コミュ力は、本当に鍛えることができるのか?


現代は、圧倒的に”コミュ力”が重視される時代です。
歴史をふり返っても、これほどまでに"コミュ力"が求められた時代はありませんでした。
現代は、コミュ力があるかないかで、人生はまったく違ったものになります。
企業が新卒社員に求める能力ランキングでは、16年連続「コミュニケーション能力」が第一位です。「コミュ力高めである」ということが、資格やスキル、頭の良さ以上に評価されています。

とくに女性は、コミュ力は欠かせません。
日本はまだまだ男性社会です。
日本の一部上場企業の役員の割合は、超少ないです。
なんとなく少ないことは想像できるにしても、その想像を上回る少なさなんです。先進国の中で最も女性の比率が低いアメリカでさえ、2015年で17%なのに対して、日本はなんと、2018年でたったの3.8%です。
これは、当然、ぶっちぎりの最下位です。

そんな極端な男性社会で女性が仕事で成功を収めるには、男性以上に、より高度なコミュ力が求められるのは当然です。どこに落ちているかわからない心の地雷を、高性能な金属探知機を駆使して事前に察知して、撤去するという的確な対処を行う能力が求められます。そして、その地雷原を抜けきったつわ者だけが、3.8%の栄誉に預かることができるのです。

恋愛にも同じことが言えます。
男性がモテるには、やっぱり筋肉っしょ?金っしょ?オシャレっしょ?
と、安直に私たち男性は思うのです。
しかし、それら見かけのパワーは結局、面白いやつに勝てません。

お笑い芸人が最強です。アスリートの鍛え抜かれた筋肉もなかなかの魅力を放ちますが、コミュ力の神々である芸人の前では、赤子同然です。日本で最もかわいい女優や女子アナと次々に結婚するのは、やはり芸人たちです。コミュ力の高いやつが最強なのです。

女性の場合は、かわいいが正義です。
これは、某有名大学の恋愛学の先生が言っていることなんで、嘘だったらその恋愛学の先生を責めてほしいのですが、日本の男子は、とにかくかわいい女の子が大好きで、かわいいは「仕事のコミュ力とは関係のない性的魅力のこと」です。

長過ぎる萌え袖の女の子に、「今日もお疲れ様です!」と声をかけられると、全男子の90%が恋に落ちるわけですが、これをかわいく言うための能力はトレーニングしなければ、ならないのです。そのために、全女子は鏡の前で「お疲れ様!」「頑張ってね!」と、可愛く言うトレーニングが日課にしないと、モテは獲得できないのです。
なんという恐ろしいコミュ力トレーニングでしょうか。
こんなふざけた努力が求められた時代がかつてあったでしょうか?

いや、ない。
男女ともに、この世はまさに、コミュ力至上主義社会と化しているのです。

ですから逆に、”コミュ力”低めの人にとっては、苦難の時代です。

「仕事をこなしても正当に評価されない」
「友達とうまくやっていけない」
「理想のパートナーを見つけられない」

人生のどこを切り取っても、コミュ力の問題が僕らを襲います。
コミュ力はまるで怪物のように、成功の鍵を持って、人生という長い道の前に鎮座しているのです。

"コミュ力"格差社会の到来

世の中には、さまざまな格差が生じています。

「俺の方が忙しいのに、なんであいつの方が高い給料もらってるんだ!」という収入格差。それが元になり生じる経済格差

「いい学校や塾に通える子はずるい!」生まれた環境によって受けられる教育が違う教育格差

「新しい技術についていけないとお金や時間を損する」年配の世代によくみられる情報格差

「けっきょく顔なのか?!」もはやどうにもならないのか恋愛格差。。。。

など、あげていけばキリがありません。
とはいえ、すべてを持って生まれる人などほとんどいません。みんな何かしらの格差を感じながらも、配られたカードで頑張っています。

しかし、あえて言いましょう。
それらすべての根源にあるのは、”コミュ力”であると。
もっと言ってしまえば、いま世の中で起きているあらゆる問題は、全てが、関わる人の”コミュ力”に起因しているかもしれないのです!

あなたの年収が上がらないのも!
モテないのも!経済が良くならないのも!
政治家が信用できないのも!世界から戦争がなくならないのも!
郵便ポストが赤いのも!
全て!!!コミュ力格差のせいなのです!!!!!

職場で広がるコミュ力格差

ところで、みなさん。
仕事が「デキる」とはどういうことだと思いますか?
まずは、専門領域についてのトレーニングが必須条件でしょう。
プログラマーであれば、プログラムを自由にかけること。
営業職であれば、顧客とスムーズなやりとりができることが求められます。
これらの専門的な能力を、「スペシャリティ」と呼びます。
スペシャリティが高いと、それだけでデキると呼ばれる可能性があります。
特にエンジニアリングやデザイン、アートの世界では、無愛想でコミュ力に問題がある人でも、圧倒的なスペシャリティによって評価されている人は多いでしょう。

日本には、職人気質という言葉があるように、「腕に自信のある人間は余計なことは言わない」「不言実行」を尊ぶ伝統もありました。

ところが、近年はスペシャリティが高いだけでは、周囲からデキるとみなされない傾向があります。
あなたの周りにも、誰にも負けないスペシャリティを持っているのに、周囲から評価されない、収入に結びついていない、という人はいませんか?
ひょっとするとあなた自身がそうかも知れません。
スペシャリティの高さは確かに重要なのですが、多くの場合、それだけでは充分ではないのが現実です。

では何が必要なのか?
それは、目的達成のための「なんとかする力」です。
Q)例えば、あなたにこんな仕事が入ったとします。 

「1週間以内に、ドイツの安全保障政策に最も影響力のある人物を探して、アポイントを取り付けて欲しい。」

さぁ、大変です。あなたならどうするでしょうか?

