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スマホを捨てよ、町へ出よう|臨床心理士への随録 心理学

先日のカンファレンスで、スクールカウンセラー・研究機関・病院臨床でキャリアを積まれてきた臨床心理士の先生から、「現場で活躍できるいい心理士になるには」という題目の講演を拝聴しました。クライエントに対峙するたびに生じる悩みに愚直に向き合い、今の自分にできる最善解へともがきあがく。その中で醸成された姿勢や言葉に感銘を受けました。

「歩きスマホをやめること。」

ひと昔前はタバコ、今はスマホ。二宮金次郎の時代から人は何かをしながらでないと歩けないのでしょうか。かくいう私も耳にイヤホン突っ込みながら通学しているので、人のこと言えないのですが。私は歩きスマホはしません、だって視界を奪われて危ないですから。人の流れや人の佇まいを読みながら歩く方が、安全かつ面白いと思うんです。

そう、通勤時の人々でうごめく力動と、臨床場面で生まれる力動はどこか似ています。「日常生活が訓練」とはまさにこのこと。幅広く懐深い対人支援ができる心理屋になるために、特に今は24時間臨戦態勢でいなきゃと感じました。

寺山修司は「書を捨てよ、町へ出よう」と言ったけど、現代風に置き直せば「スマホを捨てよ、町へ出よう」というとこでしょう。

「結局は場数かなと思います。」

勉強している学生の立場としては「身も蓋もないじゃん」って思うけど、やはり真理です。先生がおっしゃったのは「本の中に書いてある知識や理論は当然必要なんだけど、現場では教科書通りに事が進むことはまずないよ。」ということで。

現場で上手くいかないことをたくさん経験して、実践の中での勘みたいなものを養わなくてはならない。素直でないといけない。これからの心理職に求められる多職種連携やチームアプローチを遂行するにはこうした姿勢が大事になる。これを嫌がっていたら多分この先の心理の仕事はない。私も本当にそうだと思うのです。

大学院進学の理由のひとつは、教授のサポートを受けながら、臨床心理の本番の打席に立てることでした。24ヶ月しかない院生活。入学した時に3ヶ月タームの目標を決めました。4-6月は生活リズムをつくり理論体系を強固にする、7-9月は現場感を養う、10-12月は検査と療法を我が物にする。この1月からは「貪欲に場数を踏む」を掲げようと思います。