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COLLECTIVE 〜九州・沖縄エリア〜

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47都道府県の ZINE を公募し展示販売するエキシビジョン COLLECTIVE。九州・沖縄エリアから参加してくださった方たちの ZINE の紹介ならびに、様々な活動の紹介をそ… もっと読む
運営しているクリエイター

#Collective

イシミチヨ 『わたしのお気に入り』 (福岡県福岡市)

捨てられないでずっと持っている『お気に入り』があるひとがうらやましい。モノ・コトを大切にできる気持ちがうらやましい。『便利』に負けない気持ちがうらやましい。 いまこうして原稿を書いている部屋にだって集中できないくらいたくさんのモノが溢れているけれど、とっておきのお気に入りというものが1つも見当たらなくて愕然としている。捨てられないものはある。一点物もある。けれど、だいたいのものはまた買えばいいし、だいたいのものは雑然と転がっている。読まない本。聞かないレコード。賞味期限の切

久米 真弓 『あなたは本当に猫ですか?』 (長崎県大村市)

やっぱり猫が好き。猫が好きなひとも好き。かく言うわたしも猫が好き。10年くらい前『アトム』という名前の猫を恋人と一緒に飼い始めた。猫を飼うために豪徳寺駅のペット可のアパートへふたりで引っ越した。仕事から帰ると、主人の帰りを待ち侘びた子猫アトムが窓のそばに駆け寄ってくる。音で気づくのか、においで気づくのか、気配で気づくのか不思議なものだなあと。『主人』という言葉を使うと、主人は私だと、もうひとりの飼い主が言う。アトムの成長とともに恋人同士だったふたりも成長し、夫婦となる。アトム

かわのりこ 『Outside LOVE』 (福岡県豊前市)

福岡豊前市という町のことを一度外に置いておいて、『愛』というものについて考えてみる。 例えば『愛は与えるもの』とかそういうのはぼくはピンとこない。時に哀しいほど無償でも時にステークホルダー化する。与えた言葉に酔いしれ、次の瞬間ただの肉塊と化す。たいがい行為(好意)は先で、後には来ない。指先でくすぐると、脳にまで達する、その『神経』の過敏さだけを杓子定規的に愛の正体と錯覚し、結局は自問自答の言い訳が多い。これは、本当は、愛風味だとわかっているはずなのにまぁかっこつけてロマンチ

長橋 美野 『あの頃』 (長崎県長崎市)

中学二年生のときに、部活仲間と始めた交換日記が "現在52冊目" になりました。ー 長橋 美野『あの頃』 衝撃の書き出しだ。 そんな交換日記をコラージュして構成されたこの ZINE は、1992年、中学校2年生から始まる。その中身はテストの事や、次の先生はだれがいいかなど今となっては他愛のないもの。テレビの話題となれば、貴花田(今の貴乃花親方)と宮沢りえの結婚、やるならやらねば(フジテレビ)。時代を感じます。セブンティーンは今の中学生も読んでるだろうか。 SNS なん

ウラベメグミ 『Enerzine』(長崎県東彼杵郡波佐見町)

長崎県東彼杵郡波佐見町は、長崎でも唯一海に面していない町。しかし海だけが魅力ではない。有田焼に並ぶこの町の『波佐見焼』(陶磁器)はファッションブランド『シアター・プロダクツ』やセレクトショップ『中川政七商店』によるコラボレーション(リノベーション)によって、知る人ぞ知る伝統工芸の町へと進化している。何もないとは言わせない。 土の記憶、火の記憶、手の記憶。 焼き窯のある町を訪れると不思議な郷愁を覚える。『いにしえの力』英語で言えば『トラディッショナルなエネルギー』 ウラベ

川嶋 克 『男の詩』(大分県日田市)

100冊の ZINE があれば、100人の編集者がいるのだと実感する『COLLECTIVE』。写真やイラスト、言葉を編むという作業が作品の数だけ存在している。選択と判断の連続。誰ひとりとしてオートメーションで作ることはない。仮に一部、デザインや文章、写真などのパートを誰かと組んで作ることはあっても、『他人まかせ』と感じる作品はひとつとしてない。 『編集』という作業に必要とされる能力はだいたい相場が決まっている。まずは着眼点。それぞれの『視点』であり『伝えたいこと』ですね。そ

アオキユウタ 『ネオ・コンビニアイス』 (沖縄県那覇市)

1972年(46年前)に『アメリカ』から返還された沖縄。当時の若者(いまの60代)が捉えている『沖縄』といまの20代が捉えてる『沖縄』は違って見えるだろうか。 きれいな海、ソーキそば、泡盛、三線のメロディ、首里城。オスプレイ etc...。 アオキユウタの作品 『ネオ・コンビニアイス』の最大の特徴は『製本』にある。いわゆるボルトとネジで留められた写真の連続。ポストカードとして印刷されている沖縄での暮らしの記録が、ほぼランダムに綴じられている。この ZINE の購入者はボル