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【インタビュー vol.2 / 週末フォルケ】 ~立ち止まって”私”を成り立たせてきたものに目を向けた8日間~

Compathでは、今年最初のプログラム「心地よい社会と暮らしとはなにか」を考える旅 に向けて動き出しています。通称「週末フォルケ」。プログラムのテーマは「Lifeー暮らし方と生き方ー」。東川でリモートワークをしながら、暮らすように過ごす5月23日~5月30日の8日間のプログラムです。

プログラムを準備するにあたって、改めてCompathのプログラムの価値ってなんだろう、を考える時間をとっています。これまでCompathのプログラムに参加してくれた仲間たちがどんなことを感じたのか知ることで、Compathのあり方をじっくり考えたい、という気持ちから、インタビュー企画をはじめました。

2本目のインタビューを受けてくれたのはみゆう。前回ご紹介したタカと同じく、みゆうも去年の11月に「週末フォルケ」に参加してくれた仲間です。Compathさきとみゆうが時計の針を少し戻して、週末フォルケのあの時間を振り返りながら対話する形式で記事をお届けします。同じプログラムに参加していても、人によってフォルケでの時の流れ方は違うんだな、ということを感じながら読んでいただけると嬉しいです。

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■ 話者
みゆう
偶然出会ったCompathのnoteを読み、「人生の寄り道」という言葉が猛烈にささって、弾丸長文メッセージを送り参加に至る。
とうふで人を救うべく研究をしていた高校生時代、居心地のいい空気を醸し出す天才である両親、対話型アート鑑賞、そしてもちろんフォルケ!たくさんの出会いと時間があって、「空間や雰囲気をつくるものたち」に興味を持つ。今年の春から大学を休学し、地域おこし協力隊として東川町に移住。ここでもやっぱり、町の雰囲気をつくるものを研究中。
■聞き手
さき
Compath共同創業者。4年前にデンマークのフォルケホイスコーレに惚れ込んで、モデルにした大人の学び舎をつくりたいと北海道東川町に移住。設立に向けてのいろいろ実験中。参加してくれた仲間たちとの対話をヒントに学校づくりをしていきたい。2021年の目標はおいしいあんこを炊くこと。


東川町への片思い

―― さて、いきなりだけど「いま東川町に住んでる」のが面白いよね。同じ町民になってるなんて、週末フォルケ参加時11月には想像していなかった。みゆうと東川町との出会いはいつまで遡るんだっけ?

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今から一年前の2020年3月、東川町を舞台に新規事業を立案する大学生向けプログラムに参加して、はじめて「東川」っていう場所が日本にあることを知りました。でも去年の3月は状況的に現地に行くことはできなくて、延期に。8月にオンラインで開催したけれど、ネットや本からの情報でひたすら妄想するしかなくて、リアルに触れたい~ってずっと思ってました。そして、そのオンライン開催をしたときにヒアリングする町の方々の中にいたのが、Compathさん。なんだかかわいいお名前...と惹かれてしまって、早速調べて、noteに書かれている言葉に感動。即メッセージを送り、11月の週末フォルケ参加、初本物の東川に上陸!というのが一連の流れです。

―― 私は知らない大学生から巻物級の長文メッセージが送られてきてびっくりしたよ(笑) でもすごく考えて送ってくれたんだろうなって、言葉たちで嬉しかった。具体的にどんなことに惹かれたの?

ここだったら自分に休んでもいいって言えるかもって思ったんですよね。Compathさんのウェブサイトやnoteの文字たちから、休みたくても休み方が分からない自分に対して、もうちょっと肩の力抜いてもいいんじゃないかなっていうのを感じたんですよね。そのときちょうど3ヶ月くらい死にもの狂いでやっていたイベント運営がやっと終わったところだったんですよ。だからなんか疲れたなーと思って。オンラインでずっとパソコンの画面ばかりみてたので、場所も出会う人も変えたくて、どこか違うところに行きたいという欲があって。あとコロナになってコミュニティが狭くなったなっていう感覚がずっとあったんです。自分が合うと思う人としか関わらない環境ができあがってたので、外に出たときに触れ合う人たちとの違いに驚くみたいなときもあったんですよね。だからもうちょっと自分の輪の外に出たいな、っていう思いもあって参加しました。

―― 片思いが実って、週末フォルケで実際に東川に来てみてどうだった?感じ方が変わったところとかってあったりした?

