお話した「自己効力感」や「自己肯定感」などが課題になってきます。

基本的な自我構造の中のどの辺にコミュニケーションスキルが関与するかは、この図を見ていただくと分かるように、(こころ)の自分と外部・内部のバランスを保つスキルのお話になってきます。

その中でも今日は、外部へ向けたバランス感覚のお話を続けていきます。

コミュニケーションを阻むのはいつでも感情

 世の中でコミュニケーションについて語られる場合、その多くが「何をどのように伝えればいいのか?」というスキル的な話になります。

しかし、このようなスキルに頼ってもチームメンバーが動いてくれないことがありますよね。

このような時、原因は「感情」そのものにあることが多いのです。

「どうせ無理」「しょせんダメ」「やっぱりムダ」といった言葉に代表されるチームやチームメンバーに対するネガティブ感情が、コミュニケーションに対する理解や共感、その先にある行動を阻害してしまうことがあります。

ここに対応するには、相手をまず理解することが大切です。「7つの習慣」の中にも「理解してから理解される」という方程式があるのです。

人間は「自分のことを理解してもらおうとしているうちは相手から理解されず、自分が相手のことを理解しようとしたときに、相手から自分のことも理解される」という考え方です。

以前ご紹介した「THE TEAM」には、相手の「経験」「感覚」「志向」「能力」「相互理解」することで、伝わる度合いが全く変わってくると解説しています。

弱さを見せあえる組織
「心理的安全」とは

 組織やチームのコミュニケーションを飛躍的に改善させるため、最近では様々な組織論があります。先ほどの相互理解も重要ですが、組織やチームそのものに「心理的安全」という「場」の雰囲気があるのとないのでは、チーム自体のモチベーションも全くかわってきてしまうという事実です。

学習発達理論心理学の分野からロバート・キーガンの「なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか」にもヒントがありますが、外部アプローチとして課題は、(こころ)の「外部」文化・慣習の集団心理領域と「自分」の帰属心など従属心理領域のギャップです。

前出の「THE TEAM」には、この「ギャップ感」を少なくするために、チームの雰囲気をより活気のある「場」にする「心理的安全」という観点が語られています。

このように最近では、外部そのものの問題、つまり集団・組織の風土や風紀という観点からコミュニケーションが語られるようになってきました。

これらの視点から「改善」を目指そうとしている組織は、おそらく「活気」に満ち「やりがい」のある雰囲気が出てくるはずです。

当然、会社の風土というものは、特に社長やCEOの意識次第で「雰囲気」も変わります。このお話は、第17問集団のモチベーションのところでも触れたいと思います。

コミュニケーションの課題は「人間関係」の要なので、本日のお話が少しでも改善にお役に立てれば幸いです。

明日は、さらに「チームの在り方」「チーム力」についてお話して参ります。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


16.チーム力を上げたい

はじめに

高ストレス者の面談などで、面談者から訴えられる「ストレス」としてつくづく感じるのは、集団や組織における「チーム」の「魅力」と「醜さ」の両極端な場面です。

これから極力その魅力的な部分をお話したいのですが、そもそも「チーム」とは、そこに「雰囲気」や「空気感」があるのです。その「雰囲気」は前回の「心理的安全」にも深く関係しています。

本日は、チームの力を発揮するために何が影響しているのか、確認して参りましょう。

集団と組織とチーム

はじめに、組織や集団、そしてチーム、それぞれの語彙の定義を示しておきましょう。確認をしておくと、「トーク」の中で話の筋がつかみやすいでしょう。

ここでは、「集団」は大枠、「組織」は中規模の集まり(これも定義は色々あると思いますが)、チームはコアな目的を持つ機動力として最小単位の仲間であると考えましょう。

この図を見て、そうだよなぁ~と感心したことがあります。

医学的な見立てですが、筋肉や神経の組織も同じような構造をしているのです。例えば筋組織。

最終的に一番細いフィラメントの筋原線維が筋肉の実質的な役割をして「実働」して動いている所、機能している場所は「ここ」しかありません。その他の構造は一定の数の筋原線維を囲む「支持組織」や「膜」で構成されています。

そして、末梢神経の神経組織。

全く同じ構造です。一番細い神経線維が実質的な神経の役割として情報伝達を「実働」しているところです。その他の構造も筋肉と同様、神経線維を囲む「支持組織」と「膜」で構成されています。

