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ネーム制作の裏側&ネーム作家・仲紙さんインタビュー

WEBTOON制作は大きく分けて以下の4つの工程がありますが

  • シナリオ・原作

  • ネーム

  • 線画

  • 着色

今回は漫画の設計図でもある「ネーム」について解説します。
見開き漫画の制作と同じくWEBTOONにおいても、ネームは物語の構成を決める超重要な工程です。
今回は複数の作家さんで行う「分業制作」におけるネームの役割を、作家さんインタビューを交えながら公開します!


WEBTOONのネームとは

ネームとは一言でいうと「漫画の下書き」で、コマ割りやセリフ、人物の位置などをおおまかに描いたものです。
以下、完成原稿までの過程を見ると、ネームをもとに制作が行われているのがよくわかりますね。

『サレ妻のリベンジ』第2話より
ネーム段階の人物の影や表情が、線画と着色に活かされています

また、WEBTOON特有の縦の表現の自由さを発揮できるのは、ネームの構成あってこそ。
以下のシーン、ネームと完成原稿をご覧ください。

『サレ妻のリベンジ』第4話より 
縦に流れる赤ちゃんの泣き声や、スクロールすると主人公の怯えた表情がわかる大ゴマはWEBTOONならではの表現です

ここのコマ配置は、ネーム担当作家さんのアイデアなんです。
線画や着色を別の作家さんが担当する場合、ネームで演出の指示をしておくことが重要になります。そうすることで、ネームの絵や指示書きを確認しながら制作に入れるのです。

『サレ妻のリベンジ』第6話より
手や湯気など事細かに指示があると、のちに作業する作家さんも安心です!

ここからはcomicoの人気作『サレ妻のリベンジ』のネームを担当している仲紙さんのインタビューを交えながら、ネーム制作の裏側をご紹介します!

ファン必見!『サレ妻のリベンジ』ネーム担当仲紙さんインタビュー

『サレ妻のリベンジ』
原作:都築七美/エブリスタ 構成:仲紙 作画:comee

STORY
私はニュースであの子の「死」を知った。
義母からの壮絶な嫁いびり、夫の不倫、友人の裏切り。
ボロボロになった末に捨てられた私は、最愛の存在までも失った。
ああどうか、過去に戻ることができたなら。神様がもう一度私にやり直すチャンスをくれたのなら―――今度こそ間違えない。
全てを奪われたサレ妻は、過去に舞い戻ってリベンジを誓う。
小説投稿サイト『エブリスタ』の大人気作品を元に待望のコミカライズ!

――自己紹介をお願いします!

仲紙さん(@nakagami147q)

仲紙 仲紙(なかがみ)と申します。『サレ妻のリベンジ』ではネームを担当させていただいており、comicoでは過去に『アシチガイ』を連載しておりました。

――ネームを担当することになったきっかけは?

仲紙 『アシチガイ』連載時の担当さんに「comicoで分業制のお仕事はありませんか?」とお伺いしたのがきっかけです。そこから紹介をしていただきネーム担当に繋がりましたので、担当さんには本当に感謝しています。

――ネームのやりがいはどういうところでしょう?

仲紙 初めて原作小説ありのコミカライズのネームを担当していますが、文章と漫画の魅せ方は全然違うと実感してます。なので、元の文章の良さを無くさずに漫画に落とし込むことにネームという仕事の重要性を感じますし、やりがいになりますね。

――コミカライズは通常の漫画と違いますか?

仲紙 
全然違うと思います。小説は面白いんですけど、小説をそのまま全部漫画にすると多分飽きちゃうんです、不思議なことに。だからとりあえず、ストーリーが伝わる部分だけを抽出して1本作ってみる、みたいなことはしてます。

――悩んだ時はどうしますか?

仲紙 ネーム自体が進まない時は小説を読み返してイメージを掴み直します。できたネームに違和感がある時は大体テンポが悪いので、読み返してどこが詰まるポイントか考えます。

――「テンポが悪い」とは?

仲紙 WEBTOONって縦に「すーっ」て読むじゃないですか。
こう、目線を動かすっていう作業がないからこその気持ち良さがWEBTOONにあると思うんです。目線もですけど、展開的にもごちゃごちゃしないみたいなのが、WEBTOONの方が優先されるのかなと。なので、あんまり情報が散漫にならないようにはしてますね。

―—他にも制作で気をつけていることは?