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期間中に、東川町役場の菊地さんにお話をお伺いしたのがすごく面白くて。東川へ思いを募らせていた8月のオンラインプログラム参加中はずっと東川町の素晴らしいところばっかりを見てたんですよね。だから、本当はどうなのかな?っていうのがあって。つくったはいいけど、使われているのかなとか、住民の方の気持ちってどうなのかなとか。それまでは東川町は完成されているみたいなイメージをずっともってたんですけど、全然そんなことないよって。東川町もまだまだ成長していける、まだまだ変えていきたいところがあるんだっていうふうにおっしゃっているのを聞いてますます面白い町だと思いました。リアルな部分を聞いた上で、そこに加われたら面白そうだなって。週末フォルケで菊地さんにお話を聞けたからこそ東川町で働きたいという思いが強くなりました。

―― そこで本当に東川に来ちゃう行動力がすごいよね。今のみゆうの言葉で東川町を「こんなところだよ」って伝えるとしたら?

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うーーん、洗練されてるイメージはそのまま変わらずあるんですけどあったかい感じがあるまちだなと思っていて。洗練っていうと冷たい感じに捉えがちじゃないですか、とにかくすごいみたいな (笑) でもフォルケで実際に東川に住んでいるひとと出会えて、どんな人たちがどんなことを思って東川で暮らしているのがみえたところから、やっと人がつくっている町っていう感じがしましたね。洗練されているというのは変わらずあるけど、いろんな人がいて、みんなが頑張ってつくっているまちっていう印象かな。


人と人がつくりあげる空間だからこそ、人の言葉が自分に刺さる

―― ちょっとここでフォルケでの時間に巻き戻してみてほしくて。フォルケってみゆうにとってどんな空間だったなって感じる?

誰かがふと発した言葉が自分に刺さった場面が多かったです。ある参加者が「自分の意見を主張するために、誰かを傷つけることの必要性」について話をしていて、私は否定する必要がないときに否定しているなっていうことに気づきました。「私はこれが好き」っていうときに「でもあれは嫌いです」っていってた自分がいたんですよね。好きな話をしているのにディスりにいく、迷惑な狩りをしていると気づいたことは今でもふと思い出すことがあります。

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それから、年がいくつも離れたいろんな方の率直な悩みを聞けたのがすごく貴重な機会でした。やっぱり社会人と学生という立場で出会うと、先輩・後輩みたいな立場が出来上がっちゃってて、お互い人間として悩んでいることはいろいろあるのに、ついついそこには触れちゃいけないという暗黙の了解があると思うんですよね。それがフォルケにはなくて、率直に「こういうこと悩んでいるんだけどどう思う?」とか、対等な人間としてお話しする場面があって。そこでお互い聞き合うことで、この人はこういう悩み抱えてるんだなとか、それって結構自分にも当てはまるんじゃないかなとか、気づいてないことを他の人の視点で気づかせてもらうっていうことが多かったですね。


お互いに話したい欲、聞きたい欲があるから生み出された心地よい空間

―― なるほどね。みゆうが「私たちっていつも仮面舞踏会してるよね」って話してくれたけど、確かに私たちって、仮面を外して出会う時間って実はすごく限られているのかもしれないね。そういう心地よい空間って、どういうものから生み出されていると思う?

