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NICO Touches the Walls"N X A"TOUR (6/23 ZeppNagoya)を観に行きました。

NICO Touches the Wallsが現在開催している”N X A“ TOURのZepp Nagoya公演を観に行きました。以下ライヴレポートではなくてライヴを観ての雑感を書いていこうと思います。長いのと、内容に触れている部分もあるので閲覧にはご注意下さい。

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今回の”N X A“ TOURでは、Electric Side(通常のバンド仕様でのライヴ)とAcoustic Side(アコースティックアレンジでライヴをやる)に別れていますが、Electric Sideでは6/23の名古屋ですでに8本目だったこと、また20日に浜松(静岡)、前日に大阪でライヴというスケジュールだったので、バンドは脂の乗ったいい状態を保ったままこの日のステージに挑めた、という印象。6月6日に観たZeppTokyoのライヴも、『TWISTER-EP-』のレコーディングを直前までやっていたこともあって、勢いのある、初日らしからぬ完成度でびっくりしたけれど、さらにブラッシュアップしたものを見せつけながら、フロアの体感温度をひたすら上げていく、熱いバンドサウンドと歌声だった。

ステージに立つメンバー(Vo光村、Gt古村、Ba坂倉、Dr対馬、そしてサポートメンバーKey,Gt,Vn浅野)一人一人が、本能モロに剥き出しの丸裸の状態でお客さんと音楽と向き合っていた。また、メンバー同士でもステージ上で刺激し合っているようにも見えた。その姿からは「どこまでも自分達はロックバンドでありたい。ロックバンドが世界で一番かっこいい」という、そんなベタな信念が見えて、メジャーデビュー10年という立派なキャリアを持っていようが、メンバーが三十路になろうが、変わらずバンドの基盤がそれであることに私は胸を打たれた。

また”Funny Side Up!”を歌う前にVo光村ことみっちゃんが叫んだ言葉を、個人的にすごく良いなと思った。「音楽の中では何やったって自由だぜ!」という、なんてことのない一言だったけれど、長年の葛藤からようやく解放された人が、目の前にいるファンに向けて投げ放ってくれた、しかも、とんでもないシンプルな言葉だったから、とにかく説得力を感じ心を掴まれたなぁ。”Funny Side Up!”は、私のお気に入りの曲でもあって、この日の何度目かのハイライトを迎える直前だったことも大きいけれど。

ツアーで披露されている新作『TWISTER-EP-』(7月25日発売)の楽曲群は、前作『OYSTER-EP-』よりもほうがロック色が強い。ジャンルで言うなら、オルタナティブ、エレクトロニカ、プログレ、インディーロック、ダンスロック、ハードロック、そしてブルースやグループサウンズのような、懐かしのロックサウンドまで手を広げている。新旧の洋楽シーンを網羅するかの如く、しかし見事に自分達のモノにした楽曲を作り出したニコの真骨頂には、聴いた誰もが脱帽すること間違いなし。ただ、決してバンドが突然変異を起こしたわけではなくて、これは地続きな作品であることを、きっとファンは理解しているはず。ニコには、日本のポップミュージックシーンを担うバンドとしての顔(アニメソングのタイアップ等)もあるけれど、それとは逆のベクトルで地道に音楽性を広げ続けてきたバンド。だからこそ、『OYSTER-EP-』と『TWISTER-EP-』がセトリの核を担っているライヴを名古屋で一通り観終えた後は、2015年以降にニコが挑戦し続けてきたこと(ニコの一番の転機になったアコースティックアルバム『Howdy!! We are Aco Touches the Walls』(2015年2月)、突然アレンジの幅の広がりをみせたのがオリジナルアルバム『勇気も愛もないなんて』(2016年3月)、そしてこの経験をシングルにしてしまったのが『マシ・マシ』(2016年11月)。付け加えるならば、去年の全国ツアーFighting NICOの攻撃的で好き勝手にやるモードを音源にしたのが『OYSTER-EP-』(2017年12月))を、更に強固な一つの形に残していくタームに入っていることを私は実感した。もちろん、メジャーデビューしてから10年のバンドストーリー的要素が強い曲(名古屋の場合は”Broken Youth”、”まっすぐなうた”、”Ginger lily” 、”渦と渦”)も演奏されたけれど、どの曲もフラットな状態でセトリにハマっているから、一人勝ちしている印象を私自身は持たなった。それよりも「ニコが今一番見せたいバンドの姿」を見せるためのライヴ、そういうライヴを出来るようになったことに、彼らの成長と、30代のロックバンドの凄みを感じ、同時に彼らへの信頼感も増した。

前回のnoteに《「捻くれ者」=『TWISTER-EP-』を世に放つという一見挑発的にも見える姿勢は、デビューから10年間ひたすら音楽を愛し続けてきた彼らの真摯な姿とも受け止れる》と私は書いたけれど、名古屋のライヴを観ていたら、そんな堅苦しいことはナシで(でもニコに真面目さは当然あると前提として踏まえたうえで)、このバンドはただの「音楽バカ」で「捻くれ者」つまり「TWISTER(-EP-)」なんだという風に捉えるほうが正解かなと感じた。冒頭にも書いたけれど、メンバー全員が理性を吹っ飛ばして本能のままに、やりたいことを伸び伸びとやれている。そして、誰よりも「音楽の中では何やったって自由だぜ!」という言葉を体現していたのは、ステージ上で己を何度も捨てて、一曲一曲の主人公になり切っていた、みっちゃん自身だった。

アンコールが終わってメンバーがステージから捌けるときになって、突然、発表された追加公演がこちら。

Acoustic Sideを私は行く予定にしていなかったけれど、チャンスは訪れました。ひとまず申し込む事にします。

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