コミュニティこそが_新しいカイシャのあり方

コミュニティこそが、新しいカイシャのあり方

こんにちは。コミュニティ情報のおっかけnagata(@SsfRn)です。

先日、こちらのイベントに参加してきました。

(※イベントページよりスクリーンショット)

サイボウズが主催する「新しいカイシャについて、語ろう。」。今度、サイボウズ株式会社 代表取締役社長 青野慶久さんが出版する「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。」の出版記念イベントになります。青野さんや、株式会社フューチャーセッションズ代表取締役 野村恭彦さんと、「新しいカイシャの在り方とは?」というところについて語り合う、参加型トークイベントです。

参加者は、年齢幅も広く、複業をやっていたり、起業していたり、サラリーマンをしていたり、と様々なキャリアを歩んでいる方々が集まっていました。そこから聞こえる、リアルな体験から見えた働き方や会社の問題点、その1つ1つに青野さんが、親身に聞いている姿が印象的でした。

それでは、そのイベントの様子をどうぞ。


”会社さん”はおらへんねん!

イベント会場に着くと、すでに席はほとんどいっぱいで、熱気に溢れた空間でした。全体的にやや年齢層は高く、同世代は少ないイメージ。そんな感じで周囲を観察していると、イベントがスタートしました。

青野さん「元々会社という仕組みは、人間が効率よく活動し、楽しくなる繋がりを生み出す仕組み。それなのに、気がつけば僕たちは会社というものに囚われていて、会社の奴隷のように働いている。もう一度考えてみよう。しかし、これをサイボウズの中だけで話すのではなく、日本の様々な会社に属する皆さんからアイデアをいただいて、これからのカイシャについて、ディスカッションしていきたいと思います。」

”私も楽しみたい”と青野さん。あくまでフラットな立場として、イベントを作っていきたいという姿勢が伺えました。また、このタイミングで参加者を”一緒に新しいカイシャをつくる仲間”という位置付けであることを伝えられました。社長とフラットに話せるイベントって、めちゃめちゃ珍しいのでは?と思いつつも、イベントは進みます。ここで、本を出すきっかけの話に。

青野さん「サイボウズの副社長をやっている山田という人間がいるのですが、彼の口癖は”会社さんなんておらへんねん!”。実は会社という人はいなくて、いるのはその中にいるリアルな一人一人。”会社ってだれやねん?そんな人はおらん”これが本の原点です。もしかしたら、僕たちは会社との付き合い方を間違っているから、不幸になっているのではないか?幸せになるために作った会社。なのに、会社のために働きすぎて、死ぬ人が出ている。それはおかしいぞ。そこを考え直すきっかけにするために、この本を出しました。」

会社はいない。これまでの僕たちは無意識のうちに、会社が当たり前にあると思っています。しかし、冒頭からそこにメスを入れる青野さん。また、世の中が働き方を見直すきっかけとなった電通の事件。この状況に一経営者が意義を唱えます。次にサイボウズで容認されている複業についての話題へ。

青野さん「最初は副業するなんて、会社にコミット度が低い!と思ってたんですけど、よく考えてたら私も家で家事育児やってますし、PTA活動もやってるし、副業って細かい意味でみんなやってるぞと。これ何のために制限にしてるんだろう?と思い、解禁しました。(複業を)やってみると面白くて、そこで得られる新しいノウハウ・知識・人脈、、まさにリアルな人脈。これが組織にとってプラスな効果があると実感している。

野村さん「複業がOKになることと、会社さんが会社じゃなくなってるのと、これは繋がっている感覚ですか?」

青野さん「そうですねー。ある意味会社は潰れても困らない。”倒産したら困るじゃないですか!”とか言うけど、会社は実際には存在しないので。例えば明日サイボウズを倒産させて現金をみんなで分けたら、むしろみんな喜ぶ(笑)。一人の人生という見方をすると、きっとその人はサイボウズ以外でもやりたいことがあるかもしれない。もし会社が倒産しても、複業でスキル人脈が広がっていれば、また別の人生を歩むことができる。個人の人生という意味でも、きっとプラスなんじゃないかな。」

野村さん「”複業”の意味合いとして、どう考えているのでしょう?複数の複を使っておりますが、、」

青野さん「副業は主があるという発想なんです。おまけという考え方ではなくて、その人にとってどれも大切なわけで、複数を走らせているからその人らしくいられる。そういう意味で、複業がいいなと思っています。」

複業についての青野さんの意見。このオープンな捉え方が、複業を実現させ、いい循環を生んでいるんだなと感心させられました。ここで一回、参加者の声を聞くことに。一番近くの席に座っている方々からコメントもらう野村さん。

