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コーラ小林がいく!焼き菓子とコーヒーのお店「アンポン bake&drip」


◎この記事は伊良コーラの大学生インターン「古川さん」が書き起こした記事になります。

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伊良コーラはクラフトコーラ専門メーカーとして、全国の飲食店さんや小売店さんに取り扱いをいただいております。

伊良コーラのテーマでもある「伊良コーラに出会った人が少しだけハッピーになる」。
そしてこのテーマは我々の代わりに、全国の方々に伊良コーラを届けていただく様々なお取引店さんあってこそだと思っています。

全国のお取引店さんのご紹介や、そこに至った様々な出会いやストーリーをお伝えすることを目的としたシリーズ「コーラ小林が行く!」第4弾となります。

今回訪れたのは、J R青梅線「中神駅」の目の前にあるカフェ「アンポン bake&drip」。兄妹で営むこちらのお店で、コーヒー担当の兄・石丸智浩さんと焼き菓子担当の妹・かおりさんにお話を伺いました。

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小林:
本日はよろしくお願いします!
雑談みたいな感じで、かしこまらずお話してもらえればと思っています!

智浩・かおり:
こちらこそ、よろしくお願いします!

小林:
早速ですが、お二人はどうして兄妹でカフェを始めることになったんですか?

智浩:
カフェを始めた経緯を話すと結構長くなってしまいます(笑)。
僕は学生時代からサービス業のアルバイトをやっていたんです。

小林:
例えばどういうものを?

智浩:
チェーンのレストラン、結婚式の配膳、個人店のイタリアン、スターバックスなどいろいろ経験しました。
あと、牛乳屋さんが運営するカフェが地元にあり、そこで働いていました。
実はその牛乳屋さんのカフェは兄妹で働いていたんですよ。

そのカフェにお客さんとして初めて行ったときに、「すごく良い空間だな」と思い、僕が初めにそこでアルバイトをすることになりました。
そうしたら、妹も「私も働きたい」と言ったので一緒にアルバイトをすることになったんです。

小林:
その場所がお二人の原点なんですね。

智浩:
そうですね。

でも、その前からカフェは好きだったんです。
僕たちには姉がいるんですけど、姉が最初にカフェを好きになったんです。そんな姉の影響で僕たちもカフェが好きになりました。

僕はサービス業やコミュニケーションをとることも好きで、コミュニケーションについて学びたいという理由で外語系の大学を選びました。
コミュニケーションが広がる空間という意味でも、カフェを好きになりました。

だから、学生時代から兄妹でカフェをやりたいと思っていたんです。

小林:
お姉さんは一緒にカフェをやられないんですか?

智浩:
姉はちょっと系統がちがうんです。

かおり:
そうなんです。

智浩:
姉はどちらかというと我が道を行くタイプ。
ファッションが好きということもあり、化粧品会社に就職したんです。
なので、カフェをやりたいと言っていたのは僕たち二人でした。

かおり:
姉はこのカフェの口出し担当という感じです(笑)。

智浩:
そうそう!
センスがいいので、内装などのセンスリーダーをやってくれてます。

小林:
アドバイザーのような役割ですね。

智浩:
そうですね。

智浩:
そして、兄妹でカフェをやるためにはどうすればいいか考え、それぞれスキルを磨くことにしました。

妹は専門学校を卒業後、王道ルートでカフェ業界のカフェ・カンパニー株式会社に就職したんです。

一方、僕は大学を卒業した後、カフェの立ち上げをやってみたいと思いました。
そこで、近い将来飲食業をやろうとしているというベンチャーの不動産企業に新卒で入社して、飲食部門に携わりたいと伝えていたんです。
しかし、3年経ってもその会社で飲食部門をやるチャンスがなかなか無かったため、転職を決めました。

自分で提案したことを実現できる会社を探していたタイミングで、(株)星野リゾート・マネジメントと出会います。リゾナーレというホテルにはカフェが併設されているということもあり、入社を決めました。

僕が入った時期に熱海にリゾナーレが開業することになったので、リゾナーレならカフェにも携わることができるだろうと考え、そこに勤務することを決めたのです。

カフェとは関係ないホテル業を一通り経験したのち、カフェの担当になることができました。そこではカフェだけでなくマーケティングや商品企画など一通りのことを経験しました。

その間妹は、カフェ・カンパニー株式会社でロールケーキで有名なパティシエさんとコラボしてお店を出すプロジェクトに、パティシエとして立ち上げから関わっていました。

かおり:
カフェ・カンパニー株式会社には4年ほど勤めていて、そのうちの2年くらいは立ち上げプロジェクトに入っていました。
そのあとフランスに修行に行ったんです。

小林:
フランス修業は、このカフェのためという感じですか?

