星の歌アイキャッチ

【クリエイターズギルド作品】星の歌

Introduction

こんにちは。クリエイターズギルドです。
このプロジェクトは、金髪ラッパーCOKOの『クリエイターで何か作ってマネタイズしよう!』という号令で集まったメンバー15名で、作り上げたものです。

15名のメンバー全員が参加できて、かつマネタイズってどうしたら?

COKOが辿り着いた答えは『全員参加で1つの作品を作って、共感を呼ぶ』ことでした。

クリエイターは孤独です。
こだわりの強さから、時に人と衝突してしまうこともあります。
ですが同時に、その豊かな感性から、人と繋がることで新たなイマジネーションを起こすこともあります。

そんなクリエイター達が
『1つの作品を作る』

想定通り、いえそれ以上に、イマジネーションがイマジネーションを呼び、気づけば作品が出来上がっていきました。誰一人、見ているだけだった人はいません。

これはたった3週間のできごと。
その間メンバーは、直接会うこともなく互いに仕事を抱える中で、その合間をぬって作り上げてきた作品が、こちらです。

どうぞその世界をご堪能ください。
そしてこのクリエイターの世界に共感頂いた方がいらっしゃったら、ぜひに有料noteも購入頂ければと思います。
COKO達クリエイター集団が、いかにして作品を作り上げたか、その軌跡をご覧頂けます。
あなたも今日からクリエイター。
願う人全てがクリエイターとして生きられますように。
その想いが、ここには詰まっています。


2018/10/13 発売を記念して行ったラジオが大盛況でした!


目次
Introduction
「星の歌」ロゴ
オリジナル楽曲「星の歌」(Lyric Video)
小説「星の歌」
竹とんぼ製作日記
クレジット

----有料ゾーン----(「星の歌」の舞台裏)
オリジナル楽曲「星の歌」(Logic Video)
クリエイターズギルド航海日誌
(他、10/17まで順次追加予定)


「星の歌」ロゴ


オリジナル楽曲「星の歌」


小説「星の歌」

「やめろ。来るな…」
僕は必死に後ずさりする。
でも目の前の生き物は僕を許してはくれなかった。
「来るな!!」
終わった。
僕はぐっと目を閉じた。

こんなはずじゃなかったのに。

☆☆

「ご搭乗の皆様、このたびは誠にありがとうございます」
宇宙船のロボットキャビンアテンダントが、お決まりの台詞を告げている。
僕たちはこれから、未開の星『ケイタラ』へ向かう。

僕たち地球人が宇宙旅行に気軽に行くようになって100年間。
ケイタラは、地球以外で初めて見つかった水のある星だ。
無人探索機の調査によると、地球と何ら変わらないらしい。
今、地球では資源が枯渇していることが深刻だった。石油や石炭は底をつき、エネルギー資源が極端に限られている。
そこで、この新しく見つかった水の星を、資源供給地として活用しようとしているのだ。
『ケイタラ』の語源はケータリングからきているらしい。

宇宙船に乗っているのは、僕を含めて4人だった。
金髪のイリナ。空手道場の娘だけど、型ばかり上手くて試合は勝てない。
眼鏡のアオイ。アニメオタクの引きこもり。
ロングヘアのサキ。絶対音感があるそうだが、歌はいまいち。
そして僕。僕は猫背で何の特技もない。竹トンボが遠くまで飛ばせるくらいだ。

つまり、そういうことだ。
ここに集められたのは皆、社会的に価値のないポンコツ。
いてもいなくても、地球にとっては同じ。
だから今回の探索チームに選ばれた。
ケイタラの有人探索はこれが初めてで、何が起こるかわからない。
そう、つまり、そういうことだ。

☆☆

初めてみるケイタラは、地球そのものだった。
いや、地球よりもずっと美しい。

広大な大地のほとんどは浅い湖で覆われていた。足首までが水に浸かるその地には、みたこともない植物たちがそこかしこに生えている。
魚のような両生類のような生き物たちは、湖の中を駆け回っていた。
昼間は太陽の光で湖はキラキラと光り、夜には月がぼんやりと映った。
僕はうっとりと見惚れてしまう。

