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ツアーファイナルはまだ旅の途中だった【2019.6.16[ALEXANDROS]さいたまスーパーアリーナ】

2018年12月から東名阪のZepp公演を皮切りにスタートしたドロスの最新アルバム「Sleepless in Japan」を提げたツアーその名の通り「Sleepless in Japan Tour」のツアーファイナルがさいたまスーパーアリーナで行われた。
兼ねて腰を痛めて休養中だったDrサトヤスの復活ライブでもあったのだ。

正真正銘のロックの王者

セットリスト
1,LAST MINUTE
2.Starrrrrrr
3.I Don't Believe In You
4.Follow Me
5.spit!
6.GIrlA
7.真夜中 (ピアノ)
8.Come Closer
9.PARTY IS OVER
10.SNOW SOUND
11.Kaiju
12.MILK
13.Mosquito Bite
14.Kick&Spin
15.You're So Sweet & I Love You
16.明日、また
17.NEW WALL
18.Fish TAcos Party
19.Your Song
20.Adventure
21.アルペジオ
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en.1 Burger Queen
en.2 Dracula La
en.3 月色ホライズン(新曲)
en.4 Pray(新曲)
en.5 ワタリドリ(銀テープ)

照明が落ちると川上洋平、白井眞輝、たまアリより復活の庄村聡泰、膝の骨折が治らなかった磯部寛之が松葉杖でステージに登場、そしてチームドロスに欠かせないキーボード・ロゼの5人が揃う。

セトリは当初から変わらず以前から密かに披露していたアルバムのリードトラック1曲目の「LAST MINUTE」から心地よいブラックミュージックで観客を酔わせると、次曲で洋平が花道に飛び出しお馴染みの白のストラトであのコードをかき鳴らす。そしてドカーン!と炎を吹かせた演出でシャンペ時代からの名曲「Starrrrrrr」に繋ぐ。

「彷徨って 途方にくれたって また明日には 新しい方角へ」

ヒロも座りながら「埼玉ーーーー!」と叫び観客がお馴染みのシンガロングを発生させ、会場のボルテージは一気に最高潮。

続けてベースを持ちつつヒロがボンゴを叩くと同時に会場からクラップが鳴り、
洋平が再度「埼玉ーーーー!」と叫ぶと研ぎ澄まされた初期衝動のようなロックナンバー「I Don't Believe in You」で曲中ではサトヤスとロゼが掛け合い、間を入れずに「Follow Me」 、「tu-tu-tu-tu-tu-tu-tu-tu-tu--ta」と洋平がコール&レスポンスを求めると「spit!」とNYで制作された曲たちを埼玉に次々投下。

「飛べるか埼玉ーー!」と煽ると「GirlA」に入り、時計の針が動く時空の歪みを表現した深夜の摩訶不思議な映像をバックにロゼがワンフレーズ「真夜中」を弾くと「Come Closer」「PARTY IS OVER」「SNOW SOUND」で洋平がサブステージに来ると「埼玉に季節外れの雪ふらそう!」とで柔らかなポップを挟む。

「改めましてこんばんは、[ALEXANDROS]と申します!
さいたまスーパーアリーナ、Sleepless in Japan Tourのファイナルの2日目です。会場が大きいから花道がいつもの2倍あってさっきやった「SNOW SOUND」の2Aであっち行こう(上手)としたけど間に合わないけどそこ(サブステ)で歌い切りました。

昨日は雨でしたけど今日は晴れてますね。雨バンドとか言わないでくださいね。
来週からアジアツアーがあるので今日で終わった感じはないですが、日本でのツアーはファイナルです。まだ後半戦にも行ってないですよ。

みなさん自由にしていいですからね。暴れたかったら暴れてもいいし、大人しく黙って見たかったら大人しく見ててもいいし。暴れるだけがロックじゃないですから。ベースの人みてください!座ってるのに頭こんなになってますから!ここがロックならいいんです。自分自身でいること、それがロックです」

と洋平自らいつもどおり「自分なりの自由」を与えるとヒップホップ「kaiju」へ。
Kaijuではラボボールのようなボールが飛んでき、アリーナの観客は弾いたり飛ばしたり、楽しそうにしている。すぐさま「MILK」「Mosquito Bite」と繋ぐ。

ツアーを各地回った人は違和感があったと思う。
なぜなら思いっきり「KABUTO」を飛ばしているのだ。まあ飛ばしてもやっても、曲の流れとしての違和感がなかったのは何だか逆に凄いと思った。

そしてレーザーのように突き抜けるシンセサイザが鳴ると会場はライブの大定番曲、そして抜群の支持を誇る人気曲「Kick&Spin」へ。
イントロがしばらく鳴るとサトヤスのバスドラムがビートを煽り、サトヤスのドラムに合わせてこの曲の主役と言っても過言ではないGt白井がフライングVを持って堂々と花道を歩きながらサブステージまでやってくると荒々しくギターをかき鳴らす。中盤で洋平はハンドマイクをいいことにあっちやこっちを歩き回り、途中カメラの前では数秒間真顔になったり笑いを誘ったりもした。

