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続・アマチュアカテゴリー視点でシーズン移行を考える

はじめに

2023年12月19日、シーズン移行が行われることがJリーグから発表されました。この発表ではアマチュアカテゴリーについて触れられることは無かったのですが、12月6日に公開されたJリーグ公式チャンネルのYoutube動画で、JFLと地域リーグについての言及がありました。また動画中の日程説明の中で、天皇杯の日程について示されている箇所がありましたので、それらを踏まえて前回の記事の続編として、アマチュアカテゴリー視点でのシーズン移行について考えていきたいと思います。

ここでいうアマチュアカテゴリーとは、1種社会人男子サッカーのJFL、地域リーグ、都道府県リーグのことを指します。まだ情報が少ないので、私の仮説や妄想を多く含む記事となりますので、その辺を踏まえてご一読頂けますと幸いです。

因みに、私はシーズン移行について賛成、反対のどちらの意思も持っていません。

JFL、地域リーグについての言及

上記のYoutube動画は、前回の記事で紹介したシーズン移行についての動画のアンサー動画のような構成で、座談会形式でシーズン移行の各種問題についての説明がされています。JFL、地域リーグについては、動画の 38:39「新人選手の出場タイミングについて」のところでの言及されています(動画の概要欄にチャプターがあります)。この動画であったJFL、地域リーグについての言及は下記のとおりです。

JFL
Jリーグがシーズン移行した場合、JFLもシーズン移行を実施する方向で検討中

地域リーグ
Jリーグ、JFLのスケジュールを考慮した上で、各地域で適切なリーグスケジュールを検討中

地域リーグは、春3、4、5月ぐらいに開幕して、9、10月くらいに終わるカレンダーになっている。地域ごとに違うが、北海道や東北がシーズン移行に合わせると開幕が8月とかになって10月ぐらいまでしか試合ができない。Jリーグ以上に雪の影響を受けてシーズンが2ヶ月とかになってしまう。多分、全ての地域リーグが同じように移行するのは難しいと思うので、JFLが移行したものに合わせて、そことの昇降格がスムーズに進むように、地域ごとにカレンダーを考えていただいている。

上記YouTube動画より抜粋

動画中で、地域リーグの降雪地域の問題についての言及がありますが、ここに認識の相違が無いことは、とてもポジティブに捉えています。

カレンダーから読み取れた天皇杯スケジュール

Jリーグのオフィシャルリリースの最下部に、資料「Jリーグ『シーズン移行』~次の30年に向けて~」のリンクが掲載されています。ここから理事会決定稿という資料が閲覧でき、P33~P35にJ1~J3の試合日程案がありますが、ここからシーズン移行後の天皇杯の日程を読み取ることができます。

天皇杯本大会日程
7月末週、8月1週~翌年1月1週

天皇杯は、J1、J2、J3それぞれで本大会のスタート位置が違います。J3のスタート位置が1回戦(※J3は県大会予選から出場)になるので、7月末週か8月1週から天皇杯の本大会がスタートすると想定できます。

前回の記事の「主要大会の予選が入らない」でも触れましたが、天皇杯には予選があり、アンダーカテゴリーのチームは、各県大会予選に出場します。例年の傾向では、遅くても1回戦の2週前迄に各県の代表が決まるように各県大会予選の決勝トーナメントが3〜4週に渡って行われますが、単純に流れで本大会と予選を接続しようとすると6月~7月2週に各県大会予選の決勝トーナメントが行われることが想定できますが、J3とJFLのクラブは、各県大会の決勝トーナメントの準決勝か決勝から出場するので、シーズン移行した場合は、オフシーズン中の7月1週、2週に天皇杯予選が行われることになりますが、それは現実的では無いかもしれません。そうなると、移行後シーズン終盤の5月末に各県代表を決めるように日程調整することになるかと思いますが、こちらの方が現実的かもしれないですね。