このように「実働」以外の組織は「上膜」、「周膜」、「内膜」そして「基底膜」という4つの「膜」で構成されています。便宜上次のように例えられます。

「上膜」=「集団」
「周膜」=「組織」
「内膜」=「チーム」
「基底膜」=「個人」

つまり、

集団、組織、チームの境界は、すべて見えない「膜」である

ということです。

この「膜」を意識することが、「雰囲気」や「空気感」に直結するのは何となくお分かりになると思いますがいかがでしょうか。

痛み感覚を意識する

組織やチームを語る時、大切にしたいのは人の痛みを感じられるか、「お互い様感覚」のようなものですが・・・。

人は痛みを感じるところは、すべてこの「膜」で覆われた部分のみです。

採血など経験された方もおられると思います。針を刺した時、痛むのは皮膚です。そして血管を突き抜けた時、それ以外の部分では基本的に痛みを感じません。

筋肉組織や神経組織は、基本的に生体内の環境でしか生きていけませんから、最外層の「膜」はどこかというと、それは「皮膚」になります。

外部と内部を隔てるこの「皮膚」という「膜」が「触覚」という最大の「センサー」だと再度認識しましょう。

集団という大きな枠組みから、チーム、あるは個人まで、一貫して貫かれているのは、「膜」でありその感覚は「痛み」を伴ということです。

はじめにお話した、この「空気感」や「雰囲気」というのは、この皮膚感覚から始まります。

それは、社会的環境や文化によっても「皮膚感覚」は変化していきます。それが「社風」という文化にも反映されてくるのでしょう。

ここでは、このような「会社の文化」を変革する力、チーム力を上げる、ABCDE「5つの法則」をもう一度見ていくことにしましょう。

目標設定(Aim)

麻野耕司さんの「THE TEAM」には、はじめに単なる「グループ」と「チーム」の違いが書いてあります。それは、「共通の目標を持つこと」が違いになるといいます。

さらに、目標の歴史的な変遷から、「目標の三分類」を示し、チームに与えられる目標は「意義目標」を置くべきとしています。

その理由は、ビジネス環境の変化が加速し「行動目標」に基づいているだけではパフォーマンスが上がらなくなったことが挙げられます。

そしてバブル崩壊の1990年代以降、日本で普及したのが定量的な達成を目指す「成果目標」でした。しかし、これもビジネス環境の急速な変化と多様化で目標が半年や一年で効果が無くなる時代になりました。

そこで、今普及しているのが、「意義目標」です。「創出すべき成果」とその先の「実現すべき目的や意義」まで含めて目標設定をします。

「行動目標」のみの設定は、時にメンバーが「作業」の奴隷となり、「成果目標」のみの設定は、時にメンバーを「数字」の奴隷にします。

「何をすべきか?」よりも「なぜやるのか?」という課題を提起することで根源的に「何をやるべきか?」が見つかるのです。

人員選択(Boarding)

これは、目標を実現するために誰を乗せて行くか(仲間に入れるか)ということです。この選択も「プレトーク」の初めにご説明した「チーム」のタイプによって変わります。

チームのタイプは、「環境変化の度合い」と「人材連携の度合い」という二軸で4つのタイプがありました。

簡単に、サッカー型の変化が多く流動的なチームは出口に拘り、駅伝型のような固定的チームには入り口にこだわるということです。

つまり、出口はメンバーチェンジをする頻度が高くなり、入り口にこだわるときは人員選定に重点を置くということです。

意志疎通(Communication)

このお話は、前回お示ししたので、ここでは省略しましょう。「内部アプローチ」、「外部アプローチ」の課題を掘り下げていくことが大切でしたね。

意思決定(Decision)

意思決定には「独裁」「多数決」「合議」の3分類があり、ここでは「時間」と「納得」という二軸を持って説明しています。

言葉の説明ですが、

「独裁」はチームの中の誰か一人が意思決定をする
「多数決」はチーム全員の投票で多数の賛同を得た案に決定する
「合議」はチーム全員で話し合いによる意思決定をする

それぞれ、メリット、デメリットがあり、独裁は時間的に速いが納得が得られにくい。また、合議は時間がかかるが納得感は得られるなどがあります。

「合議」に際しては、スピードとセットにすることが肝要です。この時にKT法が参考になるといいます。

これは、「状況把握」「問題分析」「決定分析」「潜在的問題・潜在的好機分析」で構成された方法で、この中で「決定分析」は複数の選択肢の中から最適案を決定するプロセスです。

