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【ライブ】L.U.T.D GIGS @東京ガーデンシアター 2024.3.9【シンガーズハイ/フォーリミ/LOW IQ 01/[Alexandros]/MONOEYES/BRAHMAN/10-FEET】

「なんだこの豪華な脳筋メンツは!」と手が滑ってチケットを取った昨年11月。ライブが終わるごとに酒を飲んでいたので記憶が飛んでいることも多いのだが、覚えている限りのライブレポートと雑感。


シンガーズハイ

ルーキー枠のオープニングアクト。ネクストブレイクバンドがこうした大きなステージで見れる機会が少ないので、この場で目撃出来て嬉しい限り。

反骨精神の強い完全にオルタナ。SNSでバズりやすい軽い音楽と真逆を行く、私の欲しかったサウンド。ようやく出てきてくれた。

土台となるライブハウスでの演奏が板についているようで、この錚々たるイカついメンツで堂々とライブしていてとても良かった。ギターがサウスポーなのが好感。

「Kid」で台詞調の「ちょっと言いすぎちゃったみたい」の部分を「そんなあなた達を応援しています」と変えていた。

最近シーンを台頭しているバンドが正直苦手なことが多く、何故かというと「ぽくのお気持ちを歌詞にすればみんな共感してくれるはず、ぴえん」みたいな薄っぺらい感情や、脳死でツイートしたツイートを捻りもせず単に歌詞にしたような音楽が多いからだ。

だから「衝動的に体内から出た言葉」なのか「死ぬ気で心の内側から搾り出した言葉」なのか「頭で考え抜いた歌詞」なのかは一目瞭然である。

シンガーズハイは確実に後者だ。内山ショートのあのファンクなサウンドに乗っかる圧倒的な力量の歌声と、負けじとメロディに乗っかる言葉の熱量の差に寸分の狂いも無かった。

04 Limited Sazabys

フォーリミは去年のビバラぶり。なんだかんだライブが被ることも多いので定期的に見れている。どうしてもお酒を飲みながら見たかったので後方で大人見。

「monolith」「fade」「fiction」と客の熱望の通りにかっ飛ばし、しょっぱなモッシュダイブの嵐。

GEN「04 Limited Sazabysです!ボリューム上げてもらっていいですか?あと、お客さんのテンションももう少し上げてもらっていいですか?」

GEN「VIRGOは俺らが全然まだ服も買えない頃、衣装を貸してもらったお世話になってるブランド。ガーデンシアターでライブやるのは初めてだけど、こないだケミカルブラザーズを見に行った。今年見たライブでトップに入るぐらい良くて、楽しくて、いい会場。俺が見たケミカルブラザーズのライブぐらい楽しんで欲しい。」

GEN「俺らもそろそろ中堅になってきたかな?と思ったけど、このメンツだとまだまだ若手。今日細美さんとかTOSHI-LOWさんとか面倒くさい先輩がいて、そう思うとここ地下格闘場みたい。先輩たちは入りまだだから俺らはハピハピ!(猫ミームのモノマネ)て感じでやろうと思う。来たらベロベロオロオロ(猫ミームのモノマネ)になるけど」

ひろかず「ミャウミャウッ」
GEN「ミャーン」

(謎のクオリティの高さ)

GEN「今日そんな先輩たちがいて本当にやりづらいんだけど(笑)、そんな先輩達は紛れもなく俺たちのヒーローです」

ライブに行くたびにGENさんはいつもMC上手いなと思う。この流れで演奏する「My HERO」もリスペクトで溢れていた。

なんだかんだでフォーリミのステージをちゃんと見たと思うが(大きな会場なので後方にいたりすることが多く、あまりメンバーをまじまじ見ることが出来なかった)、とにかくドラムの凄まじさに気が付く。

そうか、フォーリミのポップさに対してメロコア要素を完全に支えているのはドラムなのか。

GENさんが「愛知のスターの鳥山明先生の訃報があった。いつか鳥山先生にドラクエみたいなアー写を描いてもらいたいと思っていたが叶わなくなってしまった」と、鳥山先生を追悼する内容のMCから「地平線を越え届けたいよ」から始まる「Horizon」が歌詞と現状に合っていて、物凄く染みた。

フォーリミのライブは”ライブキッズの遊び場”という印象が強かったのだが、ブレイクして人気も実力も定着し、その地位を築いた彼らにも少年の夢のような夢があって、まだ彼らは夢を追いかけている途中なのだと思った。

