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クールがホットになっちまった話

人は見た目が9割。
第一印象で相手のイメージは決まる。
一度決まったイメージが覆ることはあまりない。

今回は、一度決まったイメージが覆った話です。

私、行きつけの美容院でカットしてるんです。
ええ、1000円カットという名の美容院で。
いや今は値上げして1200円だったかな。

安いからといってあなどるなかれ
その美容院は私の友人(イケメン)が
経営しているところで
値段のわりに腕が良いともっぱらの評判。
朝から晩まで客足が途絶えないお店です。

そこのスタッフにGさん(仮名)って名の
美容師さんがいるんですが、その人の話。

彼の第一印象は「クール」。
良く言えばクール。
悪く言ったら無口。
とにかくほとんどしゃべらない男。
そんな印象でした。

お客さんが入ってきても
「・・・しゃいませ」とボソリ。
あんまり大きな声を出さない。
非常に奥ゆかしい男性なわけです。

あ、誤解のないように言っておきますけど
しゃべらない美容師のほうが好きですよ。
私、カット中にぐーすか寝るタイプだし。
だからクールな彼は良い美容師なんです。

カットの際、私は私は毎回注文するんです。
「襟足はこうして、サイドはこうで」とか。
カットの値段が非常に良心的なので
100%注文通りになるだなんて思ってません。
50%くらい注文が叶えばいいかなって感じで。
ところがその日のGさんはやってくれました。

「終わりました。確認お願いします」

って起こされて、鏡を見たんです。そしたら
120%の超絶良い仕上がりになってたんです。
もうね、本当に嬉しくなっちゃったんですよ。
思わず私、こう言ったんです。

「めっちゃいいじゃないですか!
ありがとうございます!うわ、本当にいい!
サイドも、襟足も、トップも・・・完璧!
マジでこんな最高に仕上げてくれるんですか」

100%本音がダダ洩れしちゃったんですよ。
それくらい満足の仕上がりだったんです。

そしたらね、クールな彼が変化したんです。
彼の顔がこう・・・
『ニコォォオオ』って良い笑顔になったんです。

(この人も笑顔になるんだ)と思うやいなや

「いやー本当ですか!ホント良かったですーサイドに合わせて全体をこう、まとめてみたんですけどいやちょっと切りすぎたかなって思ったんですけどなんかいい感じに仕上がって良かったですーいつもカットされるときはもうちょっと長めを指定されますもんね、でも今日みたいに短めも似合うと思ったんで・・・」

めっちゃ喋るじゃん、このひと!

驚きました。クールだとばかり思っていた彼が
この店で誰よりも饒舌に喋り倒しているのだから。

そしてさらに驚いたことがあって

「珈琲さんの奥様って短い髪型はお嫌いでしたよね。
奥様を怒らせてしまったら申し訳ないです(笑)」

って、言ってくれたんですよ。
なにが驚いたって、私、この日
自分の嫁の話なんて一言も喋ってないんですよ。

いや、この日どころか、クールな彼に対して
自分の嫁の話はほとんどしたことがないんです。

じゃあ、どこから彼は私の嫁の趣味嗜好を
知ることができたのか?

それはきっと一か月前に私が入店したとき。
そのときは女性スタッフが対応してくれたんですが
そのとき確かに女性スタッフと話しました。
「私の嫁は長めの髪型が好きなんです」って。

つまり、彼はその他愛もない話を耳に入れて
きっちり覚えていたと言うことになります。
凄くないですか?
一か月前の、自分が担当していない客の話を
覚えていてフィードバックまでしてくれる。

その事実に気づいてまた嬉しくなりました。
もう、会計のときに言いましたもんね。
「今日はとても良かったです。
また、よろしくおねがいしますね!」って。

もちろん最高の気分でお店を出ましたよ。
ありがとうGさん(仮名)。
あなたはクールでホットなナイスガイだ。

ちなみにその日以降
Gさんとはめっちゃ喋るようになりました。
決めつけってよくないですね。


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