合議をスピーディーにするために選択肢の基準を出し、選択基準に優先順位をつけ、最後に優先順位を満たす選択肢を複数出して決定する方法です。

ここではキーワードのみですが、実際の例が本書に載っていますので、興味のある方はご覧ください。

共感創造(Engagement)

 最後の「共感創造」(Engagement)については、次回の「習慣力、モチベーションを向上させるには」の内容に重なるので、明日お話します。

それでは、次回をお楽しみに

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


17.習慣力、モチベーションを
向上させるには(集団)

はじめに

 今日のお題は、「習慣力、モチベーション向上」ですが、個人のモチベーションについては既に第3問でお話しました。少し物騒な例をあげさせていただいたので、印象に残っていると思います。

その中で「will」「can」「must」の法則、「~やりたい…」「~やれる…」「~やるべき…」という三つの基本的欲求のお話をしました。これが、基本的な「動機」のベースになっているということでした。

それから、集団のモチベーション維持、向上には、昨日のE、Engagement「共感創造」に深い繋がりがあるので、そのお話を続けていくことにしましょう。

環境の基本構造

 すぐにEのお話をするつもりでしたが、この「プレトーク」もすでに終盤を迎え本番「ライブ」での共通理解を深めるために一度確認しておくとよいと思ったので・・・全体的な視野と視点を確認したいと思い、やや学術的な側面を見ておくことにしましょう。

少し、言葉の語彙や意味などが難しいな、とお感じになるかもしれませんが、何となくで結構ですので「この辺の話をしているんだなぁ」という感じをつかんでいただければ幸いです。

集団、組織の学問的背景

 組織のモチベーションについては、10年くらい前まで社会組織学の専門家以外はそれほど重要視していなかったと思います。

9問、10問で『7つの習慣』から「計画」や「時間のマトリックス」のお話をしましたが、この本は日本で出版されたのが1996年ごろで、原本は1989年に出版されました。

その中に集団や組織への関心の低さを嘆く社会状況が書かれていて、当時はまだまだ組織の「在り方」やチームの意識が低かったことがわかります。

14問の「やりたいことがみつけられないとき」でも触れましたが、現代の先行き不安な状況や自己責任時代には当然、「自分」の立ち位置を「自分」で決めてそのポジションを「チーム」の中にも見出すニーズが増えると考えられます。

例えば「自分」が会社や組織の集団に所属する場合、その中で自分の振る舞いを決めていく必要がありますね。それは帰属集団の理念や社風など文化と関わることでもあります。

これは学問的には「集団心理の領域」で、単純に「私たち」に関する研究といってよいのでしょう。人間関係ですから、当然コミュニケーションに関係して学問的には外部アプローチに「民族感覚的方法論(ethnomethodology)」、内部アプローチに「解釈学(hermeneutics)」など方法論があります。

外部の方法論は、文化人類学者、民俗学者などの仕事で、内部はいつも私たちが経験していること、例えば、僕と君が、「単にお話すること」も含め「どんなことについて」「どのように」相互理解に至るのか、君の「私」と僕の「私」が一緒になって「私たち」になるのは「いかにしてなのか」、この「私たち」の解釈の技術と科学の研究を「解釈学」と呼んでいます。

社会環境の基本「基本四象限」

 下に示す図は、ケン・ウィルバー「インテグラル・スピリチュアリティ」から

「基本四象限」を基に学問領域の区分をまとめたものです。人間を「外面」と「内面」、「個々人」と「集団」に分けた場合、学問領域がどのあたりに関連するのかを示すアカデミズムマップです。

マップを見ていただくとわかりますが、当然「集団」領域に関連するのがお分かりいただけると思います。

ここで、少し言葉の説明をしておきましょう。

外面:目に見える物質などの存在領域
内面:目に見えにくい心理精神的領域
個々:特定の人間のそれぞれ個々の存在
集団:その他不特定多数の人間の集まり

そして、この内側の円と外側の円が、それぞれ内部と外部の境界になります。

図中には「自分」の領域がないのですが、しいて言うなら、この中で、「自分」は内部外部の境界と考えて良いでしょう。

このマップをさらに単純化すると、下のような図になります。な~んだ、結構簡単でしょう。

「自分」の存在とは、意識を保つ「精神的」な面もあり、当然「身体」を持っており、そして「社会」とのかかわりがあり、集団「心理」にもかかわっていますね。このサークルのどの領域からも切り離して考えられませんし、実際切り離されてはいないのです。

