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メンバーnote 「生存戦略から学ぶ」受験に向き合う心の整え方

メンバーからの寄稿です。
本人の強い希望で中学受験をする予定の我が家の小6息子。無類の虫好き。
小6になり、ますます受験塾通いも本格化し忙しい毎日を過ごしています。
しかし、日頃の受験勉強の努力が「偏差値」という結果になかなか結び付かない日々に、偏差値には振り回されないと自分自身に言い聞かせてきた親である私もイライラが募っていました。
無口な息子も、トイレの回数や時間が増え、不安やプレッシャーを感じていることには気づいていました。
道ばたで気になった石を拾って収集しコレクションすることも、ここ数週間はしていないかもしれない。

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それほど受験勉強に時間を費やしていても、明かりはなかなか見えてきません。
そんなタイミングであったCo-musubiのコアである「こどもミーティング」。
低・中・高学年に分かれ、あるテーマについて、対話し深堀りしていきます。
Co-musubiのスタート当初から参加し続けている息子ですが、もしかしたら、こどもミーティングに参加すること自体も、今の彼には重荷になってしまっているのではと危惧しました。
今月から、塾から帰宅後すぐに子どもミーティングに参加するという余裕がないスケジュールのため、
「どうする? 今回はお休みする?」
と息子に聞くと、
「やる」と。

Co-musubi代表でこどもミーティングのファシリテーターでもある井上さんに相談し、参加する他のご家庭にも時間を調整していただいた上で迎えた今回のこどもミーティングのテーマは「進化と絶滅」。

このミーティングで、我が家はまたまた大きな気づきを得ることになるのでした。

スタートは、地球上で繰り返されてきた、生き物の進化と絶滅について。
『進化と対にあたる言葉はなんだと思う?』
「退化?絶滅?」
『どうして絶滅が表裏の関係かな?』
「絶滅しないために進化するから?」
『絶滅ってどういうときに起こる?』
「環境の変化」「人間たちに毛皮をとられた」「隕石が落ちてきた」
ひとしきり導入の対話をした後、先カンブリア時代から新生代まで、絶滅の後に新たな生命の大進化があり、現在の人類の繁栄に至っていることを順にみんなで確認します。

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そして新しい問い。
『たくさんの絶滅した種と現代でも生き残っている種。いったい何が違ったんだろう?』
子どもたちは思考をはじめます。
「生き残ったのは賢かったから。本能的に自分を守れたのかな。」
子どもたちからぽつぽつと発言が始まります。
「運。ラッキーのレベルが高かった。」
「奇跡が起きた。」
「偶然、たまたまだったかもしれない。」

子どもの発言をファシリテーターが拾って、広げます。
『ラッキーのレベルって言ってくれたけれど、運のよさって自分ではどうすることもできないのかな?』
子どもたちが考えやすいように問いかけ方を変えます。
『自分たちの周りにあの人運がいいよね?っていう人っている?それってどんな時?』
「給食じゃんけんで毎日のように勝つ人。」
「自分と友達の2人1組の日直だったのに、失敗して自分は叱られて友達は注意されなかったとき。」
「席替えで、仲の良い子と隣りや近くになった人。自分はそうではない時。」

最初のテーマ「進化と絶滅」から、思いもよらぬ方向へ進む子どもミーティング。

『大人になると、重要な場面でいつもタイミングが合ったり、よいことが舞い込んでくる人っている。一方で自分は運が悪いって言う人もいる。
運って一体なんだろう?』
『運の良し悪しは自分ではどうにもできないことなのかな?』
3分間のシンキングタイム。
自分の中で考える子、家族で話してみる子。思考を深めるスタイルもそれぞれです。

「お祭りでくじ引きする時、当たる確率は計算上は一緒だから、運はたまたまかなと思う。」

『なるほど。そういうタイプの運は計算上は平等にチャンスがあるってことだね。』

「じゃんけんは運かもしれないけど、委員会や係はその人の能力に適応している人が選ばれる。だから運じゃない。」

『その時の環境に適応するよう柔軟に変化し生き延びる進化と近い感じかな? 必要な能力に適応している人が選ばれるってことだね。』

井上さんは、一人ひとりの発言を丁寧に受け止めてくれます。
子どもミーティングの問いには正解はない。
だから、思考が自由になる。

「席替えでも、欲が出ると希望が叶わない。」
「じゃんけんで、勝てるわけがないとわざと期待しないようにすると勝てたりする。」
「あー、そういうのある!」
ほかの子の発言で、みんなもうなずいて、「と、いうことは・・・」とつながっていきます。。
「残り物には福がある、という言葉を信じていて、そうだなと思っている。」
『それって、大きくどんと構えておくっていうことだよね。なるようになるさって構えておくと、いい結果になるってことあるよね。』
「運っていうより、運命というのもあるんじゃないかな。1つ1つ欲を出さずに大切にする。」
『運と運命って違うのかな。どう違うか考えるのも面白いね。』