成功者ではなく、”まだ道中”という感じがした。

LOW IQ 01

初見。市川さんのバンドはずっと見たかったのでこの強面メンツで見れて嬉しい。

「大きい会場だしキンチョールが止まらなかったけど、お客さんあったかくてキンチョールが解けて、なんとかなりそう!」

途中からライブハウスでもなく、どことなく感じる解放感とハッピーな雰囲気から、晴天の野外ライブで見ているような気分になった。ライブから伝わる人柄の良さ凄い。

ゲストで当たり前のようにTOSHI-LOWさんや細美さんが出てきては一緒に歌って何も挨拶せずに帰っていって仲が良すぎると思うと同時に、あまりにもスムーズに登場するので、2人とも回転寿司のレーンで回ってくるワサビみたいだなと思った。

形態がほぼ毎回変わるからか、公式のMVとかは少ないんだね。最後の「Starting Over」カッコよかった!お気に入り曲!

[Alexandros]

なんだかんだでライブを見るタイミングが合わず、最後にライブを見たのは武道館ぶりなので2年半のブランク。

しかもこの脳筋メンツに紛れてのドロスとなると全くセトリが読めないので無心で見てきた。

SEで「Burger Queen」が流れると順次メンバーが登場。

1曲目は想定外の「Droshky!」、ステージは暑いのか早くも洋平さんが着ていた長袖のジャケットを脱ぎ、リアドのドラムが合図すれば「Waitress,Waitress!」「Stimulator」は洋平さんが歌い出しを4つ打ちに乗せる入りのEDM風のライブアレンジで演奏。

フロアはもはやパンクバンド並みに続々とダイバーの嵐。そんな私もコロナ前のライブハウスでのドロスを思い出し、いい歳して久しぶりに2曲目でダイブしてしまった。

洋平さんの「踊りましょう」から「we are still kids&stray cats」。今回のバンドどころか演奏した曲で唯一のダンスミュージック、一気にフロアがクラブチックになる。他では見られないライブキッズが身体を揺らす光景に、ライブハウスさながらの迫力から一転し、一気にミッドナイトのムーディな雰囲気に染まる。

曲幅の広さこそドロスの醍醐味だと思うし、それは1つ○役などのマルチ性としての意味では無く、”音楽ジャンルのワイドさ”と言った意味である。

同時に、洋平さんはこの客層でこの曲を投下したらどんな反応するのかを実験をしたかったのかもしれないとも思った。

洋平「今日は暴れてOKな感じ?暗黙の了解とかじゃくて?」

客 \イエーイ!/

「….そのイエーイはOKの方?まあだよね、この後のメンツ見て暴れてはいけません!とか言われても無理だよね!」

洋「VIRGOは最初にファッション雑誌に載せてもらったブランド。ハーフジップのトップスみたいなの着てたかな。こんなポーズでね。」

洋「スタンディングの真ん中から前の方と2・3Fのスタンド席は凄く盛り上がってるんですけど、スタンディングの真ん中から後ろの方がね、いまひとつでふーん、いいじゃない?って感じなんですよね。皆さん、セックスしましょう」

「Mosquit Bite」の白熱のシンガロングから、「閃光」ではサビの度にリフトの壁が出来上がり、彼らの新代表曲となった「閃光」は「ガンダム主題歌」というブランドを超えて、これまた屈強なアンセムに仕上がっていた。それは従来その立ち位置である「Kick&Spin」「starrrrrrr」「city」を演奏しなかったことで証明された。最後はサイレンが鳴り響き、「Girl A」のライブアレンジバージョンで終了。

特に「閃光」でMONOEYESや10-FEETのTシャツを着たお兄さんたちが次から次へとダイブしていく様子がとても嬉しくて、正直このメンツでのドロスはアウェイだし、エルレやブラフマン世代の方々は[Champagne]がアイドルバンドっぽくブレイクしてしまった今のドロスで「ベテランライブキッズは受け入れるのだろうか?」と不安に思っていたのだが、曲を聴く人は曲を聴いているのだと思うことが出来た。

客席からはリアドの名前を呼ぶ声も出てきて、正式加入から数年の時を経て、他のバンドのファンの人にも馴染んできたのだと嬉しく思った。

と、思うのも、私も最初はリアド加入の過程が複雑だったがために受け入れるということに時間はかかったが、やはり彼の実力とこうして続けてきたリアドの実績こそだと思うし、ふとそう思ったのは私もドロスのファンではない人たちと同じ気持ちなのかもしれない。

