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COMIC CITYでキャッシュレス決済を導入した(2024年)

先日開催されたCOMIC CITY大阪125にて、初参加ながらキャッシュレス決済を導入したので、失敗例を含めて日記を書きます。

※ 実際の導入に関しては各種サービスの提供元にお問い合わせください。記載内容は執筆時点で筆者が確認したものです。
※ 本記事はサービスを推奨するものではありません。

決済手段の導入

キャッシュレス決済の導入には、決済プラットフォームの加盟店になる必要があります。今回は複数の決済手段を用意しました。

カード決済・電子マネー・交通系IC

クレジットカード、Suica、Apple Pay、WAONなどがここに当てはまります。
複数のサービスがありますが、運営がコミックマーケットでの導入を推奨していたり、コミックシティでの先例もあるのでSqureを採用しました。

Squreで取り扱えるのは、執筆時点ではクレジットカードの大手国際ブランド6社、iD及びQUICPay、交通系IC、PayPay(※1)です。
国内で使われるタッチ決済は概ね対応していますが、競合他社のAirペイが対応するコード決済には弱い印象です。

Squareの審査には開業届、広告、メニュー表、各種ライセンス証明書、名刺、過去の取扱品およびサービスの請求書、注文書、納品書などが必要とのことです。
お品書きだけでは審査に通りませんでしたが、弊サークルでは通販をBOOTHで事前開始していたため、注文情報のCSVを提供することで審査に通りました。
別途申し込みが必要な一部カードブランド、電子マネー、交通系ICについても問題なく審査に通過しました。

また、Squreでの決済には別途決済端末(有料)が必要です。最近では一部のスマートフォン単体でも決済可能なようですが、執筆時点ではNFCチップ搭載のAndroidにのみ対応しているとのことです。米国ではiPhoneも対応しているそうですが、日本ではまだ使えないようです。
端末自体は最安価モデルが4,980円(執筆時点)です。こちら(紹介リンク)からの登録で2,000円引きで購入できます。
上位モデルとの機能差はタッチパネルやレシート印刷の有無ですが、同人サークルにおいてはわざわざ高価なモデルを買う意味はほとんどありません。むしろ邪魔になるので最安価モデルのSquareリーダーを推奨します。

決済手数料は3.25%(iDは3.75%)掛かります。500円の本なら1冊16.25円、1000円の本なら1冊32.5 円です。BOOTHが5.6%とらのあなが30%なので、現金と比較すると手取りは減りますが通販よりは安いです。
ちなみにこちら(紹介リンク)から登録すると、半年間(上限100,000円)まで手数料が無料になるそうです。

※1 PayPayは審査基準が異なるそうです。店舗名を含む画像が必要とのことなので、少なくとも初参加での導入は厳しいと思われます。

QRコード決済

日本ではPayPay、LINE Pay、au Pay、楽天ペイなど、様々なQRコード決済が蔓延っています。審査時に実店舗画像が必要なため初参加の弊サークルでは申請自体ができませんでしたが、既存サークルの方は申請できる可能性があります。
審査に必要なものとしては、PayPay / LINE Pay楽天ペイは店舗外観、au Payd払い・メルペイは店舗外観かホームページ(商品取り扱いがわかるもの)が必要とのことです。後者三つに関しては申請する予定なので、もし審査に通過したら追記します。
ちなみにイベント開催元の赤ブーブー通信社は、一般入場券購入や各種購入でPayPay・LINE Payに対応しています

PayPayなど個人間送金が実装されているものもありますが、個人間送金を使った取引は規約違反であることが多いです。
ちなみにコミックマーケットでは運営会社が加盟店になることでPayPayが使用可能との噂です(公式情報が見つけられませんでした)。

審査合否

auPay:可
サークルペイ(J-CoinPay/Union Pay):可
d払い/メルペイ:不可
PayPay/LINE Pay:不可
AEON Pay:不可
楽天Pay:不明(返答なし)

auPAYの導入(追記)

auPAYは個人事業主として申込サイトから申請します。同人サークルを法人化していることは基本的にないと思うので、個人事業主として申請します。

運転免許証のコピー、 運転経歴証明書、 パスポート、健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証、在留カード、特別永住者証明書のいずれかが必要になるそうです。マイナンバーでは申請できないので注意が必要です。
参考:auPAY導入の流れ

