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交差点の通過:道交法の矛盾

また信号待ちの歩行者が自動車事故の巻き添えで亡くなった件について。

私も30年以上のドライバーだ。
運が良いのか、お陰さまでぶつけられる事故はあっても自分が加害者になる事故は一度もなく今まで来た。
せいぜい死角の自損事故だけで済んで来られた。

しかし私の母はロードレースのプロドライバーだったにも関わらず、免許取得からずっと巻き込まれ事故や不明覚な事故に沢山遭遇してきた。

今回の交差点での右折車と直進車の衝突事故のニュースを見て、矛盾や違和感を感じた。

右折で侵入してきた車を避けた直進車が、信号待ちの保育園児童の中に突っ込んでしまい、幼い子供たちが亡くなったり怪我を負ってしまった。
しかし、事故の原因は交差点に侵入し、直進車の進路妨害をした右折車に過失があるという道交法の大原則で、直接的に死傷させていない右折車側に過失責任があるとされて逮捕されている。
直接的死傷させてしまった直進車の方は保釈され、呼称も『~した女性』と言われている。

進路妨害は絶対的にいけない、それだけだろうか?

私も自分が直進で、スーパーの駐車場から出てきた車とぶつかりそうになり、向こうはこちらを見ずに『今だ‼️』と侵入され、急ブレーキを踏んだ経験がある。
母も、私とは逆にコンビニの駐車場から走行車線に侵入して、右折レーンに侵入してきた直進車と接触事故になった事があった。

本当に右折しようとした方だけが悪いのだろうか?
直進車は絶対に悪くなく、何があっても止まらなくて良いのだろうか?

非常に矛盾を感じて、そういう時にどのような判断が一番正しいのか?と、ずっと考えている。

直進は、もちろん後続車が直進で走って来るから、止まる訳には行かない。
右折も曲がれる、行ける、と判断して交差点内に侵入したら、速やかに通過し脱出しなければならず、双方に言える事は『交差点内に停車してはならない』だ。

では、今回の事故で右折車との接触を避けようとハンドルを切って、歩道へ侵入してしまった結果論は一体どうなのだろう?
それによって歩行者が死傷してしまった事への責任はどうなるのだろう?

これが右折車や進路妨害の車が居ない単独の事故だった場合は、最近急増している事故と同じ判例になるのだが、車対車のとばっちりで起きた歩行者への死傷事故は、どう判断されるのだろうか。
すべての原因が進路妨害に当たる右折車だけにあるとは思えない。

例えば、雨の日に運転していて、歩道の歩行者へ水飛沫を掛けたら、それは安全運転義務違反になる。
運転者は最大限に、いかなる時も歩行者への注意を払う義務がある。

右ハンドルの運転者で、右利きの人は多にして、とっさの時に右にハンドルを切る心理的傾向があるという。
今回の事故の場合は、右方向はT字路で道がない場所だったから、右へハンドルは切れない。

特にビックリしてパニック状態の時には普段よりも大きくハンドルを切るという。

今回の事故もそうだったのではないだろうか?

私が運転していた訳でも、現場で目撃していた訳でもないので、適切な判断は何も出来ないけれど、考えさせられる。

右折車の人は、きっと、自分が侵入したせいで…と思っているかもしれないし、
直進車の人は、きっと、自分がハンドルを切ったせいで…と、とてつもない苦しみを感じていると思う。
当事者が皆苦しんでいる、そう思う。

死傷した子供たちの親御さんや保育士さんは、もっともっと苦しんでいる。

ツイッターの投稿を取り上げるニュースでは、保育士さんへのメッセージや保育園関係ばかりだが、取り返しの着かない事故になってしまった運転者も物凄い苦しみとパニックになっているのは間違いないのを知って欲しいと私は思う。

小さな子どもたちが巻き込まれた事故だから、大きく報道されるのは分かる。
けれど、暴走の挙げ句ではなく、日常の一場面で突然起きた事故は、運転者の精神にも死にたい程の恐怖を味わっている事を考えて報道して欲しい。

免許証を持ち、運転をする人なら誰でも味わう、
あの独特の衝突の音と衝撃の嫌さは知っていると思う。

最悪

衝突安全装置
とは言うけれど、ぶつかった後は力学的に跳ばされて自分ではどうすることも出来ない。

ゆっくりと、
安全に、
周囲に注意して、

そう心掛けて居ても、起きてしまう交通事故。

道交法を厳罰化するのも大切だけれど、事故の過失責任の詳細な分析力も必要だと思えてならない。
一律に進路妨害だけが悪い訳ではない。
直進車の前方不注意も十分に問題がある。

法で過失割合を括る矛盾と困難をどこかで解決出来るように考えたいものだ。

記事の内容が難しい問題なので、どちらか一方を、誰かだけを、擁護するような考えで書いた訳ではありません。
私自身が日々遭遇してきた問題でもあります。

被害に遭われたお子様のご冥福をお祈り申し上げます。

また加害事故の当事者の方、並びに関係者の皆様の心中をお察し致します。

平和で、平凡であること
それが私の望みです。

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