かおり:
もちろん、そうです。

小林:
そうなんですね。
中神という場所にはどのように出会ったのですか?

智浩:
この場所にはもともと来たこともなく、縁もゆかりもありませんでした。

リゾナーレ熱海で働いていた時に、ここの大家さんがカフェに来てくれました。そこで会社のことなどについて質問され、そのうちに話の流れで僕が将来的にカフェをやりたいと思っていることを話したのです。

そしたら「どういうお店がやりたいの?」と深堀りされ、最終的には「僕がカフェの開業を応援するよ」と言っていただき、連絡先を交換しました。

その大家さんにカフェを開きたいと思っているエリアを伝えた頃コロナが始まって、
いきなり実店舗を持つことがリスクだと思ったので、ネット販売から始めることにしたんです。

小林
ネット販売というのは、お菓子の販売ですか?コーヒー豆とセットという感じで?

智浩:
そうです。
テイクアウト販売を行う知り合いのお菓子屋さんが、抽選販売を始めたらすぐに売り切れるという話を聞き、おこもり需要があるんだと感じていました。

妹には子供が二人いるので、ママ業をやりながらお店ができるように妹の家庭環境に合わせて場所を選ぼうと決めていたので、
住んでいる場所に近い中央線沿いで探していたんですけど、「ネット販売用にお菓子が作れるように、少し離れたところでもいいから工房みたいなスペースでこじんまり始めたいです」と条件を伝え直しました。

そこでオーナーさんから中神を紹介してもらい、「おお、いいじゃん」と思いました。

かおり:
「めっちゃ駅前じゃん!」って驚きました(笑)。

智浩:
すごい駅前だし、建物自体もきれいだし、しかもお店の前は開けていて見通しが良いし、すごく良い場所だなと思いました。

小林:
リゾナーレ熱海時代にオーナーさんと出会ったのは、ちょうど独立したいと思っていたタイミングだったのですか?それともオーナーさんとの出会いが後押しとなり独立したのですか?

智浩:
独立しようと思って、物件を探し始めた時に出会いました。

小林:
そういう、ある種のモードに入っていたから、いいタイミングで出会いがあり、うまくことが進んだんですね。

智浩:
あの出会いがなければ中神でお店をやることはなかったと思います。

小林:
ここに初めて来た時に、ビビッと感じましたか?

智浩:
良いんじゃないか、という思いがありました。

電車から見える団地を見たとき、新卒で就職した不動産時代の知識が活きて、この規模の町ならどういう年齢層の人が住んでいるのかイメージが付きました。ファミリー層が多く、良い規模間のベッドタウンだなと思ったんです。

しかも中神は、立川という大きな駅とショッピングモールがある昭島駅に挟まれているんですよ。だから、この辺の人は出かけるとなると昭島か立川に行くんです。
そのため中神自体にはあまりお店がなく、お客さんには「今まで近くに行く場所がなかったから、アンポンができて嬉しい」と言ってもらえます。

小林:
この場所に出会ってお店を開くときには、すでに色合いなどの店内のイメージがあったのですか?

