【青のフラッグ】はきっとLGBTについて言及したいわけじゃない。

著者:KAITO
『クロス・マネジ』
『バディストライク』
現在ジャンプ+にて青のフラッグを連載中。
既刊3巻

絵のタッチは近年で言えば「聲の形」なんかに似ているが、おそらく「マイガール」なんかの系譜だろう。もっと言えば「最終兵器彼女」や「僕らの」と言った匂いがする。少女漫画的というか...絶望的というか...ともかくそういう得体の知れない、名前のないグロテスクさをはらんでいる類いの“アレ”である。

今回は近代絶望青春ジュブナイル漫画の期待作「青のフラッグ」の感想を書かせていただきました。読んでっておくんなまし!

心理描写がすごい≠画力が高い

KAITO先生の作品は繊細な心理描写が売りであるが、それを描いている筆者は読者以上に繊細な感性を持っているということは言うまでもない。

漫画家は映画監督であり俳優でありカメラマンであり演出家である。雨の中で手を繋いでるシーン、花火を見て走り出すシーンで吹き出しがなくなる、最後の大切な台詞は聞き手と話し手どちらの表情をピックアップする?など一つ一つ全てを自分でこなしているわけです。漫画ってだから凄いですよね。

中でもKAITO先生はそのこだわりが半端ない。(と、思う)そしてそれに絶対的自信を持っている。(じゃなきゃ打ち切られてまた同じような青春ものは描かない、週刊少年ジャンプに合わなかったと冷静に客観視している)
今日更新された最新話は超重要な物語の転換期でありながら始まりの8ページ丸々イラストのみという演出。これには脱帽した。新妻エイジかなと思った。

何よりこの歳になって思うが、歳をとってからこれだけ高校生の微妙な空気感を表現できるのは脱帽である。(もうさっき脱いだから被ってないけど)これだけ社会に受け入れられているのだから現代の高校生にも受けているんだろう。おそるべしKAITO先生である。

僕らの心をぎゅっと掴むのは画力の高さももちろんあるが、それよりも1ページ1コマにめちゃくちゃこだわって演出していることが要因だと考えられます。意識しながら読んでみるとまた違う面白さがあるのでまた読み返そう、幸い既刊3巻だからすぐ読める。

漫画村で読むなよ。

この系譜では“軽い絶望”

冒頭でも少し述べたが、今作からは「最終兵器彼女」や「聲の形」、「僕らの」といった様な淡く甘酸っぱくそれでいて絶望的な印象を受ける。

実はこういう作品は2000年代初頭には結構流行っていた。バブルは弾けた、テロが起きた、もう世界は終わってしまう。そんな感覚でノストラダムスの大予言の前に自ら命を絶つ者まで現れていた時代だった。
当然クリエイターなら「そういった心理からどう生きるか?」「こんな世界に生きているんだぞ。」なんてことを作品にしたいと考えるのも不思議ではないだろう、皆が皆ではないが。

当時の漫画では世界がぶっ壊れたり巨大な力に町が壊されたりしていた。もちろん青のフラッグにはそんなシーンはない、しかしなぜ同じ様な感覚に陥るかと言われれば今を生きる僕たちにとって恋の多様性や小さな失敗の方がよりわかりやすい“世界の終わり”なのだ。

週末感のあるジャンルの中でこれは一番ポップな作品だと思う。しかもスクールカーストという世界の中での終末。同じ匂いこそすれそこにはまた別の意味が見えてくる。それこそがこの漫画の根底、いたずらにLGBTの問題を出して感情を安売しているわけではないのだ。

いま、青のフラッグが受ける理由

「最近の若者は打たれ弱い」「怒ったらすぐいじける」このように言われながら僕(23歳)は育ってきた。そして僕は思う。

そうだなって。(だから優しくしてほしい)

自分は“打たれ弱い”事や“意思がない”ことは人間の自然状態だと思う。そこから強くなるのは外的要因によって適者生存していくためのプロセスでしかない。つまり必要にかられて人間は強くなるのである。

戦後復興を成し遂げてきたおっちゃんやおばちゃんに「情けない」と言われたらもう僕的にはお手上げである。僕たちの未来はいい意味でも悪い意味でも白紙なのだ。

何が言いたいかといえば僕たち少年少女の世界は確実に原語としてのパトリオットに近ずいているのだ。(Patriot、は“愛国心”ではなく、“愛郷心”と訳すという説)

だからこそ青のフラッグの持つリアリティに僕たちは非常に動揺する。この漫画の持つ残酷さ、もっといえば人間が生まれ人に恋するというのは実に理不尽だということに僕たちは既に気がついているのだ。

先の展開は容易に想像できるこの漫画に僕らが期待しているのは「どうしようもないそんな状況に彼らはどう答えを出すか」ということだけである。

「俺が一番言いたかったこと」

この作品はLGBTの問題にいたずらに触れたいわけじゃないと思うんです。

もちろん性のテーマになれば作品の中で作者のメッセージを読み解く人は多くいるし、展開によっては救いがまっていると期待する。
しかしそれなら放蕩息子のくらい隠して描くのがリアルというものではないだろうか?LGBTをメインに据えるなら軽々しく一ノ瀬にカミングアウトしたりできないはずなんです。そういう意味ではこの作品のLGBTへの見解は甘すぎる。そういう意味でもここがメインではないと考えます。

“青のフラッグ”は僕たちの青春の残酷さに言及した作品だと考えています。昔よりも性の問題が認知されている今この感覚って現代の若者にとってすごくリアルなものなんだと思います。

性同一性障害の友達がいる、この感覚が数十年前より圧倒的に増えている。同性同士の恋愛を昔より悪だと思わなくなってきていると実感しています。(渋谷での同性婚のニュース然り)

この作品は高尚な学術書なんかではなく、今悩み周囲との軋轢に苦しむ学生や、かつて学生であった全ての人のスケープゴートとして誕生した作品だと思います。

だからこそ僕たちは彼らの幸せを願わずにはいられないんでしょうね。

おわりに

オススメ度は3です。これは完全に好みなんで気になったら見てみるが吉といった次第です。

あれに似てるこれに似てるといって申し訳ないが、僕的にはいろんな作品のお勧めも兼ねているから言わせてもらうが、

とらドラ!やんけっっ!!

以上
コミックちゃんでした。

#漫画
#ウェブ漫画
#青のフラッグ
#LGBT
#サブカルチャー
#最終兵器彼女
#僕らの
#セカイ系

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

3

オススメ度星3作品一覧

2つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。