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烏森珈琲 関口さんインタビュー

今回はコーヒ共和国(以下共和国)メンバーであり、現在、新橋の烏森神社の参道で「烏森珈琲(Karasumori Coffee)」を運営する関口さんへインタビューさせて頂きます!

小学生の頃からラーメンマニア


それでは最初に自己紹介をお願いできますでしょうか?

関口照輝(せきぐちてるき)と申します。

飲食業との出会いの話からしますと、小学生の時に紀伊國屋書店でラーメンの本をたまたま手に取ったことがあったんですね。ちょうどその頃が「ご当地ラーメン」というような言葉が出てきていて、ラーメンブームの時代でした。そこに載っていた様々な種類のラーメンにすごく惹かれて、立ち読みを終えようとしない僕を見かねて、姉がそのラーメン本を買ってくれました。その本を家で貪るように読んだことをきっかけにラーメンにどんどん熱中していきました。四六時中、トイレに入ってる時も読んでたくらいで、載っている店長の名前や、お店の最寄駅など路線図を横目に睨めっこしながら全部記憶するまでになり、更に2冊目、3冊目とラーメンの本を読み進めていたので、家族からは「ラーメンが学校の勉強なら東大行ける」と言われていました(笑)。

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小学校6年生くらいの時に見ていたTVチャンピオンのラーメン王選手権では、出場するラーメンオタクの方達がなかなか答えられなかった問題に対し、テレビの前で先に答えを当てちゃうまでになっていました。少ないお小遣いを握りしめながら友達を強引に誘ってラーメン屋巡りをしていた小学生時代でした。

中学・高校時代は部活漬けの毎日でしたが、大学に入って時間ができ、アルバイトするならラーメン屋でしたいと思っていました。

そんな時に、たまたま東京にある博多一風堂に食べに行ったら、そこで働いていた同世代のスタッフたちがすごく元気良くて、楽しそうに働いていたのと、創業者の河原社長をよくテレビで見ていたので、一風堂でアルバイトすることに決めました。

池袋店のオープニングスタッフとして働き始めたのですが、思っていた以上に楽しくて、ラーメン屋の花形ポジションでもある、麺上げのポジションまで早く昇進したかったので、どうやったら周りの学生アルバイトに勝てるかを考えた結果、僕はテストそっちのけでシフトに入り続けました。結果、大学の単位と引き換えに誰よりも早く麺上げができるようになりました(笑)。

その後、New Yorkに一風堂が海外初出店するという話を聞き、まだ海外に本場感のある日本のラーメン屋が無い状況だったからこそ、この歴史的な瞬間に是非立ち会いたいと思い、現地学校に通いながら一風堂New York店の立ち上げに関わらせてもらいました。そこで見た現地New Yorkでの大行列と、お客さんたちがラーメンを楽しむ姿は、日本の食文化の可能性を強く感じました。2008年のことです。

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その後日本に戻り、株式会社ユニクロに新卒入社しました。

「グローバル総合職」といった採用を打ち出していて、近い将来海外で活躍できる若手の新卒採用に力を入れていました。飲食領域ではありませんが、「日本から世界へ」という一風堂New Yorkで感じた文脈で、入社を決めました。

その後、リクルートに転職してホットペッパーグルメを担当していましたが、心のどこかで学生時代に働いていた一風堂の動向がずっと気になっていました。

そんな時に「一風堂の河原社長の秘書をやらないか」と声をかけてもらい、これはもう行かせてもらうタイミングだなと思い、2016年に一風堂を運営する株式会社力の源ホールディングスに入社し、社長室と人事を担当しました。その頃、一風堂は13カ国・地域に展開するまでになっていました。

その後独立して、今は人事コンサルティングや、プロジェクトのディレクションを主軸に、全国で色々な仕事をさせてもらっています。

今までお話を伺った中だけでも、ラーメンに対する深い愛が随所に感じられましたが、そこからコーヒーにつながったお話も伺えますでしょうか?