暴れたい客層でのドロスのライブ、やっぱり最高だな。

後から気づいたけど、ラインナップが普段MCで下ネタ言ってるバンドが多いせいか、洋平さんが下ネタ発言しても騒ぎ立てるどころかあっさり受け入れられてて面白かった。

MONOEYES

細美さん自体はELLEGARDENで見ているが、MONOEYESとしては4〜5年ぶり。最初に細美さんを見たのがMONOEYESだったので久しぶりに見れて本当に嬉しい。

スターウォーズのSEが流れると、「Run Run」「Free Throw」,
細美さんの「スコットが決めるぜー!」のお決まりの合図でスコットがメインボーカルの「Roxette」、そのままアリスターのカバーで「Somewhere On Fullerton」で息つく間も無くモッシュダイブの暴風雨。

敬愛を込めて今回のセットリストも”馬鹿野郎のため曲”ではあるが、とにかくスコットのアリスターカバーが始まってからの威力は桁違いだった。

MONOEYESは本当にカッコイイ。曲の核にある温かさと優しさ、心から4人がロックバンドを楽しんでいる様子が音に出ていて、形容出来ない”MONOEYESというバンドのカッコよさ”がひしひし伝わった。

「Two Little Fishes」で案の定TOSHI-LOWさんが出てきたと思ったら隈取りのお面を被りながら出てきて、と思ったら隈取りのお面取ったらちゃんと自分の顔にも隈取りのメイクをしていて、マトリョシカみたいなことをしていた。

細美「…隈取りの下に隈取りってね(笑)仕込みが凄いわ。」

細美「VIRGO20周年おめでとう!何で俺らが呼ばれたのか分かんねえけど!
最初は大きい会場大嫌いだったんだけど、最近大きい会場もいいなと思うようになった。こんなにもたくさんの馬鹿野郎が集まってると思うとさ!」

そんな馬鹿野郎のために演奏された「When I Was A King」「My Instant Song」、最後は意外と「彼は誰の夢」で終了。おっとり終わるMONOEYESもまた味がある。

「馬鹿正直に生きる社会のはみ出しものを受け入れる場所」、それが細美武士のロックなんだ。

BRAHMAN

TOSHI-LOWさんの存在感がありすぎて勝手にブラフマンのライブを見ていたと思っていたが、実際はMONOEYESとの対バンぶりなので5〜6年ぶりだった。イカツイお兄さん達の大暴れに耐え切れる自信が無かったので後ろで大人見。

「賽の河原」「SEE OFF」「DEEP」の怒涛の畳み掛けに対し、緩急の激しいBRAHMANの音楽で百戦錬磨のダイバーのリズム感の良さに脱帽する。

TOSHI-LOW「VIRGOは最初から値段相応のクオリティの服を作っていると思われているかもしれないけど、最初は酷かった…!もらったジーンズのポケットに手突っ込んだら、ついてたチャックで血まみれになった。」

「VIRGOのブランドとしての付き合いは古い訳ではない。11年ぐらい前かな、デザイナーの喜多條は元々バンドをやっていたけどいつの間にか解散してしまった。でもそんな奴らいっぱいいるから気に留めなかった。」

「ある日、たまたま居酒屋であった。帰り際ぐらいに『ちょっと時間ある?』と声をかけられた。『今服のブランドをやってるんだ。当時は恥ずかしくていえなかったけど、今は様になってきた。だからトシくんに着て欲しい』。」

「当時は裏原宿が流行って二番煎じ、三番煎じと言われることが多かった。バンドを辞めて目的を失ったやつはいくらでもいる、そして新しくやり始めようと思ったその勇気を受け取ろうと思った。」

「そして数年ぶりにまた服を着ることになった。ジーンズのポケットに手を突っ込んだ。…血まみれになった。」

「日常で嫌なこととかあるだろうけど、好きな服を着るとちょっと値段張ってもいい気分になるよね。そうして日常を生き延びることが出来ると思うんだ。」

そんなようなことを話して、この後は怒涛のゲストラッシュ。「What's Borderless?」「SUPER STUPID Ⅱ 」ではLOW IQ 01と、「今夜」はいつもの細美さんと、 「満月の夕」はORANGE RANGEのYOHさんが三味線で参加。最後は「Fibs In The Hand」でしっとり終了。

