見出し画像

[プロレス] 私的プロレススーパースター烈伝(95) 赤井沙希

人間的魅力にも


今回は、DDTプロレスの赤井沙希「もと」選手についてお話しします。

赤井さんは11月12日の両国国技館大会で引退しましたが、今回は、赤井選手の選手として、また人間的な魅力にも迫ってみたいと思います。

赤井沙希選手は1987年1月24日生まれ、京都府出身です。父親は元プロボクサーで俳優の赤井英和さんですが、両親は赤井選手が幼い頃に離婚し、父親とは14年間会っていませんでした。

その後、モデルとして活動を始め、2006年に旭化成せんいキャンペーンモデルに選ばれるなど、芸能界で注目される存在になり、その美貌とキャラクターで人気を博しました。

しかし、赤井選手にはもう一つの顔がありました。それはプロレスラーです。赤井選手は2011年にドラマ「マッスルガール!」で共演した志田光選手(当時アイスリボン所属)とエキシビションマッチを行い、プロレスデビューを果たしました。

DDT入団


その後、2013年にDDTプロレスリングに正式入団し、男子選手とも渡り合う強さと華やかさでファンの心をつかみました。2014年には東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」新人賞を女子レスラーとして初めて受賞する快挙を成し遂げました。

赤井選手はDDTの紅一点として活躍するだけでなく、他団体でも多くの実績を残してきました。東京女子プロレスではSKE48の荒井優希選手と「令和のAA砲」というタッグを結成し、プリンセスタッグ王座を獲得しました。また、赤井選手によく似た「沙希様」という高貴なキャラクターまで登場しました。

沙希様は東京女子プロレスに美をもたらすためにやってきたパリジェンヌレスラー。美威獅鬼軍→SIN美威獅鬼軍→NEO美威獅鬼軍と変遷をたどり、

来日・帰仏を繰り返しながら早5年が経過した現在は、メイドのメイ・サン=ミッシェルとともに東京女子マットを席捲していました。

その美しくも傲慢な振る舞いには、ファンも大いに魅了されました。

戴冠歴



一方赤井選手はベストボディ・ジャパンプロレスではBBW女子王座を戴冠し、その9頭身の鍛え抜かれた肉体美を披露しました。

さらに、DDTでは坂口征夫選手や岡谷英樹選手と「Eruption」というユニットを結成し、KO-D6人タッグ王座や全日本プロレスTV認定6人タッグ王座などの男子タイトルも獲得しました。

赤井選手はプロレス以外でも多彩な才能を発揮しています。2019年には人気ゲーム「Fate/Grand Order」の舞台版でケツアル・コアトル役を演じ、その歌唱力や演技力も高く評価されました。

このケツァル・コアトルは、縦回転変型ラ・マヒストラルとして赤井選手がリング上で使っている必殺技でもあります。

変型のコブラツイストの体勢で捕らえた相手を、見得を切ってからラ・マヒストラルの形で一気に自分ごと回転して、逆打ちの様にマットに叩きつけてそのまま固めてフォールを奪う技です。

プロレス技の「ケツァル・コアトル」は舞台「Fate/Grand Order 」で赤井さんが演じたケツァル・コアトルより、関係各所からの許可を得て舞台の演技をプロレス用に改良しているものです。

格闘技好きを公言


また、自身が開いたサロンでは、エステティシャンとしても活動しています。赤井選手は美しさだけでなく、知性や気品も兼ね備えた女性です。

もともと父が元プロボクサー、母親もボクシングジムのトレーナーをしていた経歴から、自身も格闘技好きと公言していました。

ただし、事務所から毎日「痩せなさい」と言われるほど太りやすい体質だったため、K-1イメージガール時代の石井和義館長の勧めから、2009年の夏ごろからボクシングを開始して真剣に精神及び肉体を鍛錬しているそうです。

「(ボクシングで)デビューしないか」と誘われたこともあったが、「絶対父親と比べられる」と断っています。

好きな男性のタイプは「考え方が古い人」、「男気のある人」、「武士のような人」と述べている。好きな動物はゴリラだそうです。

またお笑いコンビ「ぺこぱ」の名付け親としても有名です。

もともと「ペコパ(배고파)」とは韓国語で「お腹空いた」を意味する単語で、赤井選手は名付けた当時韓国語にハマっており、語感が可愛いくて一度聞いたら印象に残ると気に入っていた言葉なんだそうです。

「いつまでもハングリー精神を」という意味とし、可愛い印象を持たせるため平仮名にして提案したそうです。

なぜ引退したのか?



ところで赤井選手はなぜ引退を決めたのでしょうか?

彼女は「私は、枯れて朽ちていく花ではなく、美しいまま散る花でいたい。それこそが赤井沙希のプロレス道の最終地点だと思っております」と語っています。



また、海外との契約のオファーを断り、自分のペースでプロレスを卒業したいという思いもあったようです。

赤井選手は引退後も芸能やモデルの仕事を続けるということですが、結婚の予定はないと明言しています。彼女は「女子選手が辞めるイコール結婚、もしくはケガの2択しかないのは違うと思う。違う選択肢があるっていうことを今のプロレス界に見せたいなって思いました」と語っています。

赤井選手は2023年11月12日、引退試合を行いました。

坂口征夫&岡谷英樹と組んで丸藤正道&樋口和貞&山下実優組と対戦。20分30秒、山下選手に得意技Skull Kickを決められ20分30秒でカウント3を奪われ、敗戦引退となりました。


裏方として


試合後、高木大社長は「今日でプロレスラーは引退するかもしれませんが、僕らにはまだまだ赤井沙希が必要なんです。裏方として、DDTと一緒に歩んでもらっていいですか?」と語りかけ、「あなたは大事な仲間だから。一緒に、これからもDDTをつくっていってほしいです。お願いします」と引退即スカウトを敢行しました。

これに対し、「自分でよければ、今度はDDTのみんなを輝かせる側に回らせてください。よろしくお願いします」と快諾したため、赤井さんは今後、会社と話し合いの場をもち、新たな役割を決めることになりました。

自分の思いを手紙にしたため、「家族であるDDT、ファンのみんなのことを思い続けて生きていきます。プロレスラー赤井沙希の10年間、本当に夢のような幸せな人生でした。皆さん、心から愛してます。本当にありがとうございました」と思いの丈を述べて、最後に10カウントゴングを聞いて、リングを降りました。

今後とも応援したい



赤井沙希選手は10年間に渡ってプロレス界に華を添えてきました。その美しくも強くも勇敢な姿に多くの人々が感動しました。

彼女はプロレスラーとしてだけでなく、人間としても尊敬される存在です。彼女が引退後もDDTとどう関わっていくのか?今後とも応援したいと思っています。

赤井沙希選手、ここまで本当にありがとうございました。そして赤井沙希さん、これからもDDTとそのユニバースをよろしくお願いします。




両親2人の介護を一人でやってます。プロレスブログ「せかぷろ」&YouTube「チャンネルせかぷろ」主宰。現在ステージ2の悪性リンパ腫と格闘中。