昔からカフェというものにはすごく興味があって、20代の頃に好きなカフェが千駄ヶ谷にあって、そこが好きすぎて千駄ヶ谷に引っ越したこともあるくらいです。

また、WIRED CAFEなどを運営しているCAFE COMPANYは、
CAFE = ''Community Access For Everyone“と定義しています。

つまり、「カフェはあらゆる人々がアクセスする場所であり、コミュニティだ」ということです。

これを初めて見た時は、ちょうどコミュニティという言葉が日本で流行し始めた頃で、すごく自分に刺さったんです。勉強している人、商談している人、デートしている人、一人で過ごしている人もみんなが集う場所で、そして街と共にある、これがカフェなんだと。

このカフェの存在意義にとても惹かれたことを覚えています。

ただ、ずっとカフェという存在には興味がありましたが、コーヒーにまで落とし込んだことはなかったですね。

バリスタのイメージを覆す人だな

そして、独立したタイミングで、コロナウイルスがやってきました。

家で過ごす時間が増えて、朝の通勤などの時間が無くなって浮いた時間で何かを始めたいと思うようになり、その1つがコーヒーを淹れることでした。コーヒーは僕の中で朝のスイッチを入れてくれる存在だったので、そのスイッチの源を自分で淹れてみようと。そこからYoutubeで「コーヒー/淹れ方」とかで調べるようになりました。

そうすると色んな人が出てくるわけなんですが、その中で井崎さんの「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」の動画が出てきました。この動画を見たときに、他の方の淹れ方と比べての良し悪しというのは、正直僕は素人でわからなかったのですが、井崎さんのプレゼン力や、雰囲気を見て、僕の持っていたバリスタのイメージを大きく覆す人だなと感じました。

これ言うといつも怒られるんですけど、今まで勝手にイメージしてきたバリスタっぽくないなと(笑)。

それですごく気になって井崎さんのプロフィールを調べていくと福岡県出身って出てきて。一風堂時代を通じて福岡にも住んでいたし、魅力的な福岡出身の人たちに囲まれていたので、この人もまた福岡なんだなって(笑)。
改めて福岡との縁を感じました。

他にも何をやっている方なんだろうと思って色々検索していたら、そこでコーヒー共和国というオンラインサロンもやっているっていうのを知りまして。その時にも「バリスタでオンラインサロンやってる人ってなかなかいないよなー」って思って、やっぱりこの方は、コーヒーだけを突き詰めた世界チャンピオンというよりも、もっと裾野が広い人であり、ビジネスマンであり、色んな興味と引き出しを持っている方なんだろうなと勝手に妄想していました。
加えて井崎さんが掲げている「Brew Peace」という言葉に、共感、共鳴しました。確かにコーヒーを味わう時間って、大袈裟抜きで平和じゃないとできないし、平和の象徴だなと。

共和国に入会して、自分のコーヒーの知識も深めていきたいと思いました。


なるほど。コーヒーとの出会いと井崎さんとの出会いはほぼ同時だったわけですね。

そうですね。あのyoutubeに出会ってなければここまでのめり込むことはなかったと思います。

あと、コーヒーそのものに関して言うと、エチオピアのベリー感のある甘いコーヒーを体験した時に、今まで感じたことない味わいに感動したんですよね。

「もう一度マウンドに立ってください」

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そういった経験も経て、2021年9月に新橋に「烏森珈琲」をOpenされたということで、まずはOpenに至った経緯についてお話伺えますでしょうか?

先ほどもあったのですが、会社員時代は出勤時間が早いタイプで、コーヒー自体にはそこまでこだわりはなかったんですが、コーヒーというものが自分の朝のスイッチを入れるものになっていました。またアメリカなどで見ていた朝のカフェの景色が色濃く残っていて、カフェは朝のカルチャーを作れるし、つくりたいという思いがコロナ禍で芽生えるようになりました。

じゃあどこでどうやるか、という話になった時に、地元の練馬で兄が接骨院を継いでいるので、最初そこの一角でやろうかとも思ったんですが、場所的にも出店の投資に見合うリターンを得られるのかどうか、今の仕事とのバランスをどうするかということを考えていると、なかなか一歩が踏み込めない状態でした。

ただ、口に出して言わないと形にならないなとも思っていたので、色んな人に「カフェをやりたい」という話を漠然とはしていました。でも先ほどの理由もあり、口に出して言っている割に、なかなか行動できていない自分にもちょっと嫌気がさしていました。

