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3/25 えねかぷ・兎・宇佐優月BD記念SS

  脚本を担当させて頂きました18歳以上推奨シチュエーションCD。
『えねかぷ』こと『えねみーかっぷりんぐ』の兎・宇佐優月くんのお誕生日が本日3/25とのことで、記念のSSを書きました。
 こちら記念のお祝いをこめて個人的に書いたお話ですが、公式様にチェックして頂いております。
 公式様、お忙しい中ありがとうございました……。
 それでは、優月くんのお誕生日をお楽しみに頂けますと幸いです。


 今日は、僕のお誕生日です――。


 僕にとっては特別な日だけど、ほぼいつもと変わりない。
 朝からスクールへ行って、しっかり講義を受けて。
 いつもと違うのは、友だちから「おめでとう!」って言ってもらえたり、
プレゼントも貰えたりしたことかな。
 とっても嬉しかった。けど……。

「まあ、仕方ないよね……」

 僕の大好きな彼女さんは、今日も神社のお手伝いでここにいません。



 講義が終るとスクールからまっすぐ、バイト先のフラワーショップへ向かった。いつもならバイト入る前に、彼女へお手伝い頑張ってねってメールを送るけど、今日はちょっとだけ気が引けた。
 僕の誕生日なのに神社のお手伝いが入っちゃったって、何度も謝られたから。頑張れメール送ったら、彼女が気に病むんじゃないかって。

「あーもうダメダメ! 僕ってばウジウジしすぎ! バイト中はしっかり集中しなくちゃ」
「すみませーん」
「はい! いらっしゃいませ……って、鈴くん!」

 振り返ると、鈴くんがメガネのブリッジを指先で押し上げ、笑顔を浮かべていた。彼のことは以前から知ってたけど、仲良くなったのはここ2、3ヶ月のこと。僕より年下だけど、身長高くて、しっかり者で、カッコいいから……ちょっと羨ましい。

「どーも。優月せんぱいに、お誕生日プレゼントをお届けに来ましたー」
「えっ!?」

 鈴くんは脇に抱えていたふたつの紙袋を、僕に両手で差し出してくれた。僕は両方受け取ると、交互に袋を見やる。

「……ふたつ?」

 首を傾げると、彼が袋のひとつを指さした。

「こっちは俺から。んでそっちは、大神先生から」
「大神先生からも! うれしいなぁ。でもなんだか申し訳ないな……僕の方がふたりにお世話になりっぱなしだし」
「まぁ、本当そうなんだけど」
「うっ。真顔で言わなくてもー……」

 唇を尖らせてむくれると、鈴くんがちょっとメガネをおし上げて目尻を拭いながら笑う。

「ジョーダンだって。アンタには何かと世話になってるし、そのお礼もあってのことだから」
「そんな……僕は楽しくてやってることだから。でも、その気持ちは嬉しいよ」
「ならさ、気兼ねなく受け取っちゃってよ」
「ははー! ありがたく頂戴いたします!」
「どーぞどーぞ」

 彼はポケットからスマホを取り出すと、画面をサッと見てすぐに戻した。

「それじゃ、俺もこれからカフェでバイトだから」
「うん! 本当にありがとう!」
「あ、あと彼女さんにもよろしく。 素敵な夜をー」

 鈴くんはニヤリと笑って手を振ると、ずれ落ちたフードをかぶり直してカフェへと入っていった。

「あはは、素敵な夜か……誕生日だもんね。一緒に過ごすって思っちゃうか」

 気持ちしんみりしてきたけど、すぐにかぶりを振って気持ちを奮い立たせると、垂れてる耳がバチンと顔に当たっちゃった。

「あたた……ちょっと頭振りすぎた。えっと、中を見るのは帰ってからのお楽しみにしよう」

 笑みを浮かべてプレゼントを抱きしめると、店長さんに断ってバックヤードへ置きに行った。
 ロッカーを開けて、プレゼントが倒れないように気を付けながらしまう。

「ん? あちゃー……スマホが転がってた……って」

 仕舞い損ねたスマホがメールの着信を告げている。
 バイト中にいけないことだとは思いつつも、メールを開いた。

「え……えぇっ!?」



「それじゃ! お先に失礼します!」

 バイトが終わって店長さんにご挨拶すると、両手に大きな紙袋ぶら下げてショップを飛び出す。
 メールは彼女からだった。
 内容見てからはずっとソワソワ落ち着きなくて、今なんて早く家に着きたくて全力疾走中。

