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不安が燃料

世間一般的にも、何か突出した才能を持ち生きていくにもどちらにもなれそうにない自分は、それでも、与えられた人生を愉しく生きてくる事ができた。

日常を愉しむ道具を揃え、愛する人を傍に置き、退屈と孤独を紛らわせる事もできた。

何の愚痴を言えばいいのか…、最近は、幸せが自分を腐らせるなどと自棄にも程があるだろう事ばかり言っている。

自分に無いものより、ある方を数えた方が簡単だ、だってほんの数個しかあげられないのだから。

ただ、無いものの代表は将来性だろう。

人や世の中の本質を見極めて生きてきたつもりで、気持ちが悪いほど、勢いのある人間のその人生論の否定ばかりしてきた。

それで、自分は失敗しない人生を見据えているつもりだった。

そんな自分が一番危ない生き方をしていて、その場限りの生活だけしていた事を数年経って気がついた。

漠然と、得体の知れない大きな不安に覆われて、自分はこれまで幸せだった…、そう言って人生を諦めようとする事が不定期に来る、必ず来る。

酒癖が悪くなってきたのも付き纏う不安からだった。

離れないから距離を空けようと薬や酒で不安から逃げてきた。

不安を抱える自分さえからも逃げたくて、もう離れたくて酒の勢いで山道の崖に何度か飛び込んだ。

それでもこれまで何度も生き延びて、目覚めた後に自分が飛び込んで木に刺さった痕を見て、その時は覚悟を決める事が出来ていた自分が好きになり、心も少しだけ楽になった。

不安が自分を苦しめ、不安が自分を楽しませてくれた。

不安は大っ嫌いで愛おしい。

自分は不安定で不安を抱えた人間の象徴のようなもの。

不安で自分を確立出来たようなもの。

今となってもこれからも不安というものには感謝するし、堕落しながらも支えて貰う。

社不者。


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