心地よい空間かぁ。なんだろう。参加者の人たちが、みんな話したいっていう欲をもってたことかな。限られた1週間という短い時間のなかで、お互いに話したいし、聞きたいしっていう欲っていうのがまずあったから、ああいう時間になったのかなっていうのは思っていて。その欲を解禁していいんだって思えたのは、初日にした調味料をつかって自分を紹介するワークショップ。すごく面白い感性をもっている人が多くて、もっと知りたいと思うきっかけになりました。普通のチェックインよりも深く自分を表現して共有しあうことで、この人にちょっと話してみようかなっていう流れができたのかなって思います。

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フォルケで得たものと置いていったもの

―― フォルケでみゆうが得たものってなんだったんだろう?

フォルケで立ち止まっても別にいいんだなとすごく思ったんですよね。フォルケに行く前は、淡々と走ってはいるけど誰かとめてーっていう感じだったんです。息切れしてぜいぜい走っている感じもなく、自分ではペース配分をしながら走ってきているつもりだったから、追われているみたいな感覚はなかったんですけど、止まれないっていうのがあって。ゴールが全然見えてこないし、休んでいいよってなかなか自分で自分に言えなくて。孤独の戦いみたいな感じだったんです(笑)

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でもフォルケに行って休むって別に何もしないってことじゃないんだっていうのはすごく思ったんですよね。フォルケで会った人たちとたわいのない話をしたりとか、自分の気持ちを打ち明けたりとかしていて、ふとまわりを見てみるというか。自分だけで頑張って走ってたところにまわりの人もいっぱいいるじゃんっていうに気づけたのがフォルケ。それが今でも大事にしたいと思っていることですね。

―― フォルケに参加したあと「お祓いにいった気分」って表現をしてくれていたのが印象的だった。今話してくれたことって、そこらへんの感覚と似ている感じなのかな?

さっきフォルケに行くまでは孤独の戦いをしてたって言ったんですけど、人に助けを求めるのが下手くそで。だから、一人になろうとしちゃう。まわりはいっぱいいろんな人がいて、あったかいところにいるんですけど、その中でも必死に一人で頑張らないといけない、って籠ろうとしちゃう余計な孤独があったんです。でも、お祓いは、頑張んなきゃとか、ずっと走ってなきゃとか勝手に思いこんでいたものたちが彼方に飛んでいった、という感じ。

―― 飛んでったんだ。

互いに話を聞きあったっていうのがすごく大きいんじゃないかと思っていて。今まで参加した自己啓発系とか内省するワークショップとかって、とにかく喋らないといけないみたいなのが多かったんですよね。だから無理やり絞り出している感があって。自分がなんで苦しいか気づいていない状態で出してみって言われても無理ーって感じで(笑) でもフォルケは無理に喋らなくてもいいよっていう雰囲気がある中で、それぞれがお互いの心に耳をすませる空間で。だからどうなの?みたいに催促されることが絶対なかったので、いろんな人の話をきいて、他の人が私の鏡になってくれて気づくことが結構大きかったですね。

足りなさや不完全さをもっていることを許してくれる環境でもあったなと感じていて、さっきと言ってること違うじゃんとか、自分もやってたじゃんみたいに棘のある言葉を向けられることは絶対になくて、いろんな人との会話を通して自分がひっそりとちくりと気づくっていうのが多かったです。自分が言葉にするのがずっと怖かったこととか、あんまり認めたくないなって思っていたことでもこの人たちに話してみようかなって思いで話してみて、話すと絶対こうしたらじゃなくて、どうしたいの?ってきいてくれる人たちだったので、自分はどうしたいのかなって考えながら次のステップが見えてくるっていう時間を過ごしてたなって思います。


止まったら見えた景色、湧き上がってきたありがとうとお疲れさまの気持ち

―― みゆうにとって週末フォルケってなんだと思う?