「あーもう早く帰りたいのに! なんだか家が遠く感じるよ!」

 ひとりでブツブツ言ってるから、すれ違う人たちには変な人だって思われてるかも。でもそんなこと、どうでもいいぐらい夢中で。

「あ、あと少し……!」

 エレベーターを待つのももどかしくて階段を駆け上がると、急いでカギを取り出してドアを開けようとする。でも焦って何度かカギ挿すの失敗しちゃって。

「あーもう落ち着いてよ僕……よし、深呼吸」

 スーハー息を吸って吐いて呼吸を整えると、気持ちを落ち着かせてカギを構える。

「よし……今度こそ……! って、あれ?」

 カギを挿し込もうとしたら、ドアが勝手に開いたから驚く。
 目の前に彼女が居て、笑顔で出迎えてくれた。

「あ、た、ただいま!」

 思わず抱きつくと、彼女が笑って頭を撫でてくれる。

「もう、メール見て驚いちゃったよ! 今日はもう会えないと思ったから……」

 彼女によく聞くと、お家の人が気を遣ってくれたみたいで夕方には僕の部屋に来てお夕飯を作ってくれてたって話してくれた。

「お家の人からのプレゼントもあるの? 嬉しいなー……あとでお礼の電話しなくちゃ。って、ドア開けっ放しだった……」

 いそいそとドアを閉めると、彼女が荷物を運んでくれる。

「荷物重いよ。大丈夫? あ、手洗いうがいしなくちゃだね……了解です!」

 ビシッと敬礼のポーズをして、いそいそと洗面台へ向かう。
 コックを上げて流れ出てきた水がちょっと冷たくて驚くも、手を泡ソープで綺麗に洗う。

「顔が見られて嬉しいなぁ……何時まで居られるのかな」

 しみじみしながらうがいも済ませると、突然後ろから抱きつかれた。

「わっ! どうしたの?」

 振り返ろうとするけど、ぎゅっと抱き締められてるから身動き取れない。

「ホントにどうしたのー? せっかくだから、顔見てぎゅってしたいなー」

 笑って彼女の手を握り締めると、少しだけ力が緩んだ。
 僕は彼女の手を解くと、くるりと振り返ってぎゅっと抱き返す。

「えへへー、ありがと。あったかいなぁ」

 思わず擦り寄ると、彼女が顔を上げてチュッとキスしてくれる。
 嬉しくて頬が緩むと、またキス。何回もいっぱいキスしてくれるから、慌てて頬を手で挟んだ。

「ま、待って! キミからのキスは嬉しいけど……そんなにいっぱいされちゃうと、ね?」

 ただでさえ会えないと思ってた彼女が目の前に居て、こんな可愛いことをされると僕の理性は簡単に吹っ飛んじゃうわけで。

「えっと、作ってくれたご飯早く食べたいな! さっきからいい匂いがしてお腹がグーグー鳴って……」

 彼女が僕をじっと見たあと、ちらりと横目でバスルームのドアを見やった。
 僕もつられて見て、抱きついたままの彼女へ視線を戻す。

「お風呂も、用意してくれてるの?」

 彼女が頷いて、僕の服の裾を掴む。

「もしかして……お背中流してくれる、的な?」

 期待がむくむくと膨れ上がり、頬を赤く染めて僕の服をたくし上げる彼女に煽られる。

「そんな可愛いことされちゃうと僕暴走しちゃうからー!」
「今日はお誕生日だから、精一杯お祝いするんです」
「そんな可愛いこと言われたらもう我慢できないからー!」

 彼女をぎゅっと抱きしめて深く口付けた。
 唇を離したらトロンとした瞳で見つめてくるし、耳もへにゃんて垂れちゃって可愛すぎる。

「お祝いしてくれるなら、めいっぱい甘えちゃおうかな」

 僕の言葉に彼女は嬉しそうにはにかむと、自分の胸元へ手を伸ばす。
 その手を咄嗟に掴むと、彼女が顔を上げて小首を傾げた。

「僕が脱がしたい。だから、キミは僕のをお願いね」

 さっきまで僕の服を脱がそうとしていたのに、彼女が顔中真っ赤になって俯く。
 僕は彼女の髪を掻き上げると、嬉しい気持ちをいっぱいこめて額に口付ける。

「今夜は泊まっていって。お願い」

 彼女は小さく頷くと僕にキスして服を脱がす。
 僕も彼女の胸元に触れてリボンを解くと、柔らかい唇に深く口付けた。

「お誕生日おめでとう……」

 幼い頃から何度もくれた言葉だけど、歳を重ねるごとに嬉しくて、特別になっていく大好きなキミからのプレゼント。
 来年も、その先も、僕の傍で囁いてね。

 それで僕も、キミへの溢れる想いをこめて、大好きだって伝えさせて――。


 (おしまい)

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 最後までご覧いただきありがとうございました。
 今後とも『えねみーかっぷりんぐ』をよろしくお願いいたします。

#えねみーかっぷりんぐ #えねかぷ #宇佐優月 #記念SS

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