また「自分」は「集団」である不特定多数の一員でもありますし、「個々人」として心身ともに特定の人間としても存在しています。

さらに、「自分」にはもう一面あるのです。それは「プライベート」「パブリック」という側面です。日本語ではこれを「私人性」「公人性」、つまり「公私」といいますね。

敢えて言うなら、このマップ自体を境界にして、こちらが私人性、あちらが公人性ということになります。

この見立てで、立体感覚視とでもいいますか、社会環境を立体的に見立てることができます。

ですから、もともと「モチベーション」を「個人」と「集団」の視点で見立てたのですが、当然これらは切り離して考えられませんし、本来は「私的」「公的」な視点にも着目する必要があるということがお分かりいただけると思います。

ですから、これらの枠組みを通して「モチベーション」の力関係がどのような仕組みなのかを見ていくと把握しやすいでしょう。

これら概略的なことは、スルーしていただいても良いのですが、結局、私たちの意見の食い違いは、一体「どの部分」を「どのような見方」で解釈しているかを整理すると解消さるので、少なくとも「トークライブ」で、「ああ、この部分の話ね」という共通理解ができればいいなぁ、と思って少し頭を使いますがあえてこのタイミングでださせて頂きました。

集団モチベーションの力

 さて、少し<あたま>を使いすぎたので、こんどは感覚的なお話をしましょう。(こころ)の話です。

ある組織で働いていて、「ああ、ホントにこの会社で働いて楽しい!」と感じる方は、3割にも満たないといいます。何らかのストレスを抱えている人は労働生産人口の6割以上に上ります。

会社という文化に対して、個々人の「利己的」な一面が、必ずしも相容れないところもあるでしょう。そこである種の葛藤が生じるわけです。

このこと自体は、昔からあることですが、令和の世になり、ふた昔前の昭和の時代との違い、その問題の大本は会社にある種の健全さを担保できる安心感や安堵感が失われてしまったことにあるかもしれません。

そもそもの日本の器量というか、活気というのか、そのような健やかな部分の底力が、かなり低下していると感じるのは僕だけでしょうか。

個々人にしてみれば、集団に馴染めないコミュニケーション能力の問題なのかもしれません。

あるいは集団(組織)自体の問題か、この辺は、第1問の「仕事術」のところでお話した、「職種」によってもスキルが異なってくると思いますが、いずれにしても、この「モチベーション」の課題は、個々人の私人性と集団(組織)の公人性とのバランスをどう摂るかという「平衡術」であると考えています。

会社の風土というものがあるとするなら、会社の社長やCEOの意識次第でその会社の「雰囲気」が変わってしまうのです。

最近「ティール組織」という本を読みました。ここにも組織の形態そのものを変革するべき時代が到来していると書かれています。簡単には、ヒエラルキー的構造から一人ひとりが組織の中心になれる、ティール型いう方向性があることを示しています。

集団や組織、そしてチームという色合いを考えた時、そもそも「集団」と「公人性」の違い、あるいは「個々人」と「私人性」の違いを意識していく必要があるのです。

E「共感創造」の話

 さて、気が付けば前振りが相当長くなってしまいましたが、本題の「集団のモチベーション」のお話をしていきましょう。それは4つのPとして定義されていました。

Profession(活動・成長)
Philosophy(理念・方針)
People(人材・風土)
Privilege(待遇・特権)

でした。

当然、あれだけ前振りしているのですから、この4つがなぜ、「モチベーション」と関連するのかを、先の社会環境の四象限に関連させてお話しましょう。

この関係性は、「モチベーション」が私たちに社会の「ありかた」を教えてくれているように思います。

集団の「モチベーション」は会社によってその色合いの違いがあります。

「THE TEAM」には三つの会社の例が示されています。例えは、マッキンゼー、とリクルート、ディズニーです。

マッキンゼーはProfessionの魅力で束ねていて、「若いうちから難しくて、大きくて、新しい仕事ができる」という動機で働いています。リクルートは、Peopleの魅力で、入社の動機などは「魅力的な先輩がいたから」という社風があるようです。そして、ディズニーは、Philosophyの魅力。「夢の国」「ハピネス」「エンターテインメント」などのコンセプトに惹かれて働く人が多いのです。

これらの魅力と、個人のモチベーションの「will」「can」「must」を連携させていくことが大切だとされています。

今の人は「感情報酬」で動く

 企業が存続、発展していくためには「商品市場」「資本市場」「労働市場」という3つの市場を通してそれぞれ「顧客」「投資家」「人材」から選ばれる必要があります。

商品市場で企業は顧客に商品を提供し、顧客は企業に対価を支払います。おなじように労働市場では企業は人材に報酬を支払い、人材は時間や行動、その結果としての成果を提供します。投資家も資本市場において、企業の取り組みに対し投資して、企業から報酬をもらいます。