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週末フォルケの初日に私が設定したテーマが、「私の20年を成り立たせてきたものに目を向ける」でした。そういう気持ちをフォルケにもってきて、誰かとご飯を食べたこと、話を聞いてくれる人がいたこと、みんなで作った食べ物があること、とかをジャーナルに書き留めていくうちに、私って一人で生きてきたわけじゃないんだな、いろんなものがあって今があるんだなってことに気づけた時間でした。

今まで走り続けていたから一回なにかが終わっても、立ち止まってこの経験で私の何が変わったのかっていうのに目を向けれる時間をとってなかったんですよ。だからあんまり現状が変わらなくて、ずっと走り続けるっていうのをやってきてたんです。でも、ここではじめて今までを振り返るみたいなことをしてみて、自分はいろんな人と関わり合って生きてきたし、すごくがんばってたんだなっていうのが分かって、まわりへの感謝や、自分にお疲れさまっていう気持ちがもくもくと湧き上がってきました


フォルケも今もずっと続いている感覚

――フォルケを終えて今、あのときの経験がつながっているなって感じることはある?

ちょっと嫌だなと思うことがあったり、喧嘩をしたり不穏な空気のなかにいるときに、週末フォルケの対話の時間を思い出すことが多くて。あの時間があるから、ちょっと諦めずに歩み寄ってみようかなとか、この人がこういう発言をするのは何か理由があるのかなとか、ちょっと落ち着いて考えられるようになったっていうのはすごく大きいです。

―― 一度止まって選択するようにしてるんだ。フォルケを終えて日常に戻ってきて、ギャップを感じることとかってある?

なんかあんまり私の中で区別したことないかもしれないですね。フォルケの日常と今の日常が続いている感じがすごくあって、話が通じないかもしれない...と思う人たちに出会うときもフォルケにいた自分に巻き戻ってその感覚を思い出すというよりかは、フォルケにいたときにもらったものを自分のなかにとりこんでいて、それを発動させるっていう感覚が近いのかなっていう感じがします。

フォルケと今の日常にギャップみたいなのを感じることもあるんですけど、それはまわりにいる人間が違うから当たり前なのかなと思って。それを嘆くというよりかは、フォルケの時間のこういうところが好きだったなとか、あのときに得た自分の気づきを忘れないようにしとこうと思って、それを日々思い出しながら日常を変わらず過ごしているっていう感じだと思います。

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最終日の宣言タイムにて
8日間を終えてみて大切にしたいことは
「自分の思いを話す時は、主語はいつも『自分』」
「あらゆる人を巻き込める人」


聞き手のあとがき  fromさき
「休み」は「なにもない」で埋め尽くされているのだろうか。

何もない余白の時間を作ると、誰かの言葉が心に入ってきたり、ざらりとする感情と目が合ったり、過去の情景が流れ込んだりする。うーん、外から入ってくるという表現は違うかも。手の中にあることに、はっと気づく、のかもしれない。みゆうは「休むことは周りを見渡すこと」って言ってた。休みに対する長年のイメージがこびりついていることに気付いたので「休むことは〇〇○」の〇〇〇の言葉のバリエーションを探究してみたい。

先週末は、町民になったみゆうと旭川までドライブしてきました。カフェで映画までの待ち時間におしゃべり。映画を観て帰る移動時間におしゃべり。待ち時間に移動時間。オンライン化でそういう時間がなくなりつつあるけど、これらも大事な余白の時間なんだよなあ。なくなってしまって寂しい。

(ライター&編集者:Compathインターン/森山寛菜)


【募集中!5月の週末フォルケ】
北海道東川町に滞在する8日間のワーケーション型プログラムです。
平日は自由(仕事も観光もOK)、土日にプログラムをご用意しています。

【5月の週末フォルケ】
■日時:5/23(日)-5/30(日)
■定員:15名
■締め切り:5/9まで
■ご興味ある方はこちらから
①【説明会】5月のプログラム説明会@オンライン
4/28(水)20:00-21:00 
https://forms.gle/8SmWDUnsFAE2RgoM6
②【イベント】オンラインぶらり旅-北海道東川町を自宅から体感する- 
4/26(月)20:00-22:00
https://compathhigashikawaburari.peatix.com/
③【登録】今回はスケジュールが難しいけど今後興味ある方
https://forms.gle/8SmWDUnsFAE2RgoM6

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