理想のマイホームーー大学生が考える38年後ーー
「いってきます」
「いってらっしゃい」
こんな会話はあと何度続くのだろう。
娘は晴れて大学に合格し、来春から1人暮らしが始まる。
「なんでこんなに良い家なのにわざわざ1人暮らしなんてするのかしら。」
「僕も大学時代は自由に憧れたものだよ。」
他愛もない会話と焼けたトーストの匂いに日々幸せを実感する。
30歳になった春、
東京の市内に一軒家を購入した。
18年たっても一度も引越しを考えたことがない。
こういう古い感性が人に老いを感じさせるのだろうか。
玄関に入ると目に入る4