天才の中の天才(中)

へろー、アカウントです。
昨日の続きを書いていく。
昨日の→https://note.com/collect_and_see/n/n6b3fb3ffd18a


「アカウントはどこへ行くの?」
「○○学校」
「へー、私もその○○学科に行きたかったんだよね。」

行きたかった?私にはその言葉が引っかかった。
その学科はAであれば簡単に合格できるだろう。というより、その学科程度のレベルなら、入学から卒業まで主席を余裕でキープできるくらいの学力がAにはあるはず。なのに何故?

とはいえ、事情を知らぬままド直球に聞いてもはぐらかされるだけだろう。Aに見抜かれてもいいから、まずは他愛もない話でもして箸休めだ。

「なんで行きたかったの?」
「だってその学校って結構デザインとか、発想が大事じゃん?その中でも、あそこだったら自分の作りたいように作れるかなって。勉強よりも、何かモノを作りたいかなって。」

向こうも一時休戦といったところか、崩れた言葉で返してきた。
Aの考えは、一般の中学生ではまあまあ考えている方だろう。また、『ものづくり』がしたいという意図は十分に汲み取れた。

「へー。てか他のとこにするんだ。じゃあ◎◎(学校)?」
「あそこは無理。モノ作るのは△△(学科)だけど、身長が足りない。」

そういえばそうだった。あの学校、そんな制約があった。人並みに身長があったので気付かなかった。

「あんたみたいに背があったらそういうの考えなくていいよね。」
「ごめん。てかそれは殆どの人が考えんて」
「また一言余計」
「サーセン」

・・・二人の間に静寂が訪れる。

「………ごめんなさい」

・・・また静寂。

「大変申し訳ございません。」

生意気な私にしては珍しく、腰から45°胴体を曲げた。人のコンプレックスに触れたのは私の方だ。本心から謝った。許されると思っていた。

「………まあいいや、学科は?」
「☆☆学科」
「らしいわ」

私が行くのはまさしくオタクが行くような学科だった。中学校の時には、ボカロ・東方好き位は開示していたので、イメージ通りだろう。

「まあ私の分まで頑張って」
「おう…てかお前はどこ受けるん」
「××(学校)」

その言葉を聞いた瞬間、私の思考は一瞬フリーズした。
単純に考えて、当時、彼女が行きたかった学科とその学校には、上位約13%が入学するような学校と、上位約46%が入学する学校くらいには違いがあったのだ。
気になって夜も眠れなくなるだろうから、理由を問うた。

「え?なんで?」
「親が過保護」
「??」

話が見えない。Aの親は参観日はおろか、入学式にも来なかったはずだ(本人にそう聞いている)。その後の卒業式も、父親が一瞬、荷物を取りに来たくらいだ。

「だよねぇ~、小学校違うからね~」
「?????」
「クズ…母親が過保護」

当時の自分はこのように考えていた。
いや、だからなんで。過保護の意味が分からない。
娘の行事に参加しないレベルの親をクズと言いたいのは分かる。私は写真を撮られたり、親同士の会話が長くなり、とっとと帰れないので来てくれない方がいいが、思春期の子供からすれば、なんだかんだ来てほしい、成長した証明をしたいと思うのが一般的な感覚だろう。
そういった行事に参加していない親が何故過保護なのか。

だが、次の一言で、私には粗方理解ができてしまった。

「クズはさ、ここら辺に勤めてるわけよ」

田舎、マイナーな学校より自称進学校、地元会社勤め…
これが私の「粗方理解」である。しかし、もっと厄介な要素が、Aから発せられたのだった。

「一番は『私の素行が悪い』だと。犯罪とかやってねえのに。」


今回はここまで。
んじゃ。

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