この中で、最も大切なのは「労働市場」だと言います。なぜなら社会全体で第二次産業(製造業)から第三次産業(サービス業)の比率が高まり続けているからです。

サービス業の場合、最も大切なのは人材です。企業への共感、エンゲージメントが低下するとすぐに社員は去ってしまうようになっています。

先の例で、金銭報酬や地位報酬に位置付けられるPrivilegeの会社がなかったのは、今の時代、その他の3P、つまり感情報酬(理念への共感、仕事のやりがい、仲間とのつながり)などの影響力が強まり続けているからです。

つまり、最近の傾向として、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさを求めるようになってきているということです。

「給料をもらってるんだから、つへこべ言わずにやれ」というようなチームは通用しなくなってきているということでしょう。

「習慣化」

紙面の関係で「習慣化」について突っ込んだ話ができませんでしたが、ここで「マザーテレサ」の言葉を引用しておきましょう。

思考に気をつけなさい、
それはいつか言葉になるから。

言葉に気をつけなさい、
それはいつか行動になるから。

行動に気をつけなさい、
それはいつか習慣になるから。

習慣に気をつけなさい、
それはいつか性格になるから。

性格に気をつけなさい、
それはいつか運命になるから。


という言葉があります。このうちで、思考も、言葉も、行動も、それは、習慣から成るものです。そして、最終的には習慣が性格となり、その人の運命まで決めてしまうということです。

