Physicsが尊い

 昨日はボーマス40でした。私は一般参加し、大好きなryuryu先生のブースで新譜"Physics"を恐れ多くも入手いたしました。手に取った時点で感じる尊さは、ryuryu先生のイケメンさと岬先生の尊いジャケ絵によるものと思われた。

【ボーマス40】Physics / ryuryu クロスフェード

 "Where do we come from?"から始まる12曲のアルバムは一つの小説の様相を呈していた。ブックレットを開いてまず目に入るその部屋の扉の前には、"おとめ"と"しし"。黄道12星座をしし座から逆なぞりするように、大切な想い、戻らない時間、叶わない願いなどを一つ一つ、美しく描く。そして10曲目"カーテン"で一つの命は"終演"を迎える。しかしそれは、夜明けの星のように、ただ見えなくなっただけなのである。旅は続くのだ。

 このアルバムを聴いて、ryuryu先生の曲が何故好きなのかがよくわかった。ryuryu先生は「人の想い」と「世界に対する畏怖」を大切にしているように思う。世界はあまりに当然にそこに存在し、強大ゆえに全く逆らうことができない。過去に戻ることもできなければ、一つの願いさえ叶えられない。それでも「僕」は確かにこの世界に生きていて、だからせめて「僕」の様々な想いや愛情を大切にしようとしているのではないかなって。

 世界に対する畏怖の感覚は、自我が形成される中学・高校頃に科学の本やらを読んで、誰もが経験する想いなのではないかなと思う。たいていの人は忘れちゃうんだと思うのだけれど、そのまま宇宙の深遠さに気を魅かれたままの「中二病」的なところがある私のような人にとって、ryuryu先生の描く世界はすごく親和性が良い。前作まではこの範囲が「僕」と「君」を包む部分的な世界だったのではっきりとはわからなかったのだけれど、今作ではそれが巨視的になったことで明らかになったのかな。

 それにしても3曲目"Physics"は本当にかなり強く響いている。個人的最も好きなボカロ曲ランキング第1位の"The 9th"(ジミーサムP)では、「世界」は我々の存在など一切気にも留めず動き続けた。

初音ミクオリジナル曲 「The 9th」

 それが"Physics"では、我々の存在など一切気にも留めず「世界」が動き続けていくことを悟った「僕」の、言いようのない不安を描いている。この2曲を延々聞き続けて想いを馳せるのあまりに最高すぎる。私にとっての「VOCALOID宇宙派御三家」は、ジミーサムP、Bernis先生、ryuryu先生で決まりですわ。

 近いうちに通販もあるみたいです。優しい曲が好きな人とか、つらいことがあった人とか、広い世界にいるちっぽけな自分の存在意義がわからなくなっている人とかは、是非聞いてみるといいと思います。

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