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道草食っていこう ひとつ大事な話があるから(煙草のススメ)

梅雨の晴れ間の暑い日。
初めて煙草を吸ったのはお墓の中だった。
当時通っていた中学校は自宅からすぐのところにあり、家と学校をつなぐ道は坂道になっていた。
その途中に破風墓の並ぶ小さな墓地があり、その隣にそびえ立つ擁壁の上が中学校のグラウンドになっている。
「やったー(お前ら)ちょっと来い」
僕の中学は二つの小学校の校区がまとめられていて、そのヤンキーは向こう側の学校やつで、体は小さいが鼻っぱしが強く意気がっているやつだった。
「なんだろう?」
反抗すると面倒くさくなるので僕らは渋々そいつについていった。
正門を出てしばらくついていくと、学校の裏手にある墓地にヤンキーが何人かいて、その手には火のついた煙草を持っていた。
「やったー(お前ら)も吸え」
僕らを引っ張ってきたヤンキーがそう命令した。
面倒くささ半分、好奇心半分で煙草とライターを受け取り、煙草を口にくわえライターの横車を回した。
ゆっくり回したからか、ガスの漏れるスーっという音だけで火が点かなかった。
何度か試すと火がつき、その火を煙草の先端に近づけた。
先っぽを燃やしていると「そのまま吸い込め」と、ヤンキーの一人が命令した。
言われた通りに吸い込んだ瞬間喉に異物感を覚え一気に吐き出した。
「ゴホ…!ゴホゴホ…!」
それを見たヤンキーは爆笑していた。
手に持っていた煙草を今度は加減して吸い込んだ。
また咳き込むも最初よりはマシで、そのまま2口3口と吸い込んだ。
そうしているとなぜか血の気が引いてきて立ちくらみを覚え、立っていられなかったので墓を取り囲む石壁に座り込んだ。
それを見たヤンキーはニヤニヤしてこう言った。
「うまいか?」
煙を吸い込むのにうまいも何もあったもんじゃない。
「よくわからんし立ちくらみする」
そう答えた僕に向かってこう告げた。
「全部吸えよ」
マジか?そう思いはしたもののしょうがなくチマチマ1本吸い続けた。
吸い終わった頃にヤンキーどもが一人二人とその場を後にしていく。
僕はまだクラクラしていたので後から戻ると告げその場で休んでいた。
真夏の暑い日差しが照りつける中、暑いのか寒いのかわからない汗が出ていた。
ふとお墓に目がいったので、胸の中で呟いた。
「お邪魔してすいませんでした」
定まらない焦点の中遠くで戦闘機の飛行音が響いていた。
まっすぐ伸びる飛行機雲が立ち上る煙草の煙に見えた。

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ウエサト トモム

フリーのマンガ編集者。元ストリートダンサー。それ以外はファッションと物とマンガに力がこもってます。音楽はHIP HOPからアラブ音楽まで。バンドもやってた何でも屋です。

ものぐるほし

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