また実際に販売していることがわかるサイトか他の何かが必要みたいです。今回はBOOTHのURL(https://○○○.booth.pm)で審査を通過し、審査通過後1週間ほどで販促ツールが届きました。

QRコードのポップ、シールが付いています。

また加盟店用のアプリもあり、

PayPayの導入(追記)

Squareからの申請、PayPayへの直接申請ともに審査に落ちました。
「(個人事業主でイベント出店の場合)開業届や青色申告などの書類が必要」との事でした。直近3ヶ月のイベント参加予定日を開業日として審査に提出したものの、こちらも通りませんでした。
Skeb等で売上が出ている方は大丈夫だと思いますが、この手の書類がない個人の場合は厳しいようです。
ちなみにPayPayの個人間送金機能を使った取引は規約違反となります。


PayPay加盟店の審査に落ちた場合、当然ですがPayPayは使用できません(どうにか合法的に使える手段がないかは探しみます)

ちなみにPayPayの審査に合格した事例を見つけたので共有します。

同人誌即売会でキャッシュレス決済PayPayの審査を通過

回避方法(条件付き)

PayPay銀行を開設されているお客様で、そのVISAデビットカードをお持ちの場合、PayPay残高をPayPay銀行に出金していただくことで、通常のカードとしてSquareでご利用可能です。

PayPayカード(あと払い)をご利用のお客様は、PayPayカード管理画面右上の「カード番号」欄よりご確認いただける情報をSquareに入力するとご利用いただけます。
iPhoneの場合はこの番号をウォレットに入力することで、Apple Payも使用可能です。

実物のカードがある場合は通常通りの受付、カード番号のみわかる場合は「クレジットカードの手入力」からご利用いただけます。

PayPayトップ画面の「PayPayカード」
右上の「カード番号」
カード情報が表示される

メルペイ/d払い(追記)

メルペイ・d払いは共通化されており、どちらも同じページから申し込めます。
イベント参加時の画像やBOOTHの画像を提出しましたが審査落ちしました。
auPayやSquareはBOOTHの売上を提出することで審査に通過、PayPayも案内はありましたが、今回は特に案内もなく理由も開示されていないため解決策はわかりません。
なお、メルペイもd払いもタッチ決済が使用可能なため、お客様にこちらの設定をしていただくことでタッチ決済が使用可能になります。
どちらもiDとして取り扱われます。

AEON Pay

イオン系列のスーパーで導入されているAEON Payも審査に申し込んでみました。
最低でも年商数百万、かつ特定の住所に店舗があることが条件らしく、現時点では同人誌即売会での導入は不可能に近いと思われます。

中国系QRコード決済

同人活動が盛んな中国では、日本以上にQRコード決済が普及しています。中国から本を買いに来るお客様も少なくないので、対応していると喜ばれます。
代表的なものとして支付宝(AliPay)、微信支付(WeChat Pay)があります。

支付宝はPayPay、微信支付はLINE Payのコードと共通で決済が可能です。PayPayとLINE Payはコードが統合されたようですが、PayPayのコードで微信支付が使えるか

支付宝(AliPay)の導入

支付宝はアカウント登録すれば審査なしで受領コードを作成可能です。
ただし「人民元での取引」「苗字が表示される」という大きなデメリットもあるので注意が必要です。
中国版権の作品なら中国限定グッズの購入に使用できますが、他ジャンルでは旅行ぐらいしか使い道がありません。(ちなみに中国籍じゃないと日本のコンビニ等では使えません)

アカウント作成には有効期限内のパスポートが必要です。中国への入国履歴が必要かはわかりません。

受領コードを発行するには、まずトップ画面で「付銭/收銭」(Pay/Recive)をタップします。

表示されるQRコードの下にある「收钱」(Recive)をタップし、オレンジ背景のQRコードが表示されたらその下の「保存图片」(Save image)をタップします。
価格が決まっている場合、その左の「设置金额」(Specify an Amount)から価格を設定できます。(日本円ではなく人民元のため注意)

写真フォルダに「推荐使用支付宝」と書かれた画像が保存されているので、この画像を印刷してください。これをスキャンすることで支払い画面に飛びます。

银联二维码(UnionPay QR)の導入

支付宝や微信支付ほど有名ではありませんが、中国唯一のクレジットカードブランドである銀聯もQRコード決済を導入しています。
こちらは同人誌即売会向けのコード決済サービス「サークルペイ」に登録することで導入可能です。現時点ではJ-Coin PayとUnion Payのコード決済のみ対応しているサービスです。
マイページからUnion PayのQRコードをダウンロードして印刷できます。ついでにみずほ銀行が提供しているコード決済サービス「J-Coin Pay」も使用可能です。

