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カサナルキセキ

KAN+秦 基博さん 『カサナルキセキ』の歌詞をLLMに読み込ませてプロットを書き出して、プロットから書き起こした小説です。

悠紀はSNSに自分の日常をアップしていた。
好きな音楽や映画、趣味のゲーム、そしてラーメン。
彼はラーメンが大好きで、毎週色々なお店を巡っては写真や感想を投稿していた。
彼の投稿はいつも明るくて楽しくて、見ている人を元気にさせてくれた。

美咲は悠紀の投稿を楽しみにしていた。
美咲は偶然にも悠紀のSNSを見つけてから、毎日チェックするようになった。

ある日、悠紀は行きつけのラーメン屋でラーメンを食べていることをSNSに投稿した。
彼はそのラーメン屋が大好きで、よく通っていた。
その日も美味しそうなラーメンの写真と一緒に、「今日も最高の一杯!」と書いていた。

その時、美咲はたまたまそのラーメン屋に来ていた。
彼女は悠紀が好きだと書いていたラーメンを食べたくて、そのお店を探して訪れてみたのだ。
美咲はSNSを見て悠紀がいるのかと思ってびっくりした。
彼女は店内を見渡したが、それらしい男の子は見つからなかった。

投稿された写真の角度と映り込んだ時計の時間、周りで映っている人の服装から席まで特定できているのに、そこに座っているのは小さな子供とそのお母さんだった。
美咲は不思議に思った。
「どういうこと?」
声に出てしまった。
その時、ラーメン屋の外で大きな音がした。

驚いて外を見ると、車が誤って電柱に衝突していた。
幸いにも運転手も他の人にも怪我人はいないようだった。
美咲が携帯電話を見ると、まさに今起きている事故のことを悠紀がSNSに上げていた。
彼女は混乱した。
この場所にいるはずの悠紀がいない。
なのにSNSだけは現在進行形で更新される。
美咲は思い切って悠紀にDMを送った。

「突然ごめんなさい。あなたの投稿を楽しみに読んでいる者です」
「実はあなたが好きだと書いていたラーメン屋に来ています」
「今目の前で車の事故が起こりました。あなたが上げた投稿もこの事故を写したものかと思います。でもあなたはどこにも見当たりません」
「私は二十歳で女です。長い髪をして赤いコートを着ています」
「もしあなたから私を見つけられたら声をかけてもらえないでしょうか?」
「ラーメン屋の中も外も見渡しましたがあなたはいないようです」

悠紀はDMを受け取って驚いた。
悠紀は美咲のことを知らなかった。
女の子から突然連絡をもらうことなんて経験がなかったので、きっとイタズラだろうと思った。

「こんにちは。あなたのメッセージを読んでびっくりしました」
「僕は今ラーメン屋にいますよ。事故も見ました」
「でもあなたはどこにいるんですか?私は19才で男です。青いシャツを着ています」
「私もあなたを探していますが見つかりません。これは何かの間違いですか?」

美咲は悠紀の返信を読んでさらに混乱した。
悠紀は今ラーメン屋にいると言っている。
でも彼の姿はない。彼女は悠紀に写真を送った。

「これが私です。あなたはどこにいますか?」

悠紀は彼女の写真を見て、イタズラではないのかもしれないと思った。
その写真には確かにこのラーメン屋が写っていたし、彼の隣にいるサラリーマン風の男性が写っている。
汗のかきかたまで横にいる彼のままだ。
彼は美咲に写真を送った。

「これが私です。あなたはどこにいますか?」

美咲はやっぱり混乱した。
悠紀の隣に写っているのは、自分の横にいるサラリーマンで、同じように汗をかいている。

美咲は続けてDMを送った。
「大変不躾で申し訳ないのですが。今から電話できないでしょうか?」
「ふざけているわけではなく、あなたがいるはずの場所には私がいて、私がいるはずの場所にはあなたがいるようです」

電話がかかっていたとき、悠紀は何だか嫌な予感がした。
本当は見たり聞いたりしてはいけないものが今まさにそこにやってきたように。

「もしもし、悠紀くんですか?」

悠紀は恐る恐る電話にでると、可愛らしい声が聞こえた。
「はい、悠紀です。美咲さんですか?」

電話は繋がった。
後ろにかかっている歌謡曲の音や、街の雑踏の音は、まさに電話とは反対の耳に入ってくる音と一致している。
美咲は混乱しながら言った。
「私は今ラーメン屋の入り口にいます。あなたはどこにいますか?」

悠紀も混乱しながら言った。
「僕もラーメン屋の入り口にいます。でもあなたは見えません」

「私は赤いコートを着ています。あなたは青いシャツを着ていますよね?」
「はい、そうです。でもあなたは見えません」
「私たちは同じ場所にいるはずなのに、なぜ見えないんですか?」
「僕にもわかりません。不思議ですね」
「もしかして、私たちはパラレルワールドにいるんですか?」
「パラレルワールド?それはありえないでしょう」
「でも他に説明がつきません。私たちは同じ時間に同じ場所にいるのに、お互いに見えないんです。それはどういうことだろう?」
「僕にもわかりません。でも僕はあなたに会いたいです」
「私もです。私たちはどうすればいいんでしょうか?」

その時、西日が強く目に差し込んできた。
悠紀は西日を見た。
その先には、古びたプラネタリウムがあった。
悠紀は言った。
「西日の方向を見てみてください。プラネタリウムが見えませんか?」
美咲は答える。
「見えます。こんなところにプラネタリウムなんてありましたっけ?」
悠紀は言った。
「ひとまず、プラネタリウムの指定席を買って中に入ってみます」
「申し訳ないのですが、美咲さんも隣の席の指定席を買って入ってもらえませんか?」
「もし僕たちが会えるとしたらあの場所しかないような気がします」
美咲は「わかりました」と答えると、プラネタリウムへ急いだ。

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