まずはネットで検索する。
知り合いの研究者から情報を聞きだす。
ドイツ大使館に飛び込んで関係を作る。
これまでのコネクションに電話して関係者を紹介してもらう、など。
いろいろな方策が頭を飛び交います。
このとき、求められる力は、大きく二つです。
一つは、英語力や情報網などのスペシャリティ。
もう一つは、”コミュ力”としか言いようがない、他者と関わる力です。

デキる人になるためには、スペシャリティだけでなく、「他者と関わってなんとかする力」、すなわちコミュ力を身につける必要があるのです。

ここで、こう思った方もいるでしょう。
「圧倒的なスペシャリティを身につければ、コミュ力がなくてもなんとかできるのでは?」と。
確かにそうかも知れません。
例えば、達人的プログラマーなら、ドイツの安全保障政策に影響がある人物を、ネット上の情報をもとに統計処理し、特定した相手にメールを書くことができます。
しかし、コミュ力のある人というのは、そういったスペシャリティを持った人物と繋がることができます。どんな課題がきても、外注することができるので、やはりコミュ力が優位になります。

極端な例にはなってしまいましたが、コツコツ仕事をこなす「職人タイプの人間」より「口だけのやつ」が評価されがちなのは、こういった理由のためなのです。

コミュ力ってどうやって鍛えるんだ?

ここまで読んで下さったあなたが「よし、わかった。コミュ力を鍛えて人生勝ち組になろう」そう思っても、ここで大きな問題に突き当たります。
そう、コミュ力ってどうやって鍛えるんだ?!問題です。

勉強だったら教科書を開いて読めばいいし、
筋肉だったらウェイトトレーニングをすれば鍛えられます。

しかし、コミュ力を鍛えるためには、何をしたらいいのでしょうか?
よく考えてみると、これが中々はっきりしないんです。
世の中には、コミュニケーション術の本というものが沢山出回っています。
書いてあるのは、大抵が同じような内容です。

発声法や呼吸法、ミラーリング(相手が腕を組んでいるときに自分も腕を組むというように相手の真似をすることで、共感を引き出そうとするテクニック)など。

なるほど。
たしかに、こういうスキルやテクニックを磨くようなことも、悪いことではないでしょう。
でも、それで本当にコミュ力が高くなるのでしょうか?

コミュニケーションの達人に、例えばビートたけしさんがいます。
みなさんよく知っている通り、事故の影響もあり、彼は滑舌が悪いですし、空気を読んだり、相手に話を合わせるなんてことはなく、マイペースに言いたいことをズバズバと言いますから、ミラーリングのような技術を実践しているようにも見えません。
それにも関わらず、人は彼の話を聞いてしまうわけです。

これはまさしく最強のコミュニケーションと言えるでしょう。
では、コミュニケーションの教科書に書いてあることを全て習得したとして、ビートたけしさんのようなコミュニケーションを実現することはできるのでしょうか?
ビートたけしさんが、そんな技術を一つずつトレーニングしてコミュ力を高めたわけではないことから推察して、やはりムリでしょう。
(より詳しい理由については、第三回の記事でご紹介します)

ですから、テクニックをマスターしても、コミュニケーションの達人になることは、残念ながらできません。

しかし、これは多くの人にとって、ピンチでありチャンスでもあります。

なぜなら、コミュニケーションについて正しい理解を得られれば、小手先のスキルに頼らずとも、コミュニケーションを鍛えることができるからです。

コミュ力をみんなこっそり鍛えている?

私は、日本ではまだ珍しいスピーチライターという仕事をしています。
クライアントの多くは一流企業の経営者や政治家などです。
もちろん、そういったVIPたちはとても優秀な人たちばかりですが、実は、彼・彼女らのコミュニケーション能力は、特段に優れているわけではありません。

ただ、一つだけ一般人との大きな違うのは、普通の人たちのように「そのまま人前に出ているわけではない」ということです。

リーダーである彼・彼女らは、実はこっそりトレーニングに通ったり、きちんとした専門家のアドバイスを受けているんです。

つまり、ズルをしています。みなさんがコミュニケーションで悩んでいるときに、その答えを知っている人にアドバイスを貰ってコミュニケーション力の強化を図っているんです。

だから、実際にトレーニングはできるし、しているんです。
私は、自身がメディアにたくさん出るわけではないですが、メディアに出ていきたいという希望を持ったクライアントのために、様々なトレーニングを行った結果、ものすごく話すことが苦手だった方がスターのように活躍しだしたケースもあります。

コミュ力は鍛えられます。
しかし、小手先ではないトレーニングができる専門家はそれほど数多くいるわけではありませんから、アドバイスを直接受ける機会を作るのはなかなか難しいかもしれません。

そこで、本マガジンでは、専門家のアドバイスを抜きに、日常生活で充分に通用するコミュ力を鍛えるための方法を、全10回にわたって解説していきます。





本記事は、2018年に出版した『なぜ、あなたの話は響かないのか 価値と信頼のコミュ力2.0』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)より、抜粋・編集したものです。書籍版もオススメです!
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スピーチライター 蔭山洋介

スピーチライター、ブランディングディレクター。経営者や政治家など、リーダーを支える仕事をしています。ForbesJAPANオフィシャルコラムニスト。株式会社コムニスHP→https://www.communis.jp

コミュ力2.0講座

コメント1件

スピーチライターの仕事をしようと、昔、議員会館にDMを出したことがあります。
コミュ力は、なければここまで働けていないと思うものの、もっとあれば、
違った、とも思いますが、これからも向き合っていきたいです。
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