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伝え方の話【No.7 映像の共有】

たとえば、デートで水族館に出かけたとして。
イルカとかペンギンとかアザラシとかを見て
デートをしている二人はほっこりしますよね。

そして帰りの車内で話します。
「イルカショーで水しぶきをモロに喰らった」
「あの空中水槽で見るペンギンは最高すぎる」
「アザラシのようにのんびり過ごしていたい」

二人の会話は盛り上がること間違いなし。
だって二人一緒に行動して、同じ体験をしてる。
同じ映像を共有しながら会話が出来ているから。

これが、共通体験をした人同士の強み。

後日、別の友人に「水族館最高だったよ!」と
熱く語ったところでいまいち盛り上がりません。
だってその友人は、同じ体験をしていないから。
同じ映像を共有していないと話は伝わりません

基本的に、同じ体験をしたことがない人には
話はほとんど伝わらないものです。

盲腸で入院したことがない人が
絶食期間や孤独の窓を理解できないように。

交通事故に遭ったことがない人が
走馬灯の存在を理解できないように。

・・・

ですが、伝え方が抜群に上手い人の場合。
相手が経験したことがないことでさえも
「うわっ!そうなんだ!」と感動体験を
高い精度で伝えることができちゃいます。

あなたの知人や友達にもいないでしょうか。
伝え方が抜群に上手い人。
話をしていてとっても面白い人。

noterさんにだって、それはいます。
文章が生き生きとして映像を想起させる人。

優れた小説家は言葉を紡ぎ、連ねることで
読み手にリアルな映像をプレゼントできます。

伝え方が上手い人というのは
相手に映像を見せるのが上手い人とも言えます。
・・・

「ごめん、何言ってるのかわからない」

スピーチをした後にこんなことを言われた場合
残念ですけど相手と映像が共有できていません。
自分一人だけ脳内映像が進行している状態です。

そもそも、スピーチが盛り上がる場面では
(早く!次!どうなるの?)と言いたげに
聴き手の眼差しはキラキラと輝いています。
目線を合わせて、微笑み、頷いてくれます。

これがお互いの映像が共有できている状態。
伝える側が目指す場所とも言えるでしょう。

では、肝心かなめの「映像の共有」は
一体どうやってやるのか?

これは見も蓋も無い言い方をしてしまうと
センスの問題だと思っています。つまり
現時点で出来ない人は一朝一夕では出来ない

人に教えられて得れるモノではないからです。
自分自身で気付いて、モノにしないことには。

たとえば売れているお笑い芸人さんが
ドッカンドッカンと爆笑を起こせるのは
「知名度」や「鉄板ネタ」もありますけど
「映像の共有」のセンスによる所が大きい。

『Aのワードを聞いた客はBを連想する』
みたいな方程式を確立しているからこそ
芸人と客の映像が共有できて惹き付ける。
結果、笑いに客の意識を誘導できるんです。

この技は誰かから教えられるものじゃない。
自分自身で考えて、たどり着いたモノです。
勿論たゆまぬ努力の結晶でもあるでしょう。

・・・

まとめると、お互いの映像を共有するには
①センス
②ものすごい努力

最低でもどちらか一方が必須というわけです。
ほとんどの人は①②どちらも持ち得ないので
思い切ってあきらめるのも一つの手です。

あきらめると言っても誤解しないで下さい。
話を伝えることをあきらめるのではなくて
冒頭、水族館デートしたカップルのように
同じ体験をしたことだけで話をするんです。

やはり同じ体験をしているというのは
伝え方にとって大きなアドバンテージ。

いっそのこと割り切って考えて
様々な経験を広く浅くやってみるのもお勧め。

多種多様な経験を積んでいるのもやはり
伝え方の大きなアドバンテージだからです。


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