11/19 YUKI@東京・日本武道館

千葉・東京・大阪の3箇所で行われた『YUKI LIVE dance in a Circle '15 』。そのツアーファイナルである11月19日、東京・日本武道館公演へと行ってきた。

開演時間の18時半から21時までの2時間半、アンコールなしで行われた怒涛のロングパフォーマンスは、YUKIの代表的なヒットソングのオンパレード。どこを切り取ってもライヴのクライマックスを迎えているような、壮絶な盛り上がりを見せていた。

JUDY AND MARY時代から20年以上、女性ヴォーカリストの第一線に居続けているYUKIは、当然ながら並々ならぬ努力と苦労を重ねてきた。しかし、常に好奇心旺盛で、何事にも果敢に挑んでは、ひたすら目の前にいるオーディエンスを楽しませる。そんな彼女の姿からは、一切彼女の抱える苦悩など感じさせる余地がない。

YUKIという楽器が鳴らす音楽は、人間の抱える痛みや悲しみを、そっと優しく包み込んでは、「私がいるから大丈夫!」「私に付いて着て!」と、オーディエンスの手を握り締める。

YUKIの描く世界には、ネガティヴが存在しない。多幸溢れるこの空間では、日々忙しく生活していると忘れてしまう、たくさんのことに私はどんどん気づかされていった。好きな人には「好き」と言うこと、大切な人を大切にすること、つまり、人を愛すること。YUKIは、人が人らしく生きることを、もっと原始的な意味を含ませて、それが自分の使命であるかのごとく、歌声の乗せて私達へ伝え続ける。

最後、“WAGON”を歌い切ったYUKIは、必死で涙を抑えていた。かつて、コンディションが不安定で思うように声が出ない時期もあったが、この日は、私が知っている中でも、これまでのキャリアの中で一番最高の歌声だったのではないかと思う。また、堪えていた涙が突然あふれ出してしまったYUKIも、きっと私と同じことを思っていたように感じている。

YUKIがを成し遂げ続けていることは、自分に対しストイックに接し続けている成果であり、決して誰もができることではない。しかし、私が10代の頃から一番憧れているYUKIが今もなお、輝き続けていてくれることは、どんなことにも勝る大きな励ましだった。あの日、私はYUKIを観ていたら、かの有名なクラークの言葉『Boys be ambitious』ならぬ『Girls be ambitious』という言葉が、頭には浮かんできた。

(2015年11月22日)

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