明日は「自信」についてお話します。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


18.自信をつけるには

 「失敗」を「教訓」に変えるチカラ、そして「努力」して「成功体験」を増やすこと、それが「自信」につながります。

 「自信」から「信頼」へそして最終的に「自分軸」から「自分」を思い出す過程をエッセイ風にまとめました。

今日は気軽に読んでください。でも重量感があります。


「自信」

自らを「信じる」こと
「信じられる」こと

その感覚や感情は
どこから生まれるのだろうか

よく観察すると
そこには必ず恐れがある

恐れは「信頼」と背中合わせ
「信頼」は恐れを払拭するチカラをもつ

だから恐れなくして「信頼」は生じない
「自分」への「信頼」が「自信」につながる

失敗を恐れず乗り越える「勇気」
失敗を「教訓」として考える

それが「信頼」を得る原初だ

恐れに対峙するのは「確実性」

いつも確実にそこにある
そこは安心感しかない

いつも「自分」が
これに触れたいと思うなら

好みの感覚と
そして感情に取り入ることだ

好みを感じる
その「好き」に取り入る

その感覚は常にそこにある

だから取り入る
取りこぼしなく取り入る

これが人生の「粋」な生き方

スキな思いは理屈じゃない
いつもそこにある
でもそこに取り入らねば
見えてこない

「真理」と
深く取り入る
唯一の入り口

判断せずただただ
「好き」な感覚を
素直に味わう

食べる
いただく
頂戴する

五感のすべてを使って
いただく

・・・・そして

少しずつ見えてくる

その感覚は自分しか知らない
知ることができない

そしてあるとき
不意に気付く

本当の恐れの正体に

恐れは自分が
恐れているものしかない

だからこの恐れを
乗り越えるのは
自分自身しかできない
人任せにできない

その思いが自然に
自分への「信頼」につながる

自分の恐れが見えると
不安は自然に薄らいでいく

自分を「信頼」すると
不安が楽しみに変わる

そして「自分軸」が育つ

それはただ
成長を目指す若木のように
人格をつくりはじめる

「好き」のチカラで
つくられていく

そのプロセスで
天の好みを知る

天は「謙虚」を好む

「恥」を知り
本性として
己の現身(みかがみ)を見直す

そうすることで
また磨かれる

天は「恥」がお好きだ

「恥」を恐れすぎても
知らなすぎても

通れない道がある
それが「自分軸」

失敗への恐れも「恥」にあり
見えない不安も「恥」にある

つねに

左右
上下
前後

そのバランスと
中心を意識する

左右は
理想と現実、
真言と真実、

前後は
私人と公人、
利己心と規律心、

上下は
個人と集団、
人格性か帰属性

この中心に「自分」がある

この「軸」を保つため
コンパスがいる

それがマインド

立体的に物事を
見立てるマインド

それを見つけよう



19.反対されて
落ち込んだとき、対応法

19.反対されて落ち込んだとき、対応法

令和元年5月16日、
第19問、お題は「反対されて落ち込んだとき、対応法」です。

はじめに

賛成されると信じて話たけど、反対されてしまった、さて、どうやって立ち直るか、その対応法ですね。

これは、いままでお話した「レジリエンス」との関連が深いです。

今回のこの「プレトーク」を書いていてあらためて「レジリエンス」を見直してみると、基本的に「レジリエンス力」の裏には、二通りの力が働いていると思います。

過去の経験則の影響力
経験則を活かす認識力

過去の経験則の影響力は、経験そのものの力と、記憶の影響があることは否めません。そしてこれら全体の影響力をよりポジティブな方に「活かす」ような

認識

ができればよいわけです。

その方法として、第6問「集中力」のお話のとき「リフレーミング」に触れました。

今回は、もう一度そのあたりの「レジリエンス」と「認識」に関与するメカニズムを見てみましょう。

ストレス発症にかかわる
3つのメカニズム

レジリエンスを発揮するには、ストレス発症にかかわる3つのメカニズムを理解すると分かりやすいと思います。

レジリエンスの3つのメカニズムを図に示すと・・・・。

縦軸に、充実度その高低を示します。するとストレスの掛かり方は、このような曲線を描くとされています。
まず

①ストレスが加わって
②底打ちがあって
③立ち直る

これは、ストレス反応がどのように起こるのか、と基本的には同じ流れです。

ボールにストレス要因が加わり、凹み、戻っていく。という流れです。

そして、この三つのメカニズムそれぞれを、改善させて、レジリエンス力を高める方法があるといいます。

3つの習慣

それをまず「3つの習慣」としてそのヒントをご紹介しましょう。

これは、どんなに不安な状況でも、強気で前向きでいられる人材に変わるための習慣でもあります。

まず、第1が、ストレスや失敗、逆境後に精神を深く落ち込ませない
「底打ち」 への対応

第2が、落ち込んだ気持ちをスムーズに元の状態に回復させる
「立ち直り」 への対応

第3が、困難を乗り越えた経験を振り返り、意味を学ぶ
「教訓化」 への対応

まず、1つ目、底打ちについては、ネガティブ連鎖をその日のうちに断ち切る習慣です。

活力に満ちた1日を迎える秘訣は、朝の目覚めの質にかかっていることが、さまざまな調査でわかっています。

そのためには、ネガティブ感情を断ち切るためのアクションを行い、気持ちをリセットして安眠・熟睡体制を確保する習慣が重要です。

2つ目の立ち直りには、ストレス体験の度に気持ちの立ち直りを加速させる精神的な筋肉といえる「レジリエンス・マッスル」を鍛えるという習慣です。

仕事のストレス体験のたびに鍛錬することを意識し、次に生かすように工夫することです。

そして3つ目、教訓化には、多忙な毎日の中でも時折立ち止まり、振り返りの時間をもつ習慣です。苦しかった体験をそのままにするのではなく、
「あのつらい経験にはどんな意味があったのか?」
「なぜ、どん底から再起することができたのか?」
を回想して、自分の強みを再認識し、次に生かす教訓を得ることは大切な習慣です。

これらの習慣がレジリエンスを高め、ハードワークでの心の疲労を防いでくれるのです。

近年、週末などに都心のホテルに宿泊し、静かに内省の時間をもつビジネスパーソンが増えているといいます。

仕事のストレス体験のたびに鍛錬することを意識し、次に生かすように工夫することです。

特に、最近、スポーツ界では、メンタルトレーニングをしています。自分が落ち込んだ時に、どう(こころ)をセットアップするか、練習することがあるのです。

そこで、逆境に強い人の思考習慣とは、どのようなものかを知ることで、私たちの日常生活にも役立つかもしれません。

人生は短距離走に似ている。といったスポーツ心理学者がいます。

休息時にいかにリカバリーするか、心をセットアップするか、それがエネルギーマネージメントとも関係するということです。

実際のコーピング(解消)の方法ですが、ストレスをできるだけ早く解消することが心の疲労を防ぐうえでも大切です。

その解消方法については、第8問、「レジリエンスを高める運動」のところでお話しましたが、もう一度、ストレス要因についてお話をしておきましょう。

ストレス要因
ネガティブ感情

ストレスを作る大きな原因のストレス要因の大部分は

ネガティブ感情

というやつです。

ネガティブ感情とは、どう言ったものがあるのかというと、主なものは7つありまして、

恐怖、苦悩、憤怒、恥辱、悲哀、不安、嫉妬

です。

仕事で活力と意欲を維持することができる人は、できるだけその日のうちに、ネガティブな感情の「気晴らし」をするようにして、気持ちを切り替え、ネガティブ感情を引きずらない工夫をしています。