注意事項

R-18作品はサークルペイ以外は取り扱えません。弊サークルでは全年齢作品のみ扱っている(現時点)ため問題ありませんが、R18作品を扱う場合は気をつけましょう。
またSqureでレシートを発行すると本名や住所がバレるため、発行しないようにしましょう。

住所登録

決済事業者への登録の際、特にQRコード決済では店舗として自宅住所を登録する必要があります。私書箱への登録は認められない場合も多いですが、バーチャルオフィスでなら問題ないこともあります。非公開を選択することもできますが、PayPayなど一部決済ではキャンペーン毎に非公開選択をしないと開示されてしまうので、お金はかかりますがバーチャルオフィスを借りるのもひとつの手です。
転送を付けると年1万円以上しますが、返品等の対応や特定商取引法の表示等、贈り物の発送先にもなるので、サークルの規模によっては導入する価値があるかもしれません。危険物や食品は廃棄してもらえるのである程度は安心です。
ちなみにオフィスによっては開業届なしでも屋号での受け取りができるみたいです。実際に開業届を出す上でも住所の開示がないので少し安心です。

実際に使ってみる

現地での設定

今回はSquareのPOSレジAPIとコード決済の画像を使用し、独自開発のシステムで決済管理を行いました。通常はSqure、支付宝、j-Coin Payの加盟店用アプリを使い分けることになると思います。それぞれのアプリ自体はそこまで重くないので、安価に買える型落ちのiPad Air2でも問題なく動作します。

Squreでの決済にはインターネット接続が必要ですが、会場Wi-Fiは非常に混雑しておりエラーが出ます。セルラーモデルのiPadを使うか、スマホとテザリングして決済を行なってください。
Squreリーダーとの接続はBluetoothで行います。充電端子の右側にある丸いボタンを長押しして、iPadと接続します。一度接続すれば勝手に接続されます。

QRコード決済に関しては、QRコードを印刷するかiPadで表示すれば良いです。

対応掲示と実際の使用者数

今回はお品書き、Webサイト、ポスター下へのロゴ提示、100円ショップで購入できるカードスタンドでの卓上展示でキャッシュレス決済の対応を告知しました。

実際の使用者数は10人に1人程度で、ほとんどが現金決済でした。キャッシュレス決済使用者は多くがカード・電子マネー決済でしたが、支付宝をご使用のお客様もいらっしゃいました。

バッテリーの減りについて

バッテリー消費量は、最大容量94%のiPad Airが省電力モードで100%→71%でした。常時画面を付けていても、そこまで電池の減りは多くありませんでした。

遭遇したエラーとその原因

Bluetooth接続エラー

Squreリーダーが中々接続できず、接続に成功した後に焦って切断してしまうという場面がありました。理由は不明ですが、おそらくiPadが低電力モードになっていた事が原因と思われます。

また、Squreリーダーとの接続はiPad本体の設定画面やコントロールセンターからの接続だとうまくいきません。Squreアプリのその他 > 設定 > ハードウェア > Squreリーダー から「リーダーに接続」を押して接続しましょう。

通信エラー

Squreによる決済中、通信エラーが出ることもありました。会場のフリーWi-Fiに接続してしまったことが原因です。テザリングに少し時間がかかるため、慌てないよう気をつけましょう。また事前にフリーWi-Fiに自動接続しないようにしておくと良いでしょう。

iOSの場合、Wi-Fi接続画面で名前横のiを押し、自動接続をオフにすることで勝手に接続されなくなる。

まとめ

今回キャッシュレス決済を導入して感じたのは、対応の手間の割に使用者が少ないため、同人サークルで導入する必要性はないと感じました。
一方で現金管理や小銭の両替など、普及すればサークル側の負担となる要素が減るため利便性は大きいです。ユーザー目線でも現金切れで購入できない事態を防げるので、もっと一般的になれば効果は大きい感じました。
今回はほとんど導入できませんでしたが、QRコード決済はエラーもなく操作も簡単なので、次回以降はコード決済も導入できればと思います。

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