そんな時、仲良くしている後輩が「テルさん、もう一度マウンドに立ってください。もう一度マウンドに立ったほうがいい男です。」と言ったんです。

僕が学生時代に野球でピッチャーをやっていて、そこに掛けた言葉だったんですけど、もっと自分を表現する表舞台に立ったが良いです、そっちの方が向いてると思いますっていうことを言ってくれて、確かに自分も独立して色んなクライアントさんのお手伝いをさせて頂くことを生業としてきていますが、もっと自分ごととしてリスクを負ってやったほうがいいな、と思えたんです。

その言葉がかなり自分の背中を押してくれました。

また、自分自身が現場に立つことが本業にも活きてくるなと思ったので、これはまずスモールスタート含めてどういう形でもいいからコーヒーを通じて何かやろうという覚悟が決まった頃に、ちょうど株式会社ミナデインの大久保社長が、「うちが定休日の日曜限定で、まずはやってみたら?」ということを言ってくださいました。株式会社ミナデインといえば、新橋の烏森エリアを中心に、大人気の飲食店を複数展開している会社です。

創業店舗でもある「烏森百薬」は、烏森神社の参道にある店舗で、雰囲気も店づくりも非常に魅力的だったので、これは大変有難いお話だなと思いました。

そして日曜日のみの営業ですが、新橋という場所は日曜日に多くのお店が休みなので、日曜日営業が定着すれば近隣のお客さんにとっても良いかなと思いましたし、ミナデインにとっても新しいコミュニティができると思いました。

週に1回だけの営業ではありますが、集客を日曜日にしっかりと最大化できるのであれば、最も効率的に本業と烏森珈琲の運営を両立させられるんじゃないかと考えました。

もちろん毎日営業していることがカフェの存在意義として大切でもありますが、まずはできることの中でそういう割り切りができたので、今の営業スタイルで始める決心ができました。

不思議で、気になる存在でありたい

それと、共和国の皆さんとの交流を通じて、日常にコーヒーのある世界が当たり前の環境になったというのは大きく、感謝しています。

僕が共和国に参加していることの意味をどこで持たせようかなと考えたときに、どうせなら何か成果を形にしたいと思い、コーヒー好きが短期間でコーヒー屋をオープンさせるメンバーが出てきても面白いんじゃないかなと思いましたし、大袈裟かもしれませんが、それが色んな情報をシェアしてくれるメンバーの皆さんへの感謝の形につながれば嬉しいなとも思いました。

あとは、共和国以外でもまずは一歩踏み出してみること、できる理由を探すこと、やってみて今度はそれを継続してみることが、誰かの刺激になれば良いなという気持ちもあります。

僕は不思議なコーヒー屋という存在でありたいな、という気持ちを持っていて、業界の人からしたら遊びのように思われるのかもしれないけど、ギリギリのラインはしっかりと保つというか、ちゃんとやることはやりながら、一方で自分にしかできない形でコーヒーを通じて何か動きを作っている存在でありたいと思っています。

また、井崎さんにご縁をいただき、ご実家でもあるハニー珈琲さんでオリジナルブレンドと、コーヒーバッグもつくらせて頂きました。本当に貴重で有難いことです。

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引き続き、日曜限定でされていく感じなんですか?

年明けに、福岡でPOPUP出店をさせて頂き、多くの方に来ていただくことができました。また、数カ所から出店要請をいただいたりしていて、どんな形になるにせよ、今年は何かしらの形で動きを作っていきたいなとは思っています。引き続き、不思議な存在というか面白い存在でありたいという想いはあります。

世の中にすごい人ってたくさんいるわけで、それを追っかけていたらキリがない。その中で自分にとってカッコいいっていう軸を大切にしつつ、「自分がやる意味」を追求していきたいです。

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そういった関口さん独自のスタイルが烏森珈琲に活きているんですね。日曜だけ現れる不思議なコーヒー屋「烏森珈琲」の今後の発展に益々注目ですね!本日は貴重なお話を聞かせて頂き有難うございました!


◾️関口さんプロフィール

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小学生の時にラーメンの食べ歩きをスタート。
新卒で株式会社ユニクロ入社。その後株式会社リクルートを経て、
一風堂を展開する力の源ホールディングス入社。
社長室、採用・教育責任者を経て、2020年独立。
現在は、人事領域支援を本業としつつ、日曜日に「烏森珈琲」を運営。

◾️烏森珈琲instagram https://www.instagram.com/karasumori_coffee/

■コーヒー販売:https://karasumori.base.shop/





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