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茶臼山のアムールトラ

 長野県長野市、善光寺平を見下ろす小高い山の裾に茶臼山動物園がある。

茶臼山動物園付近から見える景色

 南口から入り階段を下ってすぐ、左手側にトラの獣舎と運動場がある。かつてトラとライオンの共用となっていた設備だが、今年「ライオンの丘」が新設され、現在はトラ専用となっている。それでもやはり身体の大きなトラが生活するには窮屈そうで、運動場内を繰り返し行ったり来たりする様子がしばしば見られた。(これが飼育下のトラにみられる常同歩行という異常行動にあたるのかは分からない。)長野市は、トラの生息環境を模した、より広い運動場「アムールトラの森」の建設に向け寄付を募っている。この再整備により、トラの福祉が向上することを願う。
(長野市HP:https://www.city.nagano.nagano.jp/n202500/kanko/p002604.html)
(飼育下トラの福祉向上に関する論文:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jabm/55/3/55_107/_pdf/-char/ja

ライオンの丘外観
茶臼山の見晴らしを活かした展示
ライオンってどんなどうぶつ?
手書きの説明が愛らしい

 茶臼山動物園で飼育されているのはトラ最大の亜種アムールトラで、メスの和(なごみ)ちゃん、オスの新(しん)くんの2頭が在籍している。

 和ちゃんは「遊び好き」という紹介通り、ブイ(丸い浮き)を転がして遊んだり、運動場を駆ける様子を見せてくれた。一方で新くんは、まったりと池に浸かる姿が印象的で、ブイで遊ぶ姿も慎ましやかだった。

ブイを抱える和
ブイを大切そうになめる和

尻尾ふりふり→疾走の和

池に浸かる新

「和ちゃん来園の記録」
和と新の識別
目上に♥のような模様があるのが和

 土日祝日に限り、飼育員さんの解説付きでトラたちが食事する様子を観察できる「トラレストラン」が開催される。ご飯は馬肉と鶏肉の2種類で、和ちゃんのご飯は合計3キロ、新くんは合計4キロだ。骨がついたままの鶏肉を、顔を傾け奥歯で砕きながら食べていく。鶏の臓器や頭も余すところなく与えられる。野生のトラの行動を再現する意味でも、栄養バランスを整える意味でも重要なのだそうだ。鶏肉に比べると、馬肉は小さく切られ、比較的食べやすそうな状態で提供される。新くんは、馬肉を勢いよく食べ過ぎて吐き出してしまうことがあるそうで、特に細かく切ってあげるらしい。

 獣舎で二頭が食事をしている間、運動場を飼育員さんが清掃する。新くんは檻をひっかいてみたり吠えてみたりと獣舎から出してほしそうにしていたが、和ちゃんは落ち着いて座っていた。運動場での二頭の姿とは対照的だったのが興味深かった。

新の声が聞こえる中、落ち着いた様子の和

閉園間近の動物園
前方に見えるのがトラの運動場

2023/09/17
茶臼山動物園 @長野

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