こんな世界があるなんて。

息を深く吸うと、全身が浄化されるようだった。

今回の調査の目的は、地図を作ることだ。
それで僕たちは、できりかぎり色々な場所を見て回った。
ケイタラは地球の1/200の大きさしかない。
ひとまず調査は1ヶ月。
しかしそこで、今回の事件が起きたのである。

☆☆

僕たちは二手に分かれて調査していた。
僕はイリナとペアだった。
2人で水辺を歩いていると、ふとイリナの姿を見失ってしまった。
「イリナ?」
辺りを見回したけれど、誰もいない。
湖の水音が、ザザザ、ザザザ、と音を立て始める。
どこだ、イリナ。
僕の背中を一筋の汗が流れる。

その時、何かが僕の頭の上を抜けた。
振り返ってみたが何もいない。
しかし次の瞬間、目の前に水の壁が現れた。

なんだ、これは。

湖の水が壁のようにせり上がり、僕の目の前に迫ってきている。

「やめろ。来るな…」
僕は必死に後ずさりする。
でも目の前の生き物は僕を許してはくれなかった。
「来るな!!」
終わった。僕はぐっと目を閉じた。

再び目を開けると、目の前には金色の髪が揺れていた。
振り上げたイリナの片足で、水の壁はパシャン、と音を立てて崩れていく。
「何やってんだ、しゃんとしろ!」
イリナが僕の頭をぱんと叩く。
「逃げるよ!」
イリナに手を引かれながら、僕たちはひたすら走った。

☆☆

「それ、本当?」
アオイが訝しげに僕の顔を覗き込む。
「本当、だよ」
イリナがたしなめるように言った。
キャンプに戻った僕たちは、アオイとサキに水の壁について報告した。
今までそんな危ないことはなかった。
動物たちはいるけれど、僕ら人間のような文明を持つ生き物にも会ってはいない。

キャンプとは言っても、どこもかしこも浅瀬であるので、木々で組み上げた即席のロッジのようなものだった。
時折、湖の波で揺れる気がしてびくっとする。

僕たちは外に出て月を見上げた。
ケイタラに来てからの、僕たちの日課だった。
夜には、こうして4人で月を見る。
誰が言い出したかも覚えてないし、理由もただ「月が綺麗だから」とかそんなものだった気がするけれど、慣れない日々を過ごす僕たちにとっていつのまにか大切な時間になっていた。

☆☆

「さっきはありがとう」
僕は欄干に腰掛けて、立ったままのイリナを見上げて言う。
イリナの金髪は月明かりを浴びて、輝いてみえる。
湖に映った月は、波で滲んで揺れていた。
「何でもいいから、できることを、やりなよ」
イリナはいつでも正しい。
僕は黙ってうなづいた。