智浩:
そうですね、妹がフランスで焼き菓子の修業をしていたということもあり、お菓子がメインのお店になるだろうと考えていました。だから、フランスの空気感を取り入れたいという思いはありました。

智浩:
パリのパン屋さんやカフェの内装を調べていたときにビビッと来たのが、ブルーのカウンターにピンクのライトカバー、床は伝統柄の白黒のタイルの店内。
このセンスは日本にはないと感じ、とても魅力的だったのですが、ピンクにしてしまうと男性が入りづらいだろうなという思いもありました。

僕らのイメージする客層は近場に住むローカルな人たちでした。男女問わずあらゆる世代が気軽に入れるお店にしたかったので、最終的にはピンクは用いずに無難な色にしました。
また、タイルだと好き嫌いが分かれてしまうかもしれないと思い、なんにでも似合うモルタル調の床にしました。

小林:
フランスって確かにかっこいいですよね。
僕は、フランスのストリートファッションが一番かっこいいと思っていて、上品な世界観の文化とストリートをうまく取り入れているところがいいんですよ。

あと、「Buly(ビュリー)」っていうハンドクリームなどを扱っているブランドが好きなんです。そこにはラムダンさんというデザイナーのオーナーがいるのですが、彼がつくる世界観が好きで、実は彼がパリでオープンしたお店に伊良コーラを置いてくれているんです。

そういうつながりもあり、僕もフランスという国が好きです。

小林:
話は戻りますが、きっとこの空間は、智浩さんが星野リゾートで働いていた時の空間の心地よさの知識を生かしているんでしょうね。

智浩:
お店をオープンするにあたって、星野リゾート時代の知識をフルに活用しました。

小林:
お客さんは気づいていないけど、実は気を付けている空間づくりのポイントってあったりしますか?

智浩:
僕が注意しているのは、隣の席との距離感ですね。

あとは、まだ途中ではありますが、どこに座ってどこを見ても隙がないお店作りを目指しています。僕がイメージするお店というのはいくつかあるのですが、そういうお店って世界観に統一性があるんですよ。神は細部に宿るというように、トイレットペーパーホルダーひとつとっても隙がないなという世界観を目指しています。

どこを見ても「ああこのお店だな」と思えて、何を置いてもそのお店に馴染むような、そんなお店をが理想です。

小林:
たしかに、ディティールってとても大切ですよね。
ディティールが統一されていないと一気に覚めてしまいます。

智浩:
そうですよね。なので、今は少しずつ整えている途中という感じです。

最近では、お客さんが僕たちのイメージをくみ取ってくれて、いろんなものをくれるんですよ。一周年のお祝いなどにくれたものをちりばめているんですけど、世界観は崩れていないと思います。
混沌と秩序みたいなところを狙っていたりもします。

お客さんがプレゼントしてくれた品々

小林:
伊良コーラの渋谷店にも仕掛けがあるんですよ。
店内には小さい引き出しが50個くらいある薬棚があるのですが、その中には伊良コーラと関わりのある他のお店のショップカードを入れています。
たまに開ける人がいるんですけど、その人だけがショップカードを見つけられるんです。

かおり:
すてきなアイデアですね。

小林:
ありがとうございます。

話を変えて、これからようやく本題に入らせてもらいます(笑)。
お店を開いたときには、伊良コーラのことを知っていただいていたのですか?

智浩:
ようやく本題ですね(笑)。

伊良コーラさんのことは(株)星野リゾート・マネジメント時代からチェックしていました。
当時はイベント企画の一環として常にネタ集めをしていて、伊良コーラさんが始めたばかりのころネットニュースで知りました。

その時は、「すごいのがでてきたな。なにこの完成度?!」と思っていました。ストーリー性があるし、コーラ小林というインパクトもあるし、写真もパーフェクトでした。そんなとき、たまたま伊良コーラのボトルタイプを見つけて、買って飲んだらおいしかったんですね。それで印象に残っていました。

お店を始めた最初の夏に、最近のコーヒーショップでよく出される、エスプレッソトニックに挑戦しました。トニックウォーターにエスプレッソを入れてコーヒーをさわやかに飲むドリンクです。試作をしたんですけど、もともと飲んでいなかったから正解がわからず、その年はゴールにたどり着けそうにないなと思いました。

エスプレッソトニックはあきらめようと決め、購入していた炭酸をどうしようかなと考えたとき、伊良コーラがぱっとでてきました。そこで、もしかしたら業務用があるかもと思って調べ、連絡したのが始まりです。

