欲が消滅した日

近頃めっきり食欲が薄くなった。
(たぶん歳のせいなんだろうけど…)

会社にいる日の昼ごはんは、野菜ジュースがデフォルトになりつつある。

そしてついに今日、晩ごはんにちょっといい鰻を食べた瞬間にあらゆる欲がほぼ消滅した(ような気がした)。

もともと小さくなりかけていた欲望が、想定外の大きな幸せで満たされて飽和してしまったんだと思う。

これ以上何も食べたくないし、なにも買いたくもない。
行きたいところも、したいことも思いつかない。
エッチなこともしたくない。
眠くもないし、疲れてもいない。

ただ、本当に今その場所に「いる」だけの状態。

いつも「満たされたい」と思いながら生きてきたのに、
実際に満たされた瞬間、目の前にあったのは恐怖だった。

自分はおかしくなってしまった。
何も感じなくなってしまった。
これから先、何を食べても何をしても、何も感じられなくなってしまったとしたら…?

ほんの一瞬、想像しただけでめっっっっちゃ怖かった。

結局、たまたま近くにあったカフェでちょっと良いコーヒーを飲んだらすぐどうでも良くなった。単純な思考回路で良かった〜。

でも、あの瞬間の何もかもが真っ白になっちゃったような感覚は、一生忘れることはないと思う。本当にどう言い表して良いのか分からないけれど、なんか「滅」って感じだった(語彙力の低さが哀しい)。

欲って悪いもののように言われがちだけれど、完全になくなったら困るんだなあ。少なくとも生きる楽しみがごっそり減ってしまう、私はそんな気がする。
こんなことなら私は一生悟らなくていいし、欲に塗れて生きていくほうが楽しそうだ。

欲深くっても良い。

かわいい服が欲しい、
おいしいものが食べたい、
いろんな場所に行きたい、
いろんなことをやってみたい、
たくさんの人に好かれたい、
自分の思うことを堂々とやってみたい。

ぜーんぶ、楽しく生きていくための原動力になるなら、いろんなことをもっと欲張ってもいいのかもって思えた。

なんか新しいことをはじめてみようかな!

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