見出し画像

麻雀の女

「ねえ、麻雀教えてよ」

なんだぁ?この女。

麻雀を覚えたい?

はっ、どうせ教えても覚えないだろ。

自分で麻雀の本でも買って覚えろよ。

「わかった。買って読んでみる」

・・・

はーん、本当に買ってきたのか。

マンガで覚える麻雀入門編(仮)ねぇ。

こんなんで覚えられるもんか?

「ねえ、麻雀牌持ってるの?」

ああ?そりゃ、あるけど・・・?

「積み方がよく分からないからやって見せてよ」

はあ?なんでそんな面倒な事

「私は本を買って読んだ。貴方も協力してよ」

まったく、しょーがねぇなあ。

・・・

「へえ。ねえ、牌の手触り、いいね」

だろう?それは俺も思う。いいよな、これ。

しかし、アタマとかメンツとかもう覚えたのか。

「そりゃあ、本を買ったからね」

ふーん。役も分かる?ピンフとか

「いや・・・よく分からないけど」

けど?

「国士無双ってのがカッコいいのは分かるよ」

はっ。そりゃ、確かに。

・・・

「ねえ、これ、上がってる?」

どれどれ・・・おお、凄いじゃん。上がりだよ。

しかもお前これ、ドラが乗って倍満だ。

「うわ、私もしかして強い?凄い?」

あー、すごい。すごい。

「なんか適当に言ってない?」

言ってないよ。いや本当センスあるよ。

「本当?うひひ」

しかしさあ、なんで麻雀なんだ?

こんな面倒臭いの、よく覚える気になったな。

「あー。まあ、ねえ」

どっちかっていうと、麻雀やらないタイプだろ。

「楽しそうに話すからさ」

はあ?誰が?何を?

「貴方が、麻雀の話、してくれたじゃない」

あー、そういえばしたっけ。

え、なに、それで覚えようってなったの?

「うん。面白そうだなって」

へえええー。
はぁー。
そうなんだ。

「ちょっと、驚きすぎじゃない?」

いやあ、そりゃ驚くよ。
君、珍しいタイプって言われない?

「まあ、ちょっと言われるかも」

ふーん。ねぇ、買った本、読ませてよ。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

「ねえ、麻雀やろうよ」

えっ、二人でやるの?

「たまには、いいでしょ?やろうよ」

うーん、そうだね。たまにはいいか。やろう。

「やった。お菓子用意するね」

いやいや、麻雀マットが汚れるから
お菓子はナシで。終わってからにしょう?

「むう。じゃあ、珈琲ならいいでしょ」

お、珈琲、淹れてくれるの?ありがとう。

「たまには私が淹れてあげるよ。感謝してね」

ははあ。感謝感謝でございます。

「やっぱり麻雀は牌の感触がいいよね」

ん?同じこと、昔も言ってなかったっけ。

「そうだった?まあ、良いものは良いよね」

しっかし、よく覚えたよね。麻雀。

「そっちこそその台詞、昔と変わらないよ」

あれ、ぼく、そんなこと言ってた?

「言ってたよ~。まあ、口調は変わったけど」

え?そう?口調、変わった?

「もっと昔はぶっきらぼうだった気がするよ」

あれ、そうだったかな。ぶっきらぼうかあ。

「まあ、別に、いいけどね」

ああ、そういえばさ

「うん?」

なんで麻雀、覚えたんだっけ?

「うひひ。それはねぇ」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?