なぜ地方クラブが”しばふ”を売るのか?

2017年、ガイナーレ鳥取はホームタウンにある遊休農地を利活用して芝生化・販売する事業”しばふる”を立ち上げました。それからネットメディアや今年の4月に米子市で行われたシンポジウム、テレビ東京のWBS(ワールドビジネスサテライト)で特集を組んでいただいたり方々で取材を頂いています。わたしが昨年ガイナーレ鳥取にきてすぐ動いたミッションでその背景やその事業についてまとめてみます。

クラブの置かれている状況
ガイナーレ鳥取は責任企業をもたない、人口最少県鳥取のいわゆる地方クラブです。正直クラブの予算は潤沢ではなく、これまでお魚企画(野人と漁師のツートッププロジェクト)をはじめ、県外の方向けの企画を行ってきました。わたしが今の地方クラブ経営で弱いと思うところは、クラブ収益である入場料収入やスポンサー収入というのはクラブの人気や話題性に左右される傾向にあり、コントロールの効かない(相手チームとの戦いとなるため試合に絶対勝てる、優勝できる保証はない)収益軸での運営をしていることです。もちろんチームの勝ち負けに関係なく我が街のクラブを応援していただいているスポンサー様も多くいますが、企業数には上限があったりと、経営という観点で見たときに、資産が積み上げられる、継続性のある事業でできる限りベース収益を底上げする必要性がありました。

事業の種はクラブが自ら動いたから生まれた(2つのきっかけ)
ガイナーレ鳥取はメインでホームゲームを行うとりぎんバードスタジアム以外に米子市にチュウブYAJINスタジアムを約5年前に建設し、練習拠点として活用しています。チュウブYAJINスタジアムは約7,000人収容可能なサッカー専用のスタジアムでその隣には約1.5haの養和会YAJINフィールドという芝生広場があります。まずこれがきっかけの1つ目。このハードがなかったらこの事業は絶対に生まれていませんでした。そして2つ目の話になります。当時ガイナーレは、これらの施設管理を外注するお金もなく、芝のスペシャリストである株式会社チュウブ様に手ほどきをうけながら自社スタッフが管理を続けてきました。そのスタッフの努力とノウハウの積み上げで、地道にコツコツとそして芝生広場はお金をかける(肥料や防虫剤など)ことなく育成管理ができたのです。しかも2.5haをひとりで。そして去年の夏、実際に売り物としての芝生が作れるか、約4,500㎡の畑を実際に借りてこれまで畑だったところが一面の緑の芝生になったのです。すべて行動力そのもの。

なぜ事業化するのか(2つの理由)
1つ目はできる限りコントロール可能な収益軸、定期的なキャッシュポイントがつくるためです。そして2つ目は地域のお役に立つこと。芝生事業と言っても農業であり生産するには畑が必要です。そこで遊休農地を活用する事で地域の課題解決につながり、事業化する事で継続的に地域の課題解決に取り組めむことが可能となりました。この取り組みは栽培地である米子市も協力頂き自治体も巻き込んだ取り組みに昇華していく予定です。これからの地方クラブが生き残っていくには。サッカー以外でいかに地域資源や地域連携してビジネスを作っていけるかがキーワードになってくると考えています。

「ホームタウンだからできること」から見つける
競争優位性が事業戦略のひとつの肝だといわれます。この芝生事業には2つの競争優位が存在します。1つは土地の価格。地方の遊休農地を利活用することで普通では考えられない価格で借りることが可能です。また地質の特徴が2つ目の競争優位につながります。それは水です。いま生産している米子市がある弓ヶ浜半島は淡水レンズが日本で初めて確認された場所で、地下水が豊富にあるため1m掘るだけで地下水が確認できます(WBSでスコップで掘るシーンがそれです)。それらを汲み上げ散水することで、水代が抑えられるということです。(ちなみにスタジアムの維持管理に必要な水道代は年間で云百万円かかります)また、砂地であることも西洋芝の育成には適しており、いずれもホームタウンだからできる、また事業としては原価を抑えることにつながっています。

消費者の固定観念があるからこそビジネスチャンス
個人的にこの事業の面白いとところは商品に対する固定観念が存在している所だと思っています。芝生に対しては誰も悪い印象がないということです。裸足で走りたい、寝転びたい、BBQしたいなど、どっかに芝生に対する憧れ的なものを持ちながら誰もが悪い印象を持ちません。しかし実際に芝生化の話を持ち出すと、「高い、面倒くさい、難しい」という概念があり一気に顔が曇りmす。ここそがこのビジネスの面白いところだと思っています。このビジネスはそれらのネガティブな概念を変えることができる可能性があるからです。

想いだけでない、プロジェクトパートナーの参画
一方で今回の芝生事業の立上げには、プロジェクトパートナーの存在が大きな助けとなりました。それはプロジェクトの背景や方向性に共感するだけではありませんでした。ひとつのエピソードですが、地元の産廃処理系の会社が人糞由来の肥料が一般的な野菜の肥料として売れない(口にする野菜の肥料が人糞由来だと消費者が嫌がる)という課題をもっていました。話をしていく中でそれらを芝生(芝生は食べない)育成に活用させて頂くことで事業上のビジネスマッチングが成立したのです。このように、事業を通して地域や企業の資産を視点を変えてみることで実利も伴うプロジェクトパートナーを増やしていくことができると考えています。

地方クラブのひとつの型として一緒に推進していく仲間を増やしていく!
さいごになりますが、今回の芝生事業はまさに注目されはじめたところです。先日のJリーグ25周年記念イベントでのワーク「Jリーグをつかおう」にもリンクする取り組みだと思いますし、芝生の生産プロセスでドローンや地質調査などの農業Tech系をはじめ、注文系やロジスティック系、おしゃれなワークウェアなどまだまだ各方面の技術やアイデアをかけ合わせていきたいと思っています。Jリーグクラブがこんなことをやっている、そういう多様性の中でJリーグクラブの新たな価値が見出される。そのきっかけづくりを様々なパートナーと作っていければと願っています。面白いそう!話を聞きたい!協力したい!という方はぜひご連絡ください!!

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