JFLの降雪地帯のクラブへの費用補助はどうなるのか

前回の記事でも書いたように、シーズン移行してウインターブレイク明けの後半のシーズンが2月2週に開幕する日程になると、降雪量が多い青森県のラインメール青森は、ホーム開幕戦までアウェイ8連戦になります。その後ホーム戦が続くように日程が調整されるとは思いますが、アウェイ8連戦中の費用負担を JFLがどう考えるのか。Jリーグクラブのようにキャンプ費用等々の補助をJFLが行わなければ、降雪地帯のクラブはただ負担が増えるだけになってしまいます。ここはJFLの対応に注目したいですね。

JFLと地域リーグの昇降格の接続について

JリーグがYouTube動画で言及している「地域ごとにカレンダーを検討している」というのがポイントになりますが、ここから予想できるのは下記の2点かと思います。

①降雪地帯がある地域と、それ以外の地域の昇降格タイミングを分ける
②降雪地帯がある地域に、全ての地域の昇降格タイミングを合わせる

この①、②を成立させるためには、JFLを前期、後期と分けて2期制で開催することが必要になります。これまでの歴史の中でもJFLはシーズンを前期、後期と分けて2期制で開催した前例があるので、これはあり得ることと仮定して話を進めていきます。

①降雪地帯がある地域と、それ以外の地域の昇降格タイミングを分ける

降雪影響がある北海道、東北、北信越は、これまでと同様のカレンダーで開催し、昇降格タイミングはJFLの前期終了時点とする。それ以外の6地域、関東、東海、関西、中国、四国、九州は、シーズン移行後のJFLカレンダーに合わせて、昇降格タイミングを後期終了時点とする、、とか書いてて難しいよね(笑)と思って、この案のカレンダーを図化するのも止めてしまったのですが、動画内のJリーグの言及だと「地域ごとにカレンダーがずれるのも止む無し」と聞こえてしまったのでこの案を考えてみたのですが、昇降格のタイミングがずれると受け入れるJFL側のルール決めも大変ですし、地域リーグ間で不要な軋轢が生まれそうな気がするので、昇降格のタイミングを分けるのは現実的では無いかなと思います。

②降雪地帯がある地域に、全ての地域の昇降格タイミングを合わせる

シーズン移行後日程(案)

この案は、地域リーグは「現在のカレンダーのまま」になります。先に天皇杯の日程に触れたのもこれが理由となりますが、現在のカレンダーのまま地域リーグを開催できれば、天皇杯の予選は問題なく実施することができると思います。

問題は、昇降格のタイミングがJFLの前期終了時点となることです。そこで、JFLの前期は「降格」しないための戦い、後期は「昇格」をかけた戦いとして、リーグ戦のみどころを2つ作ります。昇格は、前期、後期の総合点、降格を前年後期、当年前期の総合点とすれば、前年後期に振るわなかったチームを再編成して、当年前期に巻き返しを図るといったような新たな盛り上がりを作ることができるかもしれませんね。

地域リーグを現行の日程で行うことができれば、主要大会の予選や都道府県リーグとの接続、人材や施設の確保など、地域リーグ以下のカテゴリーについての混乱を最小限に抑えることができると思います。

地域リーグが受け皿としての価値を再定義する

人材確保の視点で、シーズン移行後のJリーグはプロ契約のタイミング調整や指定選手制度の拡充で乗り切る算段だと思いますが、Jリーグと共にシーズン移行を検討中のJFLは、前回の記事でも書きましたが、企業チームはともかくとして、アマチュアチームが切実な問題を抱えると思いますので、人材確保について対策を考える必要があると思います。

地域リーグのカレンダーが動かなければ、Jリーガーになれなかった選手やJFLクラブに加入できなかった選手を、新卒社会人選手として受け入れることができます。誰もがプロサッカー選手になれる訳では無いので、カレンダー的に加入しやすいタイミングにある地域リーグは、学生生活終了後もサッカーを続けたい選手の受け皿として、より強く主張できるようになるかと思います。