もともと自家製ドリンクって信用していませんでした。昔飲んだ自家製ジンジャエールがおいしくなかったんです。市販のものって甘みがあってショウガ感ってあまりないけど、そのジンジャエールはショウガ感が強くて、ショウガの炭酸っていう感じでした。

そこから「クラフト」って癖があるんだろうなと思っていました。
だから伊良コーラのクラフトコーラを知ったとき、スパイスがめっちゃ効いているのかなと思っていたのですが、いざ飲んでみると「のみやすい!」と感じました。一口目に「うまい!」という衝撃を受けたのです。
そういう飲み物って周りの人にも評判がいいと思っていて、だからこそインパクトが残っていました。

小林:
こちらに来るお客さんって、コーヒーを飲みに来る方が多いと思うのですが、どういう人が伊良コーラを頼んでくれるのですか?

智浩:
うちでは、最近流行りのスペシャルティコーヒーを提供しているようなコーヒースタンドにはしていないんです。メインに焼き菓子があって、おいしいコーヒーも一緒に飲めるよ、くらいのスタンスです。だから飲み物もコーヒーに偏っていないし、コーヒー豆も産地・標高・煎り方の表記もしていません。「濃いめ/軽め」とか「バランスがとれたもの」くらいの選択肢にしています。
だから、コーヒー大好きという方はあまりいないんです。

小林:
なるほど。つまり肩の力を抜いたというか、今流行りのコーヒー豆を売りにするのとはまた別のベクトルで、時間・空間の価値を提供するということに重きを置いているんですね。

智浩:
そういうことですね。
だからコーラを飲む人もいるし、レモネードを飲む人もいます。

小林:
どういう方がコーラを飲んでいますか?初めてここで伊良コーラを知った方が飲むのか、もともと知っていた人が飲むのか。

かおり:
知っていて飲む人が結構多いですよ。

智浩:
あとは、子どもたちはコーラが好きで選んだり、知っていたけど飲む機会がなかった人が「ここにあるんだ、じゃあ飲んでみよう」と言って選んだりもしていますね。
コーラリピーターみたいなお客さんもいるんです。

小林:
そうなんですね。

あとは、伊良コーラに対して要望あったりしますか?
ここをこうしてほしいとか、味の面でもビジネス的な面でも。

智浩:
うちに来てくれるお客さんの多くは日常使いをしてくれていて、自分のために飲むという方が多いんです。だから、缶があると自分のためにまとめて買って、家で飲むこともできるからいいですよね。

智浩:
あと、他にもお店をやるときに大切にしていることがあるんです。
先ほど話にあったように、フランスの人はおしゃれじゃないですか。それって文化の違いだと思うんですよね。幼いころからどれだけ感性を育てられているかというところだと思うので、うちでは月ごとにクリエイターさんの展示販売を行っているんです。

展示品は絵だったり、焼き物、アクセサリー、お花など様々です。日常使いできるカフェがあって、そこで音楽とかアートがより日常に溶け込む空間づくりを意識しています。お子さんをつれてファミリーで来てくれる人もたくさんいるので、そういう子たちの感性にお店がどう関わり伸ばすことができるか、というのを意識しています。

かおり:
ほとんどが地元のクリエイターさんなので、いままで展示をしたことなかった人の初めて展示を行う場所にもなっていたりします。

智浩:
日本だと、絵を観に行くとなるとギャラリーに行くしかないじゃないですか。
カフェって絵を第一目的にしなくても、行ったら絵が飾ってあって、その絵がすてきだねという感じで、気軽に観られるという良さがあります。

そういう機会って、お店にとっても大事だし、クリエイターさんにも喜んでもらえるので、いろいろな意味で大切になっています。展示をしてくれた方の中には「今までで一番たくさん観てもらえた」、「一番買ってもらえた」と言ってくれた方もいます。

あとは、音楽ライブをやったときに、子連れでライブに行けるところって少ないから「子どもに生音聞かせられてよかったです」と言ってもらったこともあります。

小林:
そのようなこだわりが詰まった空間づくりをされているのですね!
本日はたくさん話をしてくださり、ありがとうございました!

智浩・かおり:
こちらこそありがとうございました!

小林:
引き続き、これからもどうぞよろしくお願いします。