☆☆

その時、サキが突然立ち上がった。

「ねぇ、何かこれ、音楽になってない?」

何のことを言っているのかわからず、僕たちはぽかんとする。

「波の音が、微妙にほら、ほら、音階になってる」
サキの声が明るく響く。
普段はおとなしいサキが嬉しそうにしているので、なんだか僕たちも嬉しくなる。

「なんかあっちの方に高い音が流れていってるな」

サキが指差した方向に、僕たちは行ってみることにした。

☆☆

そこはゴツゴツとした岩場で、最初に僕たちが探索を終えた場所だった。

ところがあの時とは圧倒的に違うものがあった。
正確には、あの時いなかったものがいた。

白い髪に七色の目。
全身、水に濡れている。

「良い耳を持っている子がいるんだね」

それは僕たちと同じ形をした生き物だった。

☆☆

浅い泉が広がる静かな岩場。

ヒトと同じ姿をしたその何かは、岩場の中央に立って僕たちを見ていた。

泉はあちこちから水が湧き出て、緩やかな斜面を下流へと流れる小川に繋がっている。
ケイタラを満たす湖の源泉はこの場所なのかもしれない。

「あなた、誰?」

少し不安そうな声でイリナが聞いた。

その生き物はしばらくこちらをじっと見た。
それから、消え入りそうな微笑みを浮かべて言った。

「ボクは水の精。この星の命たちの、源だ」

☆☆

自分のことを水の精と呼ぶ彼の話を、僕らは誰も笑わなかった。

楽園のように美しいケイタラの中でもひときわ神秘的なこの岩場。
そこにたたずむ彼の姿は神々しくさえ感じられて、だから発せられる言葉にも不思議な説得力があった。

彼はずっとずっと昔、まだこの星が岩の塊だった頃に生まれたそうだ。

それから気が遠くなるような長い時間をかけて少しずつ自分の分身である水を行き渡らせ、植物や魚のような生命を育んできたのだという。

音さ、と彼は言った。

「ボクは心で音を奏で、それを水に乗せて届けることができる。穏やかな音色に彩られたその水が、この星のすばらしい緑や湖の生き物たちを支えているんだ」

僕らの中でその音が聴こえるのはサキだけだった。
君はすごいね、と褒められ、サキは目を輝かせて喜んでいた。

僕たちは平和で優しい談笑を楽しんだ。
イリナの強引なリクエストで、僕は竹トンボを披露する羽目にもなったけど。
植物の葉と茎で急ごしらえした竹トンボは、空たかく舞い上がっていった。

こうして僕たちは友達になった。

長いこと楽しい時間を過ごして、僕たちは帰ろうとした。
帰りぎわ、ありがとうと言ってから、彼は寂しそうな顔をして下を向いた。

「この星は、ボクは、そう永くはないんだ」

笑顔で岩場を去ろうとしていた僕たちは、悲しげな彼の様子に戸惑う。

「どういうこと?」

そう聞くイリナにすぐには答えず、彼は足元を濡らす豊かな湧き水に目を落とした。

「この星は、他の惑星からの侵略を受けていてね」

侵略? とサキが聞き直した。

「うん。彼らの惑星は非常に高い文明を誇っていたんだけど、行きすぎた機械主義のために滅んでしまった。今は不毛の地らしい。そして別の惑星に避難して、それ以来、何かに急き立てられるように近隣の星々を征服して回っているんだ」

僕らは何も言えず黙っていた。

「一度滅んだ彼らには姿かたちと呼べるものがない。文明とともに肉体も失ってしまったんだ。だから彼らは対象物を同化して支配しようとする。この星なら水だ。君たちも遭遇したことがあるんじゃないかな」

イリナと僕は顔を見合わせた。
あの、水の壁だ。

「ただね、侵略されるならそれも仕方ないとボクは思っていた。ものごとの流れに逆らわない性質でね。故郷を追われた彼らがこの星に目をつけて攻め込んでくるなら、それを受け入れよう、そう思ってたんだ」

そこで言葉を切って、彼は夜の大空を見上げる。
それから視線を戻して僕を見ながら、でも、と続けた。

「でもね、君の、竹トンボっていうのかい、どこまでも空を飛んでいくあの竹トンボを見て、ボクはこの星を、君たちと出会えたこの場所を、守りたいと思った。こんな気持ちは初めてだよ」

