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ばあちゃんの作ってくれた料理


子供の頃の話を少し。
私の母は九州は福岡県出身。美容師を15歳からやっています。母の親、私のばあちゃんは髪結いでお嫁さんを作ってました。兄も私も美容師。代々同じ系統の仕事をしています。でも子供の頃私は美容師をする気はなく普通に企業で働へくのがいいと思ってました。理由は忙しすぎるから。
私が幼稚園に通う時既に店をしていた母はお客様がいらした時は同じ幼稚園に行く友達のママさんたちに私を委ねるか、父が休みや午後出勤の時に幼稚園のバス停留まで行ってもらう。私の友達はお母さんのお迎えがあるけど私はほとんどなかったのです。バス停から友達はお母さんのお迎えで共に帰りそれを横目で見ながら私は家に歩いて帰る。それが日常でした。
子供は残酷で思った事をそのまま口にします。グループのボスのみーちゃん。はズバッと思った事を言っちゃうタイプでいつも母のお迎えが無い私に言いました。
「ねぇ、ヨジーちゃんっていつもお母さんのお迎え来ないね。何で?あ、わかったヨジーちゃんのお母さんはヨジーちゃんの事嫌いなんだ。ね、チッチ、ヒロミちゃんそうだよねヨジーちゃんはお母さんに嫌いって思われてるからお母さんがこないんだよ。カワイソー。」私「違うよ。お母さん仕事で忙しいからだもん…嫌いじゃなくて…ゴニョゴニョ」←喧嘩になりそうで強く言えない。
みーちゃんのお母さんはその様子をみても全く我が子を咎めることはしないで笑って見ていました。←酷い😅

泣きそうになるのをこらえながら家まで走って帰るとその日はばあちゃんが家に来てました。
髪をカットしに来ていたのです。そのついでに母親が働いているので私達の晩ごはんを作って居てくれてました。そのばあちゃんの姿を見て私は耐えきれずわぁーって泣き出して「ばあちゃん、ばあちゃんのバカ、来てるならなんでバス停まで迎えに来てくれなかったのばあちゃんのバカばあちゃんの…
」それを見てばあちゃんびっくりして、「ヨジー、なんで泣く?ばあちゃんびっくりしたよ。なんで泣く?」私は泣きながら悔しい思いをばあちゃんにぶちまけたんです。みーちゃんに言われた言葉が辛くて。それを聞いたばあちゃんは「わかったからもう泣くな。そんな意地悪な子は構うな。ばあちゃんご飯作ったからおかずちょっとたべてみろ。ほら。」
そう言って私の涙を自分のつけてる白い前掛けで拭いて←今思うとちょっと汚い😅
私の口にまだ温かいミックスベジタブルで作った一口サイズのかき揚げを入れてくれた。
ばあちゃんはいつも一緒にいないからバスの時間がわからないのも知ってる。そんなばあちゃんに八つ当たりしてもばあちゃんは怒らずなだめてくれた。いつもは厳しいばあちゃんだけどその時は怒らなかった。ふっくら膨らんだカラフルなかき揚げはばあちゃんの思い出の味になった。
美味しかった。素直にそう思った。なんのことはない普通のかき揚げだけど。シンプルに塩味のかき揚げなんだけど美味しかった。ばあちゃんの優しさの詰まったかき揚げ。思い出して作ってみました。でもなんかあの時のばあちゃんの味にならないの。
今となってはきくこともできない。ばあちゃん、どうやって作ったらあんなに美味しくできるの?ばあちゃん…。
もうすぐばあちゃんの命日だね。4月30日。
ばあちゃん、ごめんねあの時八つ当たりしちゃって、、。

ばあちゃんの味に近づかない。見た目は同じなのに。

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