ドゲンジャーズ第3話「キタキュウマン、逃げる」について解説

今や全国区、春の覇権コンテンツとも名高い評価を受ける福岡発ローカルヒーロー番組「ドゲンジャーズ」。

自身も元々「株式会社悪の秘密結社」を応援しておりまして毎週ネット配信で楽しんでいます。この番組、配信媒体の一つに「ニコニコ動画」がありまして、初見ファンも既存ファンも入り乱れてのコメント合戦も番組のノリにハマっていて楽しめます。

で、第4話が放送される本日、ニコニコのコメント等々で「どうして第3話でキタキュウマンはメイド執事をわざわざ怒らせたの?」という旨の疑問を目にしまして、なんというかこのままだとまるで如何にもキタキュウマンが人の悪口突然言うタイプの無神経キャラとか思い付きやオフザケでなんかいらんことする奴(※)と受け取る視聴者ももしかしたらいるんでないかなとの危惧から4話本放送前にちょっと解説してみることにします。

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実は弟のキタキュウマンメタルを呼び出していたキタキュウマン、弟の到着直前のタイミング(=いよいよ戦闘開始というタイミング)でメイド執事を挑発してこのようにからかいます。「ヤギさん、こちらー、手の鳴るほうへ~」です。

これが回答です。メイド執事に自分を狙わせ(たうえで、戦闘はメタルに任せ)たことで、オーガマンルーキーは戦闘員カラミーを相手に戦い、幹部であるメイド執事との交戦を避けることができました。

ルーキーは名前の通り、新人ヒーローです。武器の扱い方や必殺技もこの回で初めてレクチャーされます。敵=メイド執事たちはルーキーのことをオーガマンだと思い込んでいるため警戒しているものの万が一「よく見たらオーガマンじゃなくない?」と気づかれた挙句、まずは各個撃破だ~弱いほうを潰してしまえ~とばかりに敵戦力の集中砲火を受けたてしまうかもしれません。

そうでなくともいきなりメイド執事との交戦することになってしまったらどうでしょうか。折角キタキュウマンメタルを呼び出したのに……戦わなくて済むのに……

そう、ルーキーが狙われることがあれば、キタキュウマンが戦わなくてはいけないかもしれないのです!ではルーキーが狙われないためにはどうすればいいか。

そう、キタキュウマンが狙われればいいのです!

自分が戦わない為に強敵に自分を狙わせる。矛盾しているようですが、キタキュウマンは面倒くさいのでもなく戦いが怖いのでもなく怪我をするのが嫌なのでもなく安全圏で高みの見物したいわけでもなく、とにかく戦いたくないだけなんです。

そうならないために、キタキュウマンはここぞというタイミングでメイド執事を怒らせます。早めに怒らせてしまうのもいけません。あくまでキタキュウマンメタル到着のタイミングでです。敵から何発かもらいますが、戦わないためのコストなので許容範囲です。キタキュウマンはとにかく「戦いたくない」のです。

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「どうして第3話でキタキュウマンはメイド執事をわざわざ怒らせたの?」つまり「どうして敵をわざわざパワーアップさせるの?」という疑問でもあると思います。が、キレたメイド執事が実は警戒していたはずのオーガマン(実際はルーキー)を完全に狙いから外してしまいます。キタキュウマンに対する怒りで頭に血が上りルーキーを「邪魔だ」と突き飛ばし、蹴り飛ばします。もうルーキーに対する追撃はしません。

一見するとヒーロー側が余計なダメージ食らったように見えますが、以降は完全にメイド執事VSキタキュウマンメタル、戦闘員カラミーVSルーキーで敵戦力が分断され、決着と相成ります。(余談ですがメイド執事は味方や社長(…)であっても例のNGワード絡みで激昂すれば相当見境なくボコボコにしますので、戦闘員のカラミーちゃんたちも幹部であるメイド執事には近づけません)

冷静に立ち回ってさえいればオーガマンが実は別人であることにも気づいたかもしれませんが、メイド執事は撤退するまでルーキーを復活したオーガマンと思い込んだままでした。

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※お調子者でちゃらんぽらんなキタキュウマンですが、主人公の田中君が悩んでいる「どうしてオーガマンは自分なんかヒーローに選んだんだろう」という点は茶化したりいじったりしてませんよね。1話で戦場(いつもの)に迷い込んだ田中君を「逃げろ」と呼びかけたのもキタキュウマンです。3話の対応は彼なりに田中君をヒーローとして対等に認識しているからです。

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