☆☆

帰り道、僕たちはひと言も喋らなかった。

キャンプに戻っていつもの寝床に入る前に、いつものように、誰が言うともなく月を眺める。
でも、眼前に広がる景色はいつもとは違って見えた。

「ぼくは好きだな、この星……」

アオイが、ぼそりと呟いた。
月の灯りが眼鏡に反射している。

無口で自分から会話を始めることのないアオイがそう切り出しても、誰も驚いたりしなかった。

全員が同じ思いだったからだ。

胸が熱くなったのか、サキが目を袖口でこすりながら言う。
「わたしも。こんなに綺麗な音のする星を、侵略なんてさせたくない」

いきなりイリナが空手の型をして見せ、強烈な蹴りを空に向かって突き出した。
「あいつら、私がまた蹴り飛ばしてやるわ!」

僕らの中に笑いが起こった。このメンバーとなら、と僕は思った。
このメンバーとなら、何だってできる気がする。

「それで、あんたは?」

イリナが欄干に座る僕を見る。
もちろん、と強くうなずいて、僕は欄干から勢いよく飛び降りた。

☆☆

「彼らと戦う、だって?」

翌朝、僕たちは岩場を訪ねた。
具体的なことは何も考えられてない。けどこのままじっとしていてはダメだと思った。

「でも、どうやって? ボクは戦い方を知らない、情けない話だけど、争いはまったくダメなんだ」

彼にそう言われて、僕らは黙り込んでしまった。
全員がこの星に来てからいちばん頭を使ったはずだけど、いいアイデアは浮かばない。

ふいに疑問が湧いて、そういえばさ、と僕は口をひらいた。

「あいつらはどうしてここに来ないの? ここにだって水はあるのに」

ああそれはね、彼が答える。

「ボクの奏でる音だよ、音が強く大きくとどく範囲には、彼らはやってこれないみたいなんだ」

「もしかして、音楽が嫌いなんじゃない?」

当てずっぽうにイリナが言ったその言葉に、みんなが希望を見出した。
彼らの弱点は、音なのかもしれない。

「でも、どうやって倒せばいいの? そいつらは水と同化するんでしょ、そしたら見つけられないじゃない」

また沈黙。
するとアオイが手を挙げた。

「あのね、ぼくの大好きなアニメにやっぱり主人公の星が侵略されちゃうって話があるんだけど、こういう場合、大抵どこかにボスがいるんだよ」

4人の真剣な視線を集めて、少し顔を赤らめながらアオイは続ける。

「侵略っていうわけだからさ、統率するヤツがいるんだ。この星のどこかに、水を乗っ取る仲間たちを指揮するボスがいたりするんじゃないかな」

あ、と水の精が声を上げた。

「一度だけ感じたことがある。ボクは隅々まで満ちる湖の水を通じてこの星を把握しているんだけど、一度だけ、奇妙な違和感のある場所があった……入り組んだ地形で、小さな池が点在する地域だ」

「きっと、そこにあいつらの親玉がいるのよ」イリナが言う。「一緒に行きましょうよ、だってあいつら、私のキックでやられちゃったんだから。たぶんあいつら自身はすごく弱いのよ」

そう言われて、水の精は困った表情になった。

「ボクは、ここから動くことができないんだ。ボクがこの場所を離れてしまったら、音を乗せた水を届けることができない。植物や魚たちはすぐに弱ってしまう」

重い雰囲気が広がる。
じゃあどうすればいいんだ。

「私がやる」

サキが立ち上がった。
強いまなざしで水の精を見る。

「私がやるわ。だって、私にはあなたの奏でる音が聴こえたもの」

☆☆

水の精に教えてもらって、僕らはその場所にやってきた。

一見すると何の変哲もない浅い湖。
ただ、でこぼこした地面があちこちに窪みをつくり、無数の池を形成していた。

静かだった。
水面に映る太陽がキラキラとまぶしい。

でも僕たちは緊張していた。

「始めるね」

サキが目を閉じた。
胸に手を当て、祈るような姿勢で、集中する。

僕たち3人はサキをじっと見つめた。

「聴こえた」

目を開けるサキ。
「聴こえたの。あっちよ、あの方角から低い不協和音みたいな音がする」

サキに導かれて、池と池のあいだを奥へと進んでいく。

「近いわ、みんな、気をつけて」

そこだけ深い沼のようになった場所にたどりついたときだった。

沼の水面がぼこぼこと泡立ち、まるで間欠泉みたいに、水が高さ何十メートルにも吹き上がった。

わわわ、とアオイが腰を抜かす。
それを支えながらイリナが叫ぶ。

「サキ! 今だよ!」

ビルのような高さの水柱を前にして、サキは歌い始めた。

歌はいまいちなの、だから人前では絶対に歌わないことにしてるんだ……この星に着いた最初の晩にそう漏らしていた。

そのサキが、水の精から教わったメロディを歌う。
けど自信がないのか、歌声は弱々しく、敵の勢いがとどまる気配はない。

「危ない! サキ!」

正面に立つサキめがけて滝のように降り注ごうとする水柱。
その攻撃を、駆け寄ったイリナに抱きしめられる格好でサキはギリギリかわす。

歌い続けるサキ。声はさっきよりも大きい。
ダメージを受けているのか、龍みたいに暴れまわる水柱の荒々しさが明らかに落ちてる。
それでも逃げながら放つ歌声は不安定で、あと一歩およばない。

