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湿度があってくねくねした音楽

【オロロトリヒロより】
今回は萬里くんに続いて自分の好きな音楽について。

雨季の音楽

僕はアジアの音楽、特に伝統音楽が好きだ。
ベトナム、タイ、ミャンマー、インドネシア、などなど。
なぜこんなに惹かれるだろう。
非西洋音階、リズム、伝統音楽そのものの社会における在り方だったりと色々理由は思いつくけど、ぱっと耳に入った時の音楽そのものの響きや雰囲気が好きだ。

なんだかしっとり、じっとり、もわっとしている。
雨季のある国の湿度のある音楽たち。

動画はベトナムの伝統音楽カイルオンのスタンダードな曲「Vong Co」。

音楽には作った人や演奏する人がいて、聞こえてくる音の向こう側にその人たちが住む土地や生活がある。逆に見ればその土地の風土の特徴がそこに住む人々の性格をつくり、音楽にも宿る。

この本を読んでからそんなことをよく考える。

梅雨のある日本との共通点や共感する点がたくさんあるのだろう。実際にベトナムやタイやインドネシアに旅行するとずっといたいと思えるくらい好きだし風土そのものが好みなのかもしれない。

そして好きな音楽のある国の料理はたいてい美味しいような気もする。と考えていくと風土か音楽かどちらが先に好きかわからなくなってくる。

うねうねくねくね

湿度とは別にもう一つどうしても惹かれてしまう音楽の要素がある。こちらは具体的な技術で「ピッチベンド」という音程をなだらかに変化させる演奏方法。うねうねくねくねとした表現には曖昧さやユーモア、時に間抜けさがあってとても好きだ。

バイオリンやチェロなどのフレットレスな弦楽器やスライドギター。スライドホイッスルやトローンボーン。ハーモニカや声、などなど。アーティストたちに注文できるならもっと曲に採用してほしいし、採用する際はピッチベンド大盛り、しつこいくらいしてもらいたい。

最初にシェアしたベトナムの音楽がまさにピッチベンドだらけ。ベトナム伝統音楽カイルオンにとってのピッチベンドは日本の演歌でいうところの「こぶし」のようなものらしい。

最近「ましろのおと」というアニメを見て津軽三味線にもピッチベンド的な表現があることを知った。自国の音楽に無知で恥ずかしいけど日本の伝統音楽にもピッチベンド表現がある。

ずっと好きなアーティスト、レイ・ハラカミやDirtyProjectorsもピッチベンドを多用するから好きなのかもしれない。

結局なぜピッチベンドが好きなんだろう。
表現される音の柔らかな印象や、音程が五線譜から逸脱して動き回るようなルールから飛び出す自由さを感じるからかもしれない。

あとは湿度との共通点で考えると「空間が埋まっている」感じだろうか。空気中に満たされる湿潤と半音以下例えばドとド♯の間が隙間なく満たされているところ。乱暴ないい方をするとデジタルではなくアナログ的というか。

うむむ、、うまく説明できないけどたぶんそんな感じ。

音楽妄想旅行

自分の好きなものを好きな理由を知りたいとずっと思っている。
好きなものやそれに関わりそうな本を読んだり調べてみたりてしていくと、違うジャンルでバラバラだと思っていた複数の好きなものが時にある1点で共通点がみつかって繋がったりすることもあって、そんな時はとても興奮する。

音楽もいろんな聞き方があると改めて思う。
音楽の奥にあるもの、アーティストやバンドの背景にある文化や思想やメッセージを知ったり想像するのはもちろん楽しい。インタビューなどでそういう情報は得やすかったりする。

さらにそこに、この曲は湿度60%くらいだな〜とか、この曲は暖かい寒いとか、山っぽい海っぽい街っぽい、みたいなことを個人的な感覚で感じてみる。自分の好きな曲が生まれた風土や環境を想像したり調べたりする。そんな音楽の聴き方をするとちょっとした妄想旅行になってとても楽しい。
ステイホームな今おすすめです。










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