参加者「僕サラリーマンしかやってなかった時は、サラリーマンの稼ぎ方しか知らなかったんです。地方でポルシェを乗れる稼ぎ方がわからない。企業で部長や課長になる方法しか教わらなかったんで、結果として起業して全てが虚構だったと気がついたので、テーマンに関してはすごい共感することばかりです。」

サラリーマンから起業家になった方のコメント。他にも、それぞれの参加者がなぜこのイベントに来たのか?という問いに答えていきました。

参加者「会社にはダブルジョブという制度があるが、参加している人は体調を崩していて、うまくまわっていないように感じています。そこについて色々な視点が欲しくて、本日参加しました。」

複業に近い制度を導入しているが、結果としてうまく回っていないという声も。それに対して青野さん。

青野さん「それは難しい問題で、2つあると2つとも頑張っちゃう、両方とも真剣に取り組みたいからこそ、両方燃え尽きちゃう。これは起きやすい問題です。これは、社内(サイボウズ)では少しずつノウハウが溜まりつつあって、片方の仕事についてはできるだけ自営的にコントロールできるように、幅を持たせてあげる。」


お互いに幸せな”フクギョウ”のあり方とは

ここからは、どんどん参加者が発言できるセッションに入っていくようでした。赤い席に座った人のみ発言権を得られる制度。席取りゲームかのように参加者は赤い席を求めて前へ前へ。

参加者「私も複業をしてみて、自分と会社の概念が逆になるということが。会社の中に自分がいるのではなくて、自分の中に会社という仕事があるんだという意識が変わりました。これは重要なことだと思っていて、明日社長に複業解禁の直談判に行く予定です。制度としてはOKなんですが、風土がなんとも、、いかなくて。浮気をしているんじゃないかみたいな風土があるんです。」

なんと明日複業解禁への一歩を踏み出すという猛者が現れました。実体験から得た学びを周りに還元するその姿勢が素晴らしすぎる。。同時に問題は制度ではないという現実的な意見も。会社の空気や風土が、会社の性格が「しちゃだめだろ」というプレッシャーを与えてくるのだそう。こうなってくるとどう変えていけばいいものか、、と参加者の方は悩んでいるとのこと。

青野さん「会社の性格って言っちゃうんですけど、やっぱそこに会社さんはいないんですね。誰かの性格なんです。誰の性格なんだろ?それは上司の性格。会社の性格は誰かの性格でしかない。その上司が変われば会社が変わるかもしれない。そういう視点で見ていければと思います。僕たちが戦う相手は、もやもやしたモンスターではなくて、所詮同じ人間。生身の人間でしかない。そういう風に見ていただけると、違う見方ができるのではないでしょうか。」

会社は大きなモンスターではなく、一人一人が集まった集合体に過ぎない。そう考えることによって、改善できる方法が見えてくる、と青野さん。また別の参加者の方へマイクが渡ります。

参加者「会社は専門職が強い業務が多いというところで、副業が禁止されています。時効だから言いますが、私10年ぐらい前にこっそりドーナツ屋さんでドーナツを作っていた時期がありまして(笑)。そこのドーナツ屋さんがとても好きで、どうしても自分で作りたくて、、そこで出会った旦那と結婚することになったり(笑)。そこでの出会いや経験で、視野が広がり、会社で生かせることもありましたので、私も皆さんみたいに、会社に(複業が)良いというアピールをしたいです。ですが、組織の規模が大きいと、見えない何かで”無理なんじゃないか”っていうバイアスがかかってしまって、誰をどう味方につければうまくできるのか?それがわからない状態です。そこに何かヒントを得られればと思っています。」

青野さん「この話はですね、”ふくぎょう”のふくが潜伏の”伏”なんです。隠れてやる伏業。これは実は一番、会社にフィードバックが返ってこない。隠れてやっているわけですから言えなわけですね。その仕事を通じて得たことを、試すこともできない。実は今、スイーツ業界はこうなっててみたいな、せっかく生の情報があるのに生かせない。これは、お互いが不幸な形だよなと思いますね。では、これをどうやればわかってもらえるのか?これはいろんな戦い方があります。モヤっとさせるのではなくて、戦うターゲットを決めれば、数名しかいないかもしれない。この数名を抑えれば実は動かせるのかもしれない。ただ、これは時間も手間もかかることかもしれないので、人生は一度きりですから別の場所を見つけるという選択肢もある。こんな風に戦い方は色々あるぞ!というのは知ってほしいですね。」

会社も個人も幸せになれないフクギョウの形がある。やるのであれば、お互い幸せになった方がいい。それを実現するための手段は、意外とたくさんある。と、参加者の視野を広げていく青野さん。確かに、複業をやるのであれば相互に幸せな形の方がいいよなぁと。実は伏業が、複業のイメージを悪くさせているのかも。と参加していてどこかで思ったりもしました。


コミュニティが会社を変える?