地域CLの新しい形を考えてみる

ちょっと蛇足ですが、前段の「JFLと地域リーグの昇降格の接続について」を考えていた時に、地域CLの改革案を思いついたので書いてみようと思います。

私は、現在の地域CLの課題は、下記の2点かなと思っています。
①地域CLの日程の厳しさによる選手への負担
②地域リーグからJFLへの昇格枠が少ないこと

地域CLの日程については、選手の負担軽減のためにゆとりをもった日程で行いたいのは誰もが思っていることですが、地域リーグならではの事情として、大半の選手が平日に仕事をしているので週末の土日にかけて試合を行いたいこと、長期に渡って試合会場を押さえるのが難しいこと、参加チームの移動◦宿泊費の負担を軽減すること、等々を考慮して、なるべく期間を短くしたいとなっていると思います。

地域リーグからJFLへの昇格枠が少ないことについては、2023シーズンは地域リーグの1部リーグだけでも80クラブある中から1クラブだけの昇格というのは、私も1ファンとして障壁が高いなと感じています。

そこで考えた改革案が下記4点です。

①地域CL出場チームは各地域リーグ1位の9チーム
全社枠等を廃止して各地域リーグ1位で行う大会とします。

②地域CL決勝ラウンドの1位、2位チームは自動昇格、3位チームはJFL14位チームと入替戦
JFL昇格の間口を広げて昇格枠を最低2、最大3とすることで昇格障壁を下げます。

③地域CL1次ラウンドは3チームで行うリーグ戦として、グループ分けの地域を固定
リーグ参加を3チームにすることで、連戦を最大2に抑えて負荷を軽減することができます。また、グループAを北海道、東北、関東、グループBを北信越、東海、関西、グループCを中国、四国、九州と固定することで移動の労力と費用を軽減します。

④地域CL決勝ラウンドには、1次ラウンドの1位チームが進出し、順位決めを行う
地域王者だけが集い総合王者を決める地域CL決勝ラウンド。1次ラウンドを勝ち抜くと JFL昇格がほぼ決まり、決勝ラウンドの順位で自動昇格か入替戦かが決まります。

⑤全社の上位3チームの所属地域リーグは、翌年の1次ラウンドのホーム開催権を獲得する
全社にる地域CL出場枠を無くす代わりに、ベスト4のチームの所属地域に翌年の地域CL1次ラウンドのホーム開催権を与えます。同グループの地域が複数残った場合は、より上位のチームの所属地域が獲得する。グループの地域がベスト4に残らなかった場合は輪番でホームを決定する、とすれば「地域が団結して全社を取りに行く」みたいに全社の参加価値を設定できるかなと。。

まとめ

今回の記事を書くにあたって、あくまで可能性としてですが、地域リーグのカレンダーを動かさなくて良い状況が考えられることは、何が起こるか分からない不安ばかりを考えなくて良いので、とてもポジティブでした。

また、JFLと地域リーグの接続については、地域リーグのカレンダーが動かなかった場合に、そこに発生するねじれを、新たな「みどころ」にできないか?JFLの魅力を高めていくことにつなげられないか?と、変化を刺激に変えて新しいアイディアを考える良いきっかけになるのではないかと思いました。

シーズン移行を行うことは決定したので、これから様々な情報が出てくるとは思いますが、Jリーグだけでは無く、アマチュアカテゴリーについても積極的な情報公開と活発な議論を行って欲しいと思います。

ファンとしても、これまで同様にたくさんのアイディアを出して、持ち寄って、魅力的なサッカーライフを作っていきたいですね。

最後に、前回同様に長い文章となってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。仮説、妄想を多く含む記事となってしまいましたが、アマチュアカテゴリーを楽しむためのきっかけになってくれたら嬉しいです。

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