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どうしようもない統合失調症の姉が教えてくれること。

姉の統合失調症。

今は治すために何か取り組んでいるかと言われると、何もしていません。

姉自身は「統合失調症じゃなかったらどんなによかったかな。どうやったら治るんかな」と口では言いますが、いろんなことを提案しても、特にやろうとはしませんし。

ですが、昔は「なんとか治さないと!」と躍起になっていました。

整体、エネルギー療法、ヒーリング、自然療法、サプリ、健康食品、カウンセリング、前世療法などなど・・・いろいろやりました。

手応えのあったもの、なかったもの、いろいろですが、統合失調症が治るという高い理想の前には無力でした。

そのころは治すことが善、と思っていたので、いつまで経っても治らない姉の状態に毎日ガッカリしていましたね。

それから時を経て、「自分がどうしようもないことで周りを成長させることを選んできた姉ってすごいんじゃない!?」と思うに至り、統合失調症の存在価値にも気づかされて、

「そりゃ治ったら治ったで嬉しいけど、今も悪くないね」

という心境になってからは「治らないと未来はない」みたいな強迫的な感覚から完全に自由になりました。

その結果、治そうと必死だった時よりも、ずっと姉は生きやすそうに見えます。

いや、本人は「不幸や・・・」が口ぐせなので、生きやすくはないのでしょうが、死にたかった頃に比べれば、今は「私は100歳まで生きる!」と豪語していますので、決してこの人生も悪くはないのでしょう。

家族が気楽に見守れるようになることは、本人にとっても大事なことのように思います。

私が気楽になったのは、以前は姉のことを「どうしようもない人」として、失望ばかりして未来を悲観していたのが、「自分の中のどうしようもなさ」と向き合うきっかけにもなり、自分と和解できたからです。

人間のどうしようもなさ。

どんなに清く正しく生きようとしても、次の瞬間にはサボる言い訳を考える。

「甘いもの控えよう、明日から・・・」と、毎日心の中でつぶやく。

後ろめたさを打ち消すように、「私はちゃんとやっている!」と自分を正当化する。

そんなどうしようもなさはきっと誰にでもある。(よね?)

姉の存在は、そんな煩悩だらけのどうしようもない私を「どうしようもないよね〜」と優しく包んでくれる。

なんというか、どうしようもなさの持つ包容力ってすごいのです。

明日への活力はこういうところから湧くものなんだ、と私は確信しています。

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