井上さんが子どもたちの発言をまとめます。
『運はコントロールできないという考え方もあれば、自分の気持ち次第で幸運を引き寄せられるのではないか?という考え方もある。
もう1つ。出来事の捉え方1つでそれは不運じゃなくなることもあるよね。』
『なんか、運の形が変わってきたね』
『運がよい人は、幸運を引き寄せる法則を理解していて、普段からそういう行動を心がけている。そして巡ってきたチャンスの瞬間を自分でふっと引き寄せることができる。その準備が日頃から整っている。ではどんな準備だろう?』

ここでまたシンキングタイム。
この間に、私たち親子で交わされた会話は...
私:T(息子)は、けっこう運がいいよね。
息子:そうなんだよね、でも、どうして運がいいのか、考えたことがないんだよね。
息子:なんかこう、うーん、なんていえばいいんだろう... 音がなくなるというか...

そして、息子が自分に向き合い言語化した "チャンスを引き寄せるための準備" とは...

「必死になるけど必死になりすぎず、自然とその空気に入り込む。」

その言葉で私が思い浮かべたのは、虫捕りをしている彼の姿。
狙っている虫がいるときは、むやみに走り回ったり網を振り回すことはありません。

一歩引く。観察する。感じる。じっと待つ。

そして、一瞬のタイミングを逃さない。

まさにその姿は、
「必死になるけど必死になりすぎず、自然とその空気に入り込む」

では今、苦しんでいる受験勉強ではどうか。
親子で狭い視野になり、目の前のことにとらわれ過ぎているのではないか。
果たして運をつかむ準備はできているのだろうか。

ファシリテーターの井上さんも、息子の言葉を受け止めてくれます。

「それ、すごくわかる。無となって深く集中してる状態だよね。そして、今だ、と感覚でその瞬間が見えるんだよね。」

共感してもらうことで、彼自身も今まで意識していなかった自身の内面への理解が進みます。
「それね、自分でコントロールしてあらゆる場面で使えるようにしてごらん。パワーが何倍にもなって成果が上がるから。」

他の子どもたちも、
「運がよくなりたい、と言わない。(そう言っているうちは外に求めているから)」
「今日が人生最後の日だと思って行動すれば、なんでも全力で頑張るから、必然的に運が良くなるんじゃないかな。」
「自分の好きなことを恥ずかしがらずに色々な人に伝えておくと、周りの人が関連することを教えてくれたり紹介してくれてチャンスが増える。」
「周りに流されず自分を信じて積極的に行動しておくと、チャンスが増える気がする。」
と、どんどん発言していきます。
今まではっきりと意識していなかった " 幸運を引き寄せるための準備 " が、言語化によって子どもたちの意識下に置かれはじめたことが感じられます。

『幸運を引き寄せる鍵はどこにあるのかな?』

「自分にある」

『これはね、大人でも知らない人がたくさんいるから、気がついた人たちの秘密だよ。
日頃からしっかり準備をして、大切にして生きている人に幸運は巡ってくる。
世の中には見えない大切なことがたくさんある。
大切なことは目に見えない。
星の王子さまにもそう書いてあったね。
目に見えないけれども大切なことを、自分の中で言葉にして守っていく。
そうすると、チャンスが来た時に自分にふっと来てくれる。
準備ができている人に幸運は必ずくるよ。』

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子どもミーティング終了後。
柔らかくなった息子の顔。
塾で1日勉強して緊張していたのが、すっかりリラックスできた様子。
そして、運がよいときの自分の状態を言葉にすることができ、意識下に置くことができました。
私も視野が狭まっていた反省とともに、軌道修正していただいて、親子で大きな気づきを得たのでした。

Co-musubiでは日頃から、Messengerを利用し、家庭での出来事や状況を交換します。
井上さんは、各家庭や子どもたちの状況を把握した上で、子どもミーティングでのテーマを決めたり、問いかけをしてくれます。
だから子どもミーティングでの気づきは多くて深い。
「あ、そういうことか!」とつながる。

ここまでの密なコミュニケーションは、アウトソーシングである塾や習い事では難しい。
今回のミーティングでも、我が家以外にも気づきを得たご家庭はあったことでしょう。
そしてその気づきは、それぞれの子どもたちやご家庭により違う。
優劣はなく、相対的な評価もない。
だから子どもたちは自由に思考を広げたり深めたり、飛躍させることができる。
子どもの内面の基礎を整える、親として子どもへの向き合い方の軸を整える。
親子を整えてくれるコミュニティCo-musubiの稀有さを改めて感じました。

次の日、息子のランドセルに入っていたのは、2つの石。
「この石、すごくない?」
いつもの息子が戻ってきました。



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