自由律俳句集

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ノート

夜のあなた

親愛なる服屋へ

夜のあなたがきて夜になった

煙追った夏のゆくえ

笑えば酒がこぼれる

手には何もない夕さり

踏み鳴らした初めての街だ

向かい合って忘れあった話

おろした冬に袖を通す

眠ればあんなに遠くなった月

抱きしめた夢に生かされている

花は咲く夜のあなたに

盃とドーナツ

敬愛する伊達者へ

酌み交わせば夏が終わる海の話

話聞いている指先に火が点る

アジフライがきて黙っている

目の奥はまだ恋の歌

夜明けの街で眠ってしまった

愛は朝に書く手紙

道で口ずさむ歌がある

どんな日も声がした渋谷

歩いた先を家にしている

夜咄は皿の上のドーナツ