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躑躅忌

まなうらに
つゝじの赤が萌えさして

その火
ちろちろ まなかいに
まもなく まみゆ
さみどりの
野の倉はしる

みどりの子らと
もゆるに まみれ
くゆる つゝじの
もりにさまよう

むすめの瞳に映る火よ
滲みて底紅 ゆらゆらと
沈みてほてる
いまひとたびを咲くつゝじ
蜜の泪は 頬つたい
谷すじ染めて運ばれる

不死の火 かがよい
つゝじ喰む
酔うてはいない
不死身のむすめ
群咲くつゝじ
からみつく
むすめの袖が染まりゆく

さみどりとつつどりの声こだまして
つゝじが笑い割れこぼれ

聖なる月よ
つゝじよ笑え
みらい永劫
つゝじよわらえ

まなうらに光は透けて
血潮となりしか
つゝじ花

http://sainotsuno.org/archivesevent/tsutsujiki2023_pre

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