ねい

好きな子への大好きで身体中が作られている

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好きな子への大好きで身体中が作られている

最近の記事

何めいてそれは微笑む

嘘吐きと吐いたあなたが 朝顔の中に咲く間に 何周もしていた朝と夜は 僕らを置き去りにさざめく ふたりだけの世界というと それも良いけれどと僕なんかは思う 君は笑って取り合わない 進化を求めるのは僕らが笑い合うためだ 立ち止まることを嘆かれるのは 幸せを願われているからだって ずっとずっと なんて前から知っているのにさ どうにも切なくなってしまう 赤葡萄を透けた光りがきれいに 本当にきれいに机を照らした 一日の始まりが光に包まれて始まって またその終わりに光を抱きながら

    • 相生の松となりにけり

      花は咲くかしら 朝露の夜影に 蜘蛛の糸 禿げかけた月のはらはらと 涙がとけだし海になってしまうのは 誰かの熱さが目に伝ったからだ 誰かの心を知ってしまったからだ 優しいことが哀しくなるなんて 思ったこともなかったんだよ だだっ広い草原に泣きそうになるのは 誰も傷つけない景色だからか すみれ色の瞳が映すものが たとえば焼きたての星型クッキーだとか 誰もいない懐かしい海辺の通りを 風が木漏れ日のように思い出させる 寂しい思いをしてきた人ほど 四つ葉を探すのもへたね ブル

      • 内緒話を夜のピクニックで

        君のさよならの温度忘れられないな 忘れたくなったら手を叩け 途切れた日々も支えて腫瘍になる 日がいつか来るのかな この温もりを感じていたいから このまま夜明けに挺していたい 明けぬ日暮れに背中が熱いだけ 抱きしめられた日が光になるだけ 君のサヨナラの温度忘れられないのに さみしさばっかじゃ飯も食えない お別れというには優し過ぎたんだよ 君の全て川面のひかり鱗のように 君のさよならもいつか忘れてしまうから 幸せになったら手を叩け 途切れた日々の咽ぶくらいになる 陽だまりを

        • 欄干から星を見る

          星のゆらぎが目に映る 水面眼下、君を呼ぶ からだめいっぱいあたしになるんだ 呼んでよ 水の波紋に指をひたす 待ち受けた声に立ちすくまないで あたしの全部に怯えちゃだめよ ひたすらに空を見る サッシにふれた瑞々しい指が ひどくいとおしそうに埃を眺めた 声も出さずに身をかがめた僕は よりかかる柱の温度を知って 夏の田んぼの揺らぎない青さを あなたの白い麦わらにさしのべて ゆるゆるりゆれた透けていく睫毛 二の腕で頰を拭う内に滑ってく 汗のしずくは散りゆく花に見えたから 電話

        何めいてそれは微笑む

          綺羅星に乗れ 青春なんだから

          日本語に白砂糖をまぶしたい。そうしたら君の声になるのだろうか。 夢にも見るまぶしさはあなたの生命力というのはどこから滲み出溢れ出てきているのだろうかと、うたた寝のように時々思う。 スピッツの詩のような性と死の片鱗も窺わせてくれないあなたは私の正反対で美しい。あなたは綺麗。誰がなんと言おうと綺麗なのだ。 最近は偶然見つけた谷村志穂にはまっている。だいたいそういう謳い方が好きだと最近気づいた。もちろん谷村志穂さんは歌手ではなく作家です。 君に好かれたいとか君を救いたいとか

          綺羅星に乗れ 青春なんだから

          来世は願わない

          午後6時50分、結局なんにもなかったね、と私は言った。ぼんやりとして箱から声だけがリズムを作るように流れ出している空間に、その声は頼りもないまま放流された。 史上最強の台風ですら、鉄筋コンクリートにまもられた部屋の中には騒音以外なんの影響も及ぼさないそのことを、不謹慎だということを重々承知していながらも、私はとても空々しく馬鹿げたことに思えた。 よかったねえと嬉しげな声を聞きながら、ああ、そんなふうに喜べばいいのか。と思う。そういうことはしっぺ返しみたいにいつかやって来て

          来世は願わない

          君に伝えたいことがある 風よりも早く伝えたいこと

          君に伝えたいことがある 風よりもはやく伝えたいこと マーマレードが陽にきらめく 様よりも綺麗で不確かな声 君を追いかけた八月よ 光よりただそばにいるだけで 歯をゆすぐ君の声が聞きたい 友達にだけ好きと言えること 君に伝えたいことがある 好きなのに上手く言えないこと 君に希う夢描く 蜂蜜の花と咲き変わること マーマレードは陽にきらめく 願っていた笑声がゆるえた 限りなく青に近い白に 出会って会いたくなったこと 君に伝えたいことがある はやる心が熱を帯びること 狭き空に

          君に伝えたいことがある 風よりも早く伝えたいこと

          丹色をならべた朝の裾野

          朝が来ることは呪いじゃないんだってこと、初めて知ったんだ。 髪の毛一つですら優しいあなたを困らせたくないんだ。それだけなんだ、空っぽなあたしの中 大好きなの。笑っていて欲しい。 自分でも笑ってしまうくらい何も知らないあなたのことを笑顔だけで好いてしまったのだ、声だけで胸が鳴った、ふくらはぎのかたちが愛しいと思ってしまった。 何も知らないくせに綺麗だと言って、大好きだというわたしのことを馬鹿にして欲しいのに、丁寧な声がわたしを丹念に傷つけていくだけだ。 あかるく取り繕え

