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【ライブ】TK from 凛として時雨 「MAD SAKASAMA TOUR 2024」 @仙台Rensa 2024.4.21

去年は時雨での活動が多めだったTKだが、今年はソロで大型全国ツアーを開催。今回は「MAD SAKASAMA」ツアー初日を目撃しに仙台へ。

仙台Rensaは個人的にも「katharsis」ツアー以来5年ぶり。レンサのある7Fまで階段を上がらされた影響で絶賛筋肉痛の最中だが、感想兼レポをつらつら。

ライブレポート

1曲目はこの曲が発表されてから10年目、そしてTKと共に「東京喰種」という作品を世に知らしめた「unravel」を皮切りにスタート。

もはやレギュラーメンバーの売れっ子ドラマー・ホリタツ(BOBO)も今ツアーから復帰し、「MAD SAKASAMA」のツアータイトルの通り、「unravel」をトッパーに持ってくることによって、徐々にではなくいきなり原点回帰したかったのだろうと彼の描くシナリオを察知した。

2曲目に早速「NHK みんなのうた」のテーマソングとして起用され、「TK from 凛として時雨」と名前だけで世の中に困惑と不安を轟かせた「クジャクジャノマアムアイア」を投下。こども向け番組に普段叫び倒したり殺伐とした雰囲気が持ち味のアーティストの起用で、未だに曲が解禁されていないにも関わらず情報を見た全員が困惑していた空気感は二度味わうことは無いだろう。

TK「仙台、お久しぶりです(手を振る)ツアー初日ですが爆裂やっていきますので、最後までよろしくお願いします」

「Will-ill」ではライムグリーンの照明にイントロがスローのライブアレンジ、「己よくたばれ」で中指を立てていた。

「鶴の仕返し」は東北ではまだまだ見頃の桜がふっくら咲く穏やかな気候とは裏腹に、ライトブルーの照明により氷柱が突き刺さるような冷徹な不穏さを掻き立てる。一瞬でガラリと空気を変えてしまう圧巻の曲の力量に怯んだ。

今回のライブは盟友・BOBOさんが帰ってきた影響もあり春うらら、登場時から楽しそうなアットホームな雰囲気が場内を包んでいた。

だが全体を通すと三寒四温で、バンドメンバーのあたたかく和やかな空気感と、冬のガラスのような無機質で冷たいTKサウンドが代わる代わる顔を覗かせていた。

「Dramatic Slow Motion」では一郎さんのベースが腕を鳴らす。そよ風が心地よい今日の気候で演奏されたこの曲の「この耳鳴りが死ぬまで続けばいいな」のはっきりと確立した儚さに、爽快ながらもペインフルな気持ちになった。

「Fu re te Fu re ru」のCメロでのチェンジオブペースを巧みに操るライブアレンジに、鋭い日本刀で攻撃されているような感覚に陥る。居合斬りのように直線的というよりは、相対的に身体や空間を駆使した柔軟な太刀筋で、特にTKのクリエイティビティな側面が表れているように思えた。

「皆さんの歌声が必要です」と煽っては「P.S.RED I」、赤と青のライティングでスパイダーマンを表現しつつ、ギターのパートが無いCメロではTKが右手を大きく振りかぶってフロアを煽り、熱量がぶつかり合って雪だるま式に巨大化する。

本編は「film A moment」。”尊厳”とも表現できる貫禄とストーリー性が音の大波となり、壁一面になって襲いかかるようで、今回は前回のツアーとは打って変わって演出は照明だけのはずなのに、その壮大さからまるで北欧の映画を見ているような気分になった。またTKに中指を立てられた。

今回仙台への遠征を決めたきっかけがピアノのサポートに「THE FIRST TAKE」でも出演したjizueの片木さんが4月公演分の仙台と福岡に出演するからだ。

「絶対にジャズが得意な片木さんのピアノとステンドグラスや万華鏡のように音の情報量が多いTKのサウンドは相性が良い」と思っていたのだが期待通りで期待以上、特にこの曲の相乗効果は抜群だったように思う。

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TKがピックを投げて退散し、アンコールの拍手に包まれ再登場。

「何故かメンバーが出てこないので紹介します。帰ってきました堀川、片木希依、須原杏、吉田一郎、TKです。」

「年々激しさを増しておりまして、死にものぐるいでやっておりますが、さらに死ぬ曲をやります」

TKの口から「死」が出れば、それはもうお決まりの無理心中への誘いで「first death」に突入。

人の心が無いこれぞ「チェンソーマン」の残忍さに「狂暴」「凶暴」「強暴」、どの漢字に当てはめても間違いではない暴力的で強靭な混沌の渦に呆気にとられる。なんでだろうな、「first death」を聴くたびに毎回デンジが暴れまくる姿がステージに浮かび上がるんだ。

ラストは「もう1回新曲をやります!」とヒロアカ主題歌となった「誰我為」をついに初解禁…ではなく、本当にもう1回「クジャクジャノマアムアイア」を演奏。

おそらく彼史上初であろう、曲のやり直しではなく2度同じ曲を演奏するという新人バンドみたいなことをする彼の童心が、クールなライブの余韻をかっさらって行った。

どうもいつもより和んだ雰囲気が前面に出ていると思っていたのだが、こうしたサプライズを用意されていたのか。完全に1本取られた。

AMASAKAS DAM

いつもバンド自体の雰囲気は良いのだが、今回はライブでは初参加となる片木さんも含め、ところどころ笑顔を見せていたり、みんな楽しそうに演奏していたところが印象的だった。

先日「unravel」の勢いは止まらずついにSpotifyでは3億回再生を突破したTK。

曲の不穏さに反してライブは全然怖くないし、ソロは大人しめで一人参戦の方も多いです。激しめの曲ではかなり盛り上がりますし、TKも煽りにくるのであんまり心配いらないです。一度でも最高峰のギターテクニックと世界の「unravel」を聴きに来ては如何だろうか。

(「TKソロのライブに行くか迷っている」というツイートをいくつか見かけたので沼への誘い)

セットリスト

1. unravel
2. クジャクジャノマアムアイア(1回目)
3. Abnomal trick
4. Will-ill
5. 鶴の仕返し
6. Signal
7. Wonder Palette
8. copy light
9. Dramatic Slow Motion
10. Fu re te Fu re ru
11. Addictive Dancer
12. flower
13 P.S. RED I
14. film A moment

en.1 first death
en.2 クジャクジャノマアムアイア(2回目)

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