このネガティブ感情を放っておくと、上記のような問題行動に派生していきます。

これらの問題行動を引き起こす前に、気晴らしをうまく行い、自らのネガティブ感情を強化しないようにしましょう。

それでは、本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。




20.(僕の)健康法極意


僕は正直、あまり健康法としてやっていることはないんですが、ただ、ときどき家族の健康管理も兼ねて鍼をしています。

ですから、残念ながら皆さんにお勧めするというわけにいかないのですが、今日はそのちょっとした魅力をお伝えしたいと思います。

鍼というと、「刺す」とか「痛い」が一般的なイメージですが、僕は「痛い」のが苦手なので刺さない鍼をしています。

「小児鍼」ともいうのですが専門領域では「鍉鍼」というものです。銀や金でできた棒を使います。

これで、そ~となでるだけ。

以前、リハビリテーション病院に勤務していたときに東洋医学科と共同で研究発表もさせていただきました。疼痛のコントロールや軽減を目的とした研究で、鍼でも「経絡治療」という経絡の流れを意識した施術を試みています。

リハ病院には理学療法士さんや作業療法士さんがいて、研究にも協力してくれました。彼らは患者さんをよ~く見ていて僕が鍼の施術をした後のコンディションを客観的に教えてくれたりしました。

患者さんの拘縮や痛みが軽くなると、自然にリハビリも乗ってくるのです。時には「先生、昨日(鍼)しました?」と聞いてきて、僕が密かに患者さんに施術したのを療法士さんが見抜くこともありました。

この経験から痛みを取り去ることはとても大切なことだと実感した次第です。

もちろんすべてに効果的なわけではなく今後の課題ですが、患者さんから聞くことは直接体に触られると痛みが「軽くなる」ということです。

手当することで「看られている感」があるからかもしれません。確かに最近は医者が痛みを取るために体に触れることってあまりないですからね。

こんな感じで痛みが軽くなる理由は、もしかしたらプラセボや単なる思い込みかもしれないわけですが、研究で対象にさせていただいた方は認知症のおばあちゃんでしたから、あながちでそうでもなさそうです。結果がダイレクトに出てたと考えて良いでしょう。