6/22は川上洋平の誕生日

熱いステージを魅せられた中、サブステージの上からはドラムセットが照明に照らされ、堂々と降りてくる。
サブステージなのにこんなに堂々としているセットの登場は始めてた。熱気に包まれる中洋平がサブステージに1人でくる。

「センターステージ独り占めの時間です。
年末から全国回って今回がツアーファイナルですが、こんなに人が集まってくれるなんて嬉しいですね。俺普段はパーティー野郎じゃなくて、いつも誕生日なんかはメンバーにスタジオでケーキだしてもらって祝ってもらって終わりーって感じなんですけど、こんなに俺のこと知ってる人がいるのに毎年事務所に届く誕生日プレゼントが3〜4個しかないんですよ。来週俺誕生日なんですけどね!当日はアジアツアーで上海にいますけどね!

なんか不思議とあっち(メインステージ)にいるよりここ(サブステージ)にいる方が緊張しないんですよ。何でかってここだとみんな俺しか見てないと思うから!なんか最初アナウンスとか流れるけどあんなん無視していいから。俺がライブやってる時は俺が王様だから!俺が一番偉いからさ!」

一般ピーポーがあんなこと言ったらめっちゃムカつくと思うし、中学だったら女子の悪口の標的になり兼ねない発言だが何だか川上洋平が言うとうざくないというか、結果を出しているからなのか全く嫌じゃない。
一周回ってうんうん、分かってるよ、と言いたくなる。逆に言い切ってるのがいいのかもしれない。

そんなことを洋平がためらいなく豪語しているとユアソーこと
「You're So Sweet & I Love You」へ。
洋平がアコギで歌うとぞろぞろと白井が歓声を浴びながらギターを持って花道を歩き、サトヤスが歩くと様になりすぎてファッションショーのランウェイに見えるがここはロックバンドのライブ、個性的ながらも細身でスタイリッシュな風貌で約
2ヶ月弱のブランクを感じさせない馴染み具合で堂々と風を切るように歩く。
最後に花道を通らずステージ脇の階段から松葉杖でヒロが上がると曲中でも少しばかりの声援が送られる。

そしてライブは続き、華麗な爽やかなメロディが印象的な「明日、また」でメインステージに戻り「NEW WALL」 パーカッションをふんだんに使ったイントロで華を添える「FISH TACOS PARTY」「Your Song」と繋ぎ、「Adventue」「アルペジオ」と繋いだ。

これは個人的な思い入れなんだけど「Your Song」には映像があって就活が思うように行かなくて落ち込んだ女の子に曲がその子に寄り添うっていうストーリーなんだけど、私も同じく就活してた時はドロスの曲にものすごく救われてた。なんせ社会人経験のあるバンドだからさ、社会の痛みとか曲を書いた洋平だけじゃなくて全員わかってるんだよね。
当時は「NEW WALL」が新曲で出てた頃で就活でお金ないのにCDを買った記憶がある。私は新曲出すたびに当たり前にCDを買うタイプじゃなくてジャケットで買うか決めることが多いからCD出るから買うか〜っていうのは基本的にない。なぜ買ったかといえばNEW WALLは当時の私にしたらすごく応援ソングだったのだ。
Your Songを聴いて、あの時の私が聴いていたらどんな感想を持つだろうと思った。目の前の現実を見たくないから曲を聴かないように耳をふさぐのか、逆にまだまだやってやるって思うのか、過去の自分だけど気になるな。

HEAVEN'S ROCK さいたま新都心と[Champagne]


アンコールもすぐに始まり、珍しくヒロがリッケンバッカーで掻き鳴らした「BugerQueen」が鳴り響くとマスロック的な要素を含めたクラップで一丸にする「Dracula La」へと流れるように紡いだ。直後、Baヒロが座りながらこんな思い出話を始めた

「今日ここ来るときに通ったんだけどさ、さいたまヘブンズロックって知っている人いますか?10年ぐらい前かな、当時[Champagne]で事務所に所属することになってまず最初に先輩のツアーにくっついて回るっていうことをしたんですけど、そのツアー初日がそこだったんです。俺らは武者奉行ツアーって呼んでるんですけど。そのとき今みたいにTシャツとかタオルとか物販がなくてCD持ってったら今まで1枚売れればよかったCDが70枚も売れて、嬉しくてメンバーと焼肉食いに行きました。懐かしいですね。その頃からここでライブできるようになったなってまだまだ満足はしてないですけど嬉しいです。長いツアーで各地最高だったけど今日来れなかった人も他会場来てくれた人には感謝してます、そして今日集まってくれた皆さんありがとうございます。」

そう「エモい」話で会場からその惜しみない努力に拍手が送られる。さらっと洋平が切り上げると続けて

「というわけでアンコールありがとうございます!
今日は父の日ですね。次新曲やるんですけど、歌詞に「飛行機の窓から世界を見た」っていうフレーズがあるんですが父に「飛行機から世界は見えないだろ」って突っ込まれまして。笑 母情報なんですけど。俺が物心ついた時からビジネスマンだった父についていろんな国へ行って、住んでいたシリアもそうだけどヨーロッパとかアメリカとか連れてってもらって、その経験が曲につながっていると思います。」

