コンテンツの供給が終わっても、コンテンツは死んでなんかいない【パワポケR】
『人間は2度死ぬ』。
かつて活躍した永六輔さんの名言。
『一度目の死は、肉体的な死。二度目の死は、人々の記憶から忘れられること』という意味だ。
同じことはコンテンツにも言えると思う。
一度目の終わりは公式供給の終了。アニメであれば最終回を迎えた瞬間であり、ゲームならシリーズが完結した瞬間だろう。
そして二度目の終わりは、そのコンテンツのことを誰も口にしなくなったとき。その瞬間、コンテンツが“終わったもの”になってしまうだろう。
……どうしてこんなことを書いたかって?
先日、ファンの熱意の結晶が公式を動かして10年ぶりに息を吹き返したコンテンツが生まれたからだ。
それこそが、
Nintendo Directで発表された新タイトル『パワポケR』。
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パワポケシリーズが終了したのはちょうど10年前。
当時は3DSやPS vitaへの移行期であり、旧ハードであるDSでのゲームソフト販売は縮小傾向になっていた。
そこに「パワポケシリーズ(とパワプロ全体)の人気の衰え」「新ハードへの移行の労力がかかる」などが重なったのが原因だった。
僕自身、シリーズ終了を耳にした時は驚いたし、落胆した。
「好きなコンテンツが終わること」への虚無感を覚えたのは初めての経験だったから、行き場のない感情に襲われた。
でも、それからは、心のどこかで「復活してほしい」と思う気持ちはあったものの、正直諦めていた自分もいた。
いや、ほぼ諦めていたと言った方が正しいだろうか。
それでも、決して熱量を落としていない人たちがたくさんいた。それこそがパワポケの強みだったと今なら強く思える。
Twitterで毎年キャラクターの誕生日を祝うタグやイラストが作られてたり、ニコニコ動画では有志の方々の手で手書きMADもいくつも作られていた。
キャラクターに対しての愛を語っている方も何人も見かけた。
まるで現クールで放送中のアニメのような熱気が、確かにそこには残っていたのだ。
終了から数年経っていたが、この時点でパワポケは「終了したコンテンツ」ではあれど「死んだコンテンツ」なんてことは決してなかった。
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2016年。
パワポケの復活を待ち望み、熱を保ち続けていたファンへの最初のご褒美が届いた。
パワプロ・パワポケのプチオンリーイベントの開催だ。
あまりにも衝撃的だった。当時を知るパワポケファンは皆同じように言うだろう。
終わってから5年経ったコンテンツに熱が残っていることが証明された瞬間だったからだ。
その瞬間は天にも登る思いだったが、正直に言うと「次回開催はあるのかな、一発企画で終わったらどうしよう」という思いもあったのは事実だ。
その思いは杞憂だった。
一回ごとに参加者は増え、参加サークルも増え……いつしかパワポケオンリーは『一度きりの思い出』から『毎年の風物詩』へと昇華していった。
僕自身も何度か参加したことがあるのだが、一般参加の方もサークル参加の人も目がとびきり輝いていた。
まるで昨日の晩御飯を語るかのように、鮮明なエピソードや強烈な想いの強さが充満した空間がそこにはあった。
そして。
今でも忘れない、パワポケファンへの二度目のご褒美。
それがアプリ版パワプロでのパワポケコラボ開催だった。
……えっ???
本当に????嘘じゃない???????
思わずスマホの画面を二度見した。理解が追いつかなかった。
パワポケの存在を現在のパワプロスタッフが大事にしていたことが証明された瞬間だったからだ。
こちらも大盛況となり、結果的に二度目のコラボと新シナリオの実装、ミニゲームの復活も行われた。そのたびにSNSは話題になり、Twitterのトレンドに載ることさえあった。
パワポケは「生きている」コンテンツ。
そのような実感が、パワポケが話題になるたびに高まっていた。
そして今回の新作発表だ。
10年ぶりに、パワポケが真の意味で「息を吹き返した」「コンテンツが復活した」歴史的瞬間だったのだ。
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『諦めたらそこで試合終了ですよ』。
これも今まで多くの場面で使われてきた言葉。
確かに10年前、一度パワポケは終わった。公式で「続編の予定はない」とアナウンスされたこともあり、終わったコンテンツと思った人も多いかもしれない。
それでもパワポケを我が子のように愛し、大切にし続けてきた人はたくさん存在した。僕自身そんな人をたくさん見てきた。
そしてもう一つ伝えたいのは、ファンのパワポケ愛を受けてパワポケの展開終了後にパワポケの虜になった人も一定数いるということだ。
その中には今度は「作る側」としてパワポケ愛を表現している人もいる。
もしかしたらこれはパワポケに限らないのかもしれない。
コンテンツの供給が終わっても、それはコンテンツ自体が終わったこととは決して同義じゃない。
ファンの愛は、時に公式をも動かすほどのパワーを持っている。
パワポケRも、きっとその一例に過ぎないのではないか。
そして最後にこの場を借りて伝えたい。
パワポケをもう一度プレイする夢を叶えてくれて、本当にありがとう。
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