これらの経験から鍼は何かに効いてると確信するようになりました。東洋医学では気が滞るのが病気の正体だとしています。

つまり「鍼」は気の滞りを改善する可能性があるのですが、その不思議なチカラがなぜ起こるのかは未だに謎です。

その「何か」は未だ特定されていないのですが、時々体の調子が悪い時、自分でも施術するとそれを体感できます。

拘縮や痛みなどある特定の経に症状が出たとき、その経は使わず理論的に他の経を使うと痛みが軽減されることがあるのです。

少し専門的なお話ですが、下の図はそれぞれの臓腑の経気の流れの順序を示すものです。これを「流注(るちゅう)」といいます。

まったく想像もつきませんでしたが、実はこの立体構造がこころの立体モデルの研究に役立つことになりました。

その詳細については、今後セミナーなどでお話していく予定ですが、流れが8の字を描いているのもとても興味深いことです。

たとえば、肺経の領域に痛みがあった場合は膀胱経を使う、胃経の場合は心包経を使うなど、この図ではおおよそ上下の関係が成り立っています。

これを「陰陽交叉法」とか「遠透刺法」などといわれています。この奥義は古い書物にも参考として書かれているものです。

人間の体というのは、すべてが関連しあっていると感じます。この辺りの不思議にも「トークライブ」で迫ってみたいと思います。

いよいよ明日が「プレトーク」最終日となります。

本日も最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。


21.運気を上昇させるコツ


はじめに

本日で最後のお題です。なんと・・・「運気を上昇させるコツ」

これは、最後に医者に聞くようなことなの?って思われるかもしれません。でも僕はこの問が最後に来たことに内心驚いています。

そもそも「運」ってホントにあるの?と聞きたくなりますよね。ここはこれからお話の中で触れることにして、結局「占い」のようになりますから、当然と言えば当然ですね。

でも、僕が好んで学んでいる東洋思想は実は八卦といって「占い」にも関係していて、東洋医学にもその思想が垣間みれます。

医者が「占い」なんておかしいと思うかもしれませんが、僕のように東洋思想や東洋医学に関心があると、その考え方は的外れでもないのです。

僕なりの「運」の話

歴史的な話などは、成書に譲ることにして、運というものが、果たして「あるのか」ということを、理論的な検証を踏まえてお話してみたいと思います。

「占い」の領域では、大まかに7~8つの運があるといわれています。

健康、家庭、仕事、愛情、金銭、人気、成功、財産、このようなカテゴリーになるのではないでしょうか。もちろん他にもあるかもしれませんが。

身体の「健康」、生活のベースとなる「家庭」、社会性を担う「仕事」、そして精神的な一面の「愛情」、一つの富の形である「金銭」、人格を映しだす「人気」、これらすべてを統合した「成功」の価値観、そして最終的な「財産」へと発展していきます。

こう考えると、あながち今までお話したことと関連がないどころか、非常に関連しているということがわかります。

WHO健康憲章

 それもそもはず、WHOの健康憲章では、健康をつぎのように定義しています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。

 つまり、身体、社会、精神、そして社会文化を構成する集団心理的な面、すべてに関連して、それが満たされている状態が「健康」ということになるわけです。

17問の集団のモチベーションのところで「基本四象限」のお話をしました。図のように「精神」「身体」「社会」「心理」のそれぞれが関与する領域であることが分かります。ここで、内面と外面を分かつ「縦の軸」とは何でしょうか?

「身体」を「健康」、「社会」を「仕事」、「心理」を「金銭」、「精神」を「愛情」とすると中心の縦軸にくる「運」とは「人気」「成功」「財産」「家庭」になります。

それを模式的に見立てたのが上の図です。縦の中心軸は自分自身の軸になる部分を示しています。私たちを取り巻く「健康」「仕事」「金銭」「愛情」はそれをサポートしてくれるツールです。

中心軸を生み出す養分みたいなものですね。中心の「自分軸」は、結果的に成長していく柱です。

運命とは変えるもの

これらの「運」を、すべて「運命」として考えるならば、「運」自体は「自分の中心」を持つことで「成長」していきます。

運命は変えられる

これが、僕の自論です。

私たちは使命(ミッション)を持って生まれてきます。

使命を「活かす」ために、
宿命に従い、
天命を訊き、
立命を巡らせ、
運命を動かすのです。

おわりに

 さて、本日で「プレトーク」は終了となります。最後までお読みいただいた方々には深くお礼を申し上げます。僕自身は、これを始めた時に「後先のことを考えず」とにかく、ニーズに応えることを目標にしました。

モチベーションの「will」「can」「must」を実践したわけですが、それ以前に僕には「使命」としてお伝えしなければならないことがありました。

それは、この世の中が「秩序」の世界に生まれた「自由」な「空間」だ、という感覚です。

壮大な「秩序」の領域から繊細な「秩序」の領域に至るまで、世界は首尾一貫した「秩序」を保っています。その「間」に私たちは存在し、責任ある自由性を任されています。

そしてこの「自由空間」において、私たちは日々悩み思慮、判断を繰り返しています。

同時にこの「空間」は、私たちに生きる「伊吹」を与え、「試練」も与える「場」なのです。

だからこそ、私たちは成長できます。「風」が木の根を大地に強く張らせるように、干からびた台地に深く根を伸ばすように、現状を打破する力強さが生まれてきます。

まさに、それが「レジリエンス」という力の正体なのかもしれません。それは「生命力」そのもの、「活かす」チカラそのものなのだと思います。

「プレトーク」でお示しした「こころの立体モデル」や「基本四象限」、「運」のお話も実は「秩序」の世界の一部分であるにすぎません。

これから先、また様々な形で情報発信をして参ります。

今回、皆さまの疑問にお答えできたか、正直自信はないのですが、とにかく何か一つでも「ためになり」「役に立ち」「面白い」と思えるコンテンツがあったなら嬉しいです。

世界の中の「自分」のミッションを見定め、「やりたいこと」を思い出すために、この「プレトーク」がお役に立てば幸いです。

明日が「トークライブ」当日になります。

皆さまにお会いできることを
楽しみにしております!!

「プレトーク」を最後までお読みいただき
誠にありがとうございました。



ここのコメントを目にしてくれてるってことは最後まで読んで頂いたってことですよね、きっと。 とっても嬉しいし ありがたいことです!マガジン内のコンテンツに興味のある方はフォローもよろしくお願いします。