と決して「普通」ではない特殊な生活環境で生きてきた洋平が父に感謝を述べるとアクエリアスのタイアップ曲「月色ホライズン」へ。ライブで初聴だったが、ヒロのスラップが中盤に切れ味を入れてはいるが爽やかなロックポップスナンバーだった。

「最後なので近くに行ってもいいですか?」と再度サブステージに行き
「バンドメンバーの皆さんを紹介する前に、各地回ってくれたスタッフさんに大きな拍手を!」とこのツアーを捧げてきたマネージャーや機材担当のスタッフ、そして各地の会場や物販のスタッフにも大きな拍手が送られた。

そしてメンバー紹介が始まると「サポートとは言いたくはないけど」というほぼメンバーだという旨でロゼを紹介をし、洋平から「今回よりサトヤスが復活しました!」と自分のマイクをサトヤスに渡すと
「えー、UKP所属の[ALEXANDROS]のドラム担当の庄村サトヤスと申します。マイクを渡されるとおふざけに入ってしまうのですが、ご迷惑おかけしましたが無事復活することができました。まだ数曲ありますので曲で応えたいと思います」と普段MCをしないサトヤスから貴重なコメント。「復帰とならずでしたが、ベース磯部寛之!」「唯一このツアーで何事もなかった男、ギター白井眞輝!」そして「岡山では喉をやってしまいご迷惑をおかけしましたが、なんとかやりきれましたボーカル川上洋平でした。」と挨拶をするとゴジラの主題歌「Pray」へ。

以前のライブハウスツアーでは「Key,ロゼ!Ba,磯部寛之!Gt白井眞輝!ボーカル、川上洋平!!!」と曲中に熱いメンバー紹介をしていたが今日の洋平はとても謙虚に、感謝の気持ちが前面に伝わるようなファイナルだからこそ感じる感傷的な寂しさを見せた。

「ラスト一曲、歌ってくれますか!本番で声を枯れてもこの曲は歌い切ります!」とライブ直後にはLove Musicの出演を控えたドロスがブレイクした名曲「ワタリドリ」を演奏。この日のワタリドリはいつもの熱気と比例してとても寂しそうだった。ツアーファイナルだもんね、メンバーも音がとにかく寂しそうだった。泣くの堪えたよ。
会場には銀テープが飛び、高らかなシンガロングが会場を包み、最後は4人で向かい合わせになり曲を締める。

最後にロゼを含めた5人が会場の真ん中で互いの肩を組み、歓声と拍手を静かに抑えた洋平がオフマイクで「愛してるぜ埼玉ーーー!」と叫び、洋平がヒロのほっぺにチューしたり、洋平や白井が自身のピックを客席に投げ、ステージを後にした。

サトヤスの兄「たく兄」登場と九州ツアー詳細発表で湧いたたまアリ

ラインの公式アカウント等でも流れているが、最後にモニターには撮影されたショートドラマがある。今回はどうやらサトヤスが兄を連れてきたようだ。
サトヤスと同じ風貌のロン毛にキャップ、名前は「たく兄」というらしい。メンバーとは初対面なのに一方的にベラベラ喋っている。誰だろう?と全員が思う中、たく兄はサングラスを外し正体を現した。なんとたく兄の正体はあの「木村拓哉」だったのだ。

そして福岡公演で発表された毎年ドロスが行うワンマンライブ「V.I.P party」が今年は「九州ツアー」という形での開催と日時・会場がエンドロールで発表された。長崎、福岡、鹿児島、熊本、そして沖縄の5箇所9公演の開催。

私はライブで一番盛り上がったのが多分九州ツアーの発表だと思う笑
なぜなら、私は九州と沖縄が大好きだからだ!
チケットが取れようが取れまいが、飛行機に乗って行くのだ!


[ALEXANDROS]が紡いでくれたご縁と忘れられない思い出

高松、沖縄、福岡、そして最後は地元・埼玉と周り今回のツアーは今までダントツで濃い思い出になった。
各地で会ういつめん、遠い沖縄の地で出会った友達、連絡手段がわからなかったのに偶然にも再開した友達、のちにSNSで出会ったフォロワー、そして何よりこうやってたくさんの縁を繋いでくれたり今まで知らなかった景色を見せてくれたドロスにはとても、とても感謝している。音楽が紡いた、ライブで出会ったご縁っていいよな。

今回発表された九州ツアーも、まだまだ見たこのない景色と降りたことのない土地へ、彼らについていきたい。


今回記事タイトルを「ツアーファイナルは途中だ」と矛盾させたのは洋平も言っていたように来週から以前から発表されているアジアツアーが始まるのだ。
アジアツアーを終えてからは息をつく暇もなく夏フェスシーズンに入るので、アジアツアーは治安などの状況にももちろん気をつけて欲しいし、メンバースタッフともに全員健康で回って欲しいと願う。

後これだけは最後に言わせて欲しい。

地元でワンマンしてくれてありがとう、[ALEXANDROS]!


最後までお読み頂きありがとうございます!頂戴したサポート代はライブハウス支援に使わせていただきます。