ロックバンドでもトップクラスでライブが激しいと有名なBRAHMANだが、今回は常に激しいバンドがいたせいか、静と動の”静”の曲がより麗しく聴こえた。

10-FEET

会場入口に四星球からお花が届いていたので「10-FEETと見せかけての四星球だったらどうしよう」と思ったが、ちゃんと10-FEETで安心した。

※詳細を知らない人はフォーリミのミステリーツアーで検索

お決まりのSEである「そして伝説へ」が流れると、ニョキニョキと上がるリフトやタオルより、先ほどのフォーリミのGENさんのMCをふと思い出す。

平成生まれの私は当然ドラゴンボールは世代ではなく、「銀魂」のパロディやなんならテンフィのSEでドラクエの曲だと知ったぐらいであり、鳥山先生は知った時からレジェンドすぎて天の上のような存在だったため、正直亡くなったことは訃報を知り数日経った今でも現実味が無い。

「時間ギリギリだから目一杯ぶっ飛ばしていくで」とTAKUMAさんのMCから「goes on」「Re方程式」「ハローフィクサー」とエンジン全開。

「goes on」でたまたまサークルの近くにいたので久しぶりにサークルに入ってきた。知らない人と肩組んで、グルグル回って、多幸感に満ち溢れる。

TAKUMA「俺らトリやけど、さっきまでいろんなゲスト出てきて豪華だったのに3人だけになっちゃった。NAOKI、なんか言いたいことある?」

NAOKI「VIRGOの服は大好きで、今日も全身VIRGOです!」

京都弁の人の話し方っておっとりしてて癒される。地味にテンフィのMCほのぼのしてて毎回楽しみにしてる。

直後は「RIVER」「その向こうへ」「第ゼロ感」と、もはや客を潰しにかかるようなキラーチューン連発。

元バスケ部で、唯一紙の媒体で持っている漫画が「スラムダンク」であるほどの大ファンで、何より10年来のロックキッズの私はスラムダンクの主題歌にThe Birthdayと10-FEETと解禁された当初は「フェスに行けばスラムダンクの主題歌が聴ける世界線ヤバくない?」と「第ゼロ感」を聴いてないにも関わらずそれはそれで変な理由で狂っていたのだが、実際その世界線に渦中にいる事実が本当にヤバイ。

ロックバンドを知った14年前はこんな世界は想像していなかったどころか、「山王戦が映像化する」と思うような動きも無かったのだ。

案の定「THE FIRST SLAMDUNK」にドハマリして映画館に27回見に行ったし、結果的に円盤は3形態コンプしたし(ブルーレイとDVDを間違えて予約していた)、そんな人生のバイブル映画の主題歌なのでもはや「第ゼロ感」は私の赤血球である。気がついたら息を吸うようにダイブしていた。飛ばしてくれたお兄様ありがとう、私を軽々持ち上げてくれた筋力カッコいい。

下にいるときより人の上を転がっているときの方がお客さんの「ウォーオオオーオー」がよく聴こえてきて、”歌声のなかにいる”という不思議な感覚に陥った。

ライブが終わる度に酒を1缶開けていたせいでテンフィのとき既に5本分のアルコールが体内にある状態ではあるが、酒を抜きにしても盛り上がらないところが無いし、自然発生する一糸乱れぬ完璧なコーラスに、サークル、モッシュ、ダイブ、各々が各々の楽しみ方で曲を楽しんでいたにも関わらず、一体感が凄まじかった。

最後は「蜃気楼」「ヒトリセカイ」で終了。ライブやりすぎてTAKUMAさん本調子では無さそうだったし、無理はしないで欲しいな。


総括

始まる前はスタンディングでチケットを取ったことを後悔したけど(笑)、ダイブする人たちは大半「ありがとう」と言いながら飛んで行ったし、下の人も常に絶対にダイバーを落とさない意思を感じてフロアの治安も良かったし(勿論私も意識してたし)、何よりみんなハッピーで楽しかったからやっぱりスタンディングで良かった!

今後のライブ予定も激しめバンドのチケット取っちゃってるので体力つけよ。(笑)

余談

帰ってきたらチバさんのメモリアルフォトが届いていた。

偶然にも今日見に行ったライブのメンツ、ほとんどチバさんのこと大好きな人たちの集まりだもんな。

”ジェリーの魂”は彼らの根底にあると思うし、あのステージに立ったバンドマンは息を吸うようにチバさんへの敬愛が常にある、このタイミングでこれが届いた事実に、なんとなくそう思った。



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