好き好き魔女先生

私的特撮ヒロイン図鑑⑥月ひかる(アンドロ仮面・好き! すき!! 魔女先生)

今回は石ノ森章太郎先生の「千の目先生」を原作とした特撮番組「好き! すき!! 魔女先生」より月ひかるのご紹介です。原作との共通点は主人公が超能力を持つ新任女性教師という部分のみです。

従って物語自体は別個のものでありますが、魔女っ子アニメの実写版を目指したとされます。従って月ひかるは14話よりアンドロ仮面に変身するというギミックが登場します。

1970年代当時は変身ブームの真っただ中でもあり、このアンドロ仮面は特撮変身ヒロイン物のさきがけにして草分けとも言うべき存在であります。「好き! すき!! 魔女先生」は女性変身ヒロインが単独で悪の怪人と渡り合うという当時としては珍しい作品だったのです。

また「最終回で再生怪人軍団が登場する」との、のちの東映変身番組で定番となる演出も「好き! すき!! 魔女先生」で初めて使用されたものです。

この路線変更により当初のコメディ性は薄くなったのですが、結果的に男児層からの好評を得たとされます。一方で、原作者の石ノ森章太郎先生はこの変更には抵抗があったと述べておられるそうです。

これは、おそらく主演の月ひかるを演じた菊容子さんが、石ノ森章太郎先生と以前から面識があり、彼女に亡きお姉さんの面影をみていたからではないかといわれています。

その菊容子さんは、1975年4月29日午前3時頃、交際していた俳優に、東京都新宿区の自宅マンションで、電話機のコードで首を絞められて殺害されてしまいます。

深夜のうちに電話で父親に「9時に起こして」と依頼していたモーニングコールに応答がなかった事から事件が発覚したのですが、享年なんと24歳でこの世を去ってしまわれたのです。その悲劇性も含めて映像の中の月ひかるを見るたびに悲しい想いがよみがえってくるのです。

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両親2人の介護を一人でやってます。プロレスブログ「せかぷろ」&YouTube「チャンネルせかぷろ」主宰。現在ステージ2の悪性リンパ腫と格闘中。