仲紙 
指示やラフをちゃんとするようにしています。分業になると、責任の所在みたいなことになりやすいですし。これは全てにおいてそうだと思いますけど、「誰かが修正する」って思ってやっているとそのままいっちゃうので気をつけています。

――お気に入りのシーンは?

仲紙 
復讐のパートはめっちゃノリノリで描いています(笑)。
不倫ものって描いたことがなかったんですけど、すごく少年漫画みたいだなと思ってて。躍動感というか敵を倒した爽快感があって、そこは少年漫画を描く気持ちで描いてます。

▼躍動感のある実際のネーム原稿がこちら!

『サレ妻のリベンジ』第14話より

――読者からのコメントは参考にしますか?

仲紙 
めっちゃ読みますよ。全部読む。私、超エゴサもしますから(笑)。
やっぱり読者さんに見てもらいたくて描いてるので、コメントはありがたいですよね。どういう風に受け取られたのかっていうフィードバックになるので。

――どのような作業環境で制作されていますか?

仲紙 
『サレ妻のリベンジ』はほとんどiPadで描いていて、修正依頼が来たら液タブで修正してます。iPadの方が読み返しやすいというか、画面を動かしやすいのと、ネームは白黒なので色味調整とかが必要ないからですね。動画はゲームの実況をずっと見ています。

仲紙さんの作業机

iPad
第2世代 12.9インチ

デスクトップPC
OS:Windows 11 Home
CPU:11th Gen Intel(R) Core(TM) i5-11400
メモリ:16.0 GB
HDD:1TB
グラフィック:intel(R) UHD Graphics 730

――左手デバイス、いいですね!

仲紙 今年、友達に誕生日でもらって使い始めたんですよ。キーボードが変な位置にあるから、手を動かさなきゃいけなかったんですけど。 これ1つで完結するのですごい楽ですね。ただ、iPadには接続できないので、『サレ妻のリベンジ』には使ってないです。

――1週間のタイムスケジュールを教えてください。

仲紙 月〜水に『サレ妻のリベンジ』の作業をしますが、修正が来た場合は割り込みで作業をするので、週一納品の『サレ妻のリベンジ』の作業は多めに見積もっています。月によって他社の案件数が変わるので、都度担当さんに連絡してスケジュールを調整してもらったり、余裕のある時は週に2本納品したりします。休みの日は遊びに行ったり、旅行とかもします。あとは個人の漫画を制作したりしています。

――ゲームのお仕事もされているんですね。

仲紙 
スマホアプリのゲームの仕事です。でも私は、漫画を描くのが一番好きなんですよ。ネームをしてると完成形を見るのが一番の楽しみですね。

――おすすめのcomico作品はありますか?

仲紙 
最近ドラマにもなった『around1/4 アラウンドクォーター』です。
25歳という絶妙な年齢の男女のリアルな恋愛模様がすごいです。
そして、話ももちろん面白いんですけど、この作品は「読みやすさ」の頂点だと思ってて。漫画の技術としてすごいなと思います。

仲紙 『目覚めたら怪物皇太子の妻でした』もおすすめです。漫画を読む時、まずキャラクターを好きになることが多いんですが、この作品は明るくて優しい主人公と、少し気弱な相手の男の子がとっても可愛いです。


――最後に、作品の宣伝とファンに一言どうぞ!

仲紙 いつも読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。comicoのコメント欄を久々に読んで元気をもらっています。
『サレ妻のリベンジ』は段々と天音の逆転が始まりそうな展開です。是非これからも天音の戦いを見守ってください! そして皆でスカッとしましょう!

『サレ妻のリベンジ』はcomicoで好評配信中!

仲紙さん、ありがとうございました!
『サレ妻のリベンジ』皆さん是非ご覧ください!

「comicoタテカラー®漫画賞2023」開催中! ※募集終了しました

現在comicoでは、WEBTOONに特化したコンテスト「comicoタテカラー®漫画賞2023」を開催中です! ※募集は終了しました。

https://www.comico.jp/event/contest/tatecolor2023/
comicoタテカラー®漫画賞2023

今年の募集テーマは「溺愛」
45コマ以上の読切作品を描く
「オリジナル部門」、お題の溺愛シナリオをネームにする「ネーム部門」の2部門で募集しています。
グランプリ・準グランプリ受賞者には、賞金だけでなくマッサージアイテムの副賞つき♪
応募〆切は2024年1月15日(月)23:59
あなたならではの溺愛作品でチャレンジしてみませんか?
ご応募、お待ちしております!

『サレ妻のリベンジ』©comee・仲紙/comico ©都築七美/エブリスタ