          丹色をならべた朝の裾野

          ロバの独白

          くちびるも、指先も、震えてしまう。 言うのが怖い、見られるのが怖い、目が合うのもあなたが誰かに笑うのもわたしを気持ち悪がることも。並べ立てて仕舞えばあなたをぐしゃっと呆気なく潰してしまいそうな感情の鉄のような重みも、ぜんぶ、怖い。 不安が止まらないからずっと泣いてしまいそうなのだ。今ここで気を許せば目頭が熱くなってきっと堰を切ってしまいそうだから口にも出せない。息を吐き出すことができない。 美しい空や花吹雪を見て苦しさを覚える日が誰にでもあると思う。そんな日が誰にとって

          ロバの独白

          木漏れ日に花を置く

          水のようなわたしは 何にもなれるのにどこにもいけない それはさみしさの形を知らないから つめたく白い炎を抱いた 泣いているあなたを慰めたいのに 何一つ口にできない あなたの持つ感情を知らないから すみれ草ひとつ差し出せない 僕は何にも知らなかったのだ 離れてから鼻がかじかむことも ツンと痛むその熱の意味すら 君に教えられるまでわからなかったのだ 君を通して知った熱が 君の目を帯びて過ぎていくなんて 寂しいという感情が こんなにも音を透明にするんだって 電車の音も君がい

          木漏れ日に花を置く

          心ばかりで君を呼ぶ

          心だけで伝わるのなら何千回も伝えてるのになあ、と思うのは意気地なしの証明のように思えるだろうな。 運動神経の良い彼女は、怪我をしている中でもマット運動だった体育をさらりとこなしていて、そういうところずるいよなぁ、とぼやく。わたしばかり好きになるのは不公平だからそろそろ何か良いところを見せたいです。でも勉強が出来ても嫌味のようだし美術が好きでも影響なんて人それぞれだし文章を君に見せる機会は多分ない。 詩でも作る機会があったら丹念に指でなぞるように砂の輪郭を描くけれども、風が

          心ばかりで君を呼ぶ

          etc.

          あたしの最期を飾る言葉だとしたら あなたの四文字の名前がいいな ロマンスブルーのリボンを結ぶ 傍らであなたはそう笑って ねぇ そうやってもういつからか 会わないつもりだったのと 答えてくれないあなたの笑顔が 優しさと知っているから 刃となった最後のキスは 血じゃなくあなたの味がした 十一月 色素の抜けていく青空に 君の聴こえない歌を歌う 怒れない僕を叱って欲しい そんな歌が夏の終わりを告げた 煙で濁るふたりの空が しばし揺れる 耳が聞こえなくなっても 目が見えなくなっ

          蜂蜜色の梟

          好きな子が女子からモテる系統の女子であることにため息が隠せない。 年を経るごとに可愛くなってしまうのは女の子の性なのか知らないがあたしはたいへん迷惑だ。好きな子は何をしていても可愛いけれど、周りにとってはそうではないし綺麗になれば虫もつく。私自身だって好きな子の蜜に惹かれたしがない蜂だけれど、秘めたる恋なのだから仕方がない。ごめんなさい。 ただ思うのは好きな子を軽率に好きって言うのは個人の自由だけど、好きな子とセックスしたいと思ったことあるの?というね、めちゃくちゃ厄介だ

          蜂蜜色の梟

          死ねたらいいのに、燦々

          夢の話をします。 両親を殺した継母に育てられた"私"が夜、殺されそうになり家を出る。 追跡を恐れ遠くは遠くへと足を延ばす私は途中で少年と出会い、その一家の車に乗せてもらう。 その大家族の暖かさに巻き込んではいけないと思った私は夜が明けないうちにそこを発つ。 変貌する世界のなかで私は洞窟に続く枯れた池の地へと導かれ、友が"影"の存在になったことを知る。 影とは、人間そっくりなものの、人間と違い適温は摂氏五度ほどであり、それ自体にやや黒いフィルターのようなものがかかって

          死ねたらいいのに、燦々

          番外編 あなたの光が必要だ。

          誰にも抱かれて欲しくない。あたしにとってのあなたはそうだ。絶対的に美しいものなどこの世に一つとないとして、それでもあなたはあたしの絶対だ。 恋も愛もどうでもいいし、語れるほど知りもしないくせに謳う詩はもっと嫌いだし、真の意味で愛を知ることなど一生なく終えるくらいならあなたに好きだと言ってから死にたい。あなたを震える指で引き寄せていいのなら世界は黎明に呑まれていくだろうと思う。夜明けの朝に月はいらない。わたしはそう思う。 わたしにないものを持っているあなたも、わたしとすこし

          番外編 あなたの光が必要だ。

          足りないものを数える、過ぎる。

          薬をうまく割れるようになったのは何歳の頃だっけか。 サーカス団も疲れ果てて眠りにつく濃紺の空。大理石を磨いて磨いて光らせたような小指の爪くらいの月がぽとんと置かれている。寂しくないのかなと私は思ったけれど、そう思うのは私が寂しいからだ。 光を見てしまったら光の全てが知りたくなるし、三次元と二次元に囚われている私は四次元のことも気になるし、気になることはどの教科にもいくらでもあるのに、どうして進路なんてすぐに決められるんだろう?でもどうせ迷うのなら好きな子と同じところに行き

          足りないものを数える、過ぎる。