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全生徒とslackで連絡し、自由な授業を受けられるN高が凄い。

1年ほど前、とあるITベンチャーのイベントで、1人の高校生に会ったことがある。

そのイベントは、非常に人気の高いもので、有名IT企業のマネージャークラスや、有力なベンチャーにいる人が参加していて抽選倍率も非常に高いものだった。しかし、その中に一人やたらと若めの大学生っぽい子がいて、早めに就活してるのかな、と気になったので話しかけてみたら、彼はまだ高校生だという。

高校生でITベンチャーのイベントになぜ参加しているのか?たずねてみたら、どうやらビジネスコンテストにも出場し、優勝したこともあり自分でIT事業を作ってみることを考えているらしい。

もちろん、普段のニュースでも高校生で起業したり、ITを勉強している子がいるのも知っているから、珍しいけれどありえる話だなとは思っていた。どんな高校で何をしているのかと聞いたらN高等学校、通称N高と呼ばれる通信制の高校だった。

N高は、ニコニコ動画を運営する会社の母体、カドカワが運営している高校で、数年前からネットで見かけたことがあり、名前自体は知っていた。

その場で俄然興味が湧いて、どんどん質問をしてみたら面白い話がたくさん聞けた。

全生徒がslackで繋がる高校なんて聞いたことない

一番驚いたのは全生徒がslackにぶち込まれて、必要な情報はそこでやり取りができる仕組みがある、ということだ。一般の高校ではスマホを持ち込みOKにするかどうかでさえメチャクチャ揉めているのに、N高ではslackで全生徒が入っているチャネルがあり、個別で生徒同士でもガンガンやり取りをしているらしいのだ。

通信制の高校で、最初に沖縄で数日間の研修がある以外は、基本的にオンラインで完結するため、オンライン上でのコミュニケーションが非常に重要なのだろう。

たしかにリアルな場で集まることの価値はビジネスの場でもまだ残っているが、あと4,5年もすれば会議や集まりもVRなどでさらに代替されていく未来があると思う。

slackを使おうなんて普通の高校で採択されるには、あと100年くらいかかるんじゃないだろうか。


デザインやプログラミングなど、好きな授業を受ける

なぜ、彼にN高に進学しようと思ったのか聞いてみたら、

「普通に進学校に進んで、興味のない授業を聞きたくなかった」

というような回答が返ってきた。

N高では、学校の授業は好きなものを選択すればいいらしく、デザインやプログラミングの基礎なんかもネット上でサクッと勉強出来てしまうらしい。

イメージとしては、東進の衛星予備校やリクルートのスタディサプリに似たようなシステムだろう。

(引用元:N高校 ネット学習より)

こうしたネット学習自体は少し前から普及しつつあるけど、高校のカリキュラムとして使えるのは本当に珍しいと思う。ノートの板書も居眠りして聞き逃したとしても、自分のペースでガンガン勉強できるし、いつでもスマホでも授業が受けられるのは魅力的だ。

また、カリキュラム自体もプログラミングやデザインなど普通の高校では勉強しづらいことも勉強できてしまうのも魅力の一つだろう。(専門学校というものもあるとは思うが)

こうした自由で効率的なプログラムで自分のやりたいことに直結することだけをひたすら勉強しているN高からは優秀な人材がドンドンやってくるなと感じた。

設立3年目で早慶合格10人、学費も安い

僕が高校生の頃は重い教科書をどっさり背負って、授業を黒板から全員が鉛筆で書き写す、忘れたらノートを借りたり、、、なんていうことをやっていたら、もうネット上でサクッと授業見て勉強している彼らに勝てなくなる世界がくるんだろう。

実際、最近ニュースになっていたが、設立から3年でN高から10人早慶に合格者が出たそうだ。

学費も公立高校が3年でだいたい70万円くらい、私立の名門なら150~200万円くらい、N高の通信制なら~80万円程度。ネットで良質な授業がガンガン受けられて、学費も私立よりめっちゃ安い、5年、10年後にはもっとN高は人気になると思う。

ちなみに、この先高校を卒業したらどうするのか?とイベントに参加していた彼に聞いてみたら、大学に進学せずに個人事業主や起業することを考えているらしい。大学に進学しても学びたいものがあまりないらしく、選択肢として外れるような印象を持ちました。

確かに、大学に進学しても興味のない〇〇文化論だとか、2度と使うことのないし興味もない中途半端な第2外国語を学ぶくらいなら、今自分の興味のあるITサービスについて勉強したり実際にやってみる方がよっぽど良い。

オンラインであることを逆手に取った部活動

普通オンラインの通信制だとリアルな場で顔をあわせることができないため、部活動はなかなかやりづらいのでは、というイメージがある。

しかし、N高校では美術部にプロのイラストレーターが顧問につき、slack上でイラストの指導を行なったり、クイズ研究会がニコニコ動画で生放送でクイズ大会を開催したり、ネットがフルに使えることを生かした部活動を展開している。

なるほど、そう来たか、と感心してしまった。

通常のリアルな高校の部活動は、リアルであるが故に場所に縛られて、優秀な顧問を獲得するのが難しかったり、ましてインターネットをガンガン使って学校から生配信なんて芸当はできない。

でも、インターネットを使えるのであれば、優秀で多忙な人に少しだけ講師を依頼したり、ネットがあるからこそできる自己表現・発信することには非常に向いている。


名門高校・大学の在り方が変わっていく未来

リクルートが出しているスタディサプリや東進の衛星予備校なんかもそうだが、質の高い授業は録画すれば誰でも安価に受けることができるので、単純に情報として体系化できる学問の教育はコンテンツとして陳腐化していくと思う。

これまでは、富裕層クラスは小さいうちからお受験して名門の学校に入ってレールの上をひた走りしていくのがお決まりだったが、今後はこうしたN高の在り方を受けて、大きく変わっていくだろうなと感じた。

ちなみにここには書ききれなかったけど、他にもVR入学式、ドラクエ内のフィールド遠足をやっていたり、何でもありかよとツッコミたくなるコンテンツはたくさんあったり、esportsやフィギュアスケートで優秀な成績を残している生徒もいるらしい。

なぜ、こんな話を書いたかというと、これまでの30年とこれからの30年は当たり前だった常識が大きく変わっていく、ということを発信したいからだ。(別に30年じゃなくても良い、前後10年でも50年でも良い、とにかく過去と未来だ)

これからの時代、みんながそうしているから、という先入観だけで物事を判断し続けると、期待通りにならないことが多くなると思う。自戒を込めてだが、何が起きているか、自分の眼でみて考えて、人生を進むことを大事にして欲しい。

読んで頂いてありがとうございます。自分の話を通じて誰かの挑戦を後押しできるよう投稿していきます。フォローするといろんなテーマの話が自動的にお届けできます。 かへい