(※ここでは実際にイベントで使用されたスライド用いて書いていきます)

ここで野村さんが考える、新しいカイシャのあり方を説明。

野村さん「私がこの前サイボウズさんに来た時、その辺で餅つきやってたんですよ(笑)。それって変ですよね?そこで気がついたのですが、サイボウズはコミュニティなのでは?という仮説です。私も実体験であるのですが、大企業でしかできないことがすごい減っていて、個人ができる仕事が増えている。しかし、企業は社員に対して、企業でしかできない仕事が多いと思い込ませているところがある。そこで体系的に考えてみたんですけど(上記のスライド表示)、この3つの居場所がありますよね?これを関係で見てみようと。家って家族との関係じゃないですか。大切ですね。また、同僚との関係も大事ですよね。友人との関係もありますが、ここは”少し後回しにしてもいいかな?”という社会になってますよね。ワークライフバランスというと、家と職場の時間の取り合いみたいな感じに捉えられがち。友人との時間は優先順位が3番目になっています。」

まずは、日頃私たちが付き合っている人たちや場所についての関係性、優先順位を整理した野村さん。確かに、友人のことは後回しにしがちな世の中にはなっている気がします。スライド入れ替えて話を進めます。

野村さん「でもこれって、新しいことが起こせるんですかね?家と職場って契約関係ですよね。これってコミットメントを要求されて、行動も監視される。それだと、あんまり実験できないんだと思うんですよ。試しに家の関係を変えてみようかな〜なんて言うと殺される(笑)。それは契約関係だから、何かを守ろう守ろうとしている感じが元々あって、コムフォートゾーンを超えた自由な挑戦は困難なんじゃないかなぁと。だから、青野さんが言った通り、自由な挑戦で得たものを持って返ってもらわないと、職場も硬直化しちゃう。基本的にこんな構図になっていると思います。」

野村さん「”あなたのことは友達である”ということが、イノベーションの本質なのではないかと思っています。誰でも儲かるとわかっていればやるじゃないですか。それは契約関係だから。それが儲かるってわかってないし、失敗するかもしれないけど、あなたとそれをやりたい!というのが、ある意味深い友情とするならば、自由意志に基づく友情関係の中で、常にオープンイノベーションは起きるんじゃないかと。この信頼がないところに、イノベーションはないんじゃないかなと思います。」

な、なるほど。。契約関係ではなく、友情関係だからこそ、イノベーションは起きると野村さん。友達と思えるほど、信頼関係を持っていないと本当の変革は起こせない。これは面白い視点です。

野村さん「自由意志に基づく友情関係は単にfacebookで友達っていうことではなくて、あなたのために100万円渡してもいいという関係が大事だと思っています。だから、複業の本質というのは、会社がコミュニティになることじゃないかなと。青野さんは率先して会社をサードプレイスにしようとしている。サードプレイスが一番イノベーションが起きやすく、逆にセカンドプレイスで縛れば縛るほどイノベーションから皆んな逃げていく。と思っています。」

理想形は、会社のコミュニティ化だと、持論を述べた野村さん。これはとても面白い発想だと思いました。単に、右向け右の組織は古く、そんな企業にはイノベーションは起こせない。信頼関係があり、フラットで、コミュニティのような会社こそ、新しい会社である。これが仮に正しいとするならば、コミュニティってなんぞや?みたいな、そもそもコミュニティというものの本質を捉え、実態を知っている人って今後の時代は、とても強いのでは?と頭をよぎりました。もしかしたら、コミュニティと会社の線引きは消えていくのかもしれませんね。最後に、ここについて青野さんの意見。

青野さん「この関係性については、私も新しい気付きでした。その契約関係になっているが故に言うことを聞かないといけない、何故ならばそれはそういう契約になっているからだと。でもよく考えると、友達にしたくない人と契約しているってなんか嫌ですよね(笑)。あ、私たちはそういう状況にあるんだ、と驚きました。ただ、友情がある空間であれば、本当に皆んなハッピーに過ごせるのか?もしくは、そのハッピーに過ごせる空間にするには、どんな基礎条件が必要なのか?誰でも集まれば、楽しい場所が作れることはないと思うので。それってどういう空間なんだろうね。という新しい疑問もわいてきました。」