「あ!」

バランスを崩してサキが倒れる。
そこへ水柱が、斜め上空から矢のように彼女に迫る。
僕はサキに向かい駆け出そうとする。

ダメだ、間に合わない。

サキも水の精もこの星も、救えない。

そう思った瞬間、すべてがスローモーションみたいに静止した。
いや、そんなことあるはずがない。
だから、静止したように感じただけかもしれない。

それでも僕は確かに聞いた。

「いい? できることを、やるんだよ」

僕に語りかけるイリナの声を。

気づくと僕は無意識のうちに歌っていた。
サキと同じあのメロディ。

僕だけじゃなかった。
アオイも、そしてイリナも。

時間はまだ止まっているように思えた。

サキに迫る水柱が、中空で止まっていたからだ。

「効いてるのよ! みんな、歌い続けて!」

サキの声に全員がうなずく。
今までよりさらに強く、思いを込める。

僕らだけじゃない。
あの岩場から、水の精もきっと力を送ってくれている。

歌声は厚みを増し、太く、強力な風となって敵に向かう。
そして宙で固まったままの水柱を吹き飛ばした。

下から突き上げるようにして打たれた水柱が、細かい雨粒となって辺りに降り注ぐ。
汗だくの頬と全身から熱が抜けていく。

やったよ、とサキがその場でジャンプした。

「やっつけたよ! もうあの嫌な音は聴こえない。私たち、やったんだよ!」

広がる安堵。そして心地よい疲労感。
緊張の糸が切れたアオイがまたその場にへたり込む。
だけど表情はイキイキしている。

「ねえ、見て」

イリナが指差す。

見たこともないほど鮮やかで美しい虹が、向こうの空に浮かんでいた。

☆☆

ほどなくして、地球への帰還日を迎えた。

「ほんとうにありがとう。君たちがこの星を、救ってくれた」

帰り支度を終えた僕らは、最後にあの岩場を訪れた。

「ここに生きる草や木、魚たち、そしてボクも……今こうしていられるのは君たちのおかげだよ」

水の精はそう言ってから、少しだけ目を伏せる。

「お別れは寂しいけど、でも、君たちに出会えて本当によかった。君たちのことは忘れない」

僕たちと彼は、ひとりずつ、固いハグをした。
サキもイリナもアオイも、目を赤くして潤ませている。

いよいよ別れのとき。

すると誰ともなく、あのメロディを口ずさみ始めた。
この星を守った、あの歌だ。

歌いながら、僕は自然と目を閉じた。

まぶたの裏を、ケイタラでの1ヶ月がまるで映画のエンドロールみたいに次々と流れる。
胸が熱くなった。

涙がこぼれないように、僕は目を開けて空を見上げる。
イリナたち3人も同じことをしていた。

そうだ、と彼らを見て僕は思った。

僕はポンコツじゃない。
こんなにすばらしい仲間がいる。

僕たちは、ポンコツなんかじゃないんだ。

歌が終わった。
水の精が促してくれるまで、誰もその場を去ろうとしなかった。

最後にお願いをひとつ聞いてもらえないかな、水の精が僕に言った。

「竹トンボを、もう一度見せてほしいんだ」

僕はうなずき、即席の竹トンボをこしらえた。
そしてみんなが見守る中、それを宙へと放った。

竹トンボは、太陽が照らす広大な青空を、どこまでもどこまでも飛んでいった。

(完)

☆サブストーリーはこちら!

イリナとサキの日常|とろもち @toufucoromochi|note(ノート)
https://note.mu/toufucoro/n/ne99a703e814e

予感|とろもち @toufucoromochi|note(ノート) https://note.mu/toufucoro/n/na9a2dd562391

『オールドファッションド・ミュージック(1)』(「星の歌」アナザーストーリー)|Miura Jun/神谷ボコ @pocopecopen|note(ノート) https://note.mu/pekodon/n/n1fb14fe4fe70


竹とんぼ製作日記(Shunichiさん)

メンバーの木工アーティストshunichiさんによる、小説に出てくる竹とんぼの製作日記です。


クレジット

【制作期間】
2018年
9/17〜10/13

【スタッフ】
クリエイターズギルド第1期メンバー:

音楽:
COKO
ゆーき
天むす
まさか/ハンドオルゴールの使い手
友谷麻衣(parallelleap)
倉本 真基也(overdue)
ヒラク
フジイ
松﨑和也(The Replay)
takahiro_da_ma

ロゴデザイン:
つばさ

イラスト:
かいち

ストーリー:
神谷ボコ
とろもち

竹とんぼ製作:
shunichi



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16,753字

¥ 980

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