”友達にしたくない人と契約している”。これって冷静に怖い状況です。人によっては、そんな友人にもしたくない人と、人生のほとんど時間をともにしているということにもなります。そう考えると、会社を選ぶ1つの基準として”人を見る”というのは、理にかなっているのかもしれません。


参加者が考える理想のカイシャの特徴とは

最後に、参加者にはA4の紙とペンが配られ、個人ワークとして「日本から世界へ発信したい、あなたの考える”新しいカイシャ”の特徴とは?」を発表し合うセッションへ。ここでは、特徴的だったものをいくつか抜粋して、ご紹介します。

参加者「私が考えたキーワードは、”会社を回遊する”。皆さんが個人事業主であって、有期雇用契約にするっていうのがいいのかなと思います。1つの企業じゃ満足できないことが、複業の理由になっているのかなと思います。また、1つのところにいると淀んでしまうこともあるかと思いますので、それを払拭する意味でも会社を回遊するというのは、1つのきっかけとなるのでは?と考えました。」

参加者「会社を変えようと言った時にスタートアップなど、会社の規模が大きくなければ、よし変えようとなる。しかし、歴史もある会社になってくると”よし。方針変えて、ついてこい!”という訳にもいかない。実際は、人が変われば文化も変わるということはあると思います。会社に頼っている声は多いんですね。それは愚痴だったり、会社にこうすべきだということを言うんですが、では自分は何か変えたんですか?何か行動していますか?って聞くと、誰も動けていない状況がわかる。なので、自分たちが変わらないと会社も変わっていきません。一緒に変えていきませんか?とやっている途中です。」

参加者「私は”旅人になりたい”なっていう感じがあって、旅人というのはいろんな場所に行って、その瞬間その瞬間選択するわけですよね。ここに留まるか?あるいはどっかに行くか?と。そういう選択をすることが、生き様です。その対極にあるのが、自分にとってはサラリーマンだったんですね。自分はずっと、大学卒業してからサラリーマンで、給料もらって、9時〜17時の生活をしていて、そういうスキルというか生きる力というのが、会社員として生きていることでどんどん削ぎ落とされちゃって、結果として組織に依存するような自分がいる気がしている。自分の憧れとして旅人になりたいなと思いました。」

参加者「自分が思っているこれからの会社のあり方は”スケスケ透明”。箱だったものが場になっていくという風に思っていて。じゃあそれを繋ぎ止めていくものは何かな?と思った時に、やっぱり文化じゃないかなと思っています。それは会社の経営者の人がこういう方向でやっていきたいとかであって、それに共感する人が集まってくるんじゃないかなと。会社にそれがなく、向いてる方向性がわからないため、プラスアルファの提案がしにくい。そういうこともあり、文化が大事だなと思いました。」

このように、参加者の皆さんは実体験をもとに感じていることや疑問などを、赤裸々に話してくれました。この日話した内容に大賛成の人もいれば、いやちょっと待てよと不安要素をあげる人も。それぞれの意見を全て的を得ていたと思ったのと同時に、世の中を変えるには、課題が山積みなんだなと現実を見れた気がしました。ある参加者が言っていたように、まずは個人。自分やその周りにいる人の考え方や行動を変えていくことが、はじめの一歩なのかもしれません。


最後に

このあと、懇親会も開かれ、青野さんや野村さん、もちろん参加者同士でも、会社のあり方とは?働き方とは?今の現実は?みたいなところの情報交換が行なわれました。私もめちゃめちゃ楽しんで参加してましたよ(念のため、、)!

今回のイベントで一番刺さったのは、会社のコミュニティ化でした。最近、人が集まる場の理想形がコミュニティという形なのではないか?という話がちらほら聞こえてきます。会社、小さいチーム、お店もそう。青野さんもおっしゃっていましたが、コミュニティ化することで綺麗に問題は解決されるのか?となれば、素直に頷くことができません。それは、コミュニティだからこその問題は別にあるし、コミュニティマネージャーという職種がまだまだ発達していない日本では、厳しいところがあると思うからです。

しかし、逆にこの発想が推奨されることで、世の中にコミュニティという概念が広がっていき、新しいコミュニティのあり方みたいなものが生まれるのかもしれません。つまり、コミュニティの発展ですね。それって、チャンスだなと個人的に思うのでした。

コミュニティを通じた社会問題の解決。これってまだまだできることがあると思うので、模索してみようと思います。

長い文